こんばんは!
学習塾STRUX塾長で、STRUX大学受験マガジンを監修している、橋本拓磨です。
センター試験まであと40日(毎週急かしている気もしますが……)、みなさん勉強の調子はいかがでしょうか。
センタープレをふまえてこんな結果になったとか、ちょっともっとがんばらないととか、みなさんいろいろな気持ちを抱えていらっしゃるでしょう。
さてさて、前回もお伝えしたとおり、センター試験までの期間は「受験生向け」と「1・2年生向け」交互に毎週記事を書いていきながら、「センター試験」「共通テスト」に向けた準備や対策法について話していければと思います。
予定ラインナップはこちら!
- 11/23 【受験生向け】センター試験の対策、いつからやる?何をやる?
- 11/30 【1・2年生向け】共通テストとセンター試験の大きな違い・いまからやるべきことは?
- 12/7[今回] 【受験生向け】センター利用は「合格したらラッキー」?私大勢も看過できないセンター利用入試の賢い使い方
- 12/14 【1・2年生向け】共通テストとセンター試験の大きな違い・いまからやるべきことは?(数学・理科・社会)
先週お伝えしたとおり、12/14の内容は予定を変更してお伝えします。
それでは早速今回の話題に入っていきましょう!
今回は、なかなか悩ましい「私大受験勢のセンター試験」。センター試験を一応受験はするし、どうせ受験するなら入試で使いたい!という人は多いハズ。でも、意外と「センター試験利用入試は受からない」というのもあったり……。どういう戦略・どういう心持ちでセンター利用は使うべきなのか?センター試験対策はどのくらいするべきなのか?お伝えしていきます。
「センター利用」に力を入れるのは危険!その3つの理由
塾をやっていると、「センター利用でできれば上位の大学にしっかり合格したい」「あわよくばセンター利用だけで受験を終えたい」なんてご相談をたまにいただきます。
私大志望であれば、大学によっては一般入試と同じ3科目でセンター利用入試に出願できるため、私大志望の人でも受験日を増やさず複数の大学を受験することができます。
だからこそ、「センター利用をフル活用してやるぜ!」と意気込んでいる方もいるのではないでしょうか……。
結論から言うと、「センター利用に本腰を入れるのは危険」ということです。
そんなふうに思われる人もいるでしょうし、「自分はセンターのほうが得意だし……」とか「ある程度模試も受けてるし形式もわかってるし、センターのほうが点が伸びそう」とか思う人もいるのではないでしょうか。
「なぜ?」というところをお伝えできればと思います。
センター利用はボーダーが高い
まず第一に、「センター利用はボーダーが圧倒的に高い」という事実。
これはこのあとの「枠が少ない」というところとも絡んでくるのですが、3科目受験での基本的なボーダーラインはMARCHレベルで82%〜92%前後、日東駒専レベルで7割台〜8割が必要になってきます。
そもそもMARCHレベルの模試ボーダーが偏差値60〜65あたり、英語の点数でいうと160〜175あたりに集中していることを考えると、センター利用試験のボーダーは若干高め担っていることがわかるかと思います。
これだけずれていると、センター試験でそのくらいの点数が取れる実力があれば、その分を他の私大の対策に回すだけでもワンランク上の大学を狙えることだってあるわけです。
しかもこれだけの点数を安定してとるとなると、ある程度の対策が必要になってきます。
実力があれば8割くらいは安定して取れますし、そのあたりであればMARCHレベルの一般入試にはしっかり送り出すのですが、そこから9割になってくるとまた別の対策、細かいミスを無くしたり形式に慣れて時間を詰めていったりということが必要になってきます。
9割を安定して出力するというのは、いくら3科目とはいえ至難の業になります。
このハードルを乗り越えないといけないという意味でも、まず「ボーダーが高い」ということは肝に銘じておきましょう。
枠が少なくボーダーがぶれやすい
次に挙げられるのは、「枠の少なさによるボーダーの変化」。
受験生に人気の明治大学で見てみましょう。
明治大学の商学部の例を見てみると、ご覧のようになっています。
- 明治大学商学部センター利用予想ボーダー
- 2019年:90%
- 2018年:85%
- 明治大学商学部定員と倍率
- 一般:450人(6.7倍)
- セ試:50人(6.7倍)
参考:河合塾(https://www.keinet.ne.jp/dnj/result/bunseki/2286.pdf)、明治大学(https://www.meiji.ac.jp/exam/information/data/6t5h7p000001himy-att/meiji_ippannyusi_kekka.pdf)
このように、倍率こそ変わりませんが、定員自体が大きく絞られるため、合格最低点が受験者の質によるばらつきの影響を受けやすい仕組みになっています。
実際、2019年と2018年だと予想ボーダーラインが5%、点数にすると15点分もずれているということです。
タダでさえボーダーが高い中での入試なので、数%上回ったくらいでは「去年のボーダーを超えているから、センター利用合格しただろう」と安心できないほど不確実なのがセンター利用試験なのです。
これはセンター受験後に学校などで実施する「センターリサーチ」と言われるものの基準も同様です。
各塾が高校と協力して、その年のセンターの自己採点点数をかき集め、「この志望校のボーダーはこのくらいになるだろう」というのを決めていきます。
ただ、これも正直、実際にその大学に出す人ばかりとは限らないわけですし、人によってはセンターリサーチを出さない人もいますから、枠の少ないセンター利用の合否判断をこのセンターリサーチだけで決めてしまうのは早計だというわけです。
センターの対策が特殊なので、第一志望に影響
もう一つは「センター対策のし過ぎで第一志望の勉強が疎かになる」ということです。
国立大学志望であれば、センター試験の点数が必要な大学がほとんどなため、必然的にがっつりセンター試験対策をします。
ところが私大志望であれば、そこまでセンター試験対策ができません。
マーク模試の点数もそんなに上がらないのでつい「もうちょっとがっつり対策をしなきゃ……」と思いがちですが、ここが大きな落とし穴。
センター試験と私大の入試は基本的に問題の質の方向性が違います。
センター試験が「基本」を「正確に理解しているか」を厳密に問うているのに比べ、私大入試はもっとゆるやかに「きちんと処理できるか」を求めています。
つまり、センター対策をいくらしたところで私大入試の点数は上がらないのです。
形式も大きく違うので、目の前の点数に惹かれてセンター対策ばかりをしてしまうと、あとから「思ったより過去問をやる時間がない……」というふうになりかねません。
センター利用のボーダー目安
さて、ここまで「センター利用をメインに据えるべきでない理由」をお伝えしてきましたが、実際ボーダーの目安はどのあたりに置いておけばいいんでしょうか。
毎年ボーダーが変動するため一概には言えませんが、ざっくりこのあたりの点数が必要、というのをまとめているので参考にしてみてください。
早稲田大学
ボーダー:85〜91%
早稲田大学はそもそも3科目では受験できないので注意が必要です。基本的には5教科6科目、800点満点で図られる事が多いです。
それだけ科目が多いにもかかわらず、ボーダーは少なくても80%、高い政治経済学部などだと91〜92%という高い水準になっています。
科目数が多い分そもそも早稲田大学をセンター利用で出願する人は国立大学志望が多いため、必然的にボーダーも上がるわけですね。
私大志望の人が早稲田をセンター利用で獲るのは、基本的には不可能だと思ったほうが良いです。
マーチ上位
該当大学:明治大、青学大、立教大、同志社大、立命館大
ボーダー:85〜91%
マーチでも人気大学になると、あまり人気がない学部でも85%、人気の学部だと9割近くがボーダーとして設定されます。
3科目で9割なので、英語・国語・社会または英語・数学・理科で9割以上が必要になる計算です。
これよりも上位の早稲田・慶応あたりを狙って勉強を進めているのであれば、MARCHあたりを志望校としてセンター利用で出しておくというのも一つの手ですが、これらの大学でも国立併願タイプの人が多いためやはり合格するのは非常に難しくなる傾向があります。
4科目型が設置されている大学もありますが、それでも3%程度しかボーダーは下がらない事が多いです。
マーチ下位
該当大学:中央大、法政大、学習院大、成蹊大、関西大など
ボーダー:82〜87%
マーチのくくりになると、正直大きなボーダーの変化はなく、人気学部だろうがなんだろうがほとんどが8割以上ボーダーになります。
ただ明治や青学などに比べるとボーダーは下がるため、「比較的このあたりなら狙いやすい」という人は多いのではないでしょうか。
その他の大学
該当大学:駒沢大、専修大、近畿大など
ボーダー:70〜80%
このあたりの大学になってくると7割あたりまでボーダーが下がってきます。ただ、やはり人気学部は8割近い、もしくは8割以上のボーダーになっているため(駒沢大文学部など)、それぞれの大学のボーダーを確認するのが良いでしょう。
センター利用はこう活用しろ!出願マニュアル
最後に、「じゃあどう出せばいいんだ……」という話に答えていければと思います。
大原則としては、やはりセンター試験利用入試は「よほどボーダーを大幅に超えていない限りは『合格していたらラッキー』くらいに考える」のが良いです。
よく指導しているのは、例えば「3科目で84%」というパターン。これだとマーチの一部学部いけそうですが、そのあたりは「いけるんじゃない?」とは言いません。あくまで「五分五分。行けたらラッキー、あまり受かってると思わないで良い」と話します。ただこのくらいの点数であれば、日大や駒大などのボーダーは10%近く上回っていることが多いので、そちらは確実に取れるだろうと踏んで残りの受験校(実際に受験するか)を決定していきます。よほど不安であれば1つだけ駒沢の一般を出願しておく、などでしょうか。
もちろん出願タイミングがセンター前のものも多く、なかなか調整が難しいところではあります。お金に余裕がある人は出せるだけセンター利用を出しておくというのも手です。
例えば一般での第一志望が明治大学の場合、センター利用で明治を出してもいいですが、厚めにするのは日大〜駒大、それより下にかけてということになるでしょう。
センター利用は実際に受験会場に行かずに合格できるという大きなメリットがある反面、ボーダーが高かったり試験1回で全て決まってしまったりするため、原則として滑り止め〜合格圏の大学を楽に確実に獲るための手段だと考えてほしいです。
そもそもの志望校の決め方はこちらも詳しいので、合わせてみてみると良いでしょう。
さて、今回は「センター利用」の使い方を、特に悩みがちな私大志望の人に向けて書きました。個人的にはがっつりセンター演習をするのは、私大志望であれば1月に入ってからでも全く問題ないし、捨てるのも全然ありだと思っています。センター試験では9割程度求められることが多いですが、一般入試はせいぜい7〜8割です。いくら難易度が違うとはいえ、9割までもっていくのと7割を確実に獲るのでは後者のほうが圧倒的にやりやすいです。
難易度が低くても「間違えてはいけない」ということは非常に難しいことだと肝に銘じて、ぜひ「センター利用は受かればラッキー」をある程度合言葉にしてもらって、出願してみてください。
センター利用や志望校については、けっこう特殊なところもありますし、ケースバイケースなので、ぜひいろいろツイッターやYouTubeライブで質問してください!
ライター:橋本拓磨
東京大学法学部卒。学習塾STRUX塾長・STRUX大学受験マガジン監修。日本全国の高校生に、場所によらず正しい勉強を広めて、行きたい大学に行き、将来の選択肢を広げてほしい!という思いからSTRUXマガジンを監修。
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