こんばんは!STRUX塾長の橋本です!
今日のテーマは、ここまで好評の勉強法シリーズで「古文の勉強法」です。
古文は暗記するものが英語などと比べても少なく、かつ現代文などに比べれば点を取りやすいため、国語の点数をあげるには古文をしっかり勉強するのが確実です。
とはいえ、苦手な人にとっては「いっこうに点が取れるようにならない」という科目でもあるはず。
そんな人に、今回は古文で「この3つだけ押さえておけば点が取れるようになる!」というポイントと、具体的な勉強法をお伝えします。
古文という科目の特徴
古文の特徴は大きく分けて2つです。
- 古文は「外国語」
- 覚えるべきことが少ない
それぞれ見ていきましょう。
古文は「外国語」
まず大前提として意識してほしいのは、古文は「外国語」だということです。
日本の昔の言葉なのでつい現代語と同じように考えてしまいがちですが、知らない単語やわからない文法が多い時点で、勉強法は外国語と同じように考えるべきです。
つまり、英語同様「単語」「文法」を最初に固めてから、文章の構造を「解釈」できるようになって、そこからやっと「読解」に入る、という順番でやるのが最短です。
よく古文だからといって、助動詞はとりあえず覚えたからどんどん読解をやろう!という人がいますが、それだとやはり時間がかかってしまいます。いきなり読解から入った場合、ついつい「なんとなく」で読んでしまうことになり、点数が安定しなくなってしまいます。必ず順番通りに身につけて、得意科目にしていきましょう。
古文は「覚えるべきことが少ない」
古文のもう一つの特徴は、「覚えるべきことが少ない」ということです。
皆さんが持っている古文の単語帳は、おそらく「315」や「330」などですよね。英語は1900などなのに対して、単語数はものすごく少ないです。
そして文法も、古文では「動詞などの活用」「助動詞の意味や活用」など、覚えることは限られています。
古文は外国語だ、といいましたが、とはいえ現代の日本語につながる部分は多いため、文法で大きく変わっている部分だけ覚えれば良いので、覚えることが少なくなります。覚えるべきことが少ないということは、勉強時間が少なくて済むということです。
少ない勉強時間でも高得点が狙える、コスパの良い科目だと言えます。
ただ、「覚えるべきことが少ない」ということは、裏返すと「鍵になる部分を覚えていないと全く点数につながらない」ということでもあります。
覚えるべき部分がずれていると、点数が上がらず苦戦することになるので気をつけましょう。
古文で点を取るために押さえるポイントは「助動詞」「主語」「敬語」
その古文、特に試験で点を取るために押さえるべきポイントは、「助動詞」「主語」「敬語」の3つです。
「助動詞」「主語」「敬語」の3つを押さえていれば、古文をスムーズに読めるようになります。
助動詞
「助動詞」は学校などでも覚えさせられるのでピンとくる人も多いはずです。
日本語は文末で意味が変わる事が多いため、助動詞の意味をきちんと理解できて、見極めることが出来ないと、正反対の意味で捉えてしまう可能性があります。
例えば「ぬ」という助動詞が出てきたときに、「〜〜した」という「完了」の意味なのか「〜〜ではない」という「打消」の意味なのかが見極められないと、正反対の意味で捉えてしまうことになりますよね。
助動詞は活用するためこのように同じ形で違う意味になってしまうものも多く、識別が重要です。だからこそ、意味を正確に理解するためには、文法の中でも特に間違いやすい「助動詞」に注意しましょう。
主語
そして、古文の読解で一番つまずくポイントが「主語」です。
日本語の悪い癖で「主語を省略する」というものがあり、これは皆さん現代語でもたくさん経験しているのではないでしょうか。
現代語だと主語がなくてもなんとなくわかりますが、古文だと「外国語」なので読み間違いが多くなってしまいます。
この「主語」を捉え間違うことで文章の理解がずれてしまうことが、古文で点数を落とす一番大きな要因になっています。ですから、「主語の見極め方」は一番対策をすべきポイントです。
「主語」を捉えるためにはいくつかコツがあるので、ここで簡単に紹介しておきます。
よく言われているのは「助詞」を参考にすることです。
たとえば、「て」「して」「で」などの助詞が来る場合は、前後で主語が変わらない場合が多いとか、「ば」「に」などが来る場合は変わる場合が多いとか。聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
たとえば、2020年のセンター試験の古文では、このような文章がでています。
うち笑み給ひて、「このほど尋ね聞こゆれば、……、おぼし知れ」など仰せらるれば、「げに〜〜籠もりて」など申すに、「さやうにおはしますらん、〜わざと参りぬるを」など仰せらるれば、内へ入りて、「かうかうの仰せ言こそ侍れ」と聞こえ給へば、……
この文章では会話になっているので「て」「に」「ば」に頼らずとも主語の入れ替わりはわかりやすいですが、たしかによく見ると「て」でつながっているところでは主語は同じで、「ば」「に」でつながっているところは主語が変わっています。
この場合「うち笑み給ひて」と2つの「仰せらる」は同じ人ですし、別の人が「申す」「入る」「聞こえ給ふ」の主語になっています。
大まかにはこれで見極められるのですが、あくまで「ことが多い」なので、これに頼りすぎると間違ってしまいますから気をつけましょう。確実に主語を見極めるには、これよりもやるべきことがたくさんあります。
一つが、「登場人物の把握」です。
主語を把握するためには、「誰と誰が喋っているか」や「誰が偉い人か」などがわかっていないといけません。登場人物の把握に大事なのが「リード文を読む」ことと「古文の常識を理解しておくこと」です。
たとえば先程の2020年のセンター試験では、リード文にこのように書いてあります。
寂しい山里に祖母の尼上と暮らす姫君の噂を耳にした宮は、そこに通う宰相という女房に、姫君との仲を取り持ってほしいと訴えていた。本文は、偶然その山里を通りかかった宮が、ある庵に目をとめた場面から始まる。
この時点で、この話の登場人物として「尼上」「姫君」「宮」「宰相という女房」の4人が出てきています。「本文は、宮がある庵に目をとめた場面から始まる」とあるので、本文の最初の
「ここはいづくぞ」と、御供の人々に問ひ給へば、
という部分の主語は「宮」だとわかります。
そして、この登場人物の関係性をリード文で理解しておかないと、主語が少ない文章では苦戦することになります。
私大の入試で有名な文章、例えば源氏物語や更級日記が出る場合などだと、この前提が書かれていない場合もまれにあります。こうした有名な物語についてはある程度演習段階で解説の出典や国語の便覧にも目を通し、人物関係を把握しておくのも手でしょう。
もうひとつ、古文の常識も主語の把握で役立ちます。
例えば「尼上」は名前からわかるように出家しているのだな、とか、女房というのはこういう女性のことだな、とかですね。
古文では役職や身分で登場人物が指されることも多いですから、役職名・身分名をきちんと知っておくという点で、古文常識を入れておくべきでしょう。
出てくるたびにわからないものを古語辞典で調べたり、「マドンナ古文常識」などの参考書を用意しておいたりすると万全です。他にも、「恋仲になっている男女は和歌でやりとりをする」「男が女のもとに通う」「男が女の家を垣間見するところから始まる」などの要素も、主語を見定めるヒントになりますね。
敬語
そして、この「主語の把握」の助けにもなるのが、3つめの押さえてほしい要素である「敬語」です。
尊敬語・謙譲語・丁寧語があることは現代語と同じですが、古文では上下関係がはっきりしているため、この敬語でも主語を見極めることが出来ます。
例えば先程のセンター試験の文章では、この部分が「宮」と「宰相」の対話として出ています。
筆者は宮に対してずっと尊敬語を使っていて、かつ「宮」のほうが「宰相」より目上なので、それを意識すれば「うち笑み給ひて」「仰せらるれば」など尊敬語がついている部分の主語が「宮」だとわかります。
「申すに」などは謙譲語なので「宰相から宮への経緯」が現れていると考えられますね。
うち笑み給ひて、「このほど尋ね聞こゆれば、……、おぼし知れ」など仰せらるれば、「げに〜〜籠もりて」など申すに、「さやうにおはしますらん、〜わざと参りぬるを」など仰せらるれば、内へ入りて、「かうかうの仰せ言こそ侍れ」と聞こえ給へば、……
このように、敬語から登場人物の関係性を見極めることも、主語を見極める上でのヒントになります。
主語の見極めにも敬語は重要なので、敬語も古文単語と同じように覚えていくようにしましょう。
このとき、「言ふ」の尊敬語、とか「着る」の尊敬語だというふうにおぼえていくようにしてください。尊敬語・謙譲語・丁寧語が見極められないと意味だけ覚えても使えないので、注意が必要です。
以上が古文の性質です。
盛りだくさんでしたが、とても大事な要素なのでしっかり押さえておきましょう。
古文の性質を踏まえた勉強の手順
古文は外国語と同じ特徴があるので、英語などと同様にまずは単語や文法を固めてから、徐々に読解に入っていくべきです。
全体の進め方としては次のようになります。
- 古文単語
- 古文文法
- 古文解釈(品詞分解)
- 古文読解
- 志望校別対策
それぞれのステップの具体的な勉強法をみていきましょう。
古文単語
古文の単語は単語帳を使って覚えていきますが、基本的には「1冊」あれば十分です。
学校で配られる「古文単語315」や「古文単語330」など、頻出の単語から敬語まで掲載されているので、その1冊にある単語を覚えていけばOKです。
覚えるコツは基本的に英単語などと同じで、短い期間に何回も繰り返しテストすることですが、古文ならではのコツもあります。
それは、「1周目はざっくりニュアンスを覚える」ということ。
古文は英語よりも意味が曖昧だったり難しかったりします。さらに、ほとんどの単語は複数意味があるため、「いちばん大事な意味」だけを覚えていても本番意味が通らない可能性も高いです。
これを避けるには、「この単語はなんとなくプラスの意味」「この単語はだいたい『〜したい』というような意味」というふうに、単語ごとのイメージを掴むことが重要です。
例えば「ゆかし」という単語であれば「〜したい・見たい・知りたい」のような意味が載っていますが、すべて「何かをしたいと思うこと」という意味だと覚えておけば本番応用がききやすいです。
古文は英語と違い作文などをする必要もないので、しっかり意味がわかるということを最優先すべきです。そのためには、重要意味を覚えるのはもちろん、その手がかりとして「単語のイメージやニュアンス」を掴むようにしましょう。
ゴロで覚える単語帳を使っているとどうしても単語のイメージがつかみにくいので、説明が細かくついている学校配布の古文単語帳や「マドンナ古文単語」などを使うようにしましょう。
ただ、マドンナ古文単語では敬語が掲載されていないため、これは別途表などを使って覚える必要があることには注意しましょう。
古文文法
単語と並行して文法にも取り組みます。
文法で覚えることは大きく分けて「動詞・形容詞・形容動詞の活用」「助動詞の接続・活用・意味」「助詞の意味」「助動詞や助詞の識別」「敬語の用法」の5つです。
この中で最も重要なのは「助動詞の接続・活用・意味」とその識別です。
日本語は語尾ですべて意味が決まる言語なので、最後に来る助動詞は必然的に文の意味を左右します。
語尾に打消の意味が来るのか推量の意味が来るのかによって、意味は大きく変わってきますよね。この意味を正確に見極めるためには、動詞・形容詞・形容動詞・助動詞といった用言の活用を覚えることが必要になります。なぜなら、助動詞の中には同じ形で意味が違うものや、助詞と同じ形のものがあるので、その見極めのために「前の動詞が何形か」といった部分が大事になるからです。
基本的には助動詞の表や動詞の活用表を見て、すべての活用を覚えていきます。
動詞であれば「何行何活用」というふうによく言いますが、「何行」というところはそこまで重視しなくてもいいので、何より「なに活用なのか」を見極められるようにします。
参考書は「富井の古典文法をはじめからていねいに」などを使ってもいいですし、学校で配られる古文の薄い文法書でも丁寧に識別まで書いてあることが多いので、それでも十分です。
助詞は表にはたくさん載っていますが、すべてを真面目に覚えなくても大丈夫です。というのも助動詞に比べて助詞は活用しませんし、現代語と同じ意味のものも多いからです。
以下に挙げるようなものは、現代語と意味が違ったりよく出たりする用法なので、注意して覚えておくようにしましょう。
- 「の」の同格の意味
- 「ば」の訳し分け
- 係助詞と係り結び
- 「だに」「すら」「さへ」など現代語と意味が違うもの
- 「ばや」「がな」「もがな」「な〜そ」など現代語にない終助詞
敬語は現代語と大きくは変わりませんが、古文で省略されがちな主語を補う上で重要な役割を果たすので、意味や種類を覚えるのはもちろん、「絶対敬語」「二重敬語」や2方面への敬意などをきちんと理解しておきましょう。これも文法参考書や文法書に必ず載っているので、それを見て確認します。
余裕があれば河合塾の「ステップアップノート」や日栄社の「30日完成古文」、「古典文法サブノート」などで問題を解くといいでしょう。
ただ、文法問題は「現代語訳しなさい」のように結構難しいものも多いので、全て解けなくても悲観しすぎず、なぜその訳になるのか、ここで押さえるべき文法事項はどれか、というのをきちんと解説や該当範囲の文法書を読み理解していきましょう。
古文解釈
文法の問題を解くより重視してほしいのが、「古文解釈」、もっと詳しく言うと「品詞分解」です。古文はほとんどが読解問題で、文法に関する問題は出題が少ないため、早く読解に移れるようにすることが点数を最短で上げるポイントになります。
この「品詞分解」は、以下のように単語ごとに区切っていくことで、この場合はそれに助動詞の意味を識別するところまで加えたものを指します。
今|は|昔、|竹取の翁|と|いふ|もの|あり|けり(過去)。
読解の問題集などを使って、単語ごとに区切れるかどうか、そして助動詞の意味が識別できるかどうかを書き込んでいきます。答え合わせができるよう、解説にすべての品詞分解が書かれている日栄社の「30日完成古文中級編」などを使うことがおすすめです。
問題は解かなくても良いので、スムーズに品詞分解ができるようになるまでこれを繰り返して、前からすらすら品詞分解と正確な助動詞の識別ができるようになってください。
これが正確にかつスムーズにできるようになれば、読解に移っても正しく意味を取れるようになります。
意外と飛ばして読解から始めてしまう人が多いですが、必ずやってください。
古文読解
品詞分解がスムーズにできるようになったら、読解に移ります。
同じ日栄社の教材からスタートして、「古文上達」や「マドンナ入試解法」などで問題を解く練習をします。このとき、冒頭で話した「主語の見極め」や「敬語の識別」の練習が必要になるので、文章を読むたびに合っているか確認しながら進めていきましょう。
具体的には問題を解いて、すべての解説をしっかり読むことを繰り返し、主語が抜けていたり助動詞がわからなかった場合は文法書などできちんと復習しましょう。
そして、最後にぜひ音読をしてください。
古文は外国語扱いなので、前からすらすら品詞分解や助動詞の識別ができないと本番時間が足りないからです。音読では強制的に前から読むことになるので、繰り返し練習をしてスムーズに読めるようになりましょう。
後半には「センター過去問」などにぜひ取り組んでみてください。どこを受ける人にもおすすめの良質な問題が揃っていますし、ちょうどよいレベルまで底上げすることが出来ます。
志望校別対策
センターレベルまで対策でき、8割から9割が取れるようになれば、多くの大学の問題は解くことが出来ます。
ここからは大学ごとのレベル・傾向に合わせた練習をしていきます。
早稲田やマーチレベルの大学を目指す場合は「最強の古文」や「首都圏難関私大古文演習」などで難しい問題に取り組みます。私大だと背景知識や文学史が求められることもあるので、志望校によってこれらも対策するようにしましょう。この大学は源氏物語をよく出す、など出題の傾向もあるので、よく出る出典がある場合はそれを重点的に対策するのもよいですし、早稲田などのハイレベルな志望校の演習をする際には「マドンナ古文常識」などで適宜古文常識も確認できるようにしておきましょう。
国公立志望であれば記述の練習が必須ですから、「得点奪取古文」などを使いましょう。
これらの問題集に一通り取り組めたら、過去問も交えて最後の仕上げに入りましょう。
古文の勉強のペース配分を最後にチェック
最後に、勉強のペースの話です。
7月中には「日栄社30日完成古文中級編」などで品詞分解を練習し、わからない文法を文法書などで復習していきます。すでにできるという人は前倒しで進めていきましょう。
ここで完璧に品詞分解ができるようになれば、8月には「マドンナ入試解法」で読解の練習をします。「古文上達基礎編」のほうが問題数は多いですが、その分「読解の仕方」についての解説は少ないので、苦手な場合や時間に余裕がない場合はマドンナ入試解法をおすすめします。
そうすれば9月にはセンター試験の過去問などを使うことが出来ます。共通テストを使う場合は合わせて「共通テスト満点のコツ」を使っても良いでしょう。
10月には志望校別の問題集、マーチ以上の私大であれば「首都圏難関私大古文演習」、国公立で記述が必要であれば「得点奪取古文」に取り組みます。
11月以降は実際に過去問を解くようにしてください!
高校1・2年生の場合はどんどん前倒しで、余裕があるうちに古文を身につけておくのもアリです。特に理系だと高3になってからは理系科目で余裕がなくなるので、高3になる前に品詞分解まではスムーズにできるようにしておけるといいですね。
ただし、くれぐれも「古文を捨てる」ということはもったいないのでやめましょう。
特に国語の配点が大きい人は、古文で点を稼ぐことで得点が安定しますから、古文を短期間でも演習して、得点源にしておけるといいですね。
今回は古文の勉強法についてお伝えしました。コスパがいい科目でもあるので、きちんと対策をして臨めるようにしましょう!
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それでは!
ライター:橋本拓磨
東京大学法学部卒。学習塾STRUX塾長・STRUX大学受験マガジン監修。日本全国の高校生に、場所によらず正しい勉強を広めて、行きたい大学に行き、将来の選択肢を広げてほしい!という思いからSTRUXマガジンを監修。
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