こんばんは!STRUX塾長の橋本です!
今週も「大学入試の志望校別対策シリーズ」、今回は久々に理系学部ということで「早稲田大学理工学部」の入試について見ていきましょう。基幹理工・創造理工・先進理工と3つの学部に分かれていますが、これらの特徴と入試形式に触れていくことにします。
早稲田大学理工学部の試験情報
例によって早稲田大学理工学部の「一般選抜」に絞って解説をしていきます。2021年度の入試に大きな変更はありませんので、従来の傾向や配点などを参考にしていくことになります。
期日 | 2月16日 |
共通テスト・外部試験 | 不要 |
科目 | 独自試験: ・英語 ・数学(3まで) ・選択科目2 (物理/ 化学/ 生物) |
学部・学科により選択できる科目が違うため、公式のHPで詳しく確認しておくようにしましょう。例えば数学系の学科であればどれでも選べますが、航空宇宙などでは物理・化学、応用化学では化学が必須というふうになっています。また、創造理工学部建築学科の受験者には別途「空間表現」の試験が翌日に課され、鉛筆デッサンなどがもとめられています。(今回は割愛します)
創造理工・基幹理工・先進理工の違いは?
早稲田大学の理系学部を目指す上で気になるのが、理工学部の3分野の違い。キャンパスはいずれも西早稲田キャンパスと呼ばれる、いわゆるメインのキャンパスからは少し離れたところにありますが、それぞれの学部で多少学ぶ内容やカリキュラムが異なります。
3つの学部の中で特徴的なのが「基幹理工学部」で、こちらは入試に際して「学系」という区分けで受験することになります。IからIIIまである学系のいずれかを受験し、1年生時は共通の必修科目を中心に受講、2年生になる際に希望の専攻に進むという制度です。大まかに「学系I」が数学・物理系、「学系II」が航空・電子・情報などさまざま、「学系III」が情報系というくくりで、2年時にそれぞれのくくりの中で専攻を選ぶことが可能です。もちろん興味が変われば他の専攻に進学するということが可能なため、ある程度いろいろなことを学びたい、まだ興味分野が決まっていないという場合は基幹理工を選ぶのはありです。しかし、人気の学科などを選ぶ際には希望者が成績順で割り振られるため、確実にこの学科に行きたい、ということがあれば高い点数を1年時のテストで確保する必要があります。特にこのうち情報系の学科は(どの大学でもそうですが)人気が上昇中のため、高い点数を取り続けなければいけないということはあります。
先進理工・創造理工はそれぞれ物理・数学・化学系や建築・文理融合の学科などがあるため、「やりたいことが決まっている」という場合は自分の目指す専攻を決めてはじめから先進理工・創造理工を受験することがおすすめです。
併願のパターン
早稲田大学理工学部は学部内・学部間での併願ができないことが原則なので、基本的には他大学を合わせて受験していくことになります。
早稲田大学内だと基本的に理工学部内での併願は不可
先述の通り、早稲田大学の基幹理工学部・先進理工学部・創造理工学部はそれぞれの学部をまたいだ併願はもちろん、学部内の別学科の併願も不可能です。一部先進理工学部において「学部内で第2希望・第3希望の学科まで選択可能」ということはありますが、この場合も合格がでるのは1つの学科のみとなります。
そのため、異なる大学の似たような学科を受験する必要がありますね。
おすすめの併願校:東京理科大、明治大学など
理系学部を据えている大学で、かつある程度上位の大学(研究などきちんとしている大学)を目指すのであれば、早稲田大学と併願しておきたいのは東京理科大学。入試科目等も大きく変わらないため、併願する上ではやりやすいです。ただ、東京理科大学もレベルとしては難しいため、保険として使うには心もとないです。自分の学力レベルに応じて芝浦工大や明治・青学などの理系学部を併願しておくようにしましょう。
早稲田大学理工学部の配点と目標点数
早稲田大学理工学部の配点と目標点数についてですが、他学部と違い成績標準化による得点調整はありません。ただ、理工学部は科目毎の受験者平均点を公表していないため、あくまで合格最低点から目標点を洗い出していくことになります。ここでは「一般選抜」について見ていきましょう。
早稲田大学理工学部の科目・配点(創造理工・建築を除く)
外国語 | 120点 |
数学 | 120点 |
理科 | 120点 |
*理科は「物理」「化学」「生物」から2つ選択、学科により条件あり
配点はシンプルに各科目120点で、建築学科はこれにデッサン40点が追加されます。
英語についても120点の配点があるため、英語が苦手な場合は気をつけておかなければいけませんね。
目標点数
続いて各学部・学科の目標点数を見ていきましょう。少し従来の表と見方を変えています。また、理工学部は最低点しか提示していないため、受験者平均点はありません。
例年の合格最低点(基幹理工学部)
学系I(数学など)
- 2020年度:207/360点(57.5%)
- 2019年度:209/360点(58.1%)
学系II(航空・電子物理システムなど)
- 2020年度:221/360点(61.4%)
- 2019年度:215/360点(59.7%)
学系III(情報理工など)
- 2020年度:210/360点(58.3%)
- 2019年度:223/360点(61.9%)
例年の合格最低点(創造理工学部)
建築学科
- 2020年度:215/400点(53.8%)
- 2019年度:222/400点(55.6%)
総合機械工学科
- 2020年度:197/360点(54.7%)
- 2019年度:212/360点(58.9%)
経営システム工学科
- 2020年度:211/360点(58.6%)
- 2019年度:203/360点(56.4%)
社会環境工学科
- 2020年度:202/360点(56.1%)
- 2019年度:222/360点(61.7%)
環境資源工学科
- 2020年度:197/360点(54.7%)
- 2019年度:195/360点(54.2%)
例年の合格最低点(先進理工学部)
物理学科
- 2020年度:230/360点(63.9%)
- 2019年度:235/360点(65.3%)
応用物理学科
- 2020年度:210/360点(58.3%)
- 2019年度:223/360点(61.9%)
化学・生命化学科
- 2020年度:207/360点(57.5%)
- 2019年度:205/360点(56.9%)
応用化学科
- 2020年度:202/360点(56.1%)
- 2019年度:209/360点(58.1%)
生命医科学科
- 2020年度:219/360点(60.8%)
- 2019年度:211/360点(58.6%)
電気・情報生命工学科
- 2020年度:196/360点(54.4%)
- 2019年度:209/360点(58.1%)
参考:近年の入学試験結果
過去の最低点を2年分掲載しましたが、大きく年度の間で変化があることはまれでしょう。学科によって多少最低点が違いますが、どこであっても基本的には60%前後が基準になります。ただ、先進理工学部物理学科については大きく最低点が跳ね上がり例年65%程度、逆に創造理工学部建築学科はデッサンが含まれるぶん最低点が55%付近になります。
どの学部を目指すにしても、基本的には65〜68%を目指して取り組むべきでしょう。
目標点の例:合計240/360点(66.7%)英語が得意な場合
英語 | 60/120点 |
数学 | 85/120点 |
理科 | 95/120点 |
早稲田理工の英語は文系学部と遜色ない難しさになっています。そのため、英語で点をかせぐのは英語が得意な場合に限られるでしょう。原則として理系科目できちんと得点しておかないと点数が伸びないと思って良いです。理系科目をしっかり得意にしておくのが大前提ですが、ただ英語で壊滅的な点数(30〜40点)となると、数学・理科で満点近くを取らないといけないということになりますから、最低限の英語の勉強はしておくべきです。これが英語:数学:理科の配点が変わらない早稲田大学理工学部の難しいところです。
目標点の例:合計240/360点(66.7%)英語が得意な場合
英語 | 80/120点 |
数学 | 80/120点 |
理科 | 80/120点 |
英語が得意で7割近く取れる、という場合は数学・理科の点数も含めてトータルで67%を目指せば良いため、比較的楽に目標点を達成できます。数学は大問が少なく得点のブレが大きくなることを考えると、英語で取れることは純粋にアドバンテージになります。
早稲田大学理工学部 科目別の勉強法と問題攻略
早稲田大学の理工学部を目指す上では、通常の理系科目の学習をきちんとおこなうことはもちろん、英語についてもしっかり手を伸ばしておく必要があります。国立大を目指すのでなければ社会や国語は不要なので、早くから英語や遅れがちな数学の基本を徹底的に入れておくべきです。
時系列・やるべき科目と対策
実際に塾で指導している感覚としては、最低でも1年半、できればまる2年受験勉強の時間を確保したいのが理系入試です。さらに早稲田の理工だと英語も比較的重たいため、英語・数学を高2から初めて「高2のうちには1A2Bが完璧・数3に入っている/時間をかければセンターレベルの長文が読める」という状態にしたいところです。そうすれば高2後半から高3の時期を理系科目の底上げに全振りすることができ、直前期に伸ばしやすい理科科目で得点できるためです。
英語
早稲田大学理工学部の英語は文系学部並の難易度が要求される問題もあり、高得点を狙いづらいのが特徴です。ただ、他の早稲田の学部に比べれば、きちんと形式慣れして練習しておけば対策は十分可能です。設問としては以下のような形式になっています。
- 第1問:長文(読解)
- 第2問:長文(単語整序問題)
- 第3問:長文(空所補充/文整序)
- 第4問:長文(読解・空所補充)
- 第5問:文法(空所補充)
文整序や並び替え問題がありますが、他の学部のようなダミーの選択肢は無いため、他学部よりは解きやすくなっています。ただし、時間が限られているのはもちろんですが、一見すると分かりづらい「正しい単語を選ぶ問題」(以下の画像)などもあるため、きちんと解き慣れておく必要があります。自分が苦手な設問は飛ばし気味にして、55%〜65%を確実に取り理系科目で点を稼ぐ、という戦略が理想です。
英作文などの特別な対策は不要ですが、数式や実験内容も含んだ長文が出題されるため、通常の「ポラリス2」「ポラリス3」などのレベルの長文問題に加え、「リンガメタリカ」などの話題別単語帳に取り組み語彙力を増やしておけるといいですね。
数学
理工学部の数学は大問5つ構成で、数3が3問、それ以外が2問というのがベーシックな構成です。数3の「微積」「極限」が必須なのはもちろんのこと、これらを数1A2Bの分野とかけ合わせた出題がされることがほとんどのため、「良問プラチカ」「上級問題精講」などで応用的な問題に取り組んでおく必要があります。
そのためにも、まずは高2のうちに1A2Bの青チャートで言う「レベル4」までは完璧にしておき、学校の授業に合わせて数3も同様に高3夏前には完璧にしておくべきところです。学校の授業が間に合わない場合は高3夏前までにスタディサプリなどで先取り学習をしましょう。そこから夏で青チャートや入試問題に取り組み、秋に入試レベルに上げることで間に合います。
理科
理科は「物理」「化学」「生物」から選択可能ですが、問題としては難易度こそ高いものの比較的オーソドックスな問題になっています。これらも高2の夏前までには一通り全範囲が終わっている状態を目指し、遅くとも高2の2月頃には先取りを始めましょう。
まとめ
今回は早稲田大学理工学部の入試の傾向と対策についてお伝えしました。大きく傾向は変わらないと予想されますが、理系学部というだけで対策すべきことはたくさんありますから、早め早めに勉強を始めておくようにしましょう。
お知らせ!
学習塾STRUXはいつでもオンラインでの無料体験&授業を実施しています。10月以降は高校1・2年生を対象に実施しています!志望校に合わせた計画作成を行っているので、今後の勉強内容を固める上でお気軽にご相談ください!
それでは!
ライター:橋本拓磨
東京大学法学部卒。学習塾STRUX塾長・STRUX大学受験マガジン監修。日本全国の高校生に、場所によらず正しい勉強を広めて、行きたい大学に行き、将来の選択肢を広げてほしい!という思いからSTRUXマガジンを監修。
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