一橋大学傾向と対策

文系の最高峰大学として知られる一橋大学には商学部、経済学部、法学部、社会学部の4学部が存在します。一橋大学はもともと商学部を中心に古くから発展してきた大学で、商学・経済学について深く学ぶことができます。文系の中でも社会系を志望している人はぜひ目指したい大学です。

Part.1 一橋大学の試験・出願情報

一橋大学はほとんどの学部が前期日程のみで、経済学部のみ後期試験の実施があります。本記事では前期試験に焦点を当てて、傾向や戦略を分析していきます。

試験日・入試形態・出願について

一般入試
期日 2月25日・26日
共通テスト 必要
得点比率 学部により異なる
出願時期 1月(共通テスト後)
2段階選抜 学部により実施
科目 1日目: 国語、数学
2日目: 英語、地歴

全学部で受験科目は共通していますが、共通テストと個別試験の比率や配点はそれぞれ異なります。学部選択の際は、自分の学びたい内容を踏まえた上で、得意教科の配点にも気を配りましょう。配点は次項で確認していきます。

数学は1A2の全範囲とBの数列・ベクトルから出題されます。 地歴は世界史B・日本史B・地理Bから1科目選択できます。2021年度以前の試験では社会の選択科目として「倫理政経」「ビジネス基礎」も受験可能でしたが、2022年度から出題されないように変更されたので注意してください。

2段階選抜は全学部で実施される可能性があります。大学入学共通テストの素点(ただし英語はリーディング・リスニングの素点を合計した200点満点)を学部別に高得点順にした時に、倍率約3倍までの受験者を1次合格者としています。

共通テストの科目は「国語」「社会」「数学1A」「数学2B」「理科」「社会」「外国語」が利用されます。 例年通りであれば、社会は「世界史B・日本史B・地理B・倫理政経から2科目」が選択できますが、個別試験で倫理政経が出題されないので地歴から選択するのが賢明でしょう。 理科は「物基、化基、生基、地基から2科目」か「物、化、生、地から1科目」のどちらかの受験方式になります。

Part.2 一橋大の配点と目標点数

学部によって共通テストと個別試験の比率や試験科目の配点が異なります。また、一橋大学は全学部で2段階選抜が実施されます。それを踏まえて、各学部の配点や例年の受験者最低点などから戦略を考えていきましょう。

配点・科目

        

圧縮後の共通テストの得点と個別試験の得点の合計は、どの学部も1000点になっています。共通テスト:個別試験の比率は商学部で25:75、経済学部で21:79、法学部で27:73、社会学部で18:82と大きく異なります。さらに詳しい配点は「目標点数」の項目で後ほど確認していきます。

2段階選抜は全学部で行われています。いずれの学部も足切りは650点前後なので、700点を超えていればまず安泰でしょう。共通テストはどんなに失敗しても8割は切らないということを念頭に置いておきましょう。

目標点数

パターン1: 商学部
合格最低ライン目安 640/1000点
共通テスト 210/250点
国語 60/125点
社会 80/125点
数学 140/250点
外国語 150/250点
合計 640点

1段階選抜のラインは2019年で659/900点(73%)で、2021年と2020年は実施されませんでした。センター試験で700点以上取っていれば安全圏にいますが、8割以上を目標にしておきましょう。

商学部では共通テストの全科目が50点に圧縮されます。つまり、100点の理科は200点の他科目を比べると圧縮率が低いことになり、相対的に見ると理科の配点が高くなります。 個別試験の配点割合は国語約16%、社会約16%、数学約33%、英語約33%です。他学部と比較すると社会の配点が小さく、数学の配点が大きいのが特長です。

合格最低点は例年550〜580点程度で推移しているので、大体1割増しの640〜650点程度を目標点にします。共通テストで確実に80%~85%を狙い、残りを個別試験の社会や英語で取る戦略にしましょう。 数学の得意・不得意によって目標点数のバランスは変わりますが、どんなに苦手でも120点程度は取ることを目指してください。点数を安定させにくい国語や難易度の高い英作文・リスニングなどは大きく失点してしまいがちなので、数学を少なくとも50%は取っておきたいところです。

パターン2: 経済学部
合格最低ライン目安 640/1000点
共通テスト 175/210点
国語 50/110点
社会 105/160点
数学 150/260点
外国語 160/260点
合計 640点

1段階選抜のラインは2021年で612/900点(68%)、2019年は673/900点(74%)で、2020年は実施されませんでした。センター試験で700点以上取っていれば安全圏にいますが、8割以上を目標にしておきましょう。

経済学部の共通テストは理科が50点、その他科目が40点に圧縮されます。商学部と同様に、相対的に見た理科の配点は高いといえるでしょう。 個別試験の配点割合は国語約14%、社会約20%、数学33%、英語約33%となっています。他学部と比較すると国語の配点が低く、数学の配点が高いのが特長です。

合格最低点は例年550〜580点程度で推移しているので、大体1割増しの640〜650点程度を目標点にします。共通テストで確実に80%~85%を狙い、残りを個別試験の社会や英語で取りましょう。他の学部と比べると数学の割合が大きいので、数学が得意な人が有利になるでしょう。数学が苦手な人も少なくとも50%は取っておきたいところです。

パターン3: 法学部
合格最低ライン目安 680/1000点
共通テスト 230/270点
国語 50/110点
社会 110/160点
数学 110/180点
外国語 180/280点
合計 680点

1段階選抜のラインは2021年で639/900点(71%)、2020年で604/900点(67%)、2019年は642/900点(71%)となっています。センター試験で700点以上取っていれば安全圏にいますが、8割以上を目標にしておきましょう。

法学部の共通テストは地歴公民が70点、その他科目が50点に圧縮されます。 個別試験の配点割合は国語約15%、社会約22%、数学約25%、英語約38%です。他学部と比較すると英語の配点が大きいことが特長です。英語が得意な人にとっては有利に働くでしょう。

合格最低点は例年570〜620点程度で推移しているため、大体1割増しの680〜690点程度を目標にしておきたいところです。共通テストで85%近くを狙い、残りを英語や社会で得点しましょう。他学部よりも例年の合格最低点が高いのでバランスよく高得点を取れるように学習を進めましょう。

パターン4: 社会学部
合格最低ライン目安 640/1000点
共通テスト 160/180点
国語 80/180点
社会 170/230点
数学 50/130点
外国語 180/280点
合計 640点

1段階選抜のラインは2020年で651/900点(72%)、2019年で667/900点(74%)となっており、2021年は実施されていません。センター試験で700点以上取っていれば安全圏にいますが、8割以上を目標にしておきましょう。

社会学部の共通テストは理科が100点のまま、その他科目が20点に圧縮されます。理科が圧縮されないので共通テストの理科で高得点を取ることが必須になります。絶対に理科で失敗しないように注意しましょう。共通テストの理科は90%以上安定して得点できるように練習が必要です。

個別試験の配点割合は国語約22%、社会28%、数学16%、英語34%となっています。他学部と比較すると、国語と社会の配点は高く、数学の配点が低いことが特長です。そのため、数学が苦手な人でも商学部・経済学部よりはチャレンジしやすい学部です。

合格最低点が560〜590点程度で推移しているため、大体1割増しの640〜650点程度を目標にしておきましょう。

模試一覧
5月 第1回駿台atama+共通テスト模試
6月 東進一橋大本番レベル模試
7月 第2回駿台atama+共通テスト模試
8月 河合第2回全統共通テスト模試
9月 第1回駿台・ベネッセ大学入学共通テスト模試
10月 東進一橋大本番レベル模試
河合一橋大入試オープン
第3回駿台・ベネッセ大学入学共通テスト模試
河合第3回全統共通テスト模試
11月 駿台一橋大入試実戦模試
河合全統プレ共通テスト
12月 駿台atama+プレ共通テスト模試

「マーク模試」と「一橋冠模試」は必ず受けていきましょう。冠模試は6月、10月に東進一橋大本番レベル模試、10月に河合一橋大入試オープン、11月に駿台一橋大入試実戦模試が実施されます。夏の模試ではD判定〜E判定で十分ですが、秋・冬の模試に向けてB判定あたりを目指して勉強しましょう。 共通テストの対策としては、「共通テスト同日試験」を受験できるとよいです。マーク模試は夏あたりでは7〜8割すでに取れている状態にしておき、冬までに8~9割を目指して仕上げを済ませましょう。

併願校・志望変更

共通テスト利用
早慶上智、MARCH、関関同立、近大、日東駒専
後期試験
横浜国立大、東北大、神戸大など
志望校変更
京都大、大阪大、筑波大など

一橋大学志望の人は早慶上智を狙っておきましょう。ただ、傾向が大きく異なるため合格できない人も多くいる印象です。そのため、基本的にはMARCHもいくつか受験しておくのが良いでしょう。一橋志望者はMARCHレベルには堅実に合格している人が多いです。共通テスト利用入試でMARCHに合格していると心強いですね。不安であれば近大や日東駒専のレベルまで受験しておく手もあるでしょう。

原則として志望校変更は共通テストの結果を見て判断するようにしましょう。一橋大の共通テストの配点は18~27%と比較的低く、一橋大内で学部を変更して出願するということも可能です。 あらかじめ共通テストで「何点くらいならここにする」ということを決めておくと良いでしょう。一橋大と同程度の偏差値としては京都大、下げるとしたら大阪大・筑波大などの各県の国公立大学が候補として挙げられます。

後期試験は横浜国立大が多い印象です。志望校変更の際と同様に、近隣の国公立を出願しておくのが良いでしょう。

Part.4 科目別の勉強法と攻略法

社会学部以外は数学の配点が高いため、数学の取りこぼしがないように勉強しましょう。高1・高2から英語と数学を再優先で進め、高2冬の「共通テスト同日試験」では8割近くを狙えるようにしたいところです。

個別試験の社会は、論述問題が癖のある問題なので、社会も高3の夏前までには全範囲単語まで押さえておきましょう。早めの対策スタートが合格の鍵となります。 一橋大学では過去3年間の試験問題に加え出題意図が公開されているので、問題傾向を良く分析して過去問に取り組むのが良いでしょう。

英語

長文2題と自由英作文に加え、リスニングが出題されます。リスニングは東大レベルかそれ以上なので、早めに対策をスタートさせなければなりません。

長文問題も面倒な和訳問題が多いので、高2のうちにはある程度の単語・文法は覚えきった状態にしておきましょう。高2の「共通テスト同日試験」では8割近くを狙えるようにしたいところです。 英作文は「3つのテーマから1つを選んで答える」という形式ですが、練習の際はすべての問題を解いて演習教材にしましょう。 一橋の英語は難易度が高いため、志望校を一橋大にした時点で「志望校特化」の対策を始めるべきです。

国語

大問が3問で、現代文・古文が中心に出題されます。古文は明治時代などの「近代文語文」がほとんどです。2次試験レベルの古文の力というよりも、文語で書かれた文章に読み慣れておくことのほうが重要だと言えます。 共通テストレベルまでの古文・漢文の知識と演習を重ねたあとで、専用の問題集や過去問を活用しましょう。

数問の漢字書き取り問題を除いた全ての問題が記述式なので、点数を安定させるのが難しいです。さらに最終問題で文章の要約を求められるので、慣れていないと時間を取られてしまうでしょう。高得点を狙いに行くというより、最低限の点数を下回らないようにするという戦略で臨みましょう。

社会

社会は世界史・日本史・地理からの選択です。地理は選択する人が少ないため、あまり2次試験で使うのはおすすめしません。 どの教科もほとんど全て論述問題で、単語を穴埋めする問題は数問にとどまっています。そのため、重点を置くのは論述対策ということになります。

論述問題では、ある事象の説明や理由の考察・論述などが求められます。世界史・日本史は大問3問で構成され、合計400×3文字になるように出題されています。地理は大問3問で構成され、それぞれに100字~200字記述の小問が3~4問あります。

歴史では稀に癖の強い地域史などが出題されるため、確実に取れるところを取ることが最重要になります。高3の夏前には全範囲の履修と単語の把握まで進め、早めに過去問に取り掛かって様々なテーマを固めましょう。

地理を選ぶ場合には、夏休みにはセンター試験の過去問で8割以上安定して取れる状態にし、秋以降に論述問題を対策することになります。個別試験や過去問も早くから活用することで対応しましょう。

数学

記述問題5問で構成されています。試験時間が120分なので1問あたり24分で解かなければなりません。一見解きづらい難問も含まれているため、最初に全体を俯瞰し、完全回答すべき問題・部分点を狙う問題・捨てる問題の優先順位を決めるのが得策でしょう。

2問完答・2問部分点で合格最低ラインは突破できるので、1問くらい全く手がついていない問題があっても大丈夫です。 共通テストでは満点近くを取れるようになることが必要なので、高2までに1A2Bの全範囲の共通テストレベルを完璧にし、高3で高難易度の問題に取り組みましょう。