早稲田大学社会科学部傾向と対策

日本の最難関私立大学の一つ、早稲田大学。その中でも人気の社会科学部についての入試概要を紹介していきます。

2025年度入学入試から、学習指導要領の変更により、一部大学で配点・科目の変更などが予定されています。順次記事を更新しておりますが、この記事は変更前のものとなりますので、配点等は必ず大学公式HPを参照してください。

Part.1 早稲田大学社会科学部の試験・出願情報

早稲田大学の試験は言わずとしれた難問揃い。今回は社会科学部の「一般選抜」について解説していきます。

社会科学部の試験日・入試形態・出願について

一般入試
期日 2月22日
共通テスト 不要
科目 独自試験:
英語・国語・選択科目(世界史B・日本史B・数学1A2B)

2020年度までは選択科目で「政治・経済」も選択可能でしたが、 2021年度入試から廃止されているため注意しましょう。定員などは大きく変更されていないため、科目が減ったこと以外は例年と変わらず受験可能です。

それ以外の変更点では、Web出願時に「主体性」「多様性」「協働性」に関する経験を記入することになっていますが、これは合否に大きくかかわるものではないのであまり気にせずとも良いでしょう。

Part.2 社会科学部の配点と目標点

早稲田大学社会科学部の配点と目標点についてですが、他学部同様に基本的には得点調整が実施されるため、それを踏まえて計算していくことになります。学部によっては「全科目の得点調整」もしくは「選択科目間での得点調整」ですが社会科学部では後者の 「選択科目間での得点調整」が実施されます。ですが、従来と配点は変わっていません。

配点・科目

配点・科目
外国語 50点
国語 40点
選択科目 40点

*選択科目は「世界史B」「日本史B」「数学1A2B」のいずれか

「地歴・公民型」「数学型」で分かれている商学部などとは異なるため、選択科目において得点調整がなされることになります。また、国語や選択科目に比べて 英語の配点が少し高いので注意が必要です。

目標点数

従来の合格最低点がそのまま適用されるわけではありませんが、受験者層が大きく変わらないことを考えると、ある程度参考にはできるでしょう。ということで、例年の合格最低点や合格者平均点をもとに考えていくことにします。

例年の合格最低点
2020年度:91.36/130点(70.3%)
2019年度:85.50/130点(65.8%)
*選択科目間の得点調整あり
各科目の受験者平均点
英語
2020年度:22.191/50点
2019年度:20.853/50点
国語
2020年度:30.603/40点
2019年度:25.824/40点
日本史
2020年度:21.034/40点
2019年度:22.865/40点
世界史
2020年度:21.812/40点
2019年度:26.164/40点
数学
2020年度:11.670/40点
2019年度:20.774/40点

>参考:近年の入学試験結果(waseda.jp)

過去2年の合格最低点は65%〜70%(選択科目の得点調整後)となっています。それ以前の年もおおむねこの振れ幅の中で推移しているため、得点調整のことも考えると全体で 73〜75%程度の得点率を意識しておくとよいでしょう。

科目毎の「受験者」平均点でいうと、英語が平均40%程度であるのに対し、国語は60〜75%、選択科目は社会で50〜60%・数学で25〜50%となっています。 英語の平均点に比べ国語・社会の平均点が高いため、英語で点を取れるかどうかが差に繋がり、合否に大きく関わってきます。

目標点の例
95/130点(73%)
英語:45/50点
国語:30/40点
社会:30/40点

社会(選択科目)に得点調整が働くため、基本的には調整されて素点よりも点が下がることになります。これを加味して考えても、基本的に合格最低点+5〜10点は狙っておくべきです。もう少し社会・国語が得意であればそこで多く得点をすべきですが、それよりも点数に余裕をもたせたければ 英語で8割を狙うほうが点数の安定にはつながります。

数学で受験する場合ですが、他の学部と異なり社会科学部の数学はそこまで難易度が高くない3問で構成されているため、「1問完答・2問部分回答」で40点中25〜28点程度は狙いたいところです。

併願校・志望変更

早稲田大学社会科学部はオーソドックスな入試形式で英作文もないため、併願しやすい入試スタイルになっています。

おすすめの併願先
早稲田大学商学部・教育学部・人間科学部、明治大学など

基本的には英語入試が「文法問題+長文問題」のシンプルな組み合わせで例年出題されている大学・学部を狙うべきです。ですので早稲田大学内であれば人間科学部、教育学部あたりがおすすめです。商学部も長文のみなので、多少レベルは上がりますが併願先としてはよいでしょう。レベルを下げた併願校としてもマーチレベルの大学であれば比較的どこでも受験しやすいです。

同系統の学部は比較的人気が高い傾向にあるので、ある程度下のレベルまで見据えておきたいところです。明治大学だと情報コミュニケーション学部や国際日本学部、法政大学人間環境学部、社会学部などがあげられます。日大や駒大、それより難易度の上がる成蹊大学などまで視野に入れておけると安心です。いずれの大学も最近は社会学系の学部を充実させていますから、自分の行きたい学部をきちんと選ぶようにしましょう。

共通テスト利用入試を受験する場合
東大など国立大学

早稲田大学の入試では、共通テスト利用入試も受験可能です。ただし 早稲田大学の共通テスト入試は5教科7科目の受験が想定されているため、基本的には国立志望の人が狙うことになります。枠が少なく数学1Aや理科基礎も必須科目となるため、私大専願の人が共通テスト入試を利用するのは得策ではありません。

早稲田大学の受験相談事例集

STRUX受験相談

ストマガ監修者の塾長に相談に来た受験生の「志望校までの年間計画」や「参考書リスト」の超具体的な事例を公開しています。

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Part.3 科目別の勉強法と攻略法

さて、ここからは具体的な攻略法をみていきます。各科目の簡単なポイントを紹介しているほか、基礎レベルからどの参考書をやればよいのか?過去問の傾向は?などの詳しい内容はリンク先にもあるので、必要な科目に絞りながら活用していってください。

やるべき科目と対策

早稲田大学の入試では、 「数学を使うか・使わないか」によって全体の方針は大きく変わってきます。数学を利用しない場合は、はじめから「英語」「国語」を最優先に仕上げるように高2など早い時期から勉強を始めておきます。

数学を使う場合、使う可能性がある場合は、まずは高1・高2から学校の授業に合わせてきちんと数学の演習を行い、高2のうちには基本的な問題は完璧にすべきです。

英語

早稲田大学社会科学部の英語は例年通りであれば大問5つ構成で、第1問が文法(正誤問題)、第2問が長文(空所補充)、第3問が長文(読解)、第4問が長文(読解)、第5問が長文(読解)となっています。

制限時間は非常に限られているため、それぞれの長文にかけられる時間は18分〜20分と短いです。さらに文法問題を10分程度で解くことになりますが、英語の正誤問題(誤った英語表現を含んだ部分を選ぶ問題)なので、消去法が使えないぶん 正確な英語の文法・構文の理解が求められます。

先述の通り英語の点数が合否を大きく左右しますから、なるべく早く単語・文法を固めるのはもちろん、「英文解釈」の勉強も欠かさずやるようにすべきです。高校2年生までに基本的事項をおさえ、高3からは 長文や複雑な英文を速く正確に読む練習を積み重ねていきましょう。

国語

社会科学部に特徴的なのが国語の出題形式です。ここ数年は大問2つの構成で、「現代文」と「現代文・古文・漢文の融合文」が出されています。

「現代文・古文・漢文の融合文」というのは、文字通り3つのジャンルをすべてまとめて出題するもので、「古文・漢文を例示しながらその評論をすすめる」という形式のものが多くなっています。設問内容も傍線部の指示内容・読解の問題から漢文の訓読、古文の解釈、助動詞の問題、そして古文の文学史と様々出されるため、古文・漢文の単語・文法やその周辺の文学史まできちんと対策していきましょう。

数学

早稲田大学社会科学部の数学は、基本的な設問が3つ。レベルとしては「青チャート」のコンパス4くらいです。しっかり演習を積み重ねてあれば少なくとも1つ〜2つは完答を狙える問題かつすべて記述問題ですから、 途中式まで必ず書いてなるべく点を稼げるとよいです。そのために高2までには1A/2Bの全範囲基本的な問題は完璧にしておき、高3夏から演習できるようにしましょう。

私大の数学特有ですが本番は時間が足りないため、確実に解ける問題を見極めて解き始めることがポイントになります。最低1完答・2問途中式まで、もしくは2完答を達成したいところです。

社会

社会科学部入試は歴史(日本史・世界史)のみで、いずれも史料問題等も含めて4つの大問が出題されます。細かい知識も問われるため、これらを押さえるには「一問一答」と呼ばれる問題集で細かい単語を覚えていくことが重要です。

ただ、基本的に勉強するうえで重要なのはあくまでも教科書に書かれている歴史の流れをいかに正確に理解しているかです。こうした流れをおさえながらその中で細かい事項について覚えていくと、しっかりと理解しながら進められるため効率が良いでしょう。早稲田大学の入試では正誤問題など、 正確な知識が問われるため、早い段階で基本事項をおさえ、抜け漏れのないよう本番まで詰めていくことが大切です。