横浜国立大学傾向と対策

今回は教育・経済・工学の学校を母体に始まり、現在もさまざまな学部を備えている国立大学「横浜国立大学」について見ていきましょう。関東圏で国立大学を志望する人の中でも比較的人気の大学で、2021年度入学の入試がコロナ関連で「共通テストのみで判断」となったことでも話題になりましたね。2022年度以降の入試がどうなるかは不透明ですが、ここでは従来の入試形式について見ていきます。

2025年度入学入試から、学習指導要領の変更により、一部大学で配点・科目の変更などが予定されています。順次記事を更新しておりますが、この記事は変更前のものとなりますので、配点等は必ず大学公式HPを参照してください。

Part.1 横浜国立大学の試験・出願情報

特例で2021年度入試は共通テストのみでしたが、基本的には「共通テストの点数+個別試験の点数」で合否が判定されます。学部によって大きく入試科目や配点が変わるため、詳しくは大学HPで最新の物を確認するようにしましょう。

試験日・入試形態・出願について

一般入試
期日 2月25日
共通テスト 必要
得点比率 共通:二次=教育 900:400
経済・理工 900:1200
出願時期 1月(共通テスト後)
2段階選抜 不明(今後の実施は随時判断)
科目 教育:小論文・面接
経済:数学・英語
理工:理科・数学・英語

今回は理系学部(理工)、文系学部(経済)のそれぞれについて見ていくことにします。2021年度入試からの変更点は大きく有りませんが、調査書も項目として「一応」入ることになっています。ただ、先述の通り2021年度入試は個別試験を実施せず「共通テストの点数で代替」となっていたため、参考になるのは2020年度以前の入試となります。

経済学部であれば数学・英語が400点ずつ、共通テストは900点のまま。(ただし、調整が行われて共通テスト:個別を1:1で換算して計算します。)理工学部は英語300・数学450・理科450となり、共通テストは同じく900点です。一般的な入試スタイルではありますが、その他の「教育」「都市科学」などはまた異なるため、自分の目指す学部の情報は必ず大学の公式ホームページで確認しましょう。

Part.2 横浜国立大学の配点と目標点数【文系】

つづいて、横浜国立大学の配点と目標点数について確認していきましょう。学部によって大きく目標点・配点ともに異なるため、今回は「経済学部」「理工学部」を例にとって見てみます。例によって、通常通り行われた2020年度入試を参考にしています。

配点・科目

        

経済系の学部というだけあり、数学の配点が大きいのが特徴です。「数学が苦手」という状態ではほぼ合格できないと考えて良いので、しっかり苦手を克服する必要があります。

共通テストは通常通りの配点(社会2・理科基礎2or発展1)ですが、英語についてはリーディング:リスニングが160:40に変更となっているため、リスニングをそこまで重視する必要はありません。個別試験の配点のほうが圧倒的に高いため、目標点数はきちんと戦略を練っておく必要があります。

目標点数

合格最低ライン目安
1,135/1,700点(学部により異なる)
パターン1:標準
合格最低ライン目安 
580点(科類により異なる)
共通テスト 750/900点
英語 300/400点
数学 250/400点
合計 1300/1700点
パターン2:数学が得意
合格最低ライン目安 
580点(科類により異なる)
共通テスト 800/900点
英語 250/400点
数学 300/400点
合計 1350/1700点

だいたい65〜70%がボーダーで、高い水準です。目標点としては7割超えは必須、できれば75%程度を目標としておくのがよいでしょう。

数学の得意・不得意によって目標点数のバランスは決定すべきですが、配点が大きいことからも半分は確実にとっておかないと大変です。共通テストで9割か、あるいは個別試験の英語で満点近く取れない限りは、数学は最低でも半分、できれば6割〜7割は安定して取れるようにしたいところです。その分英語の目標が高めになっていますが、こちらは英作文や長文など対策しやすい問題も多いため、確実に高得点を狙いたいところです。共通テストは85%を一つの目安にしています。数学が得意であれば共通テストも9割近く狙うことも可能ですし、個別試験では英語で多少ミスしても数学で300点以上を狙えるとより自信をもって試験に臨めるでしょう。

模試一覧
5月 河合全統マーク模試
河合全統記述模試
8月 河合全統マーク模試
河合全統記述模試
10月 河合全統マーク模試
河合全統記述模試

マストで「マーク模試」を受けていきましょう。これに加え、入試1年前の「共通テスト同日試験」などを受験できるとよりよいです。A判定を狙うのは大変ですので、10月の河合全統記述模試でAがでたらラッキー、位のつもりで、狙う判定としてはBあたりを目指し徐々にあげていければOKです。夏の模試ではD判定〜E判定で十分ですが、マーク模試は夏あたりでは6〜7割すでに取れている状態にはしておきたいところです。

併願校・志望変更

共通テスト利用
MARCH・日東駒専
後期試験
埼玉大
志望校変更
東京都立大、横浜市立大など

国公立受験でまず考えなくていはいけないのが、私大の併願。横浜国立大学合格レベルから考えると、まずMARCHレベルを最上位に考えた上で、そこから下げていくことが多いです。文系なら明治・立教などと法政、というふうに、MARCH内でも幅をつけて受験しつつ、それより下に確実に合格できる大学を広げていくことになります。

日東駒専レベルなら確実に取れるという人が多いので、原則としては合格圏にマーチを据えた状態で、日大や駒沢などを安全圏に置けるようにしたいところです。

横浜国立大学には後期試験もあるため、「どうしても横国に!」という場合は後期も横国という選択肢もあります。ただ後期入試は前期よりも難しいため、国公立への合格を重要視するなら埼玉大など下のレベルを視野に入れておく必要があります。なお同じ横浜にある横浜市立大学など、後期試験を実施していない大学もあるため前もってきちんと調べておきましょう。

横浜国立大学から志望校を下げる選択は、共通テストの自己採点後でOKです。またその際は、東京都立大学や横浜市立大学などが選択肢に入ってきます。

Part.3 横浜国立大学の配点と目標点数【理系】

理系に関してもやるべきことは明確です。数学の配点が高い分、文系よりなおいっそう、得意科目・苦手科目によって「どの科目で点をとって合格するか」の戦略が立てやすく、合格率を高めることができるので、様々なパターンを基に参考にしてみてください。

配点・科目

        

経済学部は二次試験が英語と数学でしたが、理工学部はさらに理科を受験する必要があります。そのため、必然的に1科目あたりの配点は低くなります。理科は2科目(ほとんどの場合物理または化学)で、目標点は共通テストでどれだけ得点できるかに応じて柔軟に設定しましょう。

目標点数

合格最低ライン目安
1,497/2,100点(学部により異なる)

他の学部についても大きくは変わりませんが、必ず大学公式の点数をチェックしておくようにしましょう。
学部によって多少配点が異なりますが、総得点でみると合格最低点はそこまで大きく変化しないと予想されます。ただ、仮に2021年度入試のように共通テストのみの形式になった場合、上位校狙いの受験者が流れ込みボーダーが大幅に上がる可能性はあるため、もし共通テストのみになる場合は2021年度の傾向も併せて確認しておきましょう。

パターン1:標準
共通テスト 750/900点
英語 250/300点
数学 300/450点
理科 250/450点
合計 1,550/2,100点
パターン2:数学が得意
共通テスト 800/900点
英語 200/300点
数学 350/450点
理科 250/450点
合計 1,600/2,100点

横浜国立大学は理工学部でも最低点がそこまで下がらないため、75%〜80%を目標に据えておく必要があります。共通テスト85%、個別試験70%が一つの目安です。できれば個別試験の得意科目でもう少し点を取り安定させたいところですが、最低限7割を切らなければ及第点です。理系の場合はひとつ「大得意」な科目があると有利になりますが、そのように自信を持てる科目がない場合は英語も含めてバランスよく勉強を進めましょう。

横浜国立大学の二次試験は数学や理科の配点が英語に比べて高いため、理数系科目が強いなら少しぐらい英語が苦手でも合格は十分可能です。自分の得意な科目で勝負するつもりで学習を進めましょう。

模試一覧
5月 河合全統マーク模試
河合全統記述模試
8月 河合全統マーク模試
河合全統記述模試
10月 河合全統マーク模試
河合全統記述模試

「マーク模試」を受けていきましょう。これに加え、入試1年前の「共通テスト同日試験」などを受験できるとよりよいです。A判定を狙うのは大変ですので、11月の記述模試でAがでたらラッキーくらいのつもりで、狙う判定としてはBあたりを目指し徐々に上げていければOKです。夏の記述模試ではD判定〜E判定でも全く問題ありませんが、マーク模試に関しては夏あたりで6〜7割取りたいところです。

併願校・志望変更

共通テスト利用
MARCH・日東駒専
後期試験
埼玉大
志望校変更
東京都立大、横浜市立大など

国公立受験でまず考えなくていはいけないのが、私大の併願。横浜国立大学合格レベルから考えると、まずマーチレベルを最上位に考えた上で、そこから下げていくことが多いです。理系なら明治理工・中央理工など、マーチ内でも幅をもたせて受験しつつ、それより下へ確実に合格できる大学を広げていくことになります。

例年だと、横浜国立大学で勝負できるレベルの人は日東駒専レベルなら確実に取れるという人が多いので、原則としては合格圏にマーチを据えた状態で、日大や駒沢などを安全圏に置けるようにしたいところです。

横国には後期試験もあるため、「どうしても横国に!」という場合は後期も横国、という選択肢もアリです。ただ後期のほうが入試の難易度としては高いため、「国公立にはきちんと通りたい」という場合は、それよりしたのレベル、埼玉大などを視野に入れておく必要があります。横浜市立などは後期試験を実施していないため、きちんと調べて選択肢をいくつか持っておきましょう。

「横国から志望校を下げる」という選択をするのは基本的に共通テストの自己採点を踏まえてでOKです。東京都立大や横浜市立大などは選択肢に入ってくるでしょうか。

横浜国立大学の受験相談事例集

STRUX受験相談

ストマガ監修者の塾長に相談に来た受験生の「志望校までの年間計画」や「参考書リスト」の超具体的な事例を公開しています。

 横浜国立大学の受験相談事例集

Part.4 科目別の勉強法と攻略法

さて、ここからは具体的な攻略法をみていきます。各科目の簡単なポイントを紹介しているほか、基礎レベルからどの参考書をやればよいのか?過去問の傾向は?などの詳しい内容はリンク先にもあるので、必要な科目に絞りながら活用していってください。

英語

横浜国立大学の英語は長文2題、会話文1つ、英作文1つとなります。時間の厳しさもそうですが、設問がほとんど記述式である部分が難易度が上がっている要因です。会話文・英作文で確実に点をとった上で、長文にしっかり時間を取れるようにしていくべきでしょう。そのためにも早い段階で文法・単語を固めた上で、早めに英作文の練習をしておきたいところです。

文系数学

横浜国立大学の数学は記述問題3問(文系)です。2完または1完と2半(部分点)以上を目標に勉強を進めたいところです。数学の配点が非常に高いため、こちらも高1・高2できちんと1A2Bを完璧にした上で、高3では入試演習を中心に取り組めるようにしたいところです

理系数学

横浜国立大学の数学は記述問題5問(理系)です。3完+部分点を目標に勉強を進めたいところです。理系の場合は高2の10月〜11月頃には少しずつ数3を予習できるようにしたいですね。

物理

理科は一部学部を除いては物理・化学の2つが必須となります。こちらも配点は高いですが、数学と比べると優先度は下がってきます。ただし、理科の場合は学校の授業がギリギリまで終わらないということもあるため、高3の夏前くらいまでにはきちんと全範囲を履修したいところです。