数学の記述問題では、「解けた」問題の減点をされないように練習することが最重要。より発展的には「解けなかった」問題でも部分点をもらえるようになればベストです!
東大や京大のように全問記述形式で出題される大学を受験するのであればなおさら、記述対策を行い、部分点を取れるようにしておきたいですね。部分点を獲得できれば、仮に1問も最後までたどり着かなくても、部分点だけで半分以上得点できる可能性が十分あります。
今回の記事では、数学の記述問題で確実に得点できるように
- 減点を抑えるポイント
- 部分点を狙うポイント
をメインに解説します!
数学の記述で減点を抑えるためには?
数学の記述問題では、まず「減点を抑えること」が重要です。せっかく答えまでたどり着いていても、途中の記述で減点されてしまうと、受かる大学も受からなくなります。
減点を抑えるポイントは以下の4つです。
- 採点者に読んでもらうことを意識する
- キレイに書く(描く)
- 日本語の説明を書く
- (発展的な内容ですが)必要十分条件に注意する
採点者に読んでもらうことを意識する
記述対策で最も重要なのは、「生身の人間が採点している」という事実を意識することです。当たり前といえば当たり前ですが、入試になるとついこの意識が抜けてしまう人もいます。
もしあなたが誰かに手紙を書くとして、「自分の言いたいことだけ」をバーっと「雑に」書きますか?相手のことを考えて「どう書いたら読みやすいかな?」「ちゃんと読める文字で丁寧に書いたほうが良いよな!」などと考えるはずです。
数学の記述も、読み手である採点者を意識して記述できないうちは、必要な要素をしっかりと伝えきれません。
採点をする大学教授が、「自分のやりたい研究の手を止めて何百人分もの答案を採点している」という様子を想像してください。「何を書いているかわからない」「文字が汚い」という答案をじっくり読み込もうとは思わないですよね。
記述の際は「私の考えたことを読み取ってほしい!」という自分本位な意識は捨てましょう。「採点者は自分の意図をすべて読み取ってくれる」と期待してはいけません。自分の考えを正しく伝えられる答案を作ることは、受験生の義務です。答案とはいわば「一方通行の手紙」なので、相手に少しでも疑問を抱かせてはいけません。
「もし自分が採点する側だったらどんな解答用紙を読みたいか?」という点をイメージすることが重要です!
キレイに書く(描く)
キレイに書けていない(描けていない)答案は、それだけで採点者の読む気が失せます。
キレイに書けていない答案の例としては、
- 0なのか6なのか分からない
- qなのか9なのか分からない
- グラフの軸がグネグネだったり直交していなかったりする
- 消し跡が残っていたり、消しすぎたりしている
- 文字が潰れて読めない(図内やグラフ内の文字は特に注意)
- 文頭が揃っていない(字下げに統一感がない)
などが挙げられます。1つでも引っかかる部分があれば、記述の仕方が悪いだけでなく、「見直しの際に数字を読み間違える」という計算ミスをする可能性もあるため要注意です。
計算ミスへの対処法などについては、以下の記事を参考にしてみてください!
日本語の説明を書く
記述の中には、日本語の説明がなく「式が羅列されているだけ」というパターンもあります。
いいえ、そんなことはありません!
式だけしかないと、「どんな流れでこの式を使ったのか?」ということがわからず、採点者を迷わせる原因となります。採点者に一瞬たりとも「何を使ったの?」と疑問を持たせないことを目標にしましょう。
具体的には以下のような日本語を書くことが大切です。
- 問題文に与えられた式より、
- 式①と式②の差をとって、
- ~の余事象から、
- 三角形~に関する加法定理より、
- 図Aより、
こうした細かい説明があるかどうかで、途中経過の読みやすさはかなり変わります。
単純な式変形であれば、そのまま式だけを書いても問題ありません。しかし、式変形の途中で「別の式を使う」のであれば、絶対に日本語の説明が必要です。また、新しく式を立てるときは、「何の公式を使ったのか?」「何に着目したのか?」という点も必ず記述します。
記述の答案をわかりやすくするために、基本的に図や式に必ず番号や名前を振っておきましょう。番号や名前を振っておくことで、採点者も「どの図や式に着目すればいいのか?」という点をすぐに把握できます。
ここまでの内容をまとめて確認しておきましょう!
- 式変形の途中で新しい式を使う場合は必ず説明する
- 新しく式を立てるときは何に着目したか必ず説明する
- 図や式に番号や名前を振って採点者が把握できるようにする
(発展的な内容ですが)必要十分条件に注意する
やや発展的な内容になりますが、証明問題についての注意点も1つ補足しておきます。
証明問題は「必要条件・十分条件」に注意して説明しましょう。証明問題において、命題Pと命題Qが同値(必要十分)であることを示すためには、P→Qが証明できて、さらにQ→Pも証明できる必要があります。
それにもかかわらず、片方しか証明できておらず減点されることが非常に多いので要注意です。
数学の記述で部分点を少しでも多く取るためには?
ここまでは記述の減点を抑えるコツを解説しました。ここからは「部分点による加点を狙うための記述対策」を解説します!
数学の記述で部分点を少しでも多く取るためのポイントは、以下の4つです。
- 実験した結果を書く
- グラフや図だけでも描く
- 推測したことを書く
- 半分だけでも証明できていることを書く
実験した結果を書く
実験結果を書くことで部分点を稼げるケースは多いです。例えば「漸化式の計算問題」もしくは「漸化式の証明問題」であれば、n=1, 2, 3を具体的に入れて実験した結果を書くだけでも、1~2点くらい加点してくれることがあります。
解き方が分からなくても、とりあえず具体的な数字を代入してみて、その結果を記録すると良いでしょう。
解答用紙には、
- 「解き方を検討するために、問題文で与えられた式にn=1, 2, 3を代入した結果を示すと、~」
というように書けばOKです!また、こうした代入による実験をしているうちに解法を思いつくことがあるので、その意味でも実験結果を書くことは重要ですね。
グラフや図だけでも描く
グラフや図を丁寧に描くだけでも、1~2点くらいの部分点をもらえることがあります。
具体的には、
- y = (被積分関数)のグラフを描く
- 不等式の両辺のグラフを描く
- 問題文で与えられた図形を描く
などです。
また、数3でよく出題される体積の積分問題であれば、
- z=tで切った平面の図を描く
なども重要です。
意外とこういった簡単な図やグラフを描くだけでも、部分点につながることがあります。そのため、計算用紙に図やグラフを下書きするだけでなく、解答用紙にもキレイに描いて残しましょう。
あとで情報を書き足していくことも多いので、図やグラフは大きめに描いておくのがコツです!
推測したことを書く
部分点を獲得するためには「推測したことを書く」ということも大切です。
記述問題を解く中で、具体的な数字を入れて実験したりグラフや図を描いたりすると、最後まで解けなくても
と思いつくことがあります。
もしも答えが見えかけた場合は、その時点で書くのをやめるのではなく、
- この後、~~をすることで証明ができる
- この後、~~を計算することで体積を求められる
など、推測したことも書いておきましょう。
もともと答えがわかっていない問題なので、何もしなければ0点は確定です。それを考えると、推測した内容を書いて1点でも稼げればラッキーですよね。
解き方を間違えているかもしれませんが、そもそも答えがわからないのであれば、書いて損することはありません。
半分だけでも証明できていることを書く
先ほど、発展的な内容として説明した「証明問題の必要十分条件」に関しても部分点を狙えます。
両方を証明できていなくても「必要性か・十分性か」という片方だけでも証明できれば、10点満点のうち5点くらいは部分点をもらえる可能性があります。必要性・十分性のうち、簡単なほうを証明するだけでも半分もらえることがあるので、ぜひ取り組みましょう。
記述を解けるようになるには添削してもらうことが重要!
記述問題を解くうえでは、上記で解説したコツを意識して「減点を抑える」「部分点を稼ぐ」ということが大切です。
こうした答案を作成するには、実際に記述問題を解いて採点することが一番です!とはいえ、受験生が完璧な答案を作るのはかなり難しいでしょう。
だからといって諦めてはいけません!添削をしてもらえれば、完璧とまではいかなくても、答案を改善して極限まで得点力を高めることは可能です。
添削については、学校や塾の先生に頼んで行ってもらいましょう。添削してもらう際は、「細かいところに少しうるさい」くらいの先生に3~5回程度、依頼するのがベストです。
受験生が「細かいなあ」と思う箇所は、プロから見ると初歩的な内容であることが多いので、指摘は素直に受け取りたいですね。
5回程度添削してもらえれば、答案の悪い部分は大体把握できます。悪い部分を把握さえできれば、そこから先は自分で意識して見直しできるようになるでしょう。恥ずかしがらず、積極的に添削をお願いすることが大切です。
余裕があれば記述練習にオススメの参考書を読んでおこう!
数学の記述問題には、対策用の問題集があります。かなり良い問題集ばかりなのでチェックしておきましょう。
とはいえ実際のところ、他の科目の勉強もあるため「数学の記述」に特化した勉強時間をガッツリ確保するのは難しい人が多いはず。
そのため以下で紹介する問題集は、休憩時間にパラパラと気軽に読む程度でOKです。あるいは「数学の記述以外は完璧で他に勉強すべき内容がない」という人の場合は、ガッツリ取り組んでも良いでしょう。
1冊目は『総合的研究記述式答案の書き方』です。『総合的研究記述式答案の書き方』では、記述問題において思考や考え方などの事実を「どうすれば正しく伝えられるか?」という点にフォーカスして勉強できます。良い答案を書くための基本の心構えからはじまり、各分野における具体的な記述のコツについて言及しています。
2冊目は『東大数学で1点でも多く取る方法(文系編・理系編)』です。『東大数学で1点でも多く取る方法』では、東大の過去問を通じて「制限時間のプレッシャーの中で実行可能な解法」「部分点を稼ぐためのアプローチ方法」などを解説しています。地道に1点でも多くの点数を獲得するための方法を勉強できるでしょう。
まとめ
数学の記述問題では、採点者のことを意識して読み手が理解しやすい文章を書くことが重要です。読み手が理解しやすい文章を書ければ、1点でも多くの得点を稼げるようになるでしょう。
「答えがまったくわからないし空欄でいいや・・・」と諦めずに、今回紹介した記述で得点するコツを参考にして、少しでも合格可能性をあげることが大切です!
もっと具体的に「このとおりに勉強すれば数学の勉強は完璧、という参考書の流れが知りたい!」という方は、ぜひSTRUXの参考書マップを活用してください!
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