こんばんは!STRUX塾長の橋本です!
今週も「大学入試の志望校別対策シリーズ」、今回は、「早稲田大学文学部」「早稲田大学文化構想学部」の2つについて見ていきましょう。この2つの学部はもともと「第一文学部」「第二文学部」とあったものを再編して成り立っているため、入試傾向も非常に似通っています。併願することも多いこの2つの学部の違いと対策のポイントに触れていきましょう。
早稲田大学文学部・文化構想学部の試験情報
早稲田大学文学部・文化構想学部の「一般選抜」に絞って解説をしていきます。
期日 | 2月12日(文構)17日(文) |
共通テスト | 不要(併用方式あり) |
科目 | 独自試験: ・英語 ・国語 ・選択科目 (世界史B/ 日本史B) |
定員等は大きく変わりませんが、2021年度以降はこれまで実施されていた「センター試験利用入試」の「センター試験のみ利用」形式が廃止になっています。共通テストを利用した入試でも必ず学部の試験を受ける必要があるため注意が必要です。
一般選抜は通常の学部試験のみの形式に加え「英語4技能テスト利用方式」と先述の「共通テスト利用方式」が実施されます。ここではこれらを除いた、個別試験のみを受験する「一般選抜」について触れていくことにしましょう。
併願のパターン
早稲田大学内であれば文学部と文化構想学部はほぼ入試傾向が変わらないため、この2つは併願する人がほとんどです。それ以外でも早稲田内で併願はしやすく、それ以外でもいくつか受けやすい大学があります。
おすすめの併願先:早稲田大学文・文化構想・教育、明治大学など
早稲田大学の文学部と文化構想学部では、もちろん目標点等も多少変わってきますが、ほかの違いは国語の出題形式(文化構想学部は「現代文・古文・漢文をそれぞれ読んで答える」形式の融合文を出題)くらいですから、この2つを併願する人は非常に多いです。学ぶ内容も近いですから、学部にこだわりたいという人も基本的にはどちらも受けるべきでしょう。
他の学部でいうと、なるべく英作文が軽い、もしくは出題されない学部がおすすめです。文学部・文化構想学部の英作文は「長文を読み英語1文で要約する」というもので、英作文の基本的なスキルは求められるものの、それよりも「要約能力」のほうが重視されます。数十語の自由英作文がでる学部は避け、文法問題や長文問題がメインになる商学部・教育学部・社会科学部あたりを併願するのがおすすめです。
マーチレベルの文学部になると基本的に漢文が必要ですが、これは早稲田大学でも必要なため問題はないでしょう。ただ、独特な文学史の問題の対策が必要になることはありますので、併願時は注意すべきです。やはり共通テストを利用する必要がない明治大学(文学部など)、法政大学、成城大学、成蹊大学などがおすすめです。
4技能テストで高スコアを取っていれば選択肢は広がる
4技能テストを利用した形式では英語の試験を置き換えることが可能なので、これですでに高いスコアを取っている場合は4技能テスト利用形式を受験する選択肢もありです。ただ、定員が少ないためここは注意が必要です。
4技能テストを受験していれば、立教大学など「共通テストまたは4技能テスト」の点数が必要な大学も受験しやすくなります。
早稲田大学文学部・文化構想学部の配点と目標点数
早稲田大学文学部・文化構想学部の配点と目標点数についてですが、他学部同様基本的に得点調整が実施されるため、それを踏まえて考えていくことになります。学部によって「全科目の得点調整」もしくは「選択科目間での得点調整」ですが、文学部・文化構想学部では「全科目の得点調整」が実施されます。ここでは「一般選抜」の個別試験のみ受験する方式について見ていきましょう。
早稲田大学文学部・文化構想学部の科目・配点
外国語 | 75点 |
国語 | 75点 |
選択 | 50点 |
*選択科目は「世界史B」「日本史B」のいずれか
社会科目で選択が発生するため、これを含めた全科目について得点調整がなされます。そのため、英語なども実際の点数は素点から点が下がる可能性が十分にあります。他学部と異なり英語と国語の配点比率が同じなので注意が必要です。
目標点数(文化構想学部)
まずは文化構想学部の例年の最低点・受験者平均点から見ていき、目標点数までいきましょう。
例年の合格最低点(文化構想学部)
*選択科目間の得点調整:あり
- 2020年度:131.5/200点(65.8%)
- 2019年度:134.0/200点(67.0%)
各科目の受験者平均点
英語
- 2020年度:33.489/75点
- 2019年度:35.292/75点
国語
- 2020年度:42.154/75点
- 2019年度:43.417/75点
日本史
- 2020年度:28.710/50点
- 2019年度:36.352/50点
世界史
- 2020年度:27.092/50点
- 2019年度:33.613/50点
参考:近年の入学試験結果
過去2年の合格最低点は65%〜67%(全科目の得点調整後)で、例年このあたりで推移しているため参考にはしやすいでしょう。例年の「4技能テスト利用型」「センター+一般方式」についても最低点が毎回公開されていますから、確認しておくといいでしょう。
合否を分けるのは「国語・社会できちんと得点できるかどうか」ではないでしょうか。英語は意外とそこまで平均点が高くはなく、得点率も50%弱ですが、国語は60%近く、社会も年によって60%に達することがあります。「受験者の平均」でこのくらいですから、社会は8割以上狙うつもりで取り組んでおかないと差をつけられてしまいます。
目標点の例:合計145/200点(73%)
英語 | 50/75点 |
国語 | 55/75点 |
社会 | 40/50点 |
得点調整により英語や国語は素点から下がる可能性もあります。そのため、基本的には合格最低点+5〜10%を目標にしておくべきです。そうなると、国語・社会は8割近く、英語も7割は確保しておきたいです。
英語が苦手な場合は記号問題メインの国語で巻き返すこともできますが、国語は概して不安定な科目なので、社会も満点近くを狙うつもりで取り組むべきです。逆に言えば、英語が得意でそこをアドバンテージにできると受験生の中でも抜きん出ることができます。
目標点数(文学部)
文学部も基本的には同じような得点状況・目標点数となります。
例年の合格最低点(文学部)
*選択科目間の得点調整:あり
- 2020年度:132.2/200点(66.1%)
- 2019年度:134.0/200点(67.0%)
各科目の受験者平均点
英語
- 2020年度:43.440/75点
- 2019年度:45.840/75点
国語
- 2020年度:48.148/75点
- 2019年度:48.346/75点
日本史
- 2020年度:29.590/50点
- 2019年度:30.330/50点
世界史
- 2020年度:36.706/50点
- 2019年度:34.046/50点
参考:近年の入学試験結果
文学部も文化構想学部同様、最低点は65〜68%程度で推移していますが、受験者の平均点は全体的に文学部のほうが高い傾向にあります。特に英語は文学部のほうが高いため、英語が苦手な人は注意しておくべきでしょう。
目標点の例:合計145/200点(73%)
英語 | 50/75点 |
国語 | 55/75点 |
社会 | 40/50点 |
こちらも目標点数としては大きく変わりません。国語・社会できちんと8割近くを狙えるかどうかがポイントになりますが、文学部の場合は国語より英語に比重をおいてそちらで8割以上を目指すこともできます。
早稲田大学文学部・文化構想学部 科目別の勉強法と問題攻略
先述の通り文学部・文化構想学部ともに問題の傾向は大きく変わりません。いずれを目指すにしても必要な対策と、どちらかの学部でもとめられる対策について触れていくことにしましょう。
時系列・やるべき科目と対策
何より「英語が強ければ有利になる」ということと「直前の社会の追い込みが重要」ということを頭に入れておく必要があります。そのために、英語を最優先で取り組むのはもちろん、直前期に社会の学習時間に全体の半分以上を割くことができるように、国語についても高3の夏ごろには一通り完成している状態が望ましいです。ここでどれだけアドバンテージを作れているかで戦い方が大きく変わってきます。
英語
早稲田大学文学部・文化構想学部の英語は例年通りであれば大問5つ構成で、以下のような内容です。
- 第1問:長文(空所単語補充)
- 第2問:長文(読解)
- 第3問:長文(空所文補充)
- 第4問:会話文(空所補充)
- 第5問:長文(英語要約)
90分で解く必要があるため、ダミーの選択肢もあり難易度の高い第3問(空所の文補充)を最後に回しつつ、他の大問できちんと点数を稼いでいく戦略がよいでしょう。第5問の要約問題も文章自体の抽象度が高かったり逆に具体例しか書かれていなかったりと要約しづらい文章で、かつそれを「自分の言葉で英語で1文で」まとめる必要があるため難易度は高いです。過去問などで対策をしておくべきですが、時間をかけすぎるより長文で確実に点を取るべきでしょう。
時間は限られているため、やはり長文を早く正確に読むスキルが最重要になります。特に単語のレベルも高く難しい単語が多く出されること、かつ文章のテーマ自体も難しいもの(政治思想など)が出されるため、早くから単語・文法や速読力を鍛えて、高3になったタイミングではすでに「リンガメタリカ」などでテーマごとの難易度の高い単語やテーマの背景知識を押さえておけるようにしたいです。その他さまざまなジャンルの長文を読み慣れておくことももとめられるでしょう。
国語
文学部・文化構想学部で違いがでるのが国語です。文学部では「現代文」「現代文」「古文」「漢文」の4問構成ですが、文化構想学部は「現代文」「現代文」に加え「現代文・古文・漢文の融合文」の3問構成となっています。
文学部は漢文の問題数が少なく、かつ内容理解よりも文法事項や解釈が中心で問われるため、ココは満点を狙いたいところ。古文や現代文では文学史は出題されませんが、現代文は文章が非常に長いうえ図表なども出されるため、時間内にしっかり読み切るのには苦戦するかもしれません。長めの難易度の高い文章に慣れておくのはもちろん、「キーワード読解」などで単語についても確認しておきたいところです。また、文学部では現代文や古文で1問だけ記述問題が出されます。40〜50字程度で書かせるもので、少々難易度が高いため、記述のコツについては予め知っておくべきでしょう。
詳しくはこちらも参考にしてください。
文化構想学部の国語は3問構成で、先述の通り3問目が「現代文による評論」とそのなかで言及されている古文・漢文の原文という構成になっています。3種類の文章が出ているだけで十分問題自体が長いため読むだけで大変ですが、特段難しい対策が必要というわけではありません。融合していても「この問題は古文を読めば答えられる」「この問題は現代文」というふうにたいてい決まっているため、落ち着いて読めばさほど難易度は高くなっていません。問題も現代語訳や書き下し文、返り点を打たせる問題など幅広く出てきます。一部「古文の和歌に込められた思いを、現代文も参考に答える」というものがありますが、これも指示通りに読んでいけば問題ないでしょう。
もうひとつ、文化構想学部で特徴的なのが近代文語文が出題される点。近代文語文とは、「書ハ美術ナリト称スル人ノ説ニ曰ク、〜〜〜」といったふうに、古文と同じ文体かつカタカナで、現代文に近い評論がなされている文です。古文の文法知識があれば意味を取るのはそこまで難しくないのですが、読み慣れていないと時間がかかってしまう可能性があるため、「漢文の単語と漢字の読み」「古文の助動詞」を押さえておくだけでなく、この形式の文章に過去問や参考書で慣れておくべきでしょう。
社会
文学部・文化構想学部入試は歴史(日本史・世界史)のみ。もちろん細かい知識も出題されますが、一問一答や教科書などできちんと確認していれば取れるものがほとんどです。
記述問題はなく、空所補充などで単語を書かせる程度です。出題は文学部と文化構想学部で特徴があり、日本史においては文学部は比較的幅広く先史時代から江戸〜明治まで出題しているなか、文化構想学部では限られた大問数でよりテーマを絞って出題しています。世界史についてはそこまで大きな傾向の違いはありません。
特徴こそありますが、いずれの学部・科目でもそこまで難易度が高い問題では無いため、全範囲着実に単語を押さえておいて高得点を狙いましょう。
まとめ
今回は2021年度以降の「早稲田大学文学部・文化構想学部」の入試の傾向と対策についてお伝えしました。大きく傾向は変わらないと予想されますが、今年の入試で多少傾向を変えてくる部分もあるかもしれません。早くからの対策が効果的ですので、今から狙う高2生はぜひできる勉強から一つずつ始めて、直前期に社会を詰められるようにしたいところですね!
お知らせ!
学習塾STRUXはいつでもオンラインでの無料体験&授業を実施しています。10月以降は高校1・2年生を対象に実施しています!志望校に合わせた計画作成を行っているので、今後の勉強内容を固める上でお気軽にご相談ください!
それでは!
ライター:橋本拓磨
東京大学法学部卒。学習塾STRUX塾長・STRUX大学受験マガジン監修。日本全国の高校生に、場所によらず正しい勉強を広めて、行きたい大学に行き、将来の選択肢を広げてほしい!という思いからSTRUXマガジンを監修。
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