慶應義塾大学文学部傾向と対策

日本の私立大学で非常に難関とされる慶應義塾大学を取り上げます。今回の記事では特に「文学部」の入試対策についてピックアップします。慶應の入試の根幹とされる小論文の対策に関しても触れるので参考にしてください。

Part.1 慶應義塾大学文学部の試験・出願情報

慶應義塾大学文学部の入試を大きく特徴づけるものの一つは「小論文」でしょう。2021年度の入試から適用される変更点があるので最新の情報に注意が必要です。大学のホームページなどの情報確認を怠らないようにしましょう。

文学部の試験日・入試形態・出願について

一般入試
期日 2月15日
共通テスト 不要
科目 独自試験:
英語・小論文・選択科目(世界史B・日本史Bから選択)

慶應義塾大学文学部の一般選抜では共通テストの受験は不要で、英語と小論文、世界史Bまたは日本史Bの選択科目の独自試験を受験します。ですが、2021年度入試から一般選抜で主体性評価などの自己評価を出願時に提出することに注意です。

慶應大はほとんどの文系学部でこの3科目受験です。商学部・経済学部には数学を利用する方式もありますが、数学を利用した受験は国公立志望の人が併願として使うことも多く、レベルの高い受験になることに注意です。特徴的なのは小論文ですが、文学部の小論文は比較的オーソドックスな読解と意見の論述であるため対策がしやすいでしょう。

Part.2 文学部の配点と目標点

慶應義塾大学文学部の配点と目標点について確認していきましょう。

配点・科目

配点・科目
外国語 150点
小論文 100点
社会(日・世) 100点

小論文が特殊な形式ですが、英語の配点が最も大きくなっています。

目標点数

慶應義塾大学でも例年得点状況を発表しています。

例年の合格最低点
2020年度:250/350点(71.4%)
2019年度:233/350点(66.6%)

参考: 2020年度一般選抜得点状況パスナビ

過去2年の合格最低点はだいたい65%〜72%と、早稲田大学などと比べると比較的高くなっています。

目標点の例
260点
英語:125/150点
小論文:60/100点
社会:75/100点

小論文で高得点、かつ、安定した得点を取るのは難しいため、丁寧な対策をしながらも、小論文の成績で高得点を狙うより、英語や社会など他の科目で8割近く狙っておくほうが確実です。

英語は難易度は高いですが、問題数が少ない上、時間も多めのため、対策をしっかりしておけば高得点を取りやすいです。加えて、社会も正解するべき問題をしっかり正解できれば高得点が期待できます。これらの2科目で8割近く得点し、小論文には余裕をもたせる方針が基本です。

模試一覧
5月 河合全統マーク模試
9月 河合全統マーク模試
10月 河合センタープレ
駿台センタープレ
11月 河合早慶オープン

併願校・志望変更

小論文があるため併願に悩みますが、いくつかのパターンを紹介します。

慶應内の併願
法学部・経済学部

慶應の中でいくつかの学部を併願する場合、小論文の傾向が近いところを受験するのがおすすめで、内容を気にせず受験する場合「法学部」「経済学部(B方式)」が候補ですいずれも進学後の学習内容が大きく異なる上、法学部は倍率も難易度も高く、併願は入試形式・難易度ともに適切なレベルの経済学部のみ受験する場合もあります。

現役生で慶應にしか行くつもりがない場合、慶應の対策に特化することも可能です。古文や漢文に触れなくて良くなりますが、万が一浪人し手広く受験する場合、古文漢文を学び直す必要があります。

文学部系他大学の併願
明治大学・法政大学・成蹊大学・専修大学

明治や法政は共通テストが不要ですが、いずれの文学部も古文・漢文の勉強が必要になります。成蹊や専修は文学部でも漢文が不要で、入試科目を減らしたい上、学部にこだわりが強い場合おすすめです。とはいえ、これらの大学を受ける場合は古文・漢文の学習が必須です。早い段階に古文・漢文の基本を固め、MARCHレベルの古文・漢文の直前対策を軽くしたいところです。

早稲田との併願は?
おすすめしない

早稲田レベルの国語(現代文・古文・漢文)は対策に時間がかかる上、英語で求められる力も違うためおすすめはしません。早稲田の英語は量の多い長文を短時間で処理する処理力・速読力が必要な一方で、慶應、特に文学部の英語は長文1題に対し丁寧に解答する力が必要です。さらに、慶應文学部では日本語を英訳する英作文の一方、早稲田は原則自由英作文と、英作文においても傾向が異なります。難易度は近いですが異なる対策が必要で、時間に余裕がないとどちらも対策するのは難しいため注意が必要です。

Part.3 科目別の勉強法と攻略法

ここからは慶應文学部入試の具体的な攻略法をみていきます。各科目の簡単なポイントに加え、基礎レベルからおすすめの参考書や過去問の傾向などの詳しい内容はリンク先にもあるので、必要な科目に絞りながら活用してみてください。

やるべき科目と対策

悩ましいのは小論文に取り組む時期です。すぐに点数が上がりにくい一方、対策しないと悲惨な点数になる難しい科目ですが、対策すれば一定の点数が取れるので遅くとも高3の夏前、7月頃から練習しましょう。文章を書くのが苦手、構成を整理して書くのが苦手な人は5〜6月には勉強を始めましょう。そのため、英語・社会にはもう少し早くから取り組む必要があります。

併願校で古文・漢文を使う場合、夏以降も対策が必要な上、社会も直前期に叩き上げたいので、英語は高3の7月にはセンター試験・共通テストレベルを、時間を気にしなければ満点が取れるレベルにしなければいけません。高2のうちに基礎を完全に固め、高3の前半に読解を仕上げるつもりで取り組みましょう。

英語

慶應文学部の英語対策で厄介なのが英語の「記述式問題」です。「下線部が示す内容を30字以内の日本語で説明しなさい」というようなものに加え、毎年必ず「100字以上120字以内の日本語で説明しなさい」という問題が出題されるのが特徴です。和訳問題も出題されるため、「基礎英文解釈の技術100」や「ポラリス2」「ポラリス3」などでしっかり対策をしましょう。

一方、単語はそこまで難しくないため、「ターゲット1900」を完璧にしていればひとまず十分です。英単語・英文法を高2〜高3の5月頃までに固め終わり、高3の夏前には「基礎英文解釈の技術100」「ポラリス1」レベルまでできるようにしましょう。英作文は「和文英訳」が1つだけなので、長文が苦手な人は和文英訳で得点を取れると良いです。「ユメサク」「英作文のトレーニング必修編」などで書ける例文を増やし、過去問で演習しましょう。

小論文

設問は「300〜400字での要約」と「〇〇についてあなたの考えを述べなさい」という300〜400字での論述の2つです。そのため、自分の意見を整理して書く能力に加え、与えられた課題文を正確に理解し、要約する力も求められます。小論文の得点を安定させる上でのポイントは、「要約」の部分で確実に点を取れるかどうかです。

課題文をきちんと読み取るためには現代文のスキルが不可欠です。「システム現代文」シリーズで読み方をきちんと会得し、難易度の高い文章を「入試現代文のアクセス完成編」「ちくま評論選」などで読み、要約の練習をしましょう。もし余裕があれば、これまでに触れた現代文のうち社会学に近い領域の内容について専門用語を調べ、過去問で出た内容を背景として知ることができればなお良いです。過去問や要約は必ず添削してもらうようにしましょう。

社会

歴史科目(日本史・世界史)は、高2の冬〜高3の春ごろには学校のペースより少し早めに「スタディサプリ」などで通史の理解を進め、高3の夏前には一通り全範囲を終えたいです。慶應の歴史科目は難しい単語の出題のイメージがありますが、重要なのはあくまで「基本的な単語を、歴史の流れとセットで覚える」ことです。

早くから一問一答で難しい単語を覚えても、歴史の流れがわかっていないと問題を解けないので、高3の9月くらいまでは「詳説ノート」など穴埋め形式の問題集で流れとセットで基本単語を押さえましょう。基本単語が押さえられれば8割は取れる問題なので、そこで点を落とさないようにしましょう。