「地理の勉強に時間を割けていますか?」 あなたはこんな質問があったらどう答えますか? 「主要教科の勉強あって、全然できてないです…」 「もう地理はバリバリ勉強してます!」どちらも間違った勉強法です。では正しい勉強法は? それは「勉強はほぼしてないけど、地理は点数取れます」という勉強法。
今回はそんな「勉強時間はほとんどととらなくても、地理を得点源にする」勉強法を解説します。
戦略01 系統地理を制する者は受験地理を制す
1-1.受験地理は2つに大別される!
受験地理は大きく二つの分野に分かれています。
系統地理:テーマ別に学習していく地理のこと
地誌:地域別に学習していく地理のこと
系統地理は「気候」・「農業」・「人口」・「交通」などテーマ別に学習していく分野のことです。一方地域別に学習していく分野のことです。
1-2.なぜ系統地理が大切なのか?
系統地理をしっかり理解できた人にとっては、地誌を勉強する必要性はほとんどありません。なぜならば地誌は系統地理で習ったことを地域ごとに詳しく見ていく作業だから。
少しわかりにくいので、具体例を挙げましょう。
例えば地誌でこんなことを習ったとしましょう。
タロイモ・ヤムイモ・キャッサバの生産量は、ナイジェリアが世界1位。
系統地理をしっかり理解していない人が、これを覚えようとすると
といったように、単なる暗記を繰り返すことになります。こんな人にとっては暗記事項が多い地誌は地獄です。
ですが系統地理をしっかり理解した人にとっては、ナイジェリアが世界最大のタロイモ・ヤムイモ・キャッサバの生産国であることは、暗記するまでもなく理解ができるのです。
さらに「人口」の観点から見ればナイジェリアはアフリカで最大の人口だから食物の生産量が多いはずだから… 当然タロイモ・ヤムイモ・キャッサバの生産量は多いだろう。
このように系統地理を押さえておけば、地誌で暗記するべき事項のほとんどは理解ができるのです。
つまり系統地理をしっかり理解することが、地誌でつらい暗記をすることなく、楽して早く地理を得点源にするためのコツなのです!
戦略02 系統地理の具体的な勉強
受験地理を、楽をして短期間で得意教科にする力を持つ系統地理。そんな系統地理はどうやって勉強したらよいのでしょうか?
2-1.系統地理マスターのコツは「なぜ?」を繰り返すこと!
系統地理をマスターするうえで最も大切なことは、因果関係をしっかりとらえることです。もっと分かりやすい言葉でいえば、「なぜ?」と考えながら学習を進めていくことが大切です。
という疑問を持ち、それを解決していくことで単なる暗記ではなく理解をして学習を進めることができるのです。
丸暗記をするのではなく、理解しながら学習することは短い時間で楽をして暗記をすることにつながりますし、試験を解く際の思考力にもつながります。
「なぜ?」と考えることが、圧倒的に効率よく地理を勉強する秘訣なのです!
2-2.系統地理の学習ペース相談会
ここからは系統地理にどれだけ時間をかけて学習をすればいいのか、説明をしていきましょう。マルオが皆さんの疑問を代表して赤神先生に質問をぶつけます!
お悩み相談①どの時期に勉強するの?
系統地理を学習するベストな期間は高校2年生です。これは系統地理が暗記することが少なく、理解することがメインテーマなので、早い時期に学習しても忘れることがないからです。さらに高3でしっかり地誌の学習や過去問演習を行う時間も残っています。
ですが、高校3年からでも間に合わせることが可能です。ですが遅くとも高校3年の夏休みから系統地理には力を入れるようにしましょう。
お悩み相談②どれくらいの期間で勉強するの?
地理の学習を高校3年から始めた人にとっては、地理の学習にかけられる時間は多くありません。3か月を目標に学習を進めると良いでしょう。
お悩み相談③一回の勉強で何時間くらい勉強するの?
お悩み相談④週何回勉強すればいいの?
時期:遅くとも高3の夏休み~(高2がベスト)
期間:3ヶ月
一回の勉強時間:2時間
ペース:1週間に2回
2-3.おすすめ参考書
系統地理を学習する際のおすすめ参考書はこちらのページにまとめてありますので確認してください。
戦略03 受験地理、日本史世界史との違いはここだ!
ここまでで系統地理の主な学習法については、説明してきました。ここからは系統地理を学習するうえで気を付けたい3つのポイントを紹介します。
- 単語を一言一句覚える必要はない
- 統計データも全部覚える必要はない
- 教科書が全てではない&地図帳を活用しよう
①単語を一言一句覚える必要はない
系統地理はもちろん、地誌にも共通して言えるポイントは、単語を一言一句覚える必要はないということです。
例えば「EU」の正式名称を覚える必要もありませんし、一部の主要な国を除き、世界の国の首都がどこか言える必要はないのです。
地理は日本史や世界史と決定的に違うことがあります。それは単語を聞かれることはほぼない、ということです。単語を一言一句正確に言えることよりも、その単語に関係して覚えるべき事柄を覚えていくことが地理を得点源にする秘訣です。
たとえば、EUの正式名称は知らなくても、EUができるまでの変遷(ECなど)や、そもそもなぜEUのような組織を欧州が作ろうとしたのか、など関連事項は抑える必要があります。
②統計データも全部覚える必要はない
また単語同様に統計資料のデータも必要最低限を覚えておけば、すべてを覚えることは必要ありません。
具体的には、教科書や資料集に記載されているものに関して、トップ5の国を抑えておくくらいで十分です。さらに言えばトップ5の中でも順位まで正確に覚える必要もありません。順位に関してはトップ1・2位くらいをおさえておけば十分でしょう。
もちろん個別の生産額などは一切覚える必要はありません。
ただし一点注意点があります。それは、統計データは必ず最新のものを使って覚える、ということです。多くの統計データは毎年更新されており、中には順位に変動があるものなどもあります。データは常に最新のものを確認できるようにしましょう。
③教科書が全てではない&地図帳を活用しよう
最後に、教科書や資料集、地図帳などの使い方です。
皆さん教科書は使用していますか? 多くの人が使っていないかと思います。実際、地理の教科書は他の日本史や世界史の教科書に比べると、分かりやすい文章が魅力である一方で、網羅性に欠けるのは事実です。
ですから、基本的に地理の全体像をつかむためには、優れた学校・予備校の授業を活用するか、市販の参考書を軸に進めることをおすすめします。特に市販の参考書は教科書よりも系統地理の分野が体系立ってわかりやすく説明されており、効率よく理解が進みます。
ただし授業や参考書だけでは不十分です。学習の際には必ず地図帳・資料集を用意しましょう。
そして出てきた地名や資料などは必ず、地図帳や資料集を使って確認をしましょう。地理の勉強において、位置関係を捉えておくことは不可欠です。また資料集を使って、理解を深めておくことも不可欠です。
ただし調べたことを暗記する必要はありません。必要最低限の知識はすべて授業や参考書に乗っているはずですから、調べたことを一言一句覚えておく必要はないでしょう。
まずは覚えるのではなく、理解することが大切です。
また教科書も辞書代わりとしては有効です。特に教科書の記述は参考書や資料集と異なり、因果関係をしっかり記述しているのが大きな魅力です。参考書・学校の授業で学習したことをより深く理解するためには、教科書を読み込むことが大切です。
以下は、系統地理の学習で暗記するべきものと、暗記しなくていいものの一例です。この例を参考にして、暗記事項を取捨選択しましょう!
覚えなくていいこと | 覚えるべきこと |
---|---|
石油の生産額の上位10カ国 | 石油生産額上位5カ国で、大量の石油が採取できる理由 |
世界各国の人口 | 東・東南アジアの国々の人口が多い理由 |
ヨーロッパの旅客輸送において、鉄道が占める割合 | ヨーロッパにおいて、旅客輸送における鉄道が高い割合を占める理由 |
EUの正式名称 | EUが作られた理由 |
まとめ
このページで知ったことを最後に復習しよう!
- 系統地理を制するものは地理を制す!
- 「なぜ?」と繰り返しながら学習する!
- 短期間で取り組む!