大学受験において数学は、英語と同じくらい重要視されている科目です。範囲が広く必要な演習量も多いため、早めの対策が必要となります。
しかし、重要科目であるにもかかわらず、
- 正直、教科書の内容も怪しい
- なんとか授業の内容は理解できるが、発展問題を自力で解けない
- そもそも小中時代から数字・文字を扱うことが苦手だった
という人も多いでしょう。
このような場合は、基礎となる教科書レベルの学習が十分にできていない可能性が高いです。一見難易度が高く見える数学も、手順を踏んで勉強すれば着実にステップアップできます。
今回の記事では、数学の勉強で最初にやるべき「教科書の内容理解」について詳しく解説します!具体的な勉強方法まで紹介しているので、受験に向けて少しずつ学習したい人はぜひ参考にしてください。
受験に向けて数学を勉強するうえで“教科書理解”は必須!
大学受験の数学においても、教科書レベルの内容をしっかり理解することは必須です。
数学を勉強している中で「教科書に軽く目を通して参考書で演習すれば受験に対応できるのでは?」と考えることがあるかもしれません。「自分は難関大志望だから教科書より応用の問題集を進めたい!」という人もいるでしょう。
しかし、その考え方は間違い!数学を勉強するうえで「教科書の内容を完璧に理解できていること」はとても重要です。東大や京大など難関大を目指す高校生はもちろん、浪人生にとっても教科書の内容を理解することは必須です。
なぜ数学の勉強で教科書内容の理解が重要なのか?
それではなぜ、数学の勉強では教科書の内容理解が重要なのでしょうか?
社会など暗記中心の科目は、用語を暗記すれば(高得点は難しいにしても)基礎レベルの問題であれば対応可能です。一方で数学の場合、基本を理解せず問題の解き方だけを暗記すると、自分が解いたことのない問題が入試で出題された場合に対応できません。
また理解の伴っていない暗記では「応用」に限界があるだけでなく、「暗記そのもの」にも限界が出てきてしまいます。
つまり理解の伴っていない暗記は、長期記憶に残りにくいという意味でも限界があるということですね。
さらに共通テストに変わってからセンター試験よりも「基本を理解しているかどうか」を問う問題が増加しました。入試の傾向的にも、今後さらに「基本の理解」を問う問題が増えていく可能性があります。
そのため入試の数学を乗り切るには、教科書の基本を理解したうえで応用問題に取り組み、実戦経験を積むことが必須です。
教科書の内容で理解すべきことは?
具体的に数学の基礎を理解するうえで大切なことは、以下の2つです!
- 公式の意味・使い方を理解すること
- 公式の導出方法を理解すること
数学の公式は「$a$」「$x$」などの文字を使って書かれています。こうした文字を漠然と覚えても意味はありません。公式を理解するためには「公式中の文字が表している内容」まできちんと覚えることが大切です。
たとえば、数学Ⅰで習う正弦定理は以下の公式です。
$\cfrac{a}{\sin A}=\cfrac{b}{\sin B}=\cfrac{c}{\sin C}=2R$
この「$R$」は「三角形ABCの外接円の半径」を表していますが、忘れている高校生はかなり多いはず。もしも公式中の文字が表している内容がわからなければ、問題を解くときに公式を正しく使うことができません。
また「どんなときに使えるか」つまり公式の使える場合と使えない場合も理解しておかないといけません。例えば、「二次方程式の判別式」は「方程式の$x^{2}$」の係数がゼロのときには使えません。この場合分けを忘れる受験生はかなり多いです。
さらに、公式の導出方法も教科書で紹介されているものくらいは全て理解して覚えておきたいですね!公式の導出方法を理解すれば、公式の使い方を間違える可能性も減らすことができます。
例えば、数列や漸化式の公式では「$n$」を使うか「$n-1$」を使うか迷う人も多いですが、導出の仕方を理解していれば、迷うことはなくなります。
教科書の内容を理解するための具体的な勉強方法を解説!
教科書の内容を理解する勉強方法としては、以下の2パターンが挙げられます。
- パターン1:教科書+教科書ガイド+学校の授業で勉強する
- パターン2:スタディサプリなどの映像授業で勉強する
パターン1は、教科書や学校の授業を生かして勉強する方法です。この方法は以下のような人にオススメできます。
- 学校の先生の授業が気に入っている
- 以前に学習した部分は身についているので復習は必要ない
教科書の確認問題や章末問題には簡単な解説しか載っていないことが多いため、「じっくり解説を読み込んで理解する」という勉強には向きません。そのため、教科書ガイドを使い細かい解説までチェックすることが大切です。
パターン2は、スタディサプリなどの映像授業で勉強する方法です。この方法は以下のような人にオススメできます。
- 学校の先生と相性が合わない
- 学校の授業が終わった部分の復習をしたい
- 学校の授業ペースが遅いので独学で先取りしたい
それでは2つのパターンについて、それぞれ詳しい勉強法をチェックしていきましょう!
パターン1 :教科書+教科書ガイド+学校の授業で勉強する
パターン1では教科書を活用するため、まずは教科書の基本構成を確認しておきましょう。数学の教科書は以下の構成で組まれています。
①公式の解説などの基本事項
②例題
③例題の類題
④章末問題
まずは「①公式の解説などの基本事項」について。①では、各分野の基本となる考え方や数学の用語、公式について取り上げています。例えば、確率分野における「独立」という言葉の意味を解説したり、数Ⅱの図形と方程式の分野における「円の方程式の基本形」を提示したりしています。
例:点$(a,b)$を中心とし半径が$r$の円の方程式は、$(x-a)^2+(y-b)^2 = r^2$。
また、解説の一環として「公式の導出方法」も説明しています。単純に公式を暗記するだけでなく、導出方法まで理解しておくと応用問題への対応力も身に付くでしょう。
次に「②例題」について。例題は、基本事項のすぐ後についている基本的な問題のことです。基本事項で習った公式や考え方を実際の問題にあてはめて理解する、というわけですね。
教科書によっては一部の例題に「応用例題」という名前がついており、多少レベルが高いこともあります。
例:中心が$(1,3)$、半径が$2$の円の方程式を求めよ。
次に「③例題の類題」について。多くの教科書において「練習」「問」というタイトルがつけられているのが、この「例題の類題」です。例題のすぐ後についている問題であり、例題の問題の数値や設定を多少変えたものがほとんどです。そのため、レベル的には例題とあまり変わりません。
最後に「④章末問題」について。章末問題では、その章でやった内容を踏まえた応用レベルの問題が掲載されています。応用問題なので、その章の基本事項や例題をマスターしなければ対応できません。
具体的には以下の7ステップを参考にして勉強しましょう。
- ステップ1
- 公式の解説から例題の解説まで1文字も飛ばさず丁寧に読む
- ステップ2
- 解説を閉じて例題を解く
- ステップ3
- 学校の授業を受ける
- ステップ4
- 類題を解いて、教科書ガイドで答え合わせをする
- ステップ5
- 間違えた問題は解説を閉じて解き直す
- ステップ6
- 章末問題を解いて、教科書ガイドで答え合わせをする
- ステップ7
- 間違えた問題は解説を閉じて解き直す
まず、公式の解説や類題の解説は「1文字も飛ばすことなく」丁寧に読みましょう!教科書は、多くの大学教授や高校の先生の知恵が詰まった「最高の参考書」です。そのため、教科書の内容を丁寧に読み込むだけでかなりの基礎力が身に付きます。
前後の文章や注意書きを読んでいれば、解決するような所にイチイチ詰まってしまってなかなか勉強が進まないということも。
解説の内容を理解したら、解説を閉じて自力で例題を解きましょう。基本をしっかり理解できていれば、すんなり解けるはずです。例題は、学校の授業で扱う前に解けると良いですね。
授業前に事前に例題を解いておけば、学校の授業内で「解く際のコツ」や「理解不足のポイント」などを効率的に補足できます。
授業を受けたら、類題と章末問題の演習を繰り返しましょう。類題や章末問題を解いたら、忘れずに教科書ガイドを使って答え合わせをします。教科書には「式変形」などの細かい部分は掲載されていないため、教科書ガイドを使ったほうがスピーディに学習できるでしょう。
間違えた問題については、解説を閉じてその場で解き直します。なお、教科書の後に問題集を使って演習するため、1回解き直しができればOKです。
演習については以下の記事でも解説しています!
パターン2:スタディサプリなどの映像授業で勉強する
映像授業を使い、自分で勉強を進めることもオススメです。独学で数学の勉強を進めるのであれば、「スタディサプリ」を使うと良いでしょう。
スタディサプリには科目ごとで幅広いレベルの映像授業が収録されているため、「習い終わった単元の復習」「未習単元の先取り」などに使えます。学校のペースに合わせる必要はないので、自分のペースで進めたい人はぜひ使ってみて欲しい教材です。
具体的に以下のステップを参考に勉強しましょう。
- ステップ1
- テキストを印刷する
- ステップ2
- 授業を視聴する
- ステップ3
- 授業で解説された問題を解説を見ずに自力で解く
- ステップ4
- 確認問題を解く
まずは勉強する範囲のテキストを印刷しましょう。授業で学んだ内容はこの印刷したものに書き込んでいきます。
テキストなしで全てノートにまとめるのはあまりおすすめしません。授業内容を写すことに必死になって理解が追いつかないケースもあるからですね。最低限の内容だけメモできればOKです。
映像授業を視聴したら、動画内で解説した問題を「解説なしで自力で解けるか」必ずチェックしましょう。「大筋は理解できたが細かい計算まではできない」というように「わかったつもり」になるケースが意外と多いです。
特にスタディサプリのような映像授業は講師の解説が上手なため、聞いた瞬間は「わかったつもり」に陥りやすいので注意してください。
この「わかったつもり」を放置すると、本番で同じような問題が出題されても対応できません。本当に知識が身についているかを確認するため、必ず解説なしで問題にチャレンジしましょう!
最後に確認問題を解いて終わりです。
教科書理解が終わったら何をすべき?
上記の勉強ステップを実践することで、教科書に書かれている基本事項は理解できます。
とはいえ、教科書の内容を理解するだけでは、模試やテストで高得点は取れません。教科書の内容を理解したら、次は「定石理解」のための勉強です。
定石理解とは、数学における「王道の問題の解き方」を指します。出題されたら絶対に解けなければならないような典型的な問題、頻出の問題の解き方を覚えて模試やテストでの得点力を伸ばしていきましょう。
定石理解の詳しい勉強方法については以下の記事をご覧ください!
まとめ
数学を勉強するうえで、教科書の内容を理解することは重要です。教科書の内容を理解することで、基礎が固まりこれから先の定石理解や過去問演習などをスムーズに進められます。
今回紹介した勉強方法を参考にしながら、着実に基礎を固めていきましょう!
もっと具体的に「このとおりに勉強すれば数学の勉強は完璧、という参考書の流れが知りたい!」という方は、ぜひSTRUXの参考書マップを活用してください!
■ 参考書マップとは? ■
STRUXの「参考書マップ」は、受験までにやるべき勉強を「順番通りに」すべて洗い出したもの。「いつまでに」「どの順番で」勉強をすればいいかがひと目で分かるので、あとはこの通りに勉強するだけ!という状態になります。
- 「どの順番で」参考書に取り組めばいいかひと目でわかる!
- 「なぜこの参考書がおすすめなのか?」「かわりに使える参考書」もすべて紹介
STRUX参考書マップ公式LINEに登録することで、いつでも無料で見ることができます!
LINEに登録して参考書マップを見る