ぼちぼち梅雨ですね。
雨が降るとゆううつなきぶんになりますよね。
ゆううつなきぶんになると、「学校の授業だり〜〜〜!つまんない!早く終わらないかな!」な気分になりますよね。
え、なりませんか?
僕はよくそんなことがあります。
STRUXマガジン編集の、橋本です。
高校時代の特技は、つまらない高校の授業で誰よりも先に単語帳をひらくことでした。
そんな冗談はさておき、「なんかよくわからないけど、この授業眠い!」「この先生の話、何言ってるかわからない!」「そもそも数学なんて興味ねえよ!」なんて経験、誰しもあるはず。
ベネッセの調査では、実に74%もの生徒が授業中「ぼーっと他のことを考えている」という結果も。
なんであんなに高校の授業って「つまらない」んでしょうか。
その一方で、「大学の授業」と聞くとどんなイメージがありますかね。
高校の授業はつまらないけど、大学の授業は、なんとなーく、面白そう!と思っている人も、これまた多いんじゃないでしょうか。
今回は「高校の授業はつまらない!」「大学の授業は面白そう!」と感じる、その理由をみなさんにお伝えします。
高校の授業がつまらないことには、理由があります。
なんてことも、もちろん理由の一つ。
なんですが。
高校の授業にはもっと根本的な、つまらない原因が潜んでいるのです。
ここでは2つ、ご紹介します。
1つ目は、指導する内容が決められていること。
みなさんも、1年生のとき、なんの興味もないし、まして受験では使わない「現代社会」や「倫理」を勉強した記憶はありませんか?
文系なのに「物理」をがっつりやらされたり、理系なのに「世界史B」をがっつりやらされたり、なんてこともあるでしょう。
実は、これらすべて文部科学省が定めた「必修科目」なんです。
1 各学科に共通する必履修教科・科目及び総合的な学習の時間
(1) すべての生徒に履修させる各教科・科目(以下「必履修教科・科目」という。)は次のとおりとし,その単位数は,第2款の2に標準単位数として示された単位数を下らないものとする。ただし,生徒の実態及び専門学科の特色等を考慮し,特に必要がある場合には,「国語総合」については3単位又は2単位とし,「数学Ⅰ」及び「コミュニケーション英語Ⅰ」については2単位とすることができ,その他の必履修教科・科目(標準単位数が2単位であるものを除く。)については,その単位数の一部を減じることができる。
ア 国語のうち「国語総合」
イ 地理歴史のうち「世界史A」及び「世界史B」のうちから1科目並びに「日本史A」,「日
本史B」,「地理A」及び「地理B」のうちから1科目
ウ 公民のうち「現代社会」又は「倫理」・「政治・経済」
エ 数学のうち「数学Ⅰ」
オ 理科のうち「科学と人間生活」,「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」及び「地学基礎」のうちから2科目(うち1科目は「科学と人間生活」とする。)又は「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」及び「地学基礎」のうちから3科目
カ 保健体育のうち「体育」及び「保健」
キ 芸術のうち「音楽Ⅰ」,「美術Ⅰ」,「工芸Ⅰ」及び「書道Ⅰ」のうちから1科目
ク 外国語のうち「コミュニケーション英語Ⅰ」(英語以外の外国語を履修する場合は,学校設定科目として設ける1科目とし,その標準単位数は3単位とする。)
ケ 家庭のうち「家庭基礎」,「家庭総合」及び「生活デザイン」のうちから1科目
コ 情報のうち「社会と情報」及び「情報の科学」のうちから1科目
高等学校学習指導要領第1章第3款の1とかいう小難しいところに、これらは必修ですよ!と律儀に書かれているわけですね。
必修ということは、これらは高校のうちに受験に使う・使わないにかかわらず勉強しなさい!と言われているということです。
なぜ「必修」なるものが存在するのか?
それは、指導要領によれば「高校生に最低限必要な知識・技能と教養の幅を確保する」ため。
「君たち、これから社会にでるんだから、このくらいは最低限知っておかないと困るよ!」
といっているわけですね。
いやいや。
「物理」なんて、最低限必要な知識じゃないし。
「倫理」ってなんやねん。アリストテレスって誰やねん。
どうしても、そう思ってしまうんですね。
この「高校生に最低限必要な知識・技能と教養の幅」には、自分にとっては全く興味・関心がないものも含まれています。
人間、興味・関心がない事柄を聞いていると、どうしても退屈で、つまらないと感じてしまいます。
しかも、この「現代社会」なんかを受けるときに、先生に「この授業は興味ないかもしれないけど、実社会ではこういうふうに役立つんだよ!」みたいな話、されないじゃないですか。
高校の授業には特に、この「必修」というものを、興味がないにもかかわらずそこそこの授業数、しかも特に「必修」「教養の幅を広げるため」なんてことも言われずに受けさせられるから、どうしても「つまらない!」「退屈!」「眠い!」と感じてしまうわけです。
でもね。こんな「必修」の授業も、なんか楽しそうにやってくれたらいいじゃないですか。
現代社会ではいまの社会を学ぶために、毎回有名人を呼んで喋ってもらうよ!とか。
物理は毎回実験するよ!とか。
でも、みなさんはそんな授業は受けられず。
たいてい、机に座って、先生の板書をせっせと写す。
この、「授業のスタイル」に、高校の授業をタイクツだと感じる2つ目の理由があります。
またまたベネッセさんの調査を見てみると、高校教師が普段の授業で心がけていることとして、一番に「教師からの解説の時間」を挙げています。
みなさん、中学校や小学校の授業を思い出してみると、「めちゃくちゃ先生に当てられたな……」「手を挙げないとなんか怒られてたな……」なんて経験、ありますよね。
でも、高校ではそんなことはありません。
高校ではより高度な内容を、より短い時間で、より多くの生徒に伝えなくてはならないため、どうしても解説の時間が増えてしまいます。
先生だって頑張ってはいるんですが、いくらわかりやすい解説を!とこころがけても、生徒はその一方的に解説される授業そのものをタイクツに感じている。ここですれ違いが起きてしまうわけですね。
こういうふうに、高校の授業では
- そもそも興味のない内容をやらされる!
- しかもそれを一方的に解説される授業ばかり!
という2点が負のシナジーを引き起こして、大多数が「つまらない!」「タイクツ!」と感じるような仕組みができあがってしまっている、というわけです。
こういう話をすると、
と考える人も増えてきます。
でも、ちょっとまって。
大学の授業って、ほんとうにみなさんが想像するような「面白い授業」なのでしょうか?
結論から言うと、「大学の授業は面白い!」は半分正解で、半分間違いです。
ちゃんと説明するので、落ち着いて聞いてください。
まずは「半分正解」の部分。
大学の授業は、面白いです。
大学ではまず、どの授業を受けるかを自分で選ぶ事ができます。
つまり、単純に言うと自分が興味のある、受けたい授業を中心に受けることができるわけです。
高校みたいに、全く興味のない授業を受けてばかり……ということがなくなり、少しでも自分の興味がある授業を選べるので、単純に好奇心をもって、主体的に聞くことができます。
次に、大学ではゼミや実験、少人数でのディスカッション形式の授業などが盛りだくさん。
これも自分で選んで受けることができるので、一方的に解説をされてただただ板書を写す授業からおさらばできます。
他の大学生と意見を交換したり、グループワークを通して実際に実践しながら学んでいく講義を選ぶことで、変わり映えのしないタイクツな授業から解き放たれることも夢ではありません。
でも、大学の授業もこんなに「いいこと」ばかりではありません。
「半分間違い」の部分、それは大学にだって必修はあるし、大学にだって大人数に対して教授がしゃべるだけの授業はあるということ。
大学では「自分で受けたい授業を選ぶ」ということをお伝えしました。
ただ、それは「好き勝手に受けたいものを受けられる」ことではありません。
大学を「卒業」するためには、受けたい授業だけでなく大学・学部側で定められた「必修」授業を受け、単位を取る必要があります。
たとえば経済学部だと、ミクロ経済やマーケティングの授業などはもちろん、場合によっては「数学」の授業も必修です。
経済の分析に、数学は欠かせませんからね。
このように、いくら大学に行っても、あまり興味のない「必修授業」を受ける必要は一定数あります。
さらに、大学でも、高校のように「教授が一方的に話す」授業は多くあります。
しかも、大学にクラスなんてない場合がほとんどですから、教授1人に対して学生が100人以上、なんていう高校では考えられないような状態になることも少なくありません。
(授業風景入れたい)
教授は広い広い教室の一番前にいて、声は聞こえないわ黒板は見えないわ……双眼鏡で板書を見る、なんて人もいます。
特に必修の授業などに多いこの「大人数講義」は、相変わらずつまらない!と感じる人も多いかもしれません。
「大学の授業はおもしろい!」が半分正解で半分間違いなのは、「興味に合わせて授業を選べるし、討論や実験、フィールドワークの授業も多く存在する」反面、「相変わらず必修授業はあるし、教授が一方的に解説する授業はむしろ規模が大きくなってますます一方的になる」からなんですね。
みなさん諦めて、つまらない授業を受けましょう。
…………と、ここで終わるとなかなか後味が悪いので、「どうすれば少しでも高校・大学の授業を楽しく受けられるのか?」について最後にいくつか。
1. 高校の授業がどう自分の興味に直結するのか?
たとえば、経済学部に進みたい!経済の勉強をしたい!という人は、文系であっても数学をしっかり勉強しましょう。
大学の経済学では、数式が意外と多く出てきます。
「輸出が増えると、国のGDPがこう動く」「需要がこれだけ増えて、市場価格がこうなると……」といったことを、数式で紐解いていくのが経済学です。
受験でがっつり求められるわけではないので、めちゃくちゃ勉強する必要はないですが、数学に苦手意識があると、せっかく経済学部にいったのに、思ってたのと違う……なんてことに。
そこで、高校の数学の授業でも、「今勉強していることがやりたい勉強につながるんだ……!」と考えると、少し興味が湧いてくるでしょう。
2. 興味・関心のない学部を避ける
つらい受験を乗り越えて大学に入り、好きな授業を選べる!となっても、必修があまりにも興味ないものであったり、選べる授業にもまったく興味がわかないなんてことになったら大変です。
事実、大学進学後に学部を変えるため、再度受験した!なんて人もいます。
大学については「何を勉強したいのか?」「何に興味があるか?」くらいは考えたうえで志望校を決めるといいでしょう!
「そんなに興味あることないよ!」という人も、大学に実際にいって体験授業を受けてみる、さまざまな学部について調べて内容を知るというだけでOK。少しでも興味がわく学問を選ぶことが重要です。
3. 悟る
どんなに頑張っても、興味のない授業はあります。
そういうときは、「興味がない、タイクツだと思うことは問題なのか?」と開き直りましょう。
社会に出れば、タイクツな仕事はいくらでもあります。
すべてが楽しいことばかりではありません。
「タイクツでも、まあいいや」「つまらないけど、仕方ないか」というマインドも、たまには必要です。
楽しく授業を受けるコツを探すもよし。
タイクツに耐えるもよし。
でも、「どういうことに自分は興味があるのか?」「大学で必要な力はなにか?」かんがえてみると、ちょっと豊かな高校生活・大学生活を送れるかもしれませんね。