こんばんは!
学習塾STRUX塾長で、ストマガを監修している、橋本拓磨です。
今回の記事でも、最近よくある受験生の悩みに答えていければと思います!
休校期間が関東含めた都府県では伸びているようですが、そうなると結構自学自習も進むはず。参考書をどんどん進めていると、こんな悩みありませんか?
参考書を進めていて、次のレベルに行きたいけどどこまで完璧にすればいいのかわかりません。
次のレベルに移るタイミングってどこなんですか?目安とかあるのか知りたいです。
こういう悩み、よくあります。学習塾STRUXで生徒さんを指導しているときも意識していることではありますが、たしかに自分で勉強していると「一通りできたとは思うんだけど、完璧かと言われると不安だな……」「全然完璧にならないからもう4ヶ月位この参考書やってるよ……」なんて事態に陥ってしまいがちです。
今回の記事では、そうならないために「次の参考書に進むタイミング」を、具体的な参考書の例を挙げながら解説していきます。
参考書を解き進める上での「大前提」を知ろう
まず、どの参考書にも共通する、使い方の「大前提」についてお伝えできればと思います。
そもそも、参考書は何周もするもの
そもそも、参考書は何周もかけて身につけるものである、という認識は誰もが持っていると思います。
でも、「どうして何周もするのか?」をはっきりと説明できる人は少ないのではないでしょうか?
参考書は1周だけしても、基本的には身につきません。人間は(人間に限らないですが)忘れる生き物ですから、これは仕方がないことです。忘れないようにするためには、短期記憶と言われる「その場での暗記」から長期記憶と言われる「半永久的な記憶」に移すことが重要です。
短期記憶はいわゆる「Wi-fiのパスワードを覚えておく」とか「降りる駅を覚えておく」といった、すぐに忘れても良いメモ的な記憶。これはずっとは続かず、すぐに忘れてしまいます。基本的に勉強した内容は、まずこの短期記憶に蓄えられます。
一方の長期記憶は、友だちの名前や顔、自宅の電話番号などいつでも思い出せるようになっている記憶。勉強したものを入試まで覚えて活用していくためには、長期記憶に入れないといけません。
では、長期記憶に留めるためにはどうするか。自宅の電話番号や友だちの名前を忘れないのは、ずばりなんども見て思い出しているからです。何度も思い出したり使ったりするものは、脳が「大事な情報だから毎回覚えるの面倒だし、保存しちゃえ!」というふうに長期記憶に入れていくのです。
勉強も同じ。何回も同じ問題を解いて解けるようになることで、この解法は覚えなきゃいけない!ということをつかむようになるのです。
だから、繰り返して参考書に取り組む必要があるのです。
これは後にも話しますが、暗記モノである単語や歴史用語などは何度も繰り返して覚える意識を特に強く持つ必要があります。1週間や1ヶ月といった短い期間に何周も繰り返すことで、長期記憶に定着させる事ができます。
では、暗記モノではない「長文読解」なども、何度も繰り返す必要があるのでしょうか。
答えは、YESです。
長文などであれば「解き方」をきちんと記憶しておく必要があります。これを身につけるにはやはり、何周も取り組んで同じ考え方を繰り返し実行するしかありません。
ただ、単語などと違い文章自体を覚えても仕方がありませんから、2周目以降はやり方を変える必要があります。
何周繰り返せばいいの?どのくらいの基準になったら次に進んでいいの?
それでは本題の「どのくらいの基準になったら次に進むべきか」ということについて触れていきます。
基本的には、参考書を3周または全問題の9割正答できる状態を目安にしてみてください。
もちろん、原則としては3周目までにすべて解ける「完璧」の状態になってもらうことが一番ですし、それを目指してほしいです。
でも、だからといってそのために何ヶ月もかかっていては、入試には間に合いません。
ちょっと忘れてそうだな……とか、不安だからもう1周しておこう……とか考えてしまい、気づいたら何周もしてしまって時間が取られるということは誰にでも起こります。
完璧を求めすぎて時間を無駄にすることがないように、「3周」という期限を設けるのです。
「9割」という基準も考え方は同じ。完璧に100%目指すとなるとどうしても細かいところも覚えなければなりません。細かい知識ほど覚えるのに時間がかかるわりに、入試に頻出というわけではないため、点数の伸びはそこまで大きくありません(効果の「逓減」といいます)。
そうした細かいところは一旦おいておき、入試で必須になる重要な知識を身につけるために先に進もう!ということで、まず9割目指そうという話をしています。
この参考書はこうすれば完璧!例を紹介
ここからは、具体的な参考書を例に出しつつ、この参考書はここまでできれば次に進もう!という例を紹介していきます。
単語帳(英語・古文など)
残念ながら、英単語や古文単語は「これができたら止めてOK、次に進む」という状態はありません。放っておくと忘れてしまうので、何周も進めていかねばなりません。
ただ、赤字の意味についてはほぼ間違えない状態を3周目までに作っておくことは重要です。ここまで覚えられれば、4周目以降は「忘れないように何周もスキマ時間でテストする」「赤字以外の意味に目を通す」というふうに「新たに覚える」という段階から脱却することができます。
単語帳は何周もすべきですが、はじめの2周から3周をなるべく短い期間で回すことで、一気に覚えてしまいましょう。
逆に言うと、その期間は単語帳だけに専念する、というやり方でもOKです。1日100単語を1週間で進めれば700単語。忘れないように翌週も同じく1日100単語を進めれば、2週間で2周できます。
それでも覚えられない!という人は、1日目に100単語、2日目にもう一度同じ100単語をする、というふうに2周するサイクルを短くすることをおすすめします。
動画でも喋っているので、ぜひそちらを詳しくは見てくださいね!
それができて、3周ほどで赤字は9割くらい覚えられた!という状態になれば、他の勉強のスキマ時間に回してもOKです。
映像授業など、インプット系教材
どこまで進めるか判断に困るのが、映像授業や「実況中継」などの「理解するための参考書」。
結論から言うと、これは1周やれば基本的にはOKです。
ただし、2周目以降は「付属している問題」などを必ずといて、間違えたところで解説を読んでもわからないところはきちんと戻って確認するようにします。
確定で何周もするというよりは、必ず問題を解く作業と並行して、間違えたところ・わからないところを戻って確認することで2周め・3周めを実行しましょう。
英文法の問題集(ネクステなど)
ネクステやVintageなどの文法系の問題集は、少し扱い方に気をつけましょう。具体的には文法パートと語法・イディオムパートで使い方・完璧の基準が変わってきます。
まずは文法パート。文法は3周以上やっていると、あまり理解できていなくても答えを覚えてしまう、ということがよくあります。
そういう場合、理解できていないのに解けると錯覚してしまい、本番といたときに「意外と解けない……」ということになってしまいがちです。
答えを覚えてしまった場合は何周もするのをやめて、他の文法問題集をやるのが良いです。
その一方で、語法やイディオムのパートは単語同様に何周もしておぼえることを意識しましょう。私大志望であれば別途熟語帳で覚えていっても良いですが、國立志望ならVintageやネクステのレベルで十分(時間があればやってもいいが、点数効率は悪い)ですから、このパートを何周もすることで例文ごと「こういう意味なんだ!」と言うのを覚えていくようにします。
そうして語法・イディオムパートは9割を目指していきますが、これもやはり細かいところが多いため、どうしても終わらないという場合は8割ほどで切り上げてもOKです。
英語長文の参考書の「次に進む」ライン
長文の参考書も、解いてすぐ次に進んではもったいないです。これらも、「きちんと理解できた」状態で次に進みます。
この「きちんと理解できた」というのは、長文の解き方や根拠の拾い方、時間内に読むテクニックなどを自分で再現できる状態を指します。
そうして「スムーズにそのレベルの文章が読めて、問題を解く根拠が拾える」という段階になったら、次のレベルに進むことができます。
長文問題はついつい「何周もやる必要あるの?」と思いがちですが、この「きちんと理解できた」状態を目指すには必ず2周以上、やり方を変えて実施するようにしましょう。
具体的なやり方としては……
- 1周目
- 時間をかけていいので、「解き方」「根拠」を意識して読む。そして解説を読むときに解き方を理解する
- 2周目
- 2周めで理解した解き方を定着させるため、もう一度「目標時間内に」解く
- 3周目
- 解き方が理解できている状態なので、読むスピードをあげるために「音読」の練習をする
さて、今回は「次の参考書に進む基準」についてお伝えしました。今回挙げていない参考書についても、質問があればぜひ公式LINEやTwitterで聞いてくださいね!
まとめると、
- 「基準」は参考書によって変わるので気をつけよう
- でも共通するのは「完璧を目指しすぎない」ために「3周・9割」をまず目指すこと!
これを意識しましょう!
さて、学習塾STRUXはいつでもオンラインでの無料体験&授業も実施しています。そもそもやる参考書を決めかねている……という人のために、参考書のリストや年間計画も作成しているので、ぜひお気軽にご相談ください!
それでは!
ライター:橋本拓磨
東京大学法学部卒。学習塾STRUX塾長・STRUX大学受験マガジン監修。日本全国の高校生に、場所によらず正しい勉強を広めて、行きたい大学に行き、将来の選択肢を広げてほしい!という思いからSTRUXマガジンを監修。
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