








戦略01 無機化学のいろは
無機化学の定義を紹介しておくと、「炭素以外の元素について学ぶ分野」です(ただし実際は炭素についても無機化学では触れます)。対する有機化学は、「炭素を持つ化合物について学ぶ分野」です。
「炭素以外の元素について学ぶ」という言葉を聞いただけでも、どれだけの量を学ばなければいけないかがわかると思いますが、要するに、無機化学はとんでもなく覚えるべきことがあります。

よって、無機化学の勉強は暗記がメインになります。
とはいえ、「正直無機化学って、どこまで覚えればいいの?」という人もいるのではないでしょうか。たしかに、覚えだしたらきりがありません。細かいところまで調べれば、いくらでも知識は存在します。
ですが、この記事を読んでいる人は、主に大学受験レベルの無機化学が身につけばいいと思うので、暗記のゴールは、教科書に書かれていることをすべてマスターする、ことになります。

戦略02 無機化学のおすすめ勉強法はこれだ!
無機化学の勉強は、以下の3ステップに分けられます。
当然、もっとも重要なのは2つ目の暗記です。この記事では、「暗記」に焦点を当て、どのようなポイントをふまえて暗記をしていくべきなのか、を解説します。

無機化学・暗記のコツ!
無機化学の暗記は、教科書通りに単調に覚えていくのもありですが、それだけだとどうも身につかない、という人も多いのではないでしょうか。

これを解消するためには、1つの事項を、いろんな方面からとらえ直すことがおすすめです。


無機化学の場合では、以下の2つの観点から暗記するといいです。
- 元素ごとにその性質や化合物について暗記する
- 複数の元素の比較やグループとして暗記する
1つ1つ説明しましょう。
元素ごとにその性質や化合物について暗記する
これは比較的単純です。教科書もこの構成になっています。
たとえば、窒素(N)の項なら、窒素N2や一酸化窒素NO、二酸化窒素NO2、硝酸HNO3、アンモニアNH3など、Nを含む化合物やその性質が説明されています。アンモニアに関してはハーバーボッシュ法やオストワルト法といった、工業的製法についても触れられているはずです。
もちろん窒素以外にも、酸素、硫黄、ケイ素、カルシウムなどいろいろな元素があるわけですが、教科書を読む際には、そうした元素ごとに章立てされていることが多いでしょうから、それを順に読んで、知識を得て、暗記していけばいいでしょう。
複数の元素の比較やグループとして暗記する
しかし、実際に元素ごとに整理して暗記を進めてみると、問題に対応できないということがあります。そこで、違う視点から勉強すべきで、それは、複数の元素どうしを比較したりグループ化したりして暗記することです。
たとえば、濃硝酸に対しては不動態をつくり溶けない性質をもつ元素は、Fe, Ni, Al, Crの主に4つがあります。このように、異なる元素が同じ性質をもつことがよくあります。

ポイントは、元素ごとに暗記する場合でも、その情報に触れるため、グループにして暗記すれば同じ情報に異なる観点から二度ふれることになり、より暗記しやすくなるということです。
つまり、たとえばFe(鉄)という元素だけに注目して学習していく中で、「鉄は濃硝酸に対して不動態をつくり、溶けない」という記述は、出てきます。
この一回だけだと記憶がうすれがちですが、先のように「不導体はFeを含めて4つある!」という観点でも、同じことに触れることになります。2つの観点からとらえることで、「Feは不動態をつくる」ということがより強く頭にきざまれるでしょう。



この2つめの「複数の元素の比較やグループとして暗記する」方法はぜひ実践してほしいのですが、教科書や参考書では、ものによってそのグルーピングや比較がさほどされていないことがあります。つまり、単に元素の性質を書き並べただけ、というわけですね。
そこで、この部分に関してはまとめノートをつくることをおすすめします。自分で図や表にしながら複数の元素をまとめたり比較したりすると、ぐっと身につきますよ。


化学 参考書(執筆中)
戦略03 無機化学の勉強で注意すべきこと

暗記量は膨大。後回しにしないこと。
無機化学は何度も言っている通り量がとんでもなく多いです。よって、後回しにしないことが重要。学校で習ったときに、定期テスト対策をしますね。そこで「教科書の内容は二度と忘れない!」というレベルで繰り返し暗記しましょう。
とはいえ、やはり一度では忘れてしまいますし、ほかにやることも多いでしょう。ですので、無機化学は、受験する年の夏休みまでには完璧にしておきましょう。9月以降に暗記をしているようでは、問題演習に時間を割くことができません。

きれいなノートを作りすぎない
さきほど、無機化学では異なる元素のグルーピングや比較のために、まとめノートを作るといい、と言いました。こう言うとよくやりがちなのが、参考書さながらのカラフルなまとめノートを作ってしまう、ということです。



簡単に言えば、その時間がもったいないからです。きれいにまとまっている参考書は市販のものでたくさんありますから、きれいさや詳しさを求めるならそれを使えばいいわけです。

まとめノートを作る際は、自分が読んでわかればそれでOKです。よって、客観的に見れば汚い字でも、あるいは黒一色で書いても、自分が読めて、自分が暗記できればそれでいいわけです。
無機化学ではいろんな色が出てくるので、どうしても色をたくさん使ってまとめたくなりますが、カラフルな、かつきれいなノートづくりは時間の無駄です。色は多くても2色、字は自分が読めれば十分です。こだわりすぎず、時間を決めてサクサクっと作っていきましょう。
まとめ

- 無機化学は量が膨大!ゴールはひとまず教科書の内容を理解すること。
- 無機化学暗記のコツ
元素ごとにその性質や化合物について暗記する&複数の元素の比較やグループとして暗記する - 受験する年の夏休みまでに暗記を終わらせよ!
- きれいすぎるカラフルなノートづくりは時間がもったいない!