化学の教科書は、その後の問題演習や入試問題の基礎になる部分です。ただ、なかなか教科書を活用しきれていない人も多いのではないでしょうか。この記事では、膨大な知識を整理し、効率よく問題を解くための勉強法を紹介します。「化学を基礎からやり直したい!」「教科書の使い方を一から知りたい!」という人は必見です。






戦略01 化学の教科書を第一に勉強すべき理由

化学の勉強は、大きく3つにわけられます。
インプット:教科書理解
定着:問題演習
アウトプット:過去問
この記事では、その最初のステップである「インプット」を扱います。

……と思う人もいるでしょう。化学で言う「インプット」とは、
基本知識を暗記して、単純な問題が解けるようになること
を意味します。当然、この段階がクリアできないと、その次の定着やアウトプットに進むことはできません。
よって、サキサキのように、化学がとにかくニガテ、という人は、教科書を使いながらしっかり知識をインプットして、たまに教科書に載っている問題を解いて、教科書をマスターしていきましょう。
インプットの具体的なやり方は、戦略03でこの後詳しく説明します。



戦略02 化学の教科書のメリット

豊富な図とカラフルな画像で視覚的に理解しやすい!
得た知識をすぐに問題で確認できる!


豊富な図とカラフルな画像で視覚的に理解しやすい!
化学は、ご存知の通り、覚えることが多いですね。
元素記号からはじまり、炎色反応、電池の反応式、無機、有機、高分子などなど……。挙げたらきりがありません。


ですが、化学の知識がほかの科目の知識と決定的に違う点があります。それは、図や画像で覚えられる、という点です。
たとえば英単語は、英語と日本語の組み合わせに過ぎず、それ以上になかなか広がりません。それゆえ、暗記が単調になりがち。一方の化学は、たとえば炎色反応などは、元素により色が違いますね。実験を学校でやったことがある人は、化学反応により色のついた液体ができあがることもあったでしょう。
このように、言葉だけでなく、図や色などの視覚的イメージを積極的に暗記に生かせるのが、化学の面白いところです。


確かに、なかなかリアルで化学の現象を観察するのはタイヘンですね。それを手助けするのが、教科書なのです。
教科書を開いてみると、たとえばダニエル電池や鉛蓄電池など、電池のしくみも図解されていますし、無機化学でよく出てくる沈殿や、反応の結果生じた液の色が、画像として載っているのです。

そしてこれにより、単調な暗記ではなく、教科書を通して視覚的に暗記することができるのです!これが、単に問題集を解いたり学校の授業を聞いていたりするだけでは得られないメリットです。
得た知識をすぐに問題で確認できる!
教科書の第2のメリットは、本文を読んで、すぐに解けるような問題が豊富に載っているということです。
いくら図や画像が豊富とはいえ、ただながめているだけでは、なかなかインプットはスムーズに進みません。
インプットをよりスムーズに進めるには、インプットしたことを、ちょっとした簡単な問題を解いて実際に使ってみることが必要なのです。

たとえば、熱化学方程式なら、熱化学方程式のしくみを学んだあとに、
Q. プロパンC3H8の燃焼熱は2219kj/molである。これを熱化学方程式で表せ。
……というような問題。さすがに模試や入試ではここまで単純な問題が出ることは少ないですが、教科書を読んで知識を入れたあとの確認としてはピッタリなのです。
教科書では、こういった問題が、どの分野でも説明文の合間に規則的に登場します。




戦略03 化学の教科書の使い方&勉強法!
化学の教科書の使い方は、おおざっぱに言えば、
という流れになります。1つ1つ説明していきましょう。
本文を読む
まずは教科書の本文を読みます。ポイントは、ざっと読むこと。言い方を変えれば、深読みしない、ということです。

そんなんでいいの?と思う人もいるでしょう。ですが、一度で文章を読んで覚えられる人など誰もいません。重要なのは、読む深さではなく、何回か繰り返して読むところにあります。
へたに時間をかけて読んでいると、いかんせん疲れやすくなりますし、膨大な量がいつまでたっても終わりません。

化学に限らず、膨大な量を学習するときには、どっぷりゆっくりやるというよりも、ざっくりすばやく何度もやるということを心がけるべきです。
よって、化学の教科書の説明も、最初はざっと読めばOK。最初は「覚えるぞ!」と意気込むより、「ああ、こういう現象や反応があるのね」程度でOKです。

目安は、例題などの問題に到達するまで、です。ですが、分野によってはなかなか問題にあたらないこともあるでしょう。そういうときは5ページほどを目安にするとよいです。
少なくとも、自分が読んでいて無理をしていないな、と思う範囲におさえましょう。
図表や画像を確認
本文はざっと読むだけでもいいですが、集中的に気を配るべきところはあります。
それは、教科書のメリットの1つでもある、図表や画像です。
たとえば、電池や電気分解のところでは、電子や物質のやり取りを図解してくれていますし、有機や無機の分野では覚えるべき物質や反応式を表にまとめていたり、色についた物質や沈殿の色が画像として載っていたりします。
これはよく確認しましょう。具体的には、指でなぞりながら、声に出して進めましょう。
たとえば、
☆気体の集め方
水上置換:水に溶けにくい気体を集める
上方置換:水に溶けやすく空気より軽い気体を集める
下方置換:水に溶けやすく空気より重い気体を集める
という図表と画像があったとしましょう。
これを見たら、まずは水上置換の部分を指でなぞり、「ああ、水に溶けにくい気体を集める方法なんだな」と納得し、そのあと水上置換を実行している画像を見て、「こういうかんじか。水を使っているからそりゃ水に溶けやすい気体だったら回収できないな。」などと把握するのです。
このプロセスは、一見単純ですが、とても重要です。こうすることで、格段に記憶に残りやすくなるのです。

問題を解く
本文と図表や画像を一通りチェックしたら、問題を解きます。
このとき、先ほど読んだ本文や図表を見返してもかまいません。今回問題を解くのは、あくまでインプットをスムーズに、より深く進めるための手段にすぎないからです。
それに、問題を自力で解く訓練は、次の「定着」のステップで問題演習としていくらでもやるので、ここでは自力で完全に解けなくても問題はありません。

前回の復習
意外に盲点なのがこの部分です。さきほど、最初はざっと本文を読むだけでいいと言いました。でもそれは、何度も繰り返す前提があってのことです。
よって、問題を解くステップまで終わったら、そのあとに、前回扱った部分の教科書の本文と図表や画像を確認し直しましょう。
加えて、理想は、前回の分だけでなくその都度過去にやった範囲も読み直すことです。これもやはり何度も繰り返すべし、という原則にもとづきます。






まとめ
・化学が苦手な人はインプットとしてまずは教科書から!
・化学の教科書のメリットは、豊富でカラフルな図表や画像、そして豊富な問題!
・本文を読む → 図表チェック → 問題を解く → 前回の復習 の4ステップ!