古典の勉強っていうとひたすら単語と文法を詰めていくだけ…そんな風に思っていませんか?しかも知識を詰めてもなかなかテストで点が伸びない。だんだん味気ない勉強に疲れてきたり…
でも「他に成績を伸ばす方法なんて分からない」って人も多いですよね。
この記事ではそんな人のために、いつもとはちょっと違う切り口で勉強法を紹介します!それは古典のマンガ。いままではなんとも思わなかった文章達を面白く感じられるようになるはずです!
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古典マンガの使い方がわからない
古典マンガの使い方がわからない
戦略01
そもそもマンガでの勉強なんて必要?
マンガが勉強になると言ってもあまり信じられないっていう人も多いと思います。
それではなぜマンガを読むのか。それは
物語の展開や情景を強く記憶に残すため
です。例えば、
とか
なんてセリフを見れば、何のマンガのパロディか分かって、場面や登場人物について思い出せる人がいますよね。
これと同じことを古典の物語でやろうとしているだけです。
では、なぜこの「思い出す」ということが必要になるのでしょうか。
入試においては限られた時間の中で与えられた文章を読み、覚えてきた単語や文法の知識を使いながら、文章の流れに沿った形で現代語訳を考えます。
文章の流れに沿うとは、物語全体の展開を考え、登場人物達の気持ちの変化や事件の推移を適切に読み解くということです。でも、入試では物語全体のほんの一部しか出題されません。そこで必要なのが物語を「思い出す」という行為。あらかじめ話の展開を知っていれば大きく読み間違えることは無いですし、理解も早くなります。
現代文や英語とは違って、昔の作品から出題される古典は新しい文章がどんどん書かれるなんてことはありません。限られた古典作品、しかもその中で適切なレベルの作品だけが入試に出題されます。ですから、あらかじめ有名作品については知識を蓄えておこう、ということなんです。
戦略02
古典マンガを読むと古文が分かりやすくなる!
一瞬こんな風に思った人もいるのではないでしょうか。ですがもちろん、マンガだけでは入試は突破できません。
あくまでも古典を勉強する上で最も重要なのは単語と文法です。いくら物語について詳しくても、内容の知らない文章が出題されることの方が多いですし、流れに沿っていても文法的に正しい訳が出来なければ点はもらえません。ですから、「単語や文法の勉強を全然していない…」という人はまず先にそちらの勉強をして下さい。
古典単語を勉強する人▶▶▶
それでは、マンガを読む事でいったいどんな効果があるのでしょうか。実際の古文を読みながら体験してみましょう。
次の文章は更級日記『門出』の冒頭部分です。皆さんが更級日記についてどれくらい知っているかは分かりませんが、とりあえず読んでみて下さい。
あつま路の道のはてよりも、なお奥つ方に生い出でたる人、 いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひ始めけることにか、 世の中に物語といふ物のあんなるを、いかで見ばやとおもひつつ、 つれづれなる昼間、宵居などに、姉・継母などやうの人々の、 その物語、かの物語、光源氏のあるやうなど、 ところどころ語るを聞くに、いとどゆかしさまされど、 わが思ふままに、そらにいかでかおぼえ語らむ。
いみじく心もとなきままに、等身に薬師仏をつくりて、 手洗ひなどして、人まにみそかに入りつつ、
「京にとくあげ給て、物語の多く候ふなる、あるかぎり見せ給へ」
と、身を捨てて額をつき、祈り申すほどに、十三になる年、 のぼらむとて、九月三日門出して、いまたちといふ所に移る。
さて、どのくらい分かったでしょうか?そこまで難易度の高くない文章なので理解できてしまったよ!という人もいるかと思います。一方で、何を言ってるのかさっぱり分からないという人もいたかもしれません。
では次に、物語の内容を確認しましょう。ここでマンガを読む、というわけにはいかないので簡単に更級日記の内容について解説します。
更級日記の舞台は平安時代、主人公は菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)という女の子。幼い頃から物語を読むのが大好きで、願い事はたくさんの物語を読めますように!ってこと。中でも、あの超有名作、『源氏物語』を読んでみたい…!と夢見ています。でも、今住んでいるのは上総国(現在の千葉県)で、都からは遠く離れているので『源氏物語』は手に入らない…。そんなとき、お父さんの転勤で京都に引っ越すことになりました。菅原孝標女は「これで『源氏物語』が読める!!!」と大はしゃぎ。
こんな女の子の生涯を日記に綴ったものが更級日記です。
これだけの知識を持って先ほどの文章をもう一度読んでみましょう。
どうでしたか?一回目に読んだときよりも主人公の考えていることが分かりやすかったのでは無いでしょうか。そのほかにも、「かの物語、光源氏のあるやう」という部分では「光源氏といえば『源氏物語』。しかも作者は『源氏物語』が大好きなんだから「かの物語」は『源氏物語』のことに違いない!」と判断できますよね。薬師仏に物語をいっぱい読めるようお願いしている姿も想像できるはずです。
このように、ほんの少しの知識でも文章の見え方が変わってきます。また、物語を読む中で古典の世界の常識なども自然に分かっていきます。
戦略03
どんなマンガがあるの?
ここではおすすめのマンガを紹介します。
1.源氏物語
まずは最も有名な作品である源氏物語の漫画を紹介します。
「源氏物語 あさきゆめみし 完全版 The Tale of Genji」
紹介するのは『源氏物語 あさきゆめみし 完全版 The Tale of Genji』です。この本の特徴は源氏物語の、きちんと原典に沿って漫画化してあり、ほぼ全編が網羅されています。源氏物語自体が大長編ということもあり、多くの漫画が源氏の有名な部分のみを切り取った不完全なものですが、それでは入試対策には不十分です。
紹介した漫画は源氏物語を忠実に著した点だけでなく、作品の面白さ自体も非常に評価が高いのでおすすめです!
2.伊勢物語
次は入試において頻出の伊勢物語の漫画を紹介します。
「伊勢物語 NHKマンガで読む古典」
紹介するのは『伊勢物語 NHKマンガで読む古典』です。NHKが出しているシリーズもののマンガです。伊勢物語のストーリーが分かりやすくまとまっていて、全体の流れを覚えてしまうのに最適です!
3.更級日記
更級日記も入試ではよく出題されます。更級日記のマンガはこちら。
「更級日記・蜻蛉日記 NHKまんがで読む古典2」
紹介するのは『更級日記・蜻蛉日記 NHKまんがで読む古典2』です。蜻蛉日記という別の作品も一つの本にまとめられています。原典が日記ですから、マンガにしてストーリーをつけることが難しいはずですが、この本では非常に読みやすくまとめられています!
以上がおすすめの漫画です。今紹介した物語は入試対策のため特に読んでおきたいものですが、このほかの物語についてももちろん入試で出題される可能性があるので、気になるものがあれば読んでみて下さい。また、今紹介したマンガは物語の作品でだけですが、枕草子や徒然草なども入試では頻出なので読んでみても良いでしょう。
これらのマンガは購入しなくても学校や地域の図書館で借りられる場合が多いです。
戦略04
どう使っていけばいいの?
ここまでマンガを使った勉強について紹介してきましたが、ここではより入試を意識したマンガの利用法を紹介します。
もちろん、読み方としては普通に読んでいって大丈夫です。ただ、せっかく読むにしても一回流し読みして終わりでは身についているか怪しいです。そこで、読むタイミングについて意識してみましょう。
パターン1 問題を解いた後に復習として読む
苦労して問題を解き、原文を自分の力で解釈した後ならば、マンガを読んでも印象に残りやすいです。自分の想像した状況がどのように描かれているのか、または自分の解釈に間違いが無かったかなどに注目して読みましょう。
パターン2 マンガを読んだ後に教科書や本で同じ文章を読んでみる
マンガを読んだ後なら話の筋がつかめているため、理解もしやすくなっています。有名作品ならば原文と現代語訳が一緒になった本も本屋さんで簡単に手に入ります!特に源氏物語は難しい文章で綴られているので、このパターンならば取っつきやすく感じるはずです。
マンガを読むときに注目するポイントは、メインキャラクターがどのような性格、心情であるかということや事件の起承転結の流れです。なぜならこれらのことを知っていれば理解が早くなりますし、よく問われる部分でもあるからです。(更級日記の例でも主人公の性格を知った後の方が文章は読みやすかったですよね。)マンガでは性格や心情は分かりやすく描かれていますが、事件の起承転結については自分で意識して覚えておきましょう。
まとめ
今回の勉強法のポイントについておさらいしておきましょう。
- 1.マンガを読む事で文章の理解がスムーズになる!
- 2.あくまでも一番大事なのは単語と文法。これらの勉強を忘れないで!
- 3.主人公の性格や心情、事件の起承転結を抑えておこう!
- 4.読むタイミングも工夫すると効果が上がる!