さきさきのように、確率は高校数学の中でも苦手意識を持つ人が多い分野。
しかし実は、考え方さえわかってしまえば簡単に得点できる分野なのです。
この記事では、確立問題が苦手な人にありがちな
- 余事象の問題が解けない……
- たくさん公式あるけどどれを使えばいいの?
などの悩みを解決し、確率を得意分野にするノウハウを解説します!
そもそも確率とは何?
それでは確率についての具体的な疑問点を見ていく前に、まずは「確率の定義」を再確認しておきましょう。
確率とは、以下のように定義されているものです。
事象Aが起きる確率:事象Aが起こる場合の数/起こりうるすべての場合の数
※ただし起こりうるすべての事象は同様に確からしいとする
それでは、簡単な例を使って1つずつ確認していきましょう。
例えば、手元にサイコロが1つあり、そのサイコロを「1回振って4の目が出た」としましょう。
この場合、「サイコロを振った結果4の目が出た」という事柄を事象と言います。
また、「お祭りでクジを引いたら1等が当たった」というのも事象と呼ぶ、ということですね。
このように、事象とは「何かに取り組んだ結果起こった事柄」のことを指しています。
それでは、サイコロの例に戻りましょう。
まず、サイコロを振ると、出る目はいくつあるでしょうか?
このサイコロの例からもわかる通り、「何かをやった結果起こった事象の数の合計=場合の数」となります。
そして、これらの事象すべてが同じ割合で起こるとき「それらは同様に確からしい」と呼びます。
最後にここまでの話をまとめておきましょう。
- 事象:何かをに取り組んだ結果起きた事柄
- 場合の数:起こりうる事象の数の合計
- 同様に確からしい:「事象が同じ割合で起きる」と想定できること
受験生がつまずきやすい確率の問題は何?
確率では、「事象・場合の数・同様に確からしい」の3つが基本になると解説しました。
確率の問題でつまずく人は、この中の「場合の数」を苦手としている人が多いです。
- nCrとかnPrとかn!って?
「場合の数」へ - 樹形図を書いたら答えがあわない
「場合の数」へ - 順列と組み合わせってどう違う?
「場合の数」へ - 確率漸化式って?
「数列(確率漸化式)」へ - 場合の数はわかるけど確率は全く…
2-1.「確率の基本」へ - 独立、排反ってどう違う?
2-2.「独立、排反と反復試行?」へ - 独立試行、反復試行って?
2-2.「独立、排反と反復試行?」へ - 条件付き確率って?
2-3.「条件付き確率って?」へ - 余事象ってなに?
2-4.「余事象とは」へ - 期待値ってどう求めるの?
2-5.「期待値」へ - 公式って覚えなきゃいけない…?
2-5.「期待値」へ
確率問題の具体的な疑問の解決策とは?
確率の基本について学びました。
ここからは、確率の中で抱きやすい具体的な疑問を、分野ごとに解決していきましょう!
ここで解説するのは以下の5項目です。
- 確率の基本
- 独立・排反と反復試行
- 条件付き確率
- 余事象
- 期待値
確率の基本
まずは、確率の1番基本的なところから見ていきましょう。
問.コインを3回投げて表が2回、裏が1回出る確率を求めよ。
どこから考えるべきかわからない人は、まず確率の定義をもう一度考えましょう。
確率とは、「事象Aが起こる場合の数/起こりうるすべての場合の数」でしたね。
それでは、問題の中で「事象Aにあたる部分」はどれでしょうか?
事象Aにあたる部分がわかったら、次は「それぞれの場合の数」を求めましょう。
場合の数
1回目 | 2回目 | 3回目 |
---|---|---|
表 | 表 | 表 |
表 | 表 | 裏 |
表 | 裏 | 表 |
裏 | 表 | 表 |
表 | 裏 | 裏 |
裏 | 表 | 裏 |
裏 | 裏 | 表 |
裏 | 裏 | 裏 |
それぞれの場合の数も求めたら、最後は定義に入れましょう。
このように、定義に沿って計算することが基本です。混乱しそうな場合は、表を書くと良いでしょう。
確率の基本:Aの場合の数/全部の場合の数
独立・排反と反復試行
次は「独立・排反」の定義と、それを使った「反復試行の確率」を解説します。
その前にまずは「試行」という言葉について確認しましょう。
試行:繰り返し行うことのできる実験・観測などを試みること
例えば、「サイコロを振る」「コインを投げる」などの行為を試行と呼びます。
それでは次に、「独立排反の定義」を確認しましょう。
- 独立:2つ以上の試行において、どの試行も他の試行の結果に影響しない
- 排反:A・Bという2つの事象が同時に起こり得ない時、これらの事象は排反であるという
それでは、ジャンケンを例に考えてみましょう。このとき「ジャンケンをする2人(Aさん・Bさん)の強さは同じ」と仮定します。
まず、Aさんが2回目のじゃんけんで勝つ確率は$\frac{1}{2}$ですよね。
それでは、Bさんが1回目のジャンケンに勝ったとして、2回目にAさんが勝つ確率はいくつでしょうか?
1回目の結果は2回目の結果に影響しないため、当然「1/2」です。
このように、結果が他の試行に関係ない試行の場合、「1回目の試行と2回目の試行はそれぞれ独立である」と言えます。
次は、AさんとBさんがじゃんけんを1回したときに2人とも勝つ確率を考えましょう。
ここで2人とも勝つ確率はいくつでしょうか?
そうです、Aさん・Bさんの両方がジャンケンに同時に勝つという事象は起こり得ません。
このように、同時に起こり得ない事象だとのことを「排反」と言います。
それでは、独立と排反がわかったところで、反復試行の定義から学んでいきましょう。
反復試行:独立な事象を繰り返す試行のこと
先ほど「コインを3回投げて表2回・裏1回が出る確率を求める」という問題を解きましたね。
この「コインを3回投げる」というのは独立な試行の繰り返しであるため、反復試行と呼べます。
この問題の答えをどうやって求めたか覚えているでしょうか?
そうです、確率の基本となる解き方ですね。
しかし、実は反復試行の問題はもっと簡単に答えを求めることができます。
まず、コインを1回投げて表が出る確率と裏が出る確率をそれぞれ求めましょう。
それでは、表2回・裏1回が出たとき、それらの順番は何通りあるでしょうか?
これでもう、答えは出たも同然です。
表表裏・表裏表・裏表表の3通りについてそれぞれ起こる確率$\left(\frac{1}{2}\right )^3$$=\frac{1}{8}$で$\frac{1}{8}$ずつ、
これが3通りあるので$\frac{1}{8}$$\times 3$$=\frac{3}{8}$となります。
それではもう1問、反復試行の練習問題を解いてみましょう!
練習問題
問:さいころを4回振ったとき3の倍数の目がちょうど2回出る確率はいくつか求めよ
解説:さいころには6つの目があり3の倍数は3,6の2つなので、さいころを1回振って3の倍数の目が出る確率は$\frac{1}{3}$。逆に3の倍数以外の目が出る確率は$\frac{2}{3}$となる。
3の倍数の目の出る順番は${}_4 \mathrm{C}_2$の6通り。(ここがわからない人は「場合の数」を読んで復習しましょう!)
それぞれについて起こる確率は$\left(\frac{1}{3}\right )^2$ $\times \left(\frac{2}{3}\right )^2$$=\frac{4}{81}$ でありよって
$\frac{4}{81}$$\times 6$$=\frac{8}{27}$答え.$ \frac{8}{27}$
条件付き確率
次は条件付き確率について解説します。
条件付き確率とは、以下のことです。
条件付き確率:ある事象Aが起きたとわかっているという条件で事象Bが起きる確率
例を使って解説しましょう。ある人が、サイコロを1個振ったが出た目を見逃してしまいました。しかし、ちょうど通りがかった通行人が「出た目は奇数でしたよ」と教えてくれたとします。
この時、出た目が3以下である確率はいくつになるでしょうか?
正解です!
もし通行人がいなかった場合、出た目が3以下である確率は「1~6の中から1・2・3の3個」なので$\frac{1}{2}$~となります。
つまり、通行人がいなかったときは$\frac{1}{2}$だった確率が、通行人が「奇数だった」と教えてくれたことで$\frac{2}{3}$に変化したということ。
これは、「通行人が奇数だったと教えてくれた」という条件によって求める確率が変化したということです。
まとめると、「事象A(奇数)が判明したという条件で事象B(3以下)の確率を求める」のが条件付き確率ということになります。
条件付き確率:ある事象Aが起きたとわかっているという条件で事象Bが起きる確率
余事象
ここからは、「余事象とはなに?」「余事象を使うとなにができるか」までを解説します。
余事象の概念をつかむことで、一見複雑な問題でも簡単な計算であっさり解けてしまうことがあります!
まずは余事象とはなにかについて確認しましょう。
余事象:事象Aに対して「Aが起きない」という事象
例)コインを投げて表が出るという事象に対する余事象→コインを投げて表が出ない=裏が出るという事象
ではこの余事象を使うとなにができるのでしょうか。次の問題で見てみましょう。
問.コインを10回投げた時、少なくとも表が1回出る確率を求めよ
確かに一見複雑に見えますよね。
しかし、余事象を活用すれば簡単に解くことができます。
余事象とは、簡単に言えば「逆の事象」と考えても問題ありません。
今回の場合は、「表が少なくとも1回出る事象の逆」なので、「表が1回も出ない=全部裏が出る」という事象とも考えられます。
その通りです。そして、表が1~10回出るか、表が0回(=10回全部裏)かのどちらかが起きる確率は、合わせて1です。
つまり、表が0~10回の確率が1、表が0回の確率が$\frac{1}{1024}$ということは、表が1~10回の確率は$\frac{1023}{1024}$となります。
そうです!直接求めにくい計算でも、余事象を使うと簡単に解答できることが多いです。
ちなみに、余事象を使った方がいい問題には、文中に「少なくとも」というキーワードが入っていることが多いのでチェックしましょう!
余事象:事象Aに対して「Aが起きない」という事象(Aの逆の事象)
※「少なくとも」に注意!
期待値
ここまでの4つとは少し雰囲気の違う「期待値」を解説します。「宝くじを1枚買うと平均していくら当たるか」など、身近な疑問を解けるのが期待値の醍醐味です!
期待値:ある試行を行った結果として得られると期待される数値のこと
「サイコロを1回振る」という試行について考えてみましょう。
サイコロの目は、1〜6でそれぞれ$\frac{1}{6}$の確率で出るとすると、サイコロを1回振ったとき、出る目の期待値は、
$\frac{1}{6}\times 1 +\frac{1}{6}\times 2+\frac{1}{6}\times 3$
$+\frac{1}{6}\times 4+ \frac{1}{6}\times 5 +\frac{1}{6}\times 6$
$=3.5$
となり、1回サイコロを振るとき、期待できる出目は「$3.5$」となります。
期待値は以下の式で求められます。
期待値=(得られる数値)×(その数値が得られる確率)の合計
今回の例では、得られる数値がサイコロの出目の1〜6で得られる確率はすべて1/6になっているので、
$\frac{1}{6}$$\times 1……$$\frac{1}{6}$$\times 6$の合計が期待値ということになります。
それでは理解を深めるために、練習問題を解きましょう!
練習問題
問:ある夏祭りにはあんず飴の屋台があります。この屋台では200円で1回店主とじゃんけんができ、勝つと3本、引き分けると2本、負けると1本あんず飴がもらえます。200円払って1回じゃんけんをしたとき、もらえるあんず飴の本数の期待値はいくつでしょうか?
まずは起こり得る事象と確率を求めます。
表 じゃんけん結果 もらえる本数 起きる確率 勝つ 引き分け 負け 3本 2本 1本 $\frac{1}{3}$ $\frac{1}{3}$ $\frac{1}{3}$ 結果は上の表のようになります。
次に期待値の計算式から実際に期待値を求めていきます。
- 勝ち:もらえる本数:3本、確率: $\frac{1}{3}$→$\frac{1}{3}$$ \times 3=1$
- 引き分け:もらえる本数:2本、確率:$\frac{1}{3}$→$\frac{1}{3}$$ \times 2=\frac{2}{3}$
- 負け:もらえる本数:1本、確率:確率:$\frac{1}{3}$→$\frac{1}{3}$$ \times 1=\frac{1}{3}$
よって合計して1+2/3+1/3=2 となり求める答えは2本となります。
もう一度期待値の定義と計算式を確認しておきましょう。
- 期待値:ある試行を行った結果として得られると期待される数値のこと
- 期待値=(得られる数値)×(その数値が得られる確率)の合計
確率問題を攻略する最大のポイントは?
ここまで、確率のどこでつまずいているかを明らかにした上で、そのつまずきを解消してきました。
実は、今回の疑問に対しては、ある共通したやり方で解決していったのですが皆さんは気づきましたか?
そうです。さらに、公式という言葉も一度も使っていません。
多くの受験生は、たくさんの公式を覚えることに夢中になり、元々の言葉の意味を確認しないことが多いです。公式を頭にいれても、元の言葉の意味がわからなければ問題は解けません。
確率の攻略最大のポイントは、公式にとらわれず言葉の意味をしっかり確認すること。
また、確率に苦手意識を持つ人にありがちなのは「場合の数でつまずく」というものです。
実は、場合の数をしっかり身につけていないと確率の問題を解くのは厳しいことが多いです。なぜなら、確率の基本は「場合の数の割り算」であるためです。
確立問題は高1のときに習うはずなので、高1の段階で一通りは押さえておきたいところです。
問題演習は高2,3の期間でも取り組むので、焦って高1の間に完成させようとしなくてもOKです。使うべき参考書は以下のリンクを参考にしてください!
まとめ
- 表を見て悩んでいるポイントを明確にする
- 確率の攻略最大のポイントは公式にとらわれず言葉の意味をしっかり確認すること
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