共通テストの化学は理系受験生の多くが受験する科目ですが、その全体像を知らない高校1・2年生は多いのではないでしょうか?また受験生の中には「なかなか化学の点数が上がらない」と悩んでいる方も多いはず。
そんなあなたのために、この記事では【共通テストの化学】がどんな試験でどんな勉強をすれば点数を伸ばすことができるのか全て解説します!
共通テスト化学はどんなテスト?徹底的に把握!【設問構成・問題の特徴・大問ごとの配点】
どんなテストでもテストの全体像をしっかりと把握しておくことが良い得点を取るためには重要です。
まずは、設問の構成、問題の特徴、大問ごとの配点、試験時間など、チェックして共通テストの化学がどういった試験なのかを頭にいれましょう。
共通テスト化学は【大問5問構成】選択問題は?出題範囲は?
共通テストの化学は第1問から第5問までの大問5問構成です。
センターのときとは異なり選択問題はなくなりました。また出題範囲は化学基礎・化学の範囲全てからとなっています。
ですので、現役生にとっては最後の方に習う「天然高分子」「合成高分子」の範囲からの問題も得意な方を選ぶことは出来ない構成になりました。
共通テスト化学の特徴的な出題の仕方【教科書では出ない化合物】【対数表・対数グラフの扱い】
センター試験の頃と比べて問題の種類や問い方が大きく変わったわけではありませんが、共通テスト化学ならではの特徴が2つあります。
それは以下の通りです。
- 教科書では出ない化合物や言葉、現象が出題される
- 表やグラフの問題が頻出
それぞれ詳しく解説します!
教科書では出ない【指導要領外】の化合物や言葉、現象が出題される!?
まずは具体的に試行調査~2022共通テスト化学で出題された教科書では見られない内容をまとめてみます。
- イオン内電荷の偏りと水への溶けやすさ
- C1化学
- p-アミノフェノール、アセトアミノフェン
- アルギン酸
- シュウ酸イオンを配位子にもつ錯イオンの光化学反応
- 水素結合の結合エネルギー
このように学校では習わない指導要領外の内容も出題されるのが共通テストの特徴です。
問題文をしっかり読めば、これらの内容も「学校で習う範囲の知識」を用いて理解できるように作られているので、教科書以上のことを必死に勉強して準備する必要はありません。
それでも「見慣れない化合物を見かけたら手が止まる」ということがないように、慣れておく必要があります。
旧帝大レベルの大学群や一部の医学部なども、指導要領外の化合物を問題にすることがありますので、これらの大学を受験する受験生にとっては、共通テスト対策が個別試験の良い練習になるはずです。
常用対数表・対数グラフが使われる!?
30年度の試行調査では、次のような常用対数表を使って解かなければならない問題が出題されました。
引用:共通テストH30試行調査第4問・問3
また同じく第4問の問4では対数グラフと呼ばれるものが登場しています。
引用:共通テストH30試行調査第4問・問4
2020年の最後のセンター試験でも対数グラフは出題されて大きな反響がありました。
引用:2020年センター試験第2問・問3
多くの受験生にとって見慣れないグラフであることは間違いありませんから、高得点を狙っているのであれば、対策をしておくことも重要です。
共通テスト化学の配点は?各大問ごとの配点は?
共通テスト化学の満点は100点です。
大問5問構成ですから、大問1問あたり20点になっています。
ここ最近のセンター試験化学では前半の大問4つに90点分、後半2つに10点分という構成でしたから、大問ごとの配点は大きく変わったと言えます。
共通テスト化学の試験時間と時間配分は?制限時間内に解き終わるために知っておくべき1問の目安時間
センター試験化学の問題数(マークする数)は2018年が28、2019年が29、2020年が32だったのに対して、2021共通テストでは29、2022共通テストでは33と、マークする数は大きな変化はありません。
しかし、教科書では見かけない化合物も出てくる可能性が高いことから制限時間内に解き終わるのは難しくなったと言えます。
満点に近い得点を狙うのであれば、1マークあたり、1分半を目安にしましょう。
難しい問題はそれ以上の時間がかかることもあるでしょうが、34問(試行調査のときのマーク数)であれば、51分で解き終わりますので、残りの時間を十分に使えます。
共通テスト化学の【模試・予想問題集】で出題形式・時間配分に慣れよう!
共通テストの化学は制限時間内に正しく速く解く訓練をしないと目指す点数を得られないタイプのテストです。
また見慣れない言葉や化合物が出てきても焦らず問題文を読む癖を付けなければなりません。
各予備校が主催している模試は積極的に受けて、出題形式に慣れておきましょう。
また、予想問題集も各予備校、出版社が販売していますから、これらを活かして10回分ずつは練習しておくことがおすすめです。
共通テスト化学とセンター化学の違いは?【問題構成・配点・試験時間・出題形式】に違いはあるの??
ここまでにも共通テスト化学とセンター化学の違いはいくつか説明しましたが、ここで改めてまとめておきます。
大問の構成はセンターと大きく変わりました。
センター試験では大問6問構成で、最後の1問に関しては2つの大問から選択する形でした。
共通テストでは、大問5問構成で選択問題がなくなりました。そのため化学の後半の方で習う内容も必ず勉強しなければならない形になっています。
配点も問題構成の変化に合わせて変化していて、センター試験では第4問までに90点、第5問と選択した大問で合わせて10点でしたが、共通テストでは以下のようになっています。
- 第1問 20点 物質の構造・状態
- 第2問 20点 物質の変化と平衡
- 第3問 20点 無機物質
- 第4問 20点 有機化合物、高分子化合物
- 第5問 20点 年度によって変化(有機+α)
マーク形式で、試験時間が60分ということは変わりませんが、見慣れないものが出題されますから、時間内に解き終わるのは難しくなりました。
指導要領外からの出題が特徴的で、習ったことのない内容を、習ったことのある知識から推測して問題を解く能力が必要になります。
各項目のより詳細な説明は次の記事にまとめています!
共通テスト化学で【正確に】【速く】解くコツ3選
これまでに比べると制限時間内に解ききることはかなり難しくなっていますので、どれだけ正確に速く解くことができるかが高得点の鍵となっています。
速く正確に解くためのコツは以下の3つです。
- 分からない問題があったら悩まず飛ばす
- 計算の跡を残しながら進める
- 知識問題に時間をかけないようにする
それぞれについて詳しく説明します。
分からない問題があったら悩まず飛ばす
まずは分からない問題があったら悩まず飛ばす癖をつけましょう。
80点以上の高得点を安定して取るような受験生の多くは解ける問題については、ほとんど悩むことなく即座に手を動かすような解き方になっています。
そして解きやすい問題を素早く解くことで時間を稼いで、悩まなければ解けない問題に余った時間を使うというやり方で高得点を取ります。
共通テストのテスト形式では、分からない問題で悩んでいる時間は基本的にありませんので、一旦飛ばして後で帰って来る解き方にしていきましょう。
このとき、飛ばした問題には、飛ばしたことが分かりやすいように大きく丸を付けておくなどの印があると、戻って来る時に「どのページだったっけ?」と手間取らなくてすみます。
計算の形跡を残しながら進める
計算を暗算でやってしまってはいないでしょうか?
もしくは、後で読み返しても読めないレベルの字で計算をしていないでしょうか?
共通テストの化学では枠にあてはまる数字を選ぶ問題がいくつか出題されますが、計算ミスをしてしまうと、自分の計算結果と一致するものが選択肢にない状態になります。
このときに初めからその問題を解きなおすのか、自分の残した計算の跡を見返して解きなおすのかではかかる時間が変わってきます。
計算は後で見返しやすいように丁寧な字で分かりやすい位置に形跡を残しておきましょう。
知識問題に時間をかけないようにする
「適当なものを選べ」や「誤りを含むものを選べ」といった問題の中には、ほとんど知識だけで解けるような問題もあります。
知識だけで解ける問題に関しては、知識を一瞬で引き出せる状態を作っておく必要があります。
これに関しては過去問や予想問題、模試を通じて、知識問題なのに時間をかけてしまったと思える部分をしっかりつぶしていくしかありません。
共通テスト化学の対策を2段階に分けて解説!高得点を取るための勉強の【手順】
化学で高得点を取るための手順をまとめておきます。
この手順通りに勉強を進めれば目標の点数に到達するだけの学力が身に付きますので、ぜひ参考にしてください。
まずは基礎を身につける!教科書レベルの理解や暗記を十分に行おう!
教科書レベルの学習は非常に重要です。
特に共通テストに関しては、非常に難しい計算や構造決定などが出ることは試験時間的にあり得ません。
ですから基本的なことを全て理解して、覚えて即座に引き出せる状態になっておけば大丈夫です。
具体的には次のような手順で学習を進めましょう。
- STEP1
- 講義系参考書や映像授業で教科書レベルの内容を理解する
- STEP2
- 理解した内容に対応する問題を暗記できるまで繰り返し解く
- STEP3
- 過去問、予想問題、模試で演習をする
講義系参考書や映像授業で教科書レベルの内容を理解する
講義系参考書というのは講義口調で教科書レベルの内容を1つ1つ説明してくれている参考書です。
例えば、次のような参考書がおすすめです。
- 『宇宙一わかりやすい高校化学』シリーズ
- 『鎌田のDoシリーズ』
これらを使って書かれてあることを1つ残らず理解していきましょう。
参考書よりも授業を聞いて理解したいという場合には映像授業もおすすめです。
スタディサプリは月額料金で授業を視聴できるオンライン映像授業のサービスです。
映像授業であれば、参考書と違って最初から授業時間が決まっているので、のんびり進めてしまうということもない点でおすすめです。
理解した内容に対応する問題を暗記できるまで繰り返し解く
理解し終わった単元から順に問題集で暗記できるまで繰り返し解きましょう。
たとえば、高校から『セミナー化学』のような問題集を配布されている場合はそれを使いましょう。
他にも『化学の新標準演習』という問題集などもおすすめです。
1周目したくらいでは、全く暗記には至っていないでしょうから、間違えた問題にはバツを付けておいて、2周目、3周目と繰り返していきましょう。
暗記が不十分な所は『サイエンスビュー化学総合資料』などの資料集を必ず確認して、個々の物質の色や性質まで暗記していきましょう。
予想問題・過去問演習が必須!直前期にはこれをやれ!直前期対策の全て
12月に入ったら共通テスト対策を本格的に始めなければなりません。
センター試験を甘く見ていたせいで、入試で結果が出せなかったという受験生は毎年かなりいらっしゃいましたので、
共通テストでも12月以降は個別試験の準備よりも共通テストの準備に力をいれましょう。
共通テストの化学は、学校で習わない、もしくは問題集でも見かけないタイプの問題が出題されますし、制限時間にも慣れる必要があるため
予想問題、模試、過去問(センター試験)などを使って対策を進めていかなければなりません。
使い方は以下の通りです。
- STEP1
- 時間を計って解く(解答用紙を準備できるならそれを用いる)
- STEP2
- 時間オーバーで解けるところが増えるなら色を変えて解く
- STEP3
- 正解した問題も含めて解説を全部読む
- STEP4
- 解説を閉じて間違えた問題の解答を自分の手で再現する
- STEP5
- 間違えた問題にバツ印を付ける
- STEP6
- 間違えた問題の類題を解く
- STEP7
- 時間を置いて、バツ印の問題を解きなおす
- STEP8
- 点数の推移が分かるように記録する
- STEP9
- 暗記が足りなかったものは資料集や教科書で確認して暗記する
この手順を守って演習を繰り返せば、必ず点数は伸びていきます。
おすすめの予想問題集や詳しい使い方についてはこちらの記事を見てください!
まとめ
この記事のまとめです。
- 共通テストは大問5問で全て必答
- 指導要領外の物質や現象が出題される
- 基礎の理解と暗記をした後、予想問題や過去問で出題形式に慣れよう
目標得点別の対策については以下の記事を参考にして、あなたの勉強に活かしてみてください!
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