- 2025年度入試から学習指導要領の変更に伴い、各大学の入試配点や出題範囲の変更が予定されています。順次更新していますが、一部古い情報が含まれている可能性もあるので、記事の更新日を必ずご確認ください。
東工大の物理出題傾向
東工大の物理は例年大問が3つで、力学と電磁気の大問はほぼ毎年出題されています。
力学については単振動、電磁気については磁場、特に電磁誘導がらみの出題が多く見受けられます。
第3問は波動または熱力学について出題されることが多く、原子分野の出題はほとんどありません。
ですが過去には原子分野の問題も出しているため、油断せずに対策しておくのが無難でしょう。
東工大物理の各問題の特徴
大問構成はこのようになっています。
- 第1問 力学 記述式設問
- 第2問 電磁気 記述式設問
- 第3問 熱力学または波動 記述式設問
大問は3つで毎年変わらず、1題当たりの小問数は大体6問程です。
ほとんど全ての小問に、導出過程を記入する解答欄が設けられており、解くのに必要な運動方程式やその正答に至るまでの考え方を記述する必要があります。
また、グラフを描く問題や、物理現象の理由・説明などを字数制限付きで記述する問題もよく出題されています。
導出過程欄は記入する枠が小さめなので、すべての計算をそこに書き記すことはできないことが多いでしょう。
そのため、問題を解くために必要な根幹の考え方や式だけを記述することが必要になってきます。
東工大物理の時間配分の例
東工大物理の試験時間は120分です。
大問が3つであることを考えると1問あたりに40分の時間をかけることができるため、他大学と比べると時間に余裕のある出題形式です。
ですがその分、1問1問に重みがあり、しっかりと考え複雑な計算をしなければ答えにたどり着くことができないような問題が多いです。
時間配分の例
00:00 | 問題把握(3) |
00:03 | 第1問(35) |
00:38 | 第2問(35) |
01:13 | 第2問(35) |
01:48 | 見直し(12) |
東工大の物理は時間が十分にあり、どの問題もあまり難易度に差がないためどの問題から解いても大丈夫です。
試験が始まったらまず全体の問題を見てみて、自分の得意な分野から解くのもいいでしょう。
実際には、時間に余裕があるので解ける問題がないかを探しつつ、各大問を行き来するような解き方をする場合も多いはずです。
上の表はあくまでも目安と思っておき、過去問演習で慣れていくのが大事です。
東工大物理で必要な学力レベル
東工大の物理では試験時間が長いことに比例するように、思考力を要する難しい試験になっています。
そのため、標準問題しか解けないような力では合格点に達することはできません。
物理法則の根本が分かっていて、その基本に沿って解き進めていくことができるかがカギになってきます。
レーダーチャート
ここでは、学習塾STRUXが使用しているレーダーチャート分析をもとに、東工大の物理に必要な参考書・レベルをチェックしていきます。
東工大物理のレーダーチャートはこのようになります。
全体的に高いレベルの問題が出題がされ、分野ごとによる難易度の違いはさほど見られません。
そのため、すべての分野を満遍なく勉強しておくことが大切です。
東工大物理が解けるようになるためのレベル別勉強法
ここからは、東工大の物理で合格点をとれるようになるための勉強内容をご紹介します。
「これから勉強を始める!」という人ははじめから進めてほしいですし、「ある程度基礎はできている!これから東工大に特化していきたい!」という人は途中から読み進めてもOKです。
物理の基礎が身についているかのチェック
物理の勉強は学校の授業と並行して行うことでスムーズにすすめることが出来ますが、多くの学校では進度が遅く、高3の冬、入試ギリギリまで終わらないということもしばしばあります。
高3の夏前には全範囲の習い終わった状態にしておかないと、学習していない分野の基礎学力が身につかなくなってしまいます。
物理の基本が全く分かっていない人はこれまで習った範囲の復習も含め、以下の参考書で全範囲の知識の網羅と定着を並行して行います。
「スタディサプリ」などの映像授業を活用し、教科書レベルの基本知識を盤石にしていきます。
いきなり問題を解くことはできないため、まずは映像授業の視聴と付属の問題を解くことで身につけていきましょう。
すでに物理を学校で習っていたり、自分で勉強して物理の基礎の基礎は分かっているという人は飛ばしても構いません。
次に進むポイント
- 物理の苦手意識が少し薄れてきた
- 教科書の練習問題レベルの問題は解くことができる
- 映像授業や学校の授業の内容はすべて理解できた
入試問題の定石を把握するための問題演習
東工大入試や共通テストレベルの問題を解けるようになるには、理解だけでなく理解したことを問題を解く際に実践できることが大前提です。
ここからは頻出の解法を固めていくことで、まずは入試問題を解くための「武器」を身につけていきます。
これらの参考書で物理の基礎力を身に着けていきましょう。
「リードα」「セミナー」などは適宜学校で配布されたもので似たようなものを使っても構いません。
学校で配布されない場合、中古のものの購入や市販の「エクセル物理」などを活用しましょう。
問題数が多くレベルも幅広いため、知識の定着にも入試レベルへの飛躍にも最適です。
「リードα」「セミナー」には難しい問題も含まれているため、物理の基礎を身に着けたいという目的で使用するのであれば基本問題だけをピックアップして使うというのもよいでしょう。
「リードα」「セミナー」「物理のエッセンス」は同じような難易度であり、物理の基礎力を身に着けるのにうってつけの教材です。
「物理のエッセンス」が「良問の風」と同じ河合出版なのでお勧めです。
3つの内1つだけで良いので、終わらせて「良問の風」に移りましょう。
しっかりと解けるようになるまで間違えた問題は何周も繰り返し解き、定着させましょう。
これらを終わらせる時期としては3年生の夏休みの終わりまでが理想ですので、1つの目安にしてみてください。
次に進むポイント
- 「物理のエッセンス」の9割は理解して解くことができる
- 「良問の風」で8割の問題は解ける
- センター試験の過去問で80点くらいは取れる
東工大入試レベルまで引き上げる!入試形式の問題で演習
定石問題は身についたので、あとは東工大入試に向けて絞り込んでいくだけです。
入試問題は定石問題の組み合わせで出題されるため、実際の入試問題でどんどん演習していきます。
基本的な参考書をやり終えたら、東工大の過去問や東工大形式に似た問題で仕上げていきます。
特に特徴的な問題は過去問を解いてみないと解くコツが掴めないので、意識していきましょう。
- 過去問東工大の物理
- 過去問赤本(5〜10年分)
東工大の物理は過去問を解き、問題形式と要求される思考力を把握しておくことが大切です。
公式の丸暗記で解けるような問題はほとんど出されず、物理の基本原則をいかに理解しそれを使うことができるかが問われている試験です。
目新しい設定の問題が出されることも多く、自分でグラフを描くことで状況を把握することも重要になってきます。
そのため、普段から物理現象をイメージしながら納得の伴った問題演習をしていくことが大切です。
答えが出せたときは「指定された文字以外の文字を使っていないか」「単位は答えとして適切なものか」、「パラメーターを極端な値(0や無限大)にしてみて納得できるか」などを確認してケアレスミスを防ぐ練習をすることも重要です。
また、グラフを描く問題は頻出なので、過去問で何度も練習するのがおすすめです。
いずれにせよ、物理の基礎を固めたうえでたくさんの問題演習をすることが1番の近道です。
過去問は10年分以上解く人も多いので、そのつもりで過去問演習をしましょう。