- 2025年度入試から学習指導要領の変更に伴い、各大学の入試配点や出題範囲の変更が予定されています。順次更新していますが、一部古い情報が含まれている可能性もあるので、記事の更新日を必ずご確認ください。
理系国公立大学のなかでも屈指の難関・東京工業大学の数学は一筋縄ではいかず、総合力が問われる試験。そんな東工大数学ですから、きちんと傾向をつかんで必要な対策に絞っていくことが重要です。
この記事では、東京工業大学数学の攻略に必要な情報をすべて、レベルごとにお伝えしていきます。
東京工業大学の数学出題傾向
過去5年(2016-2020)の過去問から頻出分野を分析しましょう。東京工業大学の入試対策に活用してください。
4度出題されている積分・複素数平面・整数が最多となります。このうち、積分と複素数平面は数3の範囲です。数3がこれほど重要な分野であるにもかかわらず、多くの高校で扱うのは高3から。学校の授業は大切にすべきであるとよく言われますが、少なくとも進度に関しては学校を当てにせず、自主的に先行して学習をしていかないと入試レベルの問題演習に時間を確保できず手遅れとなります。
数1A2Bに関しては、教科書で扱うレベルと東京工業大学のような難関大学レベルの間に大きなギャップがあるため、入試問題を使った演習にどれだけ取り組んできたかが勝負の分かれ目となります。そのため、基本事項の習得が済んだらすぐに入試問題に触れていきましょう。
東京工業大学数学の各問題の特徴
大問構成はこのようになっています。(出題内容は2020年の例)
- 第1問 記述式設問
第1問は数Aから、整数の出題でした。
- xで表された式が、3で割った際に2余るような自然数xを全て求める問題。
- (1)がより複雑になった設問。
- 第2問 記述式設問
第2問は数3の複素数平面が出題されました。
- 平面上の三角形が正三角形となる条件を求める問題。
- (1)で考えた正三角形の外接円の半径を用いて、与えられた式の値を表す問題。
- 第3問 記述式設問
第3問は数Bのベクトルからの出題でした。
- 平面と直線の交点の座標を求める問題。ベクトル分野の標準的なレベル。
- 4つの点が同じ円周上にあるための条件を求める問題。
- 第4問 記述式設問
第4問は数3の積分でした。
- 円の面積を求める問題。積分分野では頻出。
- 積分を使って、立体の体積を求める問題。
東京工業大学の数学は大問1つあたり2つの小問から構成される場合が多く、どの設問も誘導形式になっています。典型的な問題は少なく、その場で考える力をかなり要求してきます。大問4つで試験時間180分という長さからも、難度の高さが窺えます。
東京工業大学数学の時間配分の例
東京工業大学の数学は試験時間180分です。
方針としては、まず問題全体を眺め、比較的取り組みやすそうな、完答できそうな設問から解いていくことになります。また、1つの問題に長時間足止めされると思考が行き詰まり、他の問題に割く時間もどんどん減っていきます。そのため自分で時間を決めておき(5分ほどがおすすめ)、ずっと手が止まっていたら一旦他の問題に移り、後ほどまた戻ってくると思考がスッキリと整理され、解ける可能性がアップします。
時間配分の例
00:00 | 第1問 記述式設問(45) |
00:45 | 第2問 記述式設問(45) |
01:30 | 第3問 記述式設問(45) |
02:15 | 第4問 記述式設問(45) |
時間配分の目安はこのようになりますが、大問ごとにきっちり時間を区切って順番に解こうとすると、難度の高い東京工業大学の問題では行き詰まっていつまでも先に進めなくなりかねません。頭も手も止まって泥沼化する前に、いったん別の問題を考えてみると突破口が開けたりするので意識してみてください。
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東京工業大数学で必要な学力レベル
東京工業大学ではいわゆる典型問題の出題はほぼみられず、その場で考えさせる問題が並びます。共通テストや他大学と比べ、とっつきにくい設問が多くを占めます。得点の目標としては、大問2つを完答し、残り2問は比較的考えやすい(1)を取り、(2)では部分点を集めて合計7割ほどを取る、といった目標にしたいところです。解答の糸口をいかに見つけられるかが勝負になるため、計算ミスで取りこぼすことのないように日頃から正確な答えを出すことを心がけておきましょう。
東京工業大学数学が解けるようになるためのレベル別勉強法
ここからは、東京工業大学の数学で合格点をとれるようになるための勉強内容をご紹介します。「これから勉強を始める!」という人ははじめから進めてほしいですし、ある程度基礎はできており、これから東京工業大学に特化していきたい!という人は途中から読み進めてもOKです。
数学の基本、教科書レベルのチェック
東京工業大学は全国でも屈指の難関ですが、いきなり難しい問題に手をつけても実力向上は望めません。
数学が「苦手!」という場合は、まずその苦手を払拭するため、基礎の基礎から取り組むべきです。以下のチェックリストに当てはまる場合は、まず一番基本的な問題集から取り組むようにしましょう。当てはまらない場合は次のレベルへとスキップして構いません。映像授業などを通した教科書レベルの内容理解と復習に取り組みましょう。
- 教科書に載っている内容や学校の授業を正直ほとんど理解できていない
- 数字がそもそも苦手
- 学校の授業を全然聞いていなくて、テストでも赤点ギリギリ
これらの項目に一つでも当てはまる場合は、以下の参考書からスタートしましょう。
こちらの「ひとつひとつわかりやすく」シリーズは、教科書レベルよりも易しい参考書です。できれば高2前半まで、どんなに遅くても2年生のうちには終わらせておかないと、入試レベルの問題演習に十分な時間が取れず、受験本番には間に合いません。
「スタディサプリ」などの映像授業を活用し、教科書レベルの基本知識を盤石にしていきます。数学は最低限の知識がないと問題を解くのは困難ですから、まずは映像授業の視聴と付属の問題を解くことで身につけていきましょう。
次に進むポイント
- 数学の苦手意識が少し薄れてきた
- 数学1A2Bではどのようなことを学ぶのか、またどういった問題が出るのか把握できた
- 映像授業や学校の授業内容はすべて理解できた
東工大入試に必要なアウトプットの力を磨く問題演習
東工大入試や共通テストレベルの問題を解けるようになるには、重要事項をただ理解するだけでなく、問題を解く際に使う能力が必須です。ここからは頻出の解法を固めていくことで、入試問題を解くための「武器」を身につけていきます。
入試問題を解くための土台づくりとして長年受験生から支持を得てきたチャート式。特に東工大を受験するのであれば青チャートが最適です。このシリーズを使って、問題を解くための道具を揃えましょう。何度も繰り返し学習して、徹底的に身につけることが重要です。
数学1Aと2Bの青チャートは高2の間には終わらせておくべきです。
1Aと2Bの青チャートが終わったら、共通テストやその前身のセンター試験の過去問を使って演習を行いましょう。難関大学を目指す人が数学で失敗しやすいパターンのひとつに、共通テストの対策を軽視して本番でしっぺ返しを食うというケースがあります。確かに東工大の二次試験に比べれば共通テストは簡単かもしれません。しかし、十分に練習して独特な誘導形式に慣れておかないと、いきなり本番でスラスラ解くことは難しいのです。学習のタイミングとして、1A2Bの青チャートをひととおり終えた今がベストです。共通テストの問題はこの時期にちょうどよいレベルなので、蔑ろにせずきちんと演習しておきましょう。
次に進むポイント
- 「青チャート」の「レベル3」までは完璧に解ける
- 「青チャート」の「レベル4・5」は7割以上解ける
東工大入試に必須の「数学3」は予習が前提。早めに演習演習へと移ろう
理系学部に必須の数学3。1A2B以上よりも量が多い割に、高校では3年から教えるようなところもザラにあるため、自分で先行して学習していかないと東工大入試には到底間に合いません。高校の進度に合わせていると演習の時間が十分に取れないまま入試を迎えることになってしまうのです。
数学3は現役生であれば夏前までに「青チャート」のレベル3あたりまでは最低限解けるようにしておきたいので、高3になる頃には少しずつ予習を「スタディサプリ」などでスタートさせて計画的に進行させましょう。特に公立高校でよくみられるのが、「学校で習ってないから数3はまだやらなくていいや」という人です。このパターンは非常に危険です。数3は必ず予習メインに学習を進めていきましょう。これだけで多くのライバルに差をつけることができます。
数3青チャートは高3の夏前には終わらせましょう。
次に進むポイント
- 数学3の教科書レベルの内容や学校の授業はすべて理解できた
- 「青チャート」のレベル3あたりまではすべて解ける
東工大入試レベルまで引き上げる!本番形式の問題で演習
定石問題はここまで身につけてきたので、ここからは東工大入試に向けてさらに照準を絞り込んでいきましょう。東工大の入試問題は一筋縄でいくものではありませんが、定石問題の演習によって基本知識をより高いレベルでアウトプットできるようにしておけば、本番でも問題解決の糸口がつかみやすくなります。ここが過去問演習前の踏ん張りどころです。
数学3は微分・積分を筆頭に計算量が非常に多く、本番では計算ミスが命取りになります。当然ながら、たとえ問題の解き方がわかっても、計算が間違っていれば正しい答えには辿り着けず点がもらえません。1点の争いとなる東工大入試本番で悔いの残らないよう、普段から計算演習は怠らずやっておきましょう。
基本的な参考書をやり終えたら、東工大の過去問で仕上げていきます。東工大に特徴的な、時間をかけて考えさせる問題は過去問を解いてみないとコツが掴めないので、過去問演習は入試本番で点を取るために不可欠な学習です。
- 過去問東工大の数学20カ年
- 過去問赤本(5〜10年分)
直近10年ほどの過去問は赤本で時間を測って取り組みましょう。実際に解く順番を意識するかしないかで本番の得点率が大きく変わってくるため、秋の大学別模試以降、仕上げに使っていきましょう。
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STRUXの「参考書マップ」は、受験までにやるべき勉強を「順番通りに」すべて洗い出したもの。「いつまでに」「どの順番で」勉強をすればいいかがひと目で分かるので、あとはこの通りに勉強するだけ!という状態になります。
- 「どの順番で」参考書に取り組めばいいかひと目でわかる!
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