- 2025年度入試から学習指導要領の変更に伴い、各大学の入試配点や出題範囲の変更が予定されています。順次更新していますが、一部古い情報が含まれている可能性もあるので、記事の更新日を必ずご確認ください。
慶應義塾大学理工学部の物理は典型的な設定を扱う問題が多いですが、高度な思考力や計算力が求められるため、難易度としてはやや高めです。
この記事を参考に、しっかりと入試の出題傾向をつかんで、十分な対策をしておきましょう。
慶應義塾大学理工学部の物理出題傾向
大問3題のうち、例年力学・電磁気・その他分野から1題ずつ出題されています。力学と電磁気以外では、波動か熱力学が交互に出題される傾向にあります。
力学では2物体の衝突・ばねの単振動といった内容が頻出で、複数の物体を扱う問題では相対運動の考え方が重要になります。観測する基準によって物体がどのように運動するのか、問題演習を通じてしっかり考え方を身につけておきましょう。
電磁気では電気と磁気の関係・平行板コンデンサーがよく扱われます。「磁場の中を運動する導体棒」といった設定は頻出なので、確実に解けるようにしておきましょう。
熱力学では気体の分子運動や気体の状態変化、波動では波の干渉やドップラー効果が頻出です。いずれも典型的なテーマなので、市販の問題集で一通りの出題パターンを網羅しておきましょう。その上で、過去問演習により応用力を高めておきましょう。
原子分野の出題頻度は高くありませんが、近年では2020年度に出題されているため、今後も出題される可能性は十分あります。少なくとも光電効果・コンプトン効果といった基本的な内容はしっかり押さえておきましょう。
慶應義塾大学理工学部物理の各問題の特徴
大問構成は例年このようになっています。
- 第1問 力学記述式設問
- 第2問 電磁気記述式設問
- 第3問 熱力学または波動記述式設問
大問3題構成で、例年力学・電磁気・その他分野から1題ずつ出題されています。前半は単純な条件設定で、後半になるにつれ複雑な条件が追加されていくパターンが多いです。いずれも文章中の空欄に式や数値を補充していく形式であり、部分点がないため、計算ミスには十分注意しましょう。
慶應義塾大学理工学部物理の時間配分の例
試験時間は、理科2科目で120分。単純計算で物理に割けるのは60分なので、厳しい時間設定と言えます。典型的な問題が多いですが、計算量が多く難問が含まれることもあるので、解きやすい問題を見極めて確実に点数を確保することが重要です。
時間配分の例
00:00 | 第1問 力学記述式設問(20) |
00:20 | 第2問 電磁気記述式設問(20) |
00:40 | 第3問 熱力学または波動記述式設問(20) |
単純計算で1題あたり20分ですが、実際には解ける問題により多めに時間を使うといった傾斜配分が必要になるでしょう。まずはすべての問題をざっと眺めてみて、解答方針の予想がつくものから手をつけるのがセオリーです。後半の小問になるにつれて条件設定が複雑になる傾向にあるため、各大問の前半の小問を先に解いてしまうのも1つの手です。
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慶應義塾大学理工学部物理で必要な学力レベル
慶應義塾大学理工学部の物理は、典型的な設定の問題が出題されることが多いため、まずは全範囲において定石問題を確実に解けるようにしておく必要があります。その上で、頻出分野である力学や電磁気については難問レベルまでしっかり演習しておくと良いでしょう。
典型問題が多いといっても、物理現象を正しく把握する理解力が求められるため、公式丸暗記では太刀打ちできません。複雑な問題であっても、与えられた条件や物理現象を正確に把握し関係式に落とし込めるよう、様々な問題パターンに触れておきましょう。
レーダーチャート
ここでは、学習塾STRUXが使用しているレーダーチャート分析をもとに、慶應義塾大学理工学部の物理に必要な参考書・レベルをチェックしていきます。
慶應義塾大学理工学部のレーダーチャートはこのようになります。
すべての分野において高いレベルが求められます。
典型的な条件設定の問題が多いですが、高度な思考力や計算力を要する問題が出題され、時間配分も厳しいです。本番で考え込む時間はないため、問題を見たら解答の方針に予想がつくぐらいに問題演習をやり込んでおきましょう。
力学
力学はレベル4。円運動や単振動、物体の衝突や落下運動など、典型的な題材が頻出です。典型的といっても簡単なわけではなく、関係する物体を同時に動かしたり、観測者が動いている状態で相対運動を考察したりと、複雑な条件が設定されることもあり、高度な思考力が要求されます。
電磁気
電磁気はレベル4。磁場と電流・誘導起電力・コンデンサー・コイルといったテーマが頻出です。テーマ自体は一般的な問題集でもよく見られるものなので、解き方が全く分からないといった難問はほぼ出ません。複雑な条件設定でも、問題文を丁寧に読み込み関係式を整理していけば解けるはずです。ただし計算が煩雑な問題が多いため、計算力もしっかり磨いておきましょう。
熱力学
熱力学はレベル4。気体の分子運動論や気体の状態変化といった典型的なテーマがよく出題されます。熱力学の分野では、状態方程式や熱力学第一法則など使える公式が限られるため、物理現象を把握できれば解答の方針は立てやすいはずです。過去問演習などで、いろいろな問題パターンに触れ、慶應理工学部の出題傾向に慣れておきましょう。
波動
波動はレベル4。近年はドップラー効果や波の干渉・屈折といったテーマが出題されています。簡単ではありませんが典型的な条件設定が多いので、現象を丁寧に押さえていけば解けるはずです。直感的にイメージがしにくい分野なので、やみくもに問題をこなしてパターンを暗記しようとせず、問題演習の際は解説も読み込んで理論をしっかり理解しておきましょう。
原子
原子はレベル4。出題頻度は少ないですが、近年では2020年に出題がありました。誘導があるため手が出ない難易度ではありませんが、対策が手薄になりがちなので注意が必要です。光電効果、コンプトン効果、ド・ブロイの式といった基本事項は確実に押さえておきましょう。慶應理工学部の過去問だけでは問題が少ないため、慶應医学部や東大・京大の過去問を活用するのも手です。
慶應義塾大学理工学部物理が解けるようになるためのレベル別勉強法
ここからは、慶應義塾大学理工学部の物理で合格点をとれるようになるための勉強内容をご紹介します。「これから勉強を始める!」という人ははじめから進めてほしいですし、「ある程度基礎はできている!これから慶應義塾大学理工学部に特化していきたい!」という人は途中から読み進めてもOKです。
まずは基礎固め。教科書レベルの内容を完璧にしよう
物理の勉強は、基本的に学校の授業や定期テストと並行して行うと良いでしょう。ただし3年生で履修する範囲は、学校の授業の進度が遅いと入試対策が間に合わなくなるため、2年生の終わり頃から予習をスタートさせましょう。
これまで習った範囲の復習も含め、以下の参考書で全範囲の知識の網羅と定着を並行して行います。
上記教材は3年生の夏前までに終わらせておきましょう。
「スタディサプリ」などの映像授業を活用し、基本となる教科書レベルの知識を完璧にします。いきなり問題を解くことはできないため、まずは映像授業の視聴と付属の問題を解くことで、しっかり基礎固めをしておきましょう。
「リードα」「セミナー」などは適宜学校で配布されたもので似たようなものを使っても構いません。学校で配布されない場合、中古のものの購入や市販の「エクセル物理」などを活用しましょう。問題数が多くレベルも幅広いため、知識の定着にも入試レベルへの飛躍にも最適です。
次に進むポイント
- 物理の苦手意識はほぼない
- 物理で扱う内容や、基本的な問題は把握している
- 映像授業や学校の授業の内容はすべて理解できた
慶應義塾大学理工学部入試攻略の鍵となる「定石」を把握する問題演習
慶應義塾大学理工学部の物理では、典型的な条件設定の問題が多く出題されるため、まずは各分野の定石問題をしっかり解けるようにしておくことが重要です。また本番ではスピードも求められるため、定石問題は見た瞬間に解法が思い浮かぶくらいの勉強が必要です。
上記のテキストは、3年生の夏休み中には終わらせましょう。
ほとんどの問題を自力で解けるよう、間違えた問題を中心に徹底的にやり込んでください。正解した問題でも解説には目を通し、物理現象への理解を深めておきましょう。
次に進むポイント
- 「物理のエッセンス」で9割以上は解ける
- 「良問の風」で9割以上は解ける
入試形式の問題で総仕上げ!慶應義塾大学理工学部入試レベルまで引き上げる
定石問題を身につけたらよりハイレベルな問題集に取り組み、慶應義塾大学理工学部入試レベルまで実力を引き上げましょう。
上記2冊を完璧にすれば、高校物理の標準的な問題はほぼ確実に解けるはず。間違えた問題はしっかり復習し、類題が出たらスラスラ解けるくらいにやり込んでおきましょう。
ここまで問題集をやり込んだら、3年生の秋頃からは過去問演習に取り組み、慶應義塾大学理工学部物理の出題傾向に慣れましょう。
- 過去問赤本(5〜10年分)
過去問には必ず時間を計って取り組みましょう。慶應義塾大学理工学部物理は時間にあまり余裕がないため、解けそうな問題を見極め、限られた試験時間内に解ける問題を確実に解くことを意識してください。