場合の数と聞いて嫌なイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
「しっかり数え上げたはずなのに答えが合わない……」
「答えを出すことはできるけど時間がかかりすぎる」
などのお悩みを抱える方必見!場合の数の勉強法や、ミスなく素早く答えを出すために押さるべきポイントをお伝えします!
場合の数の勉強の手順は?
場合の数は、中学レベルでも少しややこしいですし、高校レベルになると問題のパターンが増えて「どう解けばいいのか良く分からない」と思っている方も多いと思います。
そんな場合の数ですが、苦手な人でも次の流れで勉強を進めれば攻略することが可能です!
- ステップ1
- 「$!$」「$\mathrm{P}$」「$\mathrm{C}$」などの記号の意味を理解する
- ステップ2
- 解き方のパターンを暗記する
- ステップ3
- 問題演習で知識を定着させる
それではそれぞれのステップについて詳しく見ていきましょう!
記号の意味を理解して計算できるようになろう!
最初のステップは記号の意味を理解して計算できるようになることです。
「場合の数」の問題は全ての「通り(事象)」を数え上げることで解くことはできますが、限られた試験時間の中で200通り~300通りを全て書き出すのは現実的ではありません。
また$n$などの文字を使って解答しなければならない問題に樹形図で挑むことはできませんよね。
そこで役に立つのが、「$!$」「$\mathrm{P}$」「$\mathrm{C}$」といった記号や、この記号を使った解法です。
「$!$」「$\mathrm{P}$」「$\mathrm{C}$」って何?
新しい記号を習ったときには「定義」を覚えて、計算に使えるようになることが重要です。
「$!$」「$\mathrm{P}$」「$\mathrm{C}$」のそれぞれの定義を覚えて、計算ができるようになっておきましょう。
階乗の記号「$!$」
「$!$」は「階乗(かいじょう)」の記号で、以下の定義のように$1$から$n$までの全ての数字のかけ算したものを表します。
- $n!$:「$n$の階乗」と読む。
- $n!=n\times(n-1)\times(n-2)\times\cdots\times3\times2\times1$
具体例をいくつか見てみましょう。
$5!=5\times4\times3\times2\times1=120$
$7!=7\times6\times5\times4\times3\times2\times1=5040$
このような形で積を計算するだけですね。
階乗の計算は易しいので、1度覚えれば忘れることはないでしょう。
順列の記号「$\mathrm{P}$」
次は「順列(じゅんれつ)」の記号「$\mathrm{P}$」です。順列を英語で「Permutation」というので「$\mathrm{P}$」を使います。
「順列」という言葉の意味は後で解説するので、ここではまず「記号の定義」を覚えて計算できるようになりましょう。
- $_n\mathrm{P}_r$:「エヌ・ピー・アール」と読む。
- $_n\mathrm{P}_r=n\times(n-1)\times\cdots\times(n-r+2)\times(n-r+1)$
文字列を使った定義も必ず頭に入れて欲しいですが、このままの形だと少し意味が理解しにくいかもしれません。
「$_n\mathrm{P}_r$は$n$からかけ算を始めて、$r$個かけ算したもの」と覚えるといいでしょう。
たとえば$_5\mathrm{P}_3$だと「5からかけ算を始めて3個かけ算したもの」なので、
$_5\mathrm{P}_3=5\times4\times3=60$
となります。他にも具体例をいくつか見ておきましょう。
$_{10}\mathrm{P}_4=10\times9\times8\times7=5040$
$_3\mathrm{P}_3=3\times2\times1=6$
具体的に見ればそれほど難しくはないですよね!
組み合わせの記号「$\mathrm{C}$」
最後は「組み合わせ」の記号「$\mathrm{C}$」です。英語の「Combination」という単語から「$\mathrm{C}$」という記号が来ています。
「組み合わせ」という言葉の意味は後で解説するので、ここではまず「記号の定義」を覚えて計算できるようになりましょう。
- $_n\mathrm{C}_r$:「エヌ・スィー・アール」と読む。
- $_n\mathrm{C}_r=\displaystyle\frac{n\times(n-1)\times\cdots\times(n-r+2)\times(n-r+1)}{r\times(r-1)\times\cdots\times2\times1}$
こちらも、文字の定義を見ても意味を理解しにくいので、言葉と具体例で慣れていきましょう。
Cは分母と分子に分かれていますが、実は分子は「$_n\mathrm{P}_r$」と同じで、分母は$r!$となっています。
なので、「$n$から始めて$r$個かけ算して、それを$r$の階乗で割り算する」と覚えるといいでしょう。
具体例を見てみます。
$_5\mathrm{C}_3=\displaystyle\frac{5\times4\times3}{3\times2\times1}=10$
$_8\mathrm{C}_4=\displaystyle\frac{8\times7\times6\times5}{4\times3\times2\times1}=70$
こちらも具体的な数字を入れるとそれほど難しくはありません。
場合の数は「順列」と「組み合わせ」の解法パターンを覚えればOK
記号の意味が分かって、計算ができるようになったら、次はその記号を「どんな問題」のときに「どう使うか」を覚えていきましょう。
実は「場合の数」は「順列」や「組み合わせ」と言われる典型的な問題の解法パターンを頭に入れるだけでほとんどの問題が解けてしまいます!
この2つを順に見ていきましょう。
順列の基本
まずは順列の基本をインプットしてください!
順列とは?
「順列の問題」を易しく言い換えると、「並び替えると全部で何パターンの並び方を作れるか」を計算する問題と言えます。
1番基本的なのは次のような問題です。
ABCDEの5人から3人を選び、その3人を一列に並べるとき、その並べ方は何通りあるか?
樹形図的に考えると、「AB〇」の〇の中に入るのがC,D,Eの$3$通り。
「AC〇」「AD〇」「AE〇」なども同様に$3$通りずつで、合計すると「A○○」で$4\times3$通りあります。
「B○○」「C○○」「D○○」「E○○」も$4\times3$通りずつあると考えると、全部で$5\times4\times3=60$と求められます。
このように「異なる$5$個(人)から$3$個(人)を取ってきて、1列に並び変える並び替えの総数」は全部で$_5\mathrm{P}_3$で表すことができます。
より一般的に言うと、
「異なる$n$個(人)から$r$個(人)を取ってきて、1列に並び変える並び替えの総数」は全部で$_{n}\mathrm{P}_{r}$で表すことができる。
となります。
「$n$個から$r$個取ってきて並び替えは$\mathrm{P}$を使う」と覚えておくといいですね!
順列の典型的なパターンと覚えるべきキーワード
順列は他にも、いくつか典型的なパターンがありますが、「この問題が来たらこう解く」という暗記に役立つ知識もまとめておきます!
以下に解き方の「キーワード」をまとめているので、問題集を解くときに解き方を理解するとともに、キーワードも覚えていきましょう!
キーワードを覚えているだけでも解き方を思い出しやすくなります!
- 数字の並び替えの問題
- 「1の位の場合分け」と「順列の$\mathrm{P}$」
- 人の並び替えの問題
- 「1組にまとめる」と「順列の$\mathrm{P}$」
- 円順列の問題
- 「1つ固定」と「1組にまとめる」と「順列の$\mathrm{P}$」
- じゅず順列(難)の問題
- 「1つ固定」と「反転の重複を消す」と「順列の$\mathrm{P}$」
- 重複順列の問題
- 「順列の$\mathrm{P}$は使わない」
組み合わせの基本
場合の数の2題テーマの2つめ、「組み合わせ」について見ていきましょう。
組み合わせとは?
「組み合わせの問題」を易しく言い換えると「組の作り方のパターンが何パターンか数える問題」となります。
1番典型的な問題を見ていきましょう。
ABCDEの5人の中から図書委員を3人を選ぶとき、その選び方は何通りあるか?
先ほどの1列に並べていた問題だと「ABC」と「ACB」は違うものとして扱っていましたが、今回は1列に並べる必要がないので「ABC」も「ACB」もひとくくりで考えます。
これ以外にも「BAC」「BCA」「CAB」「CBA」も同じグループとして考えることが分かりますね。
同様に「ABD, ADB, BAD, BDA, DAB, DBA」なども6カウントではなく、1カウント分で扱います。
このように「異なる$5$個(人)から$3$個(人)を取ってくる組み合わせの総数」は全部で$_5\mathrm{C}_3$で表すことができます。
より一般的に言うと、
「異なる$n$個(人)から$r$個(人)を取ってくる組み合わせの総数」は全部で$_{n}\mathrm{C}_{r}$で表すことができる。
となります。
「$n$個から$r$個取ってくるのは$\mathrm{C}$を使う」と覚えておくといいですね!
組み合わせの典型的なパターン
組み合わせについても、典型問題と解き方を思い出すためのキーワードをセットで覚えておきましょう!
- 図形の問題
- 「頂点から適切に選ぶ」と「組み合わせの$\mathrm{C}$」
- 組み分けの問題
- 「人数が同じ組を後で割り算」と「組み合わせの$\mathrm{C}$」
- 重複順列の問題
- 「同じものが入る場所を選ぶ」と「組み合わせの$\mathrm{C}$」
- 最短経路の問題
- 「同じ方向が入るタイミング」と「組み合わせの$\mathrm{C}$」
詳しい解説は『青チャート』などの分厚い網羅系問題集でチェックしてみてください!
青チャートの詳しい使い方はこちらの記事で解説しています!
場合の数攻略のポイント2選
最後に場合の数を攻略するためのポイントを2つ解説します!
- 理解してから「どの解き方を使うか」を暗記する
- 必ず手を動かして計算する
まず1つ目は「どの解き方を使うか」を理解した上で暗記すること。
場合の数の問題で、理解するのが難しいのはほんの一部です。
ただし、ランダムに問題が出されたときに、どの解き方を使うのか判断するのは簡単ではありません。
これができるようになるためには、しっかり教科書レベルの内容を理解した上で、徹底的に問題演習をくり返すのが王道のやり方です。
さらに演習をするときには、計算力も同時に鍛えるために、手を動かして自分で計算をするようにしましょう。
手を動かして計算をすることで、定着するのも早くなる効果があります!
まとめ
場合の数は「順列」と「組み合わせ」の問題ができるようになるだけでもほとんどの問題が解けるようになります。
この記事で勉強したことを踏まえて、問題演習に取り組んで見てください!
- 記号を理解して計算をできるようになろう!
- 「$!$」「$\mathrm{P}$」「$\mathrm{C}$」の計算ができるように!
- 解き方を理解して、どの解き方を使うか演習を通して覚えていこう!
- 必ず手を動かして自力で計算するのが重要!
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