こんばんは!
学習塾STRUX塾長で、ストマガを監修している、橋本拓磨です。
今回の記事でも、最近よくある受験生の悩みに答えていければと思います!
今回は、勉強の一番初めにつまずく「英語の単語帳」についての話題。じつは単語帳についてはものすごくたくさん質問が来ているんですね。
ターゲット1900を使っているんですけど、早稲田などの単語が難しくて足りないのではないかと思っています。他に追加で単語をやったほうがいいんでしょうか?
東大受験には鉄壁がいいと聞くんですが、いまひとつわかりません。ターゲットじゃだめなんですか?
英検の勉強も兼ねてパス単で覚えようと思うんですが、ターゲットとかのほうがいいんですか?
自分のレベルに合った単語帳がよくわかりません。また1冊を完璧にするのがいいと聞いたことがあるんですが、本当ですか?
単語帳にいい悪いはあるんですか?
たしかに、今自分が使っている単語帳でも「このまま使っていていいのかな……」「レベルはあっているのかな……」と不安に思うことって結構ありますよね。
今回は意外と悩みがちな単語帳について、良し悪しはあるのか?おすすめの単語帳は?というところと、正しい使い方を紹介します。
単語帳に良し悪しはあるの?
まずそもそも、単語帳に「良い」「悪い」はあるのでしょうか?
結論から言うと、「単語帳に良し悪しはない」といってよいです。一番は自分が使いやすいと思える単語帳であればOKです。周りの人と違うとか、なんとなくメジャーな単語帳のほうがいいんじゃないかとか、ついついいろいろ考えてしまいますが、自分が使いやすいものであったり、学校で配られていて使い慣れているものであったりしても問題ありません。
ただし、一つ条件があります。
単語帳は何を使ってもそんなに問題ないんですが、単語帳のレベルだけは気をつけて選ぶようにしましょう。
これはよく陥ってしまう落とし穴なのですが、レベルに合っていない単語帳を使うと、基本的な単語が覚えられていない状態でなかなか点数が上がらなかったり、逆に志望校に必要な単語が網羅できずこれも点数につながらないという事態になってしまいます。
一見志望校のレベルに合わせた難しい単語帳さえ覚えていればよさそうですが、入試で出る単語はほとんどが基本的な単語で、難しいものはごく一部ですし、難しい単語帳には基本的な単語はあまり載っていませんから、基本的な単語が抜け落ちてあまり長文を読めない、ということになってしまいます。
単語帳のレベルは以下の表を参考にしてみてください。
レベル | おすすめ単語帳 |
---|---|
中学レベル (教科書レベルの 単語でつまずく) |
中学ターゲット ターゲット1200 ユメタン0 |
高校基礎レベル (高1〜2、 これから勉強する) |
ターゲット1400 ユメタン1 システム英単語Basic Stock3000 |
難関大レベル (MARCH以上志望で、 基礎まで出来ている) |
ターゲット1900 システム英単語 ユメタン2 Stock4500 |
最難関大志望レベル (早慶・旧帝志望で、 基礎単語はわかる) |
単語王 鉄壁 データベース5500 |
単語で最難関レベルを要求されるのは、実は早稲田・慶應・上智などの私立大学や東京外国語大学、大阪大学外国語学部などで、その他の大学では時間の余裕次第で基本的にターゲット1900レベルまでできていれば戦えるようになっています。残り時間との兼ね合いでうまく使っていけると良いでしょう。
おすすめの単語帳を教えてほしいです!
とはいったものの、いろいろな単語帳を挙げすぎてよくわからない!とか、これから使うからどうせならおすすめのものを使いたい!という人もいるでしょう。
そんな人のために、学習塾STRUX塾長がおすすめする単語帳を2つ、ご紹介します。
シンプルかつ語彙が多いものがいい
基本的には2つの基準で選んでほしく、それは「構成がシンプルであるもの」かどうかと、「語彙が多く掲載されているもの」であるかどうか。
構成がシンプルであるほうが純粋に単語を覚えることに集中できますし、余計な情報がないほうが基本的には使いやすいです。単語と意味を1対1で覚えていけばいいわけですから、その2つが見やすくシンプルに書かれているものがよいですね。
語彙が少なければ、その分何冊も単語帳を使うことになってしまいますから、なるべく少ない冊数で語彙がたくさん掲載されているものがよいです。
今回はそんな基準で2つ、単語帳を紹介します。
ターゲットシリーズ
王道中の王道がターゲットシリーズ。2020年に久しぶりに改訂されています。構成は非常にシンプルで、単語と対応する意味が横並びになっています。難易度順に並べられているため、「マーチレベルであれば1500まで」「まずは800まで覚える」のように志望大学や現在の状況に合わせた使い方ができるのもメリットです。
アプリでの発音確認や単語テスト、書き込み式の暗記ノートやテスト冊子など別売り教材も充実しているので、色々なやり方で覚えたいという場合にも活用できます。
Stockシリーズ
Stock3000,Stock4500の2冊がある「Stock」シリーズは、スタディサプリの「神授業」で有名な関正生先生が監修している単語帳。早慶などの難関大学にも対応できるよう、同じ単語でも入試で本当に出る意味を中心にまとめている単語帳です。ターゲットと比べても派生語、多義語の幅が広く、かつ似た単語ごとにまとめられているため、ターゲットだと細かいところが覚えにくいという人や、似ている単語をまとめて関連付けて覚えたほうが覚えやすいという人にはこちらがおすすめです。
逆に、使い方に注意が必要な単語帳は?
おすすめの単語帳があれば、逆に「使い方に気をつけてほしい」単語帳もあります。悪い単語帳ではないし、使い方によってはとても重宝する単語帳なのですが、使い方を間違えるとものすごく時間がかかってしまうため注意が必要になっています。
鉄壁
東大専門塾「鉄緑会」が出版している単語帳「鉄壁」。その名に恥じない分厚い単語帳で、単語数も熟語など含め数千語と圧倒的です。名前に圧倒されそうですが、東大志望以外、特に最難関国公立や英語が難しい私大を受験する場合は重宝する単語帳です。僕も使っていました。
そんな一見無敵の「鉄壁」がなぜ、「使い方に注意が必要」なのか?それは言わずもがな、その単語数ゆえです。単語数が多く、章も40以上あるため、覚えるのにものすごく時間がかかってしまいます。また、単語数が多いのは同じ単語の形容詞形、名詞形なども合わせて書いてあることも要因になっています。そのため、一つ一つの単語を丸暗記していこう!という風に使ってしまうと、ものすごく時間がかかってしまうだけでなく鉄壁の良さを潰してしまいます。
鉄壁を使うときは単語の意味を丸暗記するのではなく、接頭辞や接尾辞、描いてあるイラストやイメージをフル活用していろいろなことと紐付けて覚えていくことをおすすめします。どんどんテストしてグルグ回しておぼえるというよりは、2冊めの単語帳として、または高1や高2の早い時期から余裕を持って進める単語帳として、読み物感覚で進めるほうが効果的です。くれぐれも高3の受験直前期に取り組み始めないようにしてください。
速読英単語シリーズ
学校で採用されていることも多い「速読英単語」シリーズ。長文の中で単語を覚えられる!という触れ込みから、なんとなくお得な感じのする単語帳ですが、使い方は非常に難しいです。
そもそも、単語をやっている段階で長文を読む練習はほぼしていませんから、長文を正確に読むこと自体がそもそもできません。その状態で「長文を使って」単語を覚えようとしても、結局長文を読む必要があるためものすごく時間がかかってしまいます。しかも、長文の中で単語を覚えていこうとするとどうしてもその長文の文脈をヒントにしすぎてしまい、他の文章で出たときになかなか思い出すことが出来ません。長文に合わせて単語がピックアップされているため、難易度もバラバラで、頻出度が低い単語を覚えなければいけない反面語彙数は少なくなってしまう、という弊害も。
速読英単語を使うときは、単語の一覧になっているページを使って覚えることをおすすめします。
名前の通り、速読の教材として長文読解の際に使うのにはとても有効です。音読にはちょうどいいレベルかつ長さの長文が揃っているため、音読の材料として使っていきましょう。
音読については、詳しくはこちらも参考にしてください。
DUO3.0
DUO3.0も、速読英単語のように「例文」を使って覚えていく単語帳。例文の中に重要語が散りばめられていて、例文暗記の要領で単語を覚えられます。
ただ、これも同じような問題点が。例文を使う分どうしても単語の難易度・頻出度にばらつきがあり、序盤から難しい単語を覚える必要があります。英語の勉強でいきなりDUOを使うのはハードルが高いので、他のもっと基本的な単語帳からのステップアップに使うのがおすすめです。また、他の単語帳と違い重要な意味は青字になっていてシートで隠せないため、これも覚え方を工夫する必要があります。
英検や外部試験の単語帳はどう使うべき?
もう一つ気になるのが、今年から更に重視される「外部試験」の単語。世の中には「英検対策」「TOEIC対策」など銘打った単語帳がいくつもありますが、これらは使うべきなのでしょうか?
結論から言うと、英検であれば2級までは一般の単語帳で十分です。準1級くらいからは細かい単語や熟語が文法問題パートで出題されるため、旺文社「パス単準1級」や学研「ランク順英単語」などを使って細かい単語を拾っておくのが良いでしょう。他の試験でもCEFRで同程度を目指すのであれば、そのレベルの単語帳を使うことをおすすめします。
単語帳はこう使おう!基本的な使い方を最後にチェック
ここまでは単語帳の良し悪しやおすすめの単語帳についてお伝えしてきましたが、どの単語帳を使っても重要になるのは「使い方」です。どんなにおすすめの単語帳を使っていても、使い方一つで全然覚えられないということになってしまいますから、よく確認しましょう。
1周目
1周目は、赤字の意味だけを覚えることに専念しましょう。
- Step.1
- 1ページ分の見出し語を見て、最重要意味を覚える。
- Step.2
- 完璧に覚えたら赤シートで意味をおもいだせるかチェックする。
- Step.3
- 思い出せなかった単語に関しては再度覚え直す。
- Step.4
- 完璧になったとおもったら、再度赤シートでテストをする。
- Step.5
- Step3〜4を繰り返す。
2周目
2周めは、1周目の半分の時間で同じ用にテストをしていきましょう。
- Step.1
- 赤シートで意味をおもいだせるかチェックする。
- Step.2
- 思い出せなかった単語に関しては再度覚え直す。
- Step.3
- 完璧になったとおもったら、再度赤シートでテストをする。
- Step.4
- Step2〜3を繰り返す。
3周目以降
3周目以降は、赤字以外の意味や派生語も覚えていきましょう。
- Step.1
- 赤字以外の意味も少しずつ目を通して覚える。
- Step.2
- 完璧に覚えたら意味をおもいだせるかチェックする。
- Step.3
- 思い出せなかった単語に関しては再度覚え直す。
- Step.4
- 完璧になったとおもったら、再度赤シートでテストをする。
- Step.5
- Step3〜4を繰り返す。
鉄則は「短期間で」「何度もテストする」こと
ポイントは、短い期間で何周も繰り返しテストすることです。単語を覚えるときは、短期記憶と呼ばれる一時的な記憶から長期記憶に移行する必要があります。これをするためには、完全に忘れてしまう前にもう一度覚え直すことが重要になるのです。単語帳1冊まるまる使うとどうしても時間がかかってしまいますから、7〜800語で折り返して2周めに入るなどすると良いでしょう。
「テストする」というのは、なんとなく覚えている気になってしまうのを防ぐためにやることです。どうしても単語と意味を眺めるだけだと「あ、覚えてる」というふうに勘違いしてしまいがちです。テストをして「思い出す」という作業をきちんとすることで、本当に覚えているかの確認になりますので、必ずやりましょう。
さて、今回は「単語帳の良し悪し」についてお伝えしました。この単語帳はどう?使い方を教えて!というのがあればぜひTwitterなどで質問してくださいね!
さて、学習塾STRUXはいつでもオンラインでの無料体験&授業も実施しています。無料体験でも単語帳の使い方は詳しく解説しているので、ぜひお気軽にご相談ください!
それでは!
ライター:橋本拓磨
東京大学法学部卒。学習塾STRUX塾長・STRUX大学受験マガジン監修。日本全国の高校生に、場所によらず正しい勉強を広めて、行きたい大学に行き、将来の選択肢を広げてほしい!という思いからSTRUXマガジンを監修。
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