皆さんは、英文を和訳する問題に悩まされた経験、ありますよね?「以下の英文を日本語に直しなさい」と言われて「うーんよくわかんない……」なんてこと、多々あるはずです。学校の定期テストなどで必ずと言っていいほど引っかかるのがこの「和訳」。でもそれは、実は「和訳の点数の取り方」を知らないから。この記事では、和訳の点数に直結する2つのポイントをお伝えし、つまずきやすい3つのポイント、具体的な勉強法までお教えします。これを読めばあなたも早速和訳で点数が取れること間違いなし!
和訳勉強法のコツは以下の動画でも解説しています!
戦略01 そもそも日本語に直せない!?パターンとポイントを押さえよう
戦略02 和訳勉強法!実際にどうすればいいの?
戦略01
そもそも日本語に直せない!?パターンとポイントを押さえよう
1-1、和訳問題、そもそも日本語に直せない。
単純に和訳といっても、入試においては点数がもらえないと意味がないですよね。どれだけ映画の字幕のように「うまい」和訳でも、点数になるかと言われると答えは「No」です。
じゃあいったい「どんな日本語を書けばいいの???」とお思いのことでしょう。
実はそう難しく考える必要はないんですね。
そもそもなぜ出題者が和訳問題を出すか、考えたことはありますか?
もちろん、「きちんと文法事項が入ったうえで、適切に英語を日本語に置き換えることができるか」を見るためですよね。ということは何が見られるかというと……
そう、「文法事項」と「自然な日本語」の部分。式にすると
和訳の得点 = 正確な文法 + 自然な日本語
といったところでしょうか。つまり、この2点さえしっかり押さえていれば、点を大幅に引かれることはない=満点に近い答案を完成させられるということなのです。
「構文はとりあえずとらえられるけど、どう日本語にすればいいの?」という人は、これを聞いて安心してください(笑)。構文がとらえられている、ということは、文法事項はほぼ正確に入っているということですから。
だから、言い換えてしまえば「模範解答と違う~」といってすぐ×にしたりがっかりしたりする必要もないということです。この辺については詳しくこの後に解説していきますね!
1-2、実は決まっている!?和訳の出題パターン
ここでは和訳の出題パターンについて知っておきましょう。和訳問題って、どういうふうに出るんでしょうか?
パターンは2つ。
1つめは、単純に独立した1文だけが出ていて、それを訳する問題。
定期テストや参考書の問題はこれが多いですね。
例えば、以下のようなもの。
設問.以下の英語を日本語に訳しなさい。
The man having a pen which penetrates an apple looks funny and have a gold jacket.
(オリジナル)
2つめは、ある長文が出されて、その中で下線が引いてあるところを訳する問題。
実際の入試などはこのパターンが多いのではないでしょうか。
例えば、以下のようなものです。
設問4.下線部(あ)を,主語を明示して日本語に訳し,記述解答用紙の所定欄に書け。
FIFA’s ongoing research efforts include a study of Swiss football players throughout the 2014-15 season. Both male and female players received a brain assessment before the season began, and (あ)will undergo follow-up examination should they experience a head injury. The study could help reveal the long-term effect of head injuries, and when it is safe for an injured player to return to the game. “the thing to try and work ( C ) is if there is any physical problem with the brain after concussion,” says Ranson.
(早稲田大学2015年一般入試 商学部より New Scientist, August 29, 2014)
さて、ここで肝心なのは、それぞれのパターンをどうやって解くか?ということ。実はそれぞれで、解くコツが変わってくるんですね。
1, 単純に独立した1文だけが出ていて、それを訳する
この場合は、「その文だけで和訳が完結する」ので、文章全体の意図とか、指示語(itやthatなど)の問題が絡まないことが多いんですね。
だから、ただ単に文章の構文を理解し、そのまま和訳すればある程度点数が取れることが多いです。こういう設問のほとんどは、「きちんと文法を理解しているのか?」「構文は把握できているのか?」が問われているので、そこだけは最低限押さえるようにしましょうね。
2, ある長文が出されて、その中で下線が引いてあるところを訳する
この場合は逆に、文章全体の意味であったり、指示語であったりを正確にとらえることが必要になります。ここで誰もが引っかかるのがitやthatなどの指示語の取り扱い。きちんと文章の中で指示語が何を指しているのかに注意して訳しわける必要が出てきます。
この場合は、「文章がきちんととらえられているか?」「指示語とかを文章のつながりの中で見つけられるか?」も併せてとらえられるので、より注意が必要です。
1-3、和訳でつまずくポイント3選
これだけ意識しても「点数が上がらない……」という人もいると思うんですよね。そういう人はぜひ、次の3つのポイントを参考にしてほしいです。
「自分がどこでつまずいているのか?」を探してみて、そのポイントのところを重点的に読み進めて行きましょう。
3つの「つまずきポイント」!
1、単語が不安……。
2、指示語をそのまま訳する……。
3、構文がわかんない……。
1、単語が不安……。
そもそもの問題だけども、単語が不安……って人は多いと思うんですよね。これには2つ「ひっかけポイント」があるんですよね。
一つ目は、「そもそも知っている単語が少ない」ということ。
知らない単語が出てきたらもちろん訳出来ないですよね。これはまだわかる。
二つ目は、「単語の意味を一つしか知らない」ということ。
単語帳には複数の意味が載っていますよね。英単語の覚え方をまちがっていると、その「赤シートで隠せる意味」しか思い出せなくて、和訳したらわけワカメ~ってことがありますよね。
そういう時は、たいていもう一つの意味で訳するとしっくりくることがあるんですね。例えば、
A sound mind in a sound body.
これは有名な例文。
ここでsoundの意味を「音の」しか知らないと「音の体の中の音の心」とかいうわけワカメな文になりますよね。
でも、soundに「健全な」の意味があると知っていれば、「健全な肉体に健全な精神」という意味に落ち着けるんですよね。
こういうところを含めると、どれだけ基礎としての単語が重要かわかりますよね。
「ちょっと単語がやばい……!」って人は,こちらのページを参照してくださいね。
⇒⇒英単語勉強法|2か月でMARCHレベルまで覚えられる勉強法
2、指示語をそのまま訳する……。
さて、次に大事なのは「指示語」の扱い。
指示語というのは、”it”や”that”など、すでに出てきた単語が繰り返し出てくるのを避けるために置き換えられる言葉で、「それ」とか「あれ」という意味。
日本語で言う「こそあど言葉」ですね。
指示語って、案外厄介なものなんですね。どうして?
例えば、長文中の文章に下線が引いてあり、「下線を付した文章を和訳しなさい」とかいう問題があったとしましょう(先ほどの章のパターン2「ある長文が出されて、その中で下線が引いてあるところを訳する」ですね)。そこで「it」が出てきたりしたとき。どうそのitを訳すのかによって、訳された日本語が大きく違ってきます。こういう問題はたいてい文章の理解も含めて問われるおんで、指示語をきちんと理解しておくことが大事なんですね!
FIFA’s ongoing research efforts include a study of Swiss football players throughout the 2014-15 season. Both male and female players received a brain assessment before the season began, and (あ)will undergo follow-up examination should they experience a head injury. The study could help reveal the long-term effect of head injuries, and when it is safe for an injured player to return to the game. “The thing to try and work ( C ) is if there is any physical problem with the brain after concussion,” says Ranson.
(早稲田大学2015年一般入試 商学部より New Scientist, August 29, 2014)
例えばこの場合だと、このtheyを単純に「それら」と訳しているだけだと、たいていわけわかんない文章になります。
その指示語が何を指しているのか?毎回把握するようにしましょう。
そのうえで、一度「それら」とかで訳してみて、訳がしっくり来ればそれで十分ですが、わけわかんないなあ……ってときは指し示すものに置き換えることをお薦めします。
★指示語を置き換える手順!
1. まず「それ」とかで訳してみてしっくりくるか?
2. 指示語が単数か、複数か見極める。
3. 単数なら単数の、複数なら複数の「名詞」を、その下線部より前から探す。
4. 置き換えてみて、変な意味にならないか考える。
3、構文がわかんない……。
「和訳は英文法さえできていれば解ける!」というのは大間違いです。基礎的な英文法に加え、「構文解釈」というスキルが必要になります。
たとえば、SVOCと聞かれて、そのそれぞれの役割、どんな品詞(名詞がくるのか?形容詞が来るのか?など)を答えられますか? 和訳で大事なのは、案外この「構文をとらえる力」だったりします。
I think that that that that that boy wrote is wrong.
例えば、この文章。
どのthatがどういう働きをして……というのがわかっていないと、絶対訳出来ないですよね笑。
逆に、「このthatは関係代名詞だから、ここまでカタマリをつくって、このthatを修飾してるんだなあ……」というようなことだけでも分かれば、案外うまく訳出出来たりするんですよね。
他にも、とてつもなく長い文章が出ることもあったり。こういうときも構文をしっかりつかむことが役に立ちます。
まずは構文を理解することで、長文読解やほかの英語のスキルの向上にもつなげつつ、それを和訳に応用することができます。
とりあえずは「がちがちの直訳」を目指しましょう。
➡構文の勉強法に関する記事はこちら!
⇒⇒構文勉強法|参考書2冊で早慶レベルまでの構文力が完成する勉強法
戦略02
和訳勉強法!実際にどうすればいいの?
と、いうことでここからは、実際に和訳をするときの勉強法について戦略を立てていきましょう。
とはいえ、ほとんど【構文解釈の勉強法】にリンクするところがあるので、そちらの勉強法も参考にしてみてください。
➡構文解釈の勉強法はこちら
⇒⇒構文勉強法|参考書2冊で早慶レベルまでの構文力が完成する勉強法
ここでは次のような章立てで進めて行く。
1、具体的な和訳勉強の手順
2、和訳をするときに意識すること
3、和訳演習におすすめの参考書~レベル別・段階別に~
1、具体的な和訳勉強の手順
ここではそれぞれの質問に対して、和訳勉強法の疑問に答えていきましょう。
Q1. 和訳の勉強、いつから始める?
和訳の優先順位は、はっきり言って低いです。
なぜなら、大学によって和訳が出されるかどうかまちまち(早稲田レベルでも学部によっては出ない)だから。
しかも英単語、構文解釈、英文法などもろもろの力が要求されるので、そうした力を蓄えていくことが優先ですね。
なので、具体的には「高3に入ってから」くらいが目安ではないでしょうか。それまでにたいていの英文法、英単語を覚える努力をしておきましょう。
Q2. 和訳の勉強、どのくらいやる?
「いつから始める?」を見てもわかるように、まずは志望校で和訳問題が出るのかを知ることが必要です。もし和訳が大問1つ分出ているのであれば、週に2回1時間ずつくらいしっかり時間を取って対策する必要があるでしょう。ただ、長文読解の中の1つの設問としてだけ出されている場合は、週1回1時間とかでも大丈夫。全くでない場合は定期テスト前や模試前だけで十分です。
和訳ってどう勉強すればいいの?
それぞれの参考書に関して、基本的な流れとしては「構文を取る」→「直訳」→「日本語の調整」で十分です。
★具体的なやり方★
(1)構文のテキストを使って、構文を把握する。
(SVOCをつかむ、スラッシュを入れるなど)(2)とった構文に従って、直訳する。
(3)自分で読んでみて、日本語が変なところを修正する。
(4)答え合わせをする。どうしてもわからない・解答例と違いすぎるところは添削してもらう。
(5)わからなかった単語、文法をチェックして書き出しておく。
これを繰り返すだけです。
2、和訳をするときに意識すること
次に、具体的に和訳をする際の意識の流れをコツとして紹介しよう。具体的にはこの3ステップである。
(1)まずは文法に忠実に直訳
(2)自然な日本語に修正する。書いたら見直すを癖に
(3)最終手段・学校の先生!
「和訳で全然点数がもらえない……」という人は、まずはこれをコツコツ試していって、慣れてから少しずつこのステップを緩めていくようにしよう。参考書等は何でもよく、学校教材などでもいいですが、あえて対策しようとするのであれば、構文のページで触れた教材を使うのがいいでしょう。
ここでは次の例文を使って、和訳の手直しをしていく。
Ex) The projection of beautiful pictures to a screen made us happy.
(1)まずは文法に忠実に直訳
何だかんだ一番大事なのが文法事項。ここでいう文法事項は、英文法に加え、英単語をどれだけ覚えているか、構文を把握できるか、なども含まれます。たまに主語と目的語が逆だったり、動詞が違ったりと文法めちゃくちゃで、とりあえず文脈と文意でこなれた日本語訳にしようとする人がいますが、それだともちろん点数はもらえません。最初の項目で説明したように、大前提に「文法事項」があるからだ。
SVOCMや接続詞の前後関係、因果関係や時制をきちんと確認して、それに応じた和訳を「バリバリの直訳でいいから」完成させること。
例えば、さっきの例文だと、
The projection of beautiful pictures to a screen made us glad.
きれいな写真のスクリーンへの投影は私たちを幸せにした。
まずはこれでOK。とはいえ、もちろんこのままだと、文法上は正しいかもしれないがまだまだ「?」の残る訳であることは読めばわかると思います。
自然な日本語に修正、そのためにもまず書いたら見直す、をクセに
前の項目で要素分解したように、和訳においては、日本語の使い方も見られます。せっかく文法が正確なのに、「何言っているのかわからない」状態の日本語だと採点者も丸をつけたくなくなってしまいます。もちろんもとの文法がぐちゃぐちゃになってしまっては元も子もないので、訳し終わるたびに自分で読み直して日本語的に自然か、また文法の抜けがないか確認しよう。
・無生物主語は主語を置き換えて受動態的な訳にする。
無生物主語とは、名前の通り、主語が生物(人、動物など動作をするもの)でない構文を指します。
いきなり主語に物が来て、物が動作を始めたら怖いですよね笑。
例文で言うと、「スクリーンへの投影が」「喜ばせる」みたいな。
こういう時は、人や動物が主語になるように受動態的(~された)な訳にしてあげると案外うまくいきます。
例文の場合、makeがあるから、その訳し方に注意すると、
The projection of beautiful pictures to a screen made us glad.
きれいな写真のスクリーンへの投影は私たちを喜ばせた。
⇒きれいな写真のスクリーンへの投影によって私たちは喜んだ。
と、なるわけです。
・動詞の名詞形(ex: projection)の訳し方。
直訳だと片言の日本語になる場合がある。(投影とかいう名詞、普通会話で使わないよね。)「映すこと」のように、「動詞+こと」で名詞化することができる、と覚えておこう。
例文のprojectionもこの理論を使って、
The projection of beautiful pictures to a screen made us glad.
きれいな写真のスクリーンへの投影は私たちを喜ばせた。
⇒きれいな写真のスクリーンへの投影によって私たちは喜んだ。
⇒きれいな写真がスクリーンに映されたことで私たちは喜んだ。
と、なります。
このときポイントになるのは、こういう場合の「of」はその前の名詞「projection」の主語みたいな役割になるということ。「写真の投影」というより「写真が映ること」のほうがより自然な訳になりますね。
・仮定法の訳出などは特に、「仮定法わかってますよ!」といわんばかりに大げさに訳出。
仮定法とは、「現実に起こっていない事柄について表現する」文法事項。
「まるで~のように」「もしも~ならば」など。
(3)最終手段・学校の先生!
「自分じゃどうしても和訳の対策ができない」「この和訳で合っているのかわからない」という場合、学校の先生に採点・添削をお願いしてはどうでしょうか。というのも、学校の先生、特に高校の先生はいわば「教科のプロフェッショナル」だから。何か質問をすればたいていの先生が快く引き受けてくれるはず。それと同様に、和訳くらいなら添削指導も多くの先生は引き受けてくれるはず。渋られても「少し待っても大丈夫です」などと言っておけばその週のうちには返ってきますし。
自分が一番信頼できる先生、学校で一番できそうな先生、評判が高い先生に勇気を出してアタックして、ぜひ添削をもらいに行って「採点者側」からの視点でアドバイスをもらいましょう。
3、和訳演習におすすめの参考書~レベル別・段階別に~
ここからは、和訳を「どの教材で演習しよう……」という人に参考書をおすすめしておきます。
・教材
とはいえ、さっきも言ったように、「構文解釈」の勉強法に似通った部分もあるので、教材はほぼ共通。やり方だけ変えていきましょう。
➡構文解釈の教材はこちら
⇒⇒オススメの参考書|構文勉強法
・やり方
これもどこかの章で話した通り。
もう一度手順を確認しておきましょう。
(1)構文のテキストを使って、構文を取る
(2)とった構文に従って、直訳する。
(3)自分で読んでみて、日本語が変なところを修正する。
(4)答え合わせをする。どうしてもわからない・解答例と違いすぎるところは添削してもらう。
(5)わからなかった単語、文法をチェックして書き出しておく。
まずは構文の勉強を1周くらいやってみて、自分の目指す学校に和訳問題があるのであれば、2周目以降このやり方をていねいに繰り返していきましょう。
これをするだけで和訳の力はぐんと上がります。
質問コーナー
Q1, カッコいい日本語に訳したいんですけど……
Q2, 「全文訳して来い!」っていう宿題、意味あるんですか?
Q3, そもそも自分に和訳の対策なんて必要なの?優先順位は?
まとめ
和訳の勉強法は、構文解釈とリンクするところがほとんど。まずは、英文法、英単語、構文解釈をマスターするところから始めよう。
それができたら、次の順番に従って勉強を続けていけば、どの学校の和訳問題にもしっかりと対応できるようになります。
(1)構文のテキストを使って、構文を把握する。
(SVOCをつかむ、スラッシュを入れるなど)
(2)とった構文に従って、直訳する。
(3)自分で読んでみて、日本語が変なところを修正する。
(4)答え合わせをする。どうしてもわからない・解答例と違いすぎるところは添削してもらう。
(5)わからなかった単語、文法をチェックして書き出しておく。
もっと具体的に「このとおりに勉強すれば英語の勉強は完璧、という参考書の流れが知りたい!」という方は、ぜひSTRUXの参考書マップを活用してください!
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