- 2025年度入試から学習指導要領の変更に伴い、各大学の入試配点や出題範囲の変更が予定されています。順次更新していますが、一部古い情報が含まれている可能性もあるので、記事の更新日を必ずご確認ください。
GMARCHのGにあたる学習院大学の日本史は、幅広い時代・分野から出題され、テーマ史が出題されるのが特徴です。解答形式はマーク式と記述式の併用で、文学部のみ論述問題が課されるため、別途対策が必要となります。
学部によって出題内容や形式が異なることから、自分の志望する学部の傾向をきちんとつかんだうえで必要な入試対策を行うのが効率的です。また学習院大学には「コア試験」「プラス試験」「共有テスト利用」の3つが一般選抜の方式としてありますが、「コア試験」がいわゆる個別の学部試験に該当します。「プラス試験」は合格の機会を増やすために別日程で行う入試で、定員は少なく、入試の形式や難易度は「コア試験」と大きく変わりません。
したがって、ここでは多数を占める「コア試験」に絞って学習院大日本史の攻略に必要な情報をすべて、レベルごとにお伝えしていきます。
学習院大学・日本史の出題傾向
例年、学習院大学の日本史の解答方式はマーク式・記述式の併用であることから、歴史用語をただ覚えるだけでなく、正確に書けるように普段から演習しておく必要があります。原始・古代・中世・近世・近現代から幅広く出題され、一部に難問は見られるものの、教科書をしっかりと読み込み、基本事項を正確に把握しておけば高得点が望める試験となっています。リード文中の空所補充が中心で、リード文は比較的長いですが、きちんと基礎を固めていれば十分制限時間内に解き終えることが可能です。
時代を通じた分野別のテーマ問題が出題されるのが特徴で、テーマは政治史・対外交渉史・文化史(特に宗教史)・社会史・産業経済史などから出題されます。対策としては、テーマごとに重要ポイントをまとめ、「縦」の流れで日本史を理解しておくことが必要です。
文学部のみ「7行で説明しなさい」といった論述問題が課され、字数にすると200~250字程度の論述量になります。用語を覚えるだけでなく、きちんと歴史の流れを理解し、各時代・事件・人物・相互関係などに対する知識を深めておきましょう。論述問題の配点が20点もあるため、論述問題でどれだけ点数を稼げるかが合否を分ける可能性もあります。
初見の史料が出題されることもありますが、とりたてて難解な史料は出題されないので、史料と問題文にあるヒントやキーワードを見逃さず、持っている日本史の知識を用いて解答すればOKです。基本的な史料については事前に勉強しておくと安心でしょう。
学習院大学日本史の各問題の特徴
大問構成はこのようになっています(2021年度)。
内容や難易度に大きな変化はありませんが、年度によって形式に変更があるので、参考程度にしてください。
(文学部)90分、大問5題
- 第1問 選択問題(マーク式)
- 第2問 選択問題(マーク式)
- 第3問 選択問題(マーク式)
- 第4問 空所補充、下線部問題(記述式)
- 第5問 論述問題(7行で解答)
(法学部)60分、大問5題
- 第1問 選択問題(マーク式)
- 第2問 選択問題(マーク式)
- 第3問 選択問題(マーク式)
- 第4問 空所補充、下線部問題(マーク式)
- 第5問 空所補充、下線部問題(記述式)
(経済学部)60分、大問5題
- 第1問 選択問題(マーク式)
- 第2問 選択問題(マーク式)
- 第3問 選択問題(マーク式)
- 第4問 選択問題(マーク式)
- 第5問 空所補充、下線部問題(記述式)
(国際社会科学部)60分、大問5題
- 第1問 選択問題(マーク式)
- 第2問 選択問題(マーク式)
- 第3問 選択問題(マーク式)
- 第4問 選択問題(マーク式)
- 第5問 空所補充、下線部問題(記述式)
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マーク式問題
リード文中の空所に入る語句を、5つの選択肢の中から、それぞれ適切に選んでいく問題がほとんどです。時代別では原始~近現代まで満遍なく出題され、一部に難問は見られるものの、大半は教科書をしっかり学習すれば解ける問題となっています。難問に関しては、問題文中のヒントやキーワードを探し、持っている知識を用いて消去法で対応することになりますが、それでも解答できない場合はあまり気にしなくても大丈夫です。その他の問題をきっちりと押さえておけば、十分に合格圏に到達することはできます。難問に目を奪われて冷静さを失わないようにしたいところです。
記述問題
リード文中の空欄に入る語句を書かせる問題や、下線部に関する人物名・国名・歌集名・法律名などを書かせる問題が出題されます。なので、正確に用語を暗記し、漢字間違いなどのケアレスミスをしないことが重要です。勉強していて新しい用語や日常であまり使わないような漢字が出てきた時は、正確に覚えるため、実際に何度か書いてみるのがおすすめです。
論述問題
文学部でのみ「7行で説明しなさい」といった論述問題が課され、字数にすると200~250字程度とそれなりにボリュームがあります。設問に対する解答を過不足なくまとめあげるため「誰が、いつ、何を、どのように、なぜそうなったか」を意識して、漏れがないように解答に盛り込むようにしましょう。
論述問題は、単純な重要語句の暗記だけでは対処できず、普段から歴史の流れを理解しておくことが必須です。事件や出来事・人物の相互関係などを掴んでおきましょう。ここで差がつくので、事前に問題集や過去問などを使って演習しておくようにしましょう。
学習院大学日本史の時間配分の例
学習院大の日本史は、試験時間が文学部90分、法学部・経済学部・国際社会科学部60分となっており、全学部で大問が5問(小問数50~60前後)出題されています(2021年度)。それほど急ぐ必要はありませんが、あまりゆっくりしていると時間が足りなくなってしまいます。マーク式問題や記述式問題は、基本的に知っているか知らないかの二択なので、分からないものにはなるべく時間をかけず、どんどん先に進んで点数を積み上げていきましょう。
時間配分の例
ここでは、文学部の2021年度入試における時間配分の例を挙げます。
試験時間90分で、マーク式40問(大問Ⅰ~Ⅲ)、記述式10問(大問Ⅳ)、論述1問(大問Ⅴ)となっています。スピード感をもって解答するため、空欄補充問題などは瞬時に答えが分かるように演習を繰り返しておくことが大切です。
00:25 | 第1問 マーク式(25) | 00:40 | 第2問 マーク式(15) | 00:55 | 第3問 マーク式(15) | 00:70 | 第4問 記述式(15) | 00:90 | 第5問 論述問題(20) |
一通り解答した後に、論述の見直しとスキップした問題があれば再考する時間を少し残しておくのがおすすめです。論述では、主語述語が対応していないなど、文章としての間違いがないか確認しましょう。
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学習院大学日本史で必要な学力レベル
レーダーチャート
ここでは、学習塾STRUXが使用しているレーダーチャート分析をもとに、学習院大の日本史に必要な参考書・レベルをチェックしていきます。
学習院大学のレーダーチャートはこのようになります。
学習院大学の日本史のレーダーチャートはこのようになりました。文学部のみ課される短文論述は比較的易しいですが、その他の分野においてはより高いレベルが要求されています。すべての学部で記述問題が課されるので、用語は正確に覚えておきましょう。また、史料問題が出題されることがあるので、対策として史料集には一通り目を通しておきましょう。史料集に収録されている基本の史料集を確実に押さえておけば、史料読解力も上がり、初見の史料でも対応できる力を身につけられます。
通史理解
通史理解はレベル5。学習院大の日本史は出題範囲が古代~近現代までと広いうえ、分野別の通史がよく出題されるため、テーマ史の対策は必須となっています。テーマごとに重要なポイントをまとめ、出来事の因果関係なども含めて縦の流れで日本史を理解しておくようにしましょう。メジャーなテーマは、重点的に勉強しておくことをおすすめします。
単語暗記
単語暗記はレベル4。学習院大の日本史で合格点を取るには、教科書レベルの知識で点数を積み上げることが大切です。一部の難易度の高い問題に関しては、自分の持てる知識でベストを尽くして駄目そうだったらスキップすることも大切です。
短文論述
短文論述はレベル3。文学部でのみ出題されます。共通テストレベルの学習を通じて得た知識をベースに、参考書を使って200字~250字程度の論述訓練を行っておけば十分対応できます。
論述
学習院大日本史において、論述は出題されません。
学習院大学日本史が解けるようになるためのレベル別勉強法
ここからは、学習院大学の日本史で合格点をとれるようになるための勉強内容をご紹介します。「これから勉強を始める!」という人ははじめから進めてほしいですし、ある程度基礎はできている!これから学習院大学に特化していきたい!という人は途中から読み進めてもOKです。
日本史の基本、歴史の流れ=通史を早い段階で身につけるカリキュラム
日本史が「苦手!」「ほぼゼロからのスタート」という場合は、まずその苦手意識を払拭するため、基礎の基礎レベルの問題集から取り組むべきです。以下のチェックリストに当てはまる場合は、まず一番基本的な問題集から取り組むようにしましょう。
- 教科書に載っている内容や学校の授業を正直ほとんど理解できていない
- 日本史がそもそも苦手
- 学校の授業を全然聞いていなくて、テストでも赤点ギリギリ
これらに一つでも当てはまる場合は、以下の参考書からスタートしましょう。
この参考書は、日本史が大の苦手、なんのイメージも湧かないという人向けのものです。本格的な勉強は高校2年生の後半からのスタートでいいですが、それまでにスキマ時間などで読んで、簡単に日本史の全体像を勉強してしまいましょう。
先程のチェックリストに当てはまらない場合は次のレベル、映像授業などを通した教科書レベルの内容理解と復習に進みましょう。
「学校の授業を全く覚えていない」「テストは丸暗記で乗り越えている」という人は「スタディサプリ」などの映像授業を活用し、まずは歴史の流れを学びます。他の大学同様、高3の夏前には一通り全範囲を履修することを目標にしましょう。文学部を受験する人は、夏後半には論述問題にも少しずつ触れていきたいところですので、気持ち早めの対策を心がけておくとよいでしょう。
全体像が理解できたら、「詳説日本史ノート」などの穴埋め形式の問題集で歴史の流れと一緒に簡単な単語も合わせて覚えていきます。この問題集は量が非常に多いため、地道に解き進めていくようにしましょう。
次に進むポイント
- 日本史の苦手意識が少し薄れてきた
- 細かい単語は覚えていなくても、日本史の歴史の流れ全体や出来事はすべて把握できた
- 映像授業や学校の授業の内容はすべて理解できた
学習院大入試の問題を解けるようになるために、徐々にレベルを上げていこう
学習院大入試や共通テストレベルの問題を解けるようになるには、理解だけでなく理解したことを問題を解く際に実践できることが大前提です。ここからは頻出の解法を固めていくことで、まずは入試問題を解くための「武器」を身につけていきます。
まだ日本史の流れを理解しきれていないという人は「スタディサプリ」で通史理解を完成させます。共通テストは「山川日本史一問一答」を完璧にすれば攻略可能です。「実力をつける日本史100題」は、難関私立大学を受験する人には必須の参考書。これを使って、一問一答で身につけた知識をアウトプットして定着させていきます。短文論述が課される文学部志望者は「詳説日本史ガイドブック」で日本史の中でも特に重要な流れをおさえなおして、論述での頻出分野を固めていきましょう。
共通テストの問題はまだ少ないため、センター試験の過去問が演習量を増やす上ではおすすめです。
- 単語暗記センター試験過去問
次に進むポイント
- センターや共通テストの問題は8割以上正解できる
学習院大学の入試で合格を勝ち取るための日本史の総仕上げ
定石問題は身についたので、あとは学習院大入試に向けて絞り込んでいきます。入試問題は定石問題の組み合わせで出題されますから、実際の入試問題をどんどん演習していきましょう。
「日本史標準問題精講」を使って、入試本番に適応できる実戦的な知識と考え方を身に付けましょう。
基本的な参考書をやり終えたら、学習院大の過去問や学習院大形式に似た問題で仕上げていきます。特に特徴的な問題は過去問を解いてみないと解くコツが掴めません。過去問を研究・分析し、傾向や特色を理解しておくことは、入試本番で実力を発揮するためには非常に有効な方法になります。
直近10年ほどの過去問は赤本を使って時間を測って取り組みます。「実際にどの順番で、どれくらいの時間を使って解くのか」というのを意識できるので、11月以降の仕上げに使っていきましょう。