- 2025年度入試から学習指導要領の変更に伴い、各大学の入試配点や出題範囲の変更が予定されています。順次更新していますが、一部古い情報が含まれている可能性もあるので、記事の更新日を必ずご確認ください。
慶應医学部の物理出題傾向
慶應医学部の物理は例年大問が3つで、力学、原子分野からの出題が頻出です。
特に核分裂や核反応、原子核崩壊など放射線関連の問題は医療と結びつく分野のためよく出題されています。
もちろん波動・熱力学の問題も出題されるため、全体の分野にわたる対策が必要といえるでしょう。
ちなみに2021年は
- 第1問 波動・熱力学の小問集合
- 第2問 波動・力学
- 第3問 電磁気・原子
が出題されました。
全体的によく見る標準問題が出題されるのではなく、計算力・思考力を要する問題や目新しい設定の問題などの応用問題で主に構成されています。
そのため物理法則の丸暗記や標準問題の解き方を覚えただけでは太刀打ちできません。
物理の基礎基本を徹底的に定着させたうえで応用的な問題で演習を積むのが良いでしょう。
慶應医学部物理の各問題の特徴
大問構成はこのようになっています。
- 第1問 小問集合 記述式設問
- 第2問 力学 記述式設問
- 第3問 電磁気 記述式設問
大問は3つで毎年変わらず、1題あたりの小問数は大体6~9問です。
ほとんど全ての問題が答えを記す記述式で、物理現象を説明する問題や物理の用語を問う問題も出題されます。
全体的に試験時間に対する分量が多く、ややこしい計算をしなければならない問題が多く出題されるのも慶応医学部の特徴といえるでしょう。
各大問の前半に典型的な設問が置かれ、後ろの設問になるにつれて思考力・応用力・洞察力を要するような難しい問題が増えてきます。
そのため合格点に達するためには慶応医学部の入試における基礎・標準レベルの問題を落とさないことが何よりも大切になってきます。
慶應医学部物理の時間配分の例
慶應医学部の理科の試験時間は2科目合わせて120分です。
単純計算では物理には60分ほどかけることができますが、化学や生物と比べると物理は短時間で解ける問題が多いので、50分から55分ほどで解く人が多いはずです。
55分かける場合には、大問1つに対して約18分しかかけられず、問題の難易度と分量を考えると決して時間に余裕があるというわけではありません。
多くの人が全ての問題を解くのは難しい時間設定になっています。
そのため、問題全体の見通しを立てて後の大問の簡単な設問を落とさぬよう素早く解く能力が必要になってきます。
以下は55分で解いたときの時間配分の例ですが、必ずしも1問目から解く必要はなく、解けそうな小問の多い大問から順に解くのがいいでしょう。
時間配分の例
00:00 | 問題の把握(2) |
00:02 | 第1問(15) |
00:17 | 第2問(15) |
00:32 | 第3問(15) |
00:47 | 見直し(8) |
後半の取れる問題が時間制限により解けなくなってしまうと他の受験生に大きく差をつけられてしまいます。
そのため、あらかじめ過去問で練習したり、試験の初めに問題の把握をしたりなどして、試験時間の管理をできるようになっておきましょう。
大問あたり15分を1つの目安として、15分で解けなかった部分は飛ばして次に進む方針がおすすめです。
慶應医学部物理で必要な学力レベル
慶應医学部の物理では、上で述べたように設問の多くが標準的な問題です。
冒頭での述べたように、慶応医学部の問題は設問の組み合わせ方や題材を扱う切り口が工夫されていたり、受験生が見慣れていないような設定の問題も出題されます。
そのため、応用的な思考力や素早く計算したり記述したりする処理能力を要します。
また、物理現象の全体像を把握していなければ解くことができない問題も良く見受けられます。
教科書レベルの基本は徹底的に抑えたうえで、物理の基本原理から応用まで考えられるような学力が求められていると言えるでしょう。
レーダーチャート
ここでは、学習塾STRUXが使用しているレーダーチャート分析をもとに、慶應医学部の物理に必要な参考書・レベルをチェックしていきます。
慶應医学部物理のレーダーチャートはこのようになります。
全体的に非常に高いレベルの問題が出題がされ、分野ごとによる難易度の違いはさほど見られません。
そのため、すべての分野を満遍なく勉強しておくことが大切です。
慶應医学部物理が解けるようになるためのレベル別勉強法
ここからは、慶應医学部の物理で合格点をとれるようになるための勉強内容をご紹介します。
「これから勉強を始める!」という人ははじめから進めてほしいですし、「ある程度基礎はできている!これから慶應医学部に特化していきたい!」という人は途中から読み進めてもOKです。
入試問題の定石を把握するための問題演習
慶應医学部の簡単な問題や共通テストレベルの問題を解けるようになるには、理解だけでなく理解したことを問題を解く際に実践できることが大前提です。
ここからは頻出の解法を固めていくことで、まずは入試問題を解くための「武器」を身につけていきます。
これらの参考書で物理の基礎力を身に着けていきましょう。
「リードα」「セミナー」などは適宜学校で配布されたもので似たようなものを使っても構いません。
学校で配布されない場合、中古のものの購入や市販の「エクセル物理」などを活用しましょう。
問題数が多くレベルも幅広いため、知識の定着にも入試レベルへの飛躍にも最適です。
「リードα」「セミナー」には難しい問題も含まれているため、物理の基礎を身に着けたいという目的で使用するのであれば基本問題だけをピックアップして使うというのもよいでしょう。
「リードα」「セミナー」「物理のエッセンス」は同じような難易度であり、物理の基礎力を身に着けるのにうってつけの教材です。
それらの内どれか1つでも終わったなら「良問の風」に移りましょう。
良問の風までしっかり身についているのであればかなり実力はついているはずです。
しっかりと解けるようになるまでに何周も繰り返し解き直し、解き方を定着させましょう。
これらを終わらせる時期としては3年生の夏休みの初めまでが理想ですので1つの目安にしてみてください。
次に進むポイント
- 「物理のエッセンス」の9割は理解して解くことができる
- 「良問の風」で8割の問題は解ける
- センター試験の過去問で80点くらいは取れる
慶應医学部入試レベルまで引き上げる!入試形式の問題で演習
定石問題は身についたので、あとは慶應医学部入試に向けて絞り込んでいくだけです。
入試問題は定石問題の組み合わせで出題されるため、実際の入試問題をどんどん演習していきます。
基本的な参考書をやり終えたら、慶應医学部の過去問や慶應医学部形式に似た問題で仕上げていきます。
特に特徴的な問題は過去問を解いてみないと解くコツが掴めないので、意識していきましょう。
「良問の風」を終えたら「名問の森」に移りましょう。
さらに時間に余裕があり、物理を得点源にしたいと思っている人は「難問題の系統とその解き方物理」もやってみるとよいでしょう。
- 過去問赤本(5〜10年分)
慶應医学部の物理は公式の丸暗記で解けるような問題はほとんど出されず、物理の基本原則をいかに理解しそれを使うことができるかが問われている試験です。
教科書に載っている内容は隅々まで暗記していることが前提になっており、誘導が少ないため自分で解法を考えて解く問題が多いことも特徴的です。
また、グラフの意味を読み取る問題は公式や定石の丸暗記のような中途半端な理解では解けないため、慶應医学部では現象に合ったグラフを選択したり書かせる設問も出題されています。
そのため普段の問題演習からグラフを積極的に描き、物理現象をとらえる練習をしておいたほうがいいでしょう。
また、答えが出せたときは「指定された文字以外の文字を使っていないか」、「単位は答えとして適切なものか」、「パラメーターを極端な値(0や無限大)にしてみて納得できるかどうか」などを確認するなどのケアレスミスを防ぐことも重要です。
いずれにせよ、基礎を固めたうえでたくさんの問題演習をすることが1番の近道ですので、過去問で問題演習をたくさん積むのが良いでしょう。
もし過去問をすべてやりきってしまったら理工学部の問題や他の大学の過去問で問題演習を積むのもいいでしょう。
慶應医学部は10年分以上の過去問演習に取り組み、入試に臨む受験生も多いので、10年以上を1つの目安にしてみてください。