世界史を受験する人なら必ずと言っていいほど使うのが世界史一問一答。
ですが「一問一答っていろいろあるけどどれを使えばいいかわからない!」「とりあえず赤シートで隠して何回もやってるけど点数が伸びない!」というような悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか。
実は、世界史の一問一答は試験に出る用語を暗記するためには有効ですが、入試で最も聞かれる「歴史の流れ」を押さえるには不向きです。
加えて出版社によって難易度が違うので、自分にあったレベルのものを使わないと点数が伸びづらくなっています。
そこで今回は、世界史の一問一答問題集について、おすすめの3冊を紹介しつつ、正しい世界史一問一答を使った勉強法をご紹介します!
世界史一問一答のおすすめ3選
世界史の一問一答問題集はいくつかありますが、監修している講師や出版社によって解説量やデザイン面、難易度の高い単語の掲載量が異なります。まったく違う問題集、というわけではなく、どの問題集を選んでも基本的な用語は掲載されているため、自分の好みで選んでも問題ないですが、なるべく自分の志望校にあった一問一答を使いたい、という場合は以下の内容をチェックしましょう。
- 国公立・中堅私大志望『山川 一問一答世界史』
- 東大受験、または早慶・MARCHなどのハイレベル私大『学研 齋藤の世界史B一問一答』
- 世界史が苦手・共通テストで利用『Z会 入試に出る 世界史B 一問一答』
『山川 一問一答世界史』
山川出版社の『一問一答世界史』は、有名な山川の教科書に掲載される歴史用語を確認する一問一答。内容は教科書レベルはもちろん、入試で出題される単語レベルまでしっかり網羅されています。
そのため、国公立志望で歴史の用語をしっかり覚えておきたいという人や、中堅私大レベルまで受験する人におすすめです。早慶など世界史の難易度が高い大学でも活用できますが、最難関単語までは掲載されていないこともあり、世界史で点を稼ごう!という人には物足りないかもしれません。
デザイン面も基本は白黒、単語のみ赤字と非常にシンプルなので、好みは分かれるかもしれません。
こんな人におすすめ!
- 国公立志望で単語の出題は少ない
- 中堅私大志望だ!
- 難易度が高すぎる単語は覚える必要がない
- 教科書に準拠した参考書を使いたい
『学研 斎藤の世界史B一問一答』
東進や学研プライムゼミで私大だけでなく東大向けの講座も担当している先生の監修しているこの一問一答は、問題量が多いのが特徴です。
1冊で共通テストから国公立二次試験、最難関私大入試レベルまで幅広く対応できます。すべての問題が「必修レベル」「国公立・中堅私大レベル」「難関私大レベル」に分かれているので、学習の段階や志望校にあわせて問題を解くことができます。書籍の内容と対応した無料アプリも合わせて活用できるのはメリットです。
図などが載っているわけではないですが、山川の一問一答と比べると新しいデザインで見やすくまとまっています。
こんな人におすすめ!
- 自分の学習進度に応じて用語を暗記したい!
- 東大・GMARCH〜早慶志望だ!
- 見やすいレイアウトの一問一答がいい!
- アプリを使ってテストをしたい!
『Z会 入試に出る世界史B一問一答』
Z会の一問一答は、他の2冊と比べて図表などが多いのが特徴。一問一答にもかかわらず基本的な流れなども復習できるようになっています。
流れなどに気を配っている分、用語の難易度がものすごく高いといわうけではありませんが、それでも教科書外の単語は掲載されているため、流れが不安、世界史が苦手という場合にはこちらを使うのもいいでしょう。一番幅広く使える一問一答です。
こんな人におすすめ!
- 教科書レベルからていねいに覚えていきたい
- 流れも含めてかんたんに復習したい
- 共通テストに向けて用語を覚えていきたい
- 中堅私大志望で、最近の一問一答を使いたい
世界史一問一答の使い方・勉強法
一問一答の問題集を選んだら、正しい使い方で勉強を進めなければ意味がありません。
ただ、一問一答の参考書を使う「前に」大事なことがあるので、まずはそのことについて触れておきましょう。
いきなり一問一答から始めないこと!
世界史の勉強で「いきなり一問一答の問題集からスタートする」のは、やってはいけない勉強法です。
冒頭でマルオくんも悩んでいたように、実際の入試では単語だけではなく歴史の流れの中で単語を答えたり、流れ通りに並び替えたりする問題が多く問われます。
一問一答はあくまで「単語を覚える」ための問題集で、歴史の流れを理解するものではないため、一問一答だけに取り組んでも入試で問題が解けるようにはなりません。
世界史の勉強をするときには、まずはきちんと歴史の流れ=通史を理解して、流れに沿って単語を覚えたあとで「一問一答」を使って細かい単語まで覚えていくという順番が非常に重要になります。
そのため、いきなり一問一答に取り組むのではなく、まずは映像授業や学校の授業などで歴史の流れを理解し、穴埋め形式の問題集で流れに沿って基本用語を押さえてから、最後に一問一答で細かい単語も含めて何度も繰り返し覚えていくべきです。
- 〜高3・7月
- 「TryIT」などの映像授業で通史を理解する
- 〜高3・8月
- 『詳説世界史ノート』などの穴埋め形式の問題集で基本用語を流れとセットで覚える
- 高3・9月〜入試まで
- 一問一答の問題集でスキマ時間も有効活用し、どんどん細かい単語まで覚える
おすすめの暗記手順はこちらの記事でも詳しく説明しています。
流れを理解しながら単語を覚えられる『詳説世界史ノート』については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
世界史一問一答の基本的な勉強法
一問一答問題集の立ち位置がわかったところで、具体的な一問一答問題集の使い方を見ていきましょう。基本的に今回紹介した3種類の一問一答のいずれもこの使い方で取り組めばOKです。
- ステップ1
- 単語を隠して覚えているのかテストする
- ステップ2
- 覚えていなかった単語に印をつけて覚え直す
- ステップ3
- もう一度全ての問題を解く
- ステップ4
- すべての単語を覚えるまで、間違えた単語のみ1〜3を繰り返す
基本的に「何度も繰り返す」という暗記の鉄則を忘れないようにすればよいのですが、世界史の一問一答だからこそ気をつけたいポイントがいくつかあります。
- 必ず間違えたところを参考書や教科書・資料集で復習する
- 引き続き流れの理解も重要なので、教科書や資料集で該当の単語の周辺の流れも確認しましょう。
- 1周目は「書いて」テストをする
- カタカナの順番や漢字などは間違えやすいため、必ず書けるかどうかまでテストしてください。
- 思い出すことに時間をかけすぎない
- 数秒経って思い出せない単語は本番も思い出せません。どんどんテストをして先に進みましょう。
それぞれ簡単に説明していきましょう。
必ず間違えたところを参考書や教科書・資料集で復習する
一問一答を解いて間違えてしまった箇所やわからない箇所は、必ず教科書や参考書を使って復習しましょう。用語だけを覚えるのではなく周辺の情報も付随して覚えておいたほうが定着しますし、流れも復習できるため点数にも繋がりやすくなります。
また、一問一答の中でも政治史のパートは地図、文化史のパートは実際の絵画や美術を見ておくことで覚えやすくなります。教科書や資料集には地図や年表、絵画の具体例が掲載されているので、ピンと来ない地名や作品名については必ず資料集も見ておきましょう。
1周目は「書いて」テストをする
一問一答に取り組むとき、どうしてもテンポよく頭の中で思い出しながら進めてしまいがちですが、世界史の一問一答は、1周めだけでも必ず「書いて」テストしてください。
世界史の用語には覚えづらいものが多く、普段見慣れない漢字を書き間違えたり、カタカナやひらがなの語順が入れ替わっていたりしたまま覚えてしまうことも珍しくありません。
例としていくつか間違いやすいパターンを挙げておきます。
- ×将介石→○蒋(蔣)介石
- ×中体西洋→○中体西用
- 中国の「晋」、プロイセンの略称「普」
- 「溥儀」「僭主政治」「羈縻政策」「王羲之」などの漢字
- 「アヴァール人」と「マジャール人」を混同する
- 「アントニウス」か「アントニヌス」かわからなくなる
- ×小スピキオ→○小スキピオ、×ホムルズ島→○ホルムズ島のような、文字の入れ替わり
- 濁点の有無や濁点・半濁点の違い、表記ゆれ
漢字の間違いは気をつける人も多いため、意外と間違いは少ない印象です。「溥儀」の「溥」の右側(「専」でもないし、「簿」の下の部分とも微妙に違う)など、細かい部分が普段使っている漢字と異なることもあるため、最初に覚えるときに気をつけるようにしましょう。
そして意外と多い間違いが「カタカナ」。漢字に気を取られて油断してしまいがちですが、似たような表記のカタカナを覚え間違えていたり、聞き慣れない名前のカタカナの順番が入れ替わっていたりすることもあります。「マジャパヒト王国」「プラノ=カルピニ」のような濁点・半濁点を間違えて覚えることも珍しくありません。「ウマイヤ朝」のように、発音上は「ア」に近くどちらで書いても良さそうなものでも、元の言語から考えて「ヤ」でないと×、というものもあるため、教科書の記述の通りに覚えることを心がけてください。
こういったミスを減らすためには、書いて覚えながら細かい違いがないか気をつけて見ていくことが重要です。
思い出すことに時間をかけすぎない
3つ目は、なるべくペースを上げてどんどんテストをしていくことです。
思い出すことに時間をかけすぎると、1周するのに余分な時間がかかります。できるだけ短期間で周回数を重ねた方が暗記した内容が定着するので、1周するのにあまり時間をかけないようにしましょう。
また、3秒も5秒も悩んでようやく思い出せた単語は、本番でも忘れてしまう可能性が高い単語です。1秒以内に思い出せなかった単語は忘れかけていると判断して、印をつけておくようにしましょう。
世界史の「一問一答」おすすめと使い方のまとめ
世界史の一問一答問題集について、おすすめ3冊の選び方と使い方を見ていきました。
おすすめの3冊は次の通り。
- 国公立・中堅私大志望『山川 一問一答世界史』
- 東大受験、または早慶・MARCHなどのハイレベル私大『学研 齋藤の世界史B一問一答』
- 世界史が苦手・共通テストで利用『Z会 入試に出る 世界史B 一問一答』
いずれも内容が大きく違うというわけではないので、好みで選んでも問題ありません。ただ、監修している先生が違うことからそれぞれ特色があるため、自分にピッタリの一問一答を選べるといいですね。
使い方では、いきなり一問一答から始めないことが最重要でした。まずは流れを「映像授業→穴埋め形式の問題集」で理解したうえで、入試前の演習と並行して繰り返し使っていくようにしましょう。
一問一答の勉強法はこのようになっていました。
- ステップ1
- 単語を隠して覚えているのかテストする
- ステップ2
- 覚えていなかった単語に印をつけて覚え直す
- ステップ3
- もう一度全ての問題を解く
- ステップ4
- すべての単語を覚えるまで、間違えた単語のみ1〜3を繰り返す
次の3つの注意点もきちんと守って、なるべくたくさんの用語を覚えられるようにしましょう。
- 必ず間違えたところを参考書や教科書・資料集で復習する
- 引き続き流れの理解も重要なので、教科書や資料集で該当の単語の周辺の流れも確認しましょう。
- 1周目は「書いて」テストをする
- カタカナの順番や漢字などは間違えやすいため、必ず書けるかどうかまでテストしてください。
- 思い出すことに時間をかけすぎない
- 数秒経って思い出せない単語は本番も思い出せません。どんどんテストをして先に進みましょう。
世界史の用語は直前まで点数を伸ばせる分野です。入試の前日、直前の休憩時間まで「一問一答」を活用して、1点でも多く取れるようにしましょう!
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一問一答でなるべくたくさん覚えたい「文化史」の勉強は、こちらの記事も参考にして進めてください。