- 2025年度入試から学習指導要領の変更に伴い、各大学の入試配点や出題範囲の変更が予定されています。順次更新していますが、一部古い情報が含まれている可能性もあるので、記事の更新日を必ずご確認ください。
東京都立大(旧:首都大)の物理は、オーソドックスで考えやすい問題が多いのが特徴です。問題演習を大量にこなすことで、安定して高得点を取れるようになって入試に臨みましょう。
この記事では、東京都立大学物理の攻略に必要な情報をすべて、レベルごとにお伝えしていきます。
東京都立大学の物理出題傾向
力学分野では、運動方程式と力のつり合い、跳ね返りが頻出です。電磁気は、荷電粒子の運動・運動するコイルがよく出ています。熱力学のほうが波よりも出やすい傾向にあり、原子分野からの出題は近年見られません。
東京都立大学物理の各問題の特徴
大問構成はこのようになっています。
- 第1問 力学記述式設問
- 第2問 電磁気記述式設問
- 第3問 熱力学または波の記述式設問
第2問、第3問は、問1・問2に分かれていることもあります。さらに電磁気では、問1と問2は関係がないことがほとんどです。
第1問 力学記述式設問
運動方程式を扱って解いていく問題が頻出です。問題設定は単純で、問題集でよく見るような設定の問題がよく出題されます。類題を多く解いていると有利なので、「良問の風」レベルの問題演習をしっかり行っておきましょう。
第2問 電磁気記述式設問
荷電粒子の運動を考える問題が頻出です。磁場中を運動するコイルの問題もよく出されていますので、重点的に対策しておきましょう。問1と問2は全く別の問題であることがほとんどなので、問1で詰まってしまったら問2を解き進めてみましょう。
第3問 熱力学、波、原子のうちいずれかの記述式設問
第3問には、熱力学か波の問題が出題されます。熱力学はピストンとシリンダーの問題と熱機関の問題がよく出ており、波からは風とドップラー効果の問題が出たことがあります。
東京都立大学物理の時間配分の例
東京都立大学の理科の試験時間は、2科目合わせて150分です。この記事では、物理に75分を充てるとして解説します。
時間配分の例
00:00 | 第1問 力学記述式設問(25) |
00:25 | 第2問 電磁気記述式設問(25) |
00:50 | 第3問 熱力学または波の記述式設問(25) |
問題のレベルや分量を考えると、1問20分で解けるようになるのを目指したいところです。そうやって余らせた時間は、見直しやもう一方の教科に使いましょう。
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東京都立大物理で必要な学力レベル
東京都立大学の物理攻略には、入試基礎~入試標準レベルの問題を確実に解けるようにしておくことが重要です。
レーダーチャート
ここでは、学習塾STRUXが使用しているレーダーチャート分析をもとに、東京都立大の物理に必要な参考書・レベルをチェックしていきます。
東京都立大学のレーダーチャートはこのようになります。
力学
力学はレベル3。他の国公立大と比べれば解きやすい問題が多いですが、たまに計算が大変な問題が出ることがあります。長い計算や複雑な式変形も間違えずこなせるように対策しておきましょう。
波
波はレベル3。問題集でよく出てくるタイプですが、ミスをしやすい問題が多いです。どんなミスを犯しやすいかを問題演習の中で見極めてから、入試に臨むと良いでしょう。
電磁気
電磁気はレベル3。「セミナー」「リードα」~「良問の風」レベルと言えるでしょう。基本公式をスラスラと扱えれば、短時間で高得点が取れる部分です。
熱
熱力学はレベル3。入試標準レベルであることがほとんどですが、たまに旧帝大レベルの問題が出されることがあります。「良問の風」をマスターしていれば差をつけられることはなさそうですが、難しい年でも高得点を狙いたいなら、もうワンランク上の演習が必要です。
原子
原子はレベル3。近年出題されていませんが、これから出題される可能性はあります。共通テストが終わってからも、原子分野の演習を欠かさないことが大事です。
東京都立大学物理が解けるようになるためのレベル別勉強法
ここからは、東京都立大学の物理で合格点をとれるようになるための勉強内容をご紹介します。「これから勉強を始める!」という人ははじめから進めてほしいですし、ある程度基礎はできている!これから東京都立大学に特化していきたい!という人は途中から読み進めてもOKです。
映像授業で進度を早め、問題演習も始める
本来であれば、物理の勉強は学校の授業と並行して行うことが望ましいです。しかし、多くの学校では進度が遅く、高3の冬入試ギリギリまで終わらないということもしばしば。高3の夏前には終わらせておかないと、演習不足になってしまいます。
そこで、これまで習った範囲の復習も含め、以下の参考書で全範囲の知識の網羅と定着を並行して行います。
「スタディサプリ」などの映像授業でどんどん物理の授業を進めていきましょう。映像授業の後は付属の問題を解いて復習し、内容をしっかり吸収できるようにしましょう。
「リードα」「セミナー」がおすすめの問題集ですが、別冊の解説を渡されていない場合もあるはずです。
学校でこういった問題集を配布されなかったり、解説が配布されていなかったりする場合、中古のものの購入や市販の「エクセル物理」などを活用しましょう。問題数が多くレベルも幅広いため、知識の定着にも入試レベルへの準備にも最適です。
「セミナー」は「基本例題」「基本問題」を2周した後、「発展例題」「発展問題」を2~3周しましょう。リードα等他の問題集でも、同じように取り組んでいきます。
高3の4月時点で電磁気の交流と原子分野以外を終わらせましょう。高3の夏休み前までには全範囲を一通り終わらせている状態にしましょう。
次に進むポイント
- 映像授業や学校の授業の内容はすべて理解でき、付属の問題も全て解いた
- セミナーの「発展例題」「発展問題」を3周した
都立大入試を解くための「定石」をマスターする
都立大入試や共通テストレベルの問題を解けるようになるには、学習したことを問題を解く際に実践できることが大前提です。ここからは頻出の解法を固めていくことで、まずは入試問題を解くための「武器」を身につけていきます。
各問題集をまずは2周し、3周目以降は間違えた問題だけに取り組んでいきます。「物理のエッセンス」の詳しいやり方はこちらを、「良問の風」の詳しいやり方はこちらを参考にすると良いです。
この2冊を高3の夏休み中に終わらせましょう。
次に進むポイント
- 「物理のエッセンス」と「良問の風」をそれぞれ3周した
- センター試験の過去問で80点以上を確実に取れる
ハイレベル演習で得点力をさらに伸ばし、都立大レベルに到達!
「物理のエッセンス」「良問の風」で手に入れた定石を使って、さらにハイレベルな問題集である「名問の森」に取り組みましょう。
「名問の森」についてもまずは2周し、3周目以降は間違えた問題だけを解いていきます。不注意によるミスがなくなるよう、自分がどんなミスを犯しやすいかを分析しながら取り組んでいきましょう。
ここまで紹介した参考書をやり終えたら、都立大の過去問や、それに似た難易度の問題で仕上げていきます。過去問を解いてみて初めて身につくコツもありますので、しっかり取り組んでいきましょう。
- 過去問赤本(5~10年分)
中古の赤本なども使って、直近10年ほどの過去問を解きましょう。必ず時間を測り、実際にどの順番で解くのかを意識しながら取り組むのが大切です。