- 2025年度入試から学習指導要領の変更に伴い、各大学の入試配点や出題範囲の変更が予定されています。順次更新していますが、一部古い情報が含まれている可能性もあるので、記事の更新日を必ずご確認ください。
早稲田大学理工学部の物理は、思考力・計算力・スピードのすべてが求められる難関試験。だからこそ、しっかりと傾向をつかんで十分に対策しておく必要があります。
この記事では早稲田大学理工学部物理の攻略に向けて、出題傾向からレベル別勉強法まで、必要な情報をすべて解説します。
早稲田大学理工学部の物理出題傾向
早稲田大学理工学部の物理は大問3題構成で、近年ではそのうち2題で力学と電磁気の分野から必ず出題されています。残りの1題は、波動か熱力学の分野からよく出題されます。
力学の分野では、ばねでつながった2物体の運動、惑星の楕円運動、箱の中に入った小物体同士の衝突など、様々な題材が扱われます。定石問題から応用問題まで、幅広い問題パターンに触れておきましょう。
電磁気では電流と磁界の分野が頻出で、力学との複合問題もよく出題されています。「磁場の中を運動する導体」など、典型的な出題パターンは確実に網羅しておきましょう。
波動と熱力学はだいたい2~3年に1回の割合で出題されています。波動ではドップラー効果や光の干渉・屈折、熱力学では気体の分子運動や気体の状態変化といった典型的なテーマが頻出です。イメージがしにくい分野なので、丁寧に現象を理解することを意識しましょう。
原子分野はあまり出題されませんが、2017年に電磁気の大問のなかで一部扱われました。今後出題されないとも限らないので、基本的な問題は確実に解けるように対策しておきましょう。
いずれの分野でも高度な思考力や本質的な理解が問われるため、公式丸暗記のような勉強法では太刀打ちできません。問題文を正しく理解し、関係式や図で状況をうまく整理できるよう、様々なパターンの問題で演習を積んでおきましょう。
早稲田大学理工学部物理の各問題の特徴
大問構成はこのようになっています。
- 第1問 波動または電磁気マーク式設問
- 第2問 力学記述式設問
- 第3問 熱力学または電磁気記述式設問
大問3題で構成され、例年第1問がマーク式、第2問・第3問が記述式です。前半の小問の結果を用いて、後半の小問で発展的な内容を考察する、というパターンがほとんど。そのため前半の小問でミスをすると、その後の小問も総崩れになる可能性があるので、ケアレスミスには十分注意しましょう。後半になると、前半より複雑な条件が加わることも多く、難易度が高くなる傾向にあります。
早稲田大学理工学部物理の時間配分の例
試験時間は理科2科目で120分なので、単純計算で物理にかけられる時間は60分です。大問が3題あり、各大問で小問の数が多く難易度も高めなので、かなり厳しい時間設定と言えます。
時間配分の例
00:00 | 第1問 波動または電磁気マーク式設問(20) |
00:20 | 第2問 力学記述式設問(20) |
00:40 | 第3問 熱力学または電磁気記述式設問(20) |
物理は、状況設定がある程度パターン化されています。まずは全体をざっと俯瞰し、使う公式や解き方の予想がつく問題から解いていきましょう。見たこともない状況・現象が扱われている問題は、後回しにした方が無難です。
ただし早稲田大学理工学部の物理は、物理現象そのものは典型的であっても、複雑な計算を求められることも多いです。そのため時間がかかりすぎると判断したら途中で別の問題に移るなど、臨機応変な対応も常に意識しておきましょう。
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早大理工学部物理で必要な学力レベル
早稲田大学理工学部の物理は難易度が高く、思考力・計算力・スピードすべてが求められます。ただ物理現象としてはあまり突飛な設定は見られず、典型的なパターンであることが多いです。そのためまずは頻出分野である力学と電磁気を中心に、典型問題を確実に網羅した上で、過去問などで出題傾向に慣れていきましょう。
レーダーチャート
ここでは、学習塾STRUXが使用しているレーダーチャート分析をもとに、早稲田大学理工学部の物理に必要な参考書・レベルをチェックしていきます。
早稲田大学理工学部のレーダーチャートはこのようになります。
ほとんどの分野で高い完成度が求められます。難易度もさることながら、早稲田大学理工学部の物理はとにかく時間が足りません。いかに考え込む時間を減らし、計算を速く処理するかが重要です。典型問題は見ただけで解法が自然に思い浮かぶくらい、問題集をしっかりやり込んでおきましょう。
力学
力学はレベル4。出題のバリエーションがとにかく豊富なので、様々な問題に触れておくことが重要です。初見の問題であっても運動方程式・力学的エネルギー保存則などの法則に当てはめ、関係式や図で状況をうまく整理できるかが鍵です。
電磁気
電磁気はレベル4。磁場と電流という典型的なテーマが頻出ですが、複雑な条件を正しく把握する理解力が要求されます。「どんな状況のときに、どんな関係式が成り立つか」をしっかり整理しておきましょう。
熱力学
熱力学はレベル4。気体の分子運動・気体の状態変化といった、問題集でもよく見られるテーマが頻出です。ただ近似式を扱ったり、ばねの単振動との融合問題になっていたりと一筋縄ではいきません。複雑な条件に惑わされず、物理現象を丁寧に紐解いていく本質的な理解が問われます。
波動
波動はレベル4。ドップラー効果や、スリット列による光の干渉・プリズムによる屈折など、典型的な題材がよく出題されています。イメージがしづらいため難しく感じやすい分野ですが、過去問を中心に丁寧に理解を深めていきましょう。
原子
原子はレベル3。原子分野単体で出題されることはほぼなく、近年では2017年に電磁気の大問の一部で扱われています。光電効果・コンプトン効果・ボーアの原子模型といった頻出テーマの基本的な問題は確実に解けるようにしておきましょう。
早稲田大学理工学部物理が解けるようになるためのレベル別勉強法
早稲田大学理工学部の物理で合格点をとれるようになるための勉強内容をご紹介します。「これから勉強を始める!」という人ははじめから進めてほしいですし、「ある程度基礎はできている!これから早稲田大学理工学部に特化していきたい!」という人は途中から読み進めてもOKです。
まずは物理の基本。教科書レベルの内容をしっかり身につけよう
物理の勉強は学校の授業と並行して行うことでスムーズにすすめることが出来ますが、多くの学校では進度が遅く、高3の冬入試ギリギリまで終わらないということもしばしば。入試対策を十分に行うためには、自ら予習して高3の夏前には全範囲の基本を押さえておきましょう。
これまで習った範囲の復習も含め、以下の参考書で全範囲の知識の網羅と定着を図ります。
「スタディサプリ」などの映像授業を活用し、教科書レベルの基本知識を盤石にしていきます。いきなり問題を解くことはできないため、まずは映像授業の視聴と付属の問題を解くことで基礎をしっかり身につけていきましょう。
「リードα」「セミナー」などは適宜学校で配布されたもので似たようなものを使っても構いません。学校で配布されない場合、中古のものの購入や市販の「エクセル物理」などを活用しましょう。問題数が多くレベルも幅広いため、知識の定着にも入試レベルへの飛躍にも最適です。
次に進むポイント
- 物理の苦手意識がほぼなくなった
- 物理で学ぶ範囲や、問題で問われる基本的な物理現象を把握している
- 映像授業や学校の授業の内容はすべて理解できた
入試問題頻出の「定石」を把握する問題演習
物理では、問題がある程度パターン化されています。教科書の基本知識を身につけたら、各分野の定石問題に取り組みましょう。ほとんどの問題は定石だけ、もしくは定石の組み合わせで解けるので、定石を身につけることは早稲田大学理工学部入試を解くうえで強力な武器になります。
まずは『物理のエッセンス』でしっかり基礎を身につけてから、『良問の風』に取り組みましょう。解説にもしっかり目を通し、間違えた問題は自力で解けるようになるまで復習してください。
3年生の夏休みが終わるまでには、上記の問題集を網羅できると良いペースです。
次に進むポイント
- 「物理のエッセンス」の問題を9割以上解ける
- 「良問の風」の問題を9割以上解ける
入試形式の問題演習で、早大理工学部入試レベルまで引き上げる!
定石問題を身につけたら、レベルを1段階上げ、入試問題に特化して対策していきましょう。入試問題に頻出の重要な問題を、以下の問題集を活用して網羅していきます。
ここまでの問題集を仕上げたら、3年生の秋頃からは過去問演習に取り組み、近年の早稲田大学理工学部の出題傾向をしっかり掴んでおきましょう。似たような物理現象が扱われることも多いため、間違えた問題・解けなかった問題はしっかり復習しておいてください。
- 過去問赤本(5〜10年分)
早稲田大学理工学部の物理は、時間との戦いです。かなり厳しいですが、過去問演習では60分以内には解き切ることを目標にしましょう。時間内に終わらなかったら、なぜ終わらなかったのか・もっと速く解くには何が足りないかをしっかり分析し、本番に向けて完成度を高めていきましょう。
ただし、解き切ることだけを目標に第1問から解くのではなく、解きやすい問題から先に解くことも意識して取り組んでください。