「世界史の全体像はざっくり理解できた!」この記事はそんな人に向けた記事です。さて、これから各時代、地域の歴史を理解、暗記していくわけですが、「どんな順番で通史は進めればいいの?」「どんなところが重要なの?」という疑問を持つ人も多いはず。今回は通史の進め方に関する疑問に答えながら、通史の効率の良い勉強法を解説していきます。
世界史の通史の勉強法については以下の動画でも解説しています。

- 案件
世界史の通史をサクっと効率よく理解したいです。

世界史の通史をサクっと効率よく理解したいです。









戦略01教科書、一問一答だけじゃダメ?通史学習の必要性
突然ですが、こんな勉強法してる人いませんか?
- 世界史の勉強はとりあえず教科書を繰り返し読んでいるだけ。
- ひたすら一問一答をやっている。
- 学校の授業で通史が終わるのを待っている。
※以上が全て当てはまらない人は、戦略01は読み飛ばしてOKです。戦略02へ進み、効率よい通史の勉強法を読みましょう。
こんな勉強をしてる人は注意!「本番までに世界史の知識が身についていない」可能性が高いです。

以下、それぞれの何がいけないかを説明しましょう。
とりあえず教科書だけ何度も読んでいる人
ちゃんと内容頭に入っていますか?重要な部分がどこか分かりますか?
たまに教科書のみで受験を乗り切る人がいますが、そういった人たちはあくまで「教科書を重視していた」だけ。「教科書のみ」で受験に対応できる人はそういないのです。
なぜなら、教科書は「必要最低限の量」の文章で書かれているから。そのため、世界史についてのある程度の素養がないと理解ができないよう書かれてしまっているのです(教科書だけ読んで頭にスッと内容が入ってくる人は、授業を受ける必要ないですね)。

「とりあえず一問一答やってるんだけどダメなの?」という人
こういった人もキケン。確かに一問一答はできるようになっています。
しかしこういった人たちは、単語は覚えているものの、「これらの出来事を起きた順に順番に並び替えよ」、「~の内容を説明せよ」という問題の答えに困ってしまうのではないでしょうか。

これは、歴史の流れを理解せず、単語の内容や意義を理解していないことが原因です。
たとえば、「三十年戦争の経過と結果を100字以内で説明しなさい。」という問題が出たときぱっと答えを書くことができますか?
もし答えが思い浮かばなければ、それはただ「三十年戦争」という単語を覚えているだけで、問題によっては対応できないことがあります。
ですから、「歴史を理解し」「用語を覚えていく」作業である、通史の学習が必要なのです。
学校の授業で通史が終わるのを待っている人


学校の世界史の授業が終わるのは多くの学校では、早くて冬ごろ。その時期に始めて、近現代史などを理解していては遅すぎます。入試では、近世~近現代は必ずといっていいほど出題されてしまっているのです。
さらに一度授業を聞いただけで、頭の中に講義の全内容が全部完璧に入っている人なんてそうそういませんよね?
ですから、自分で通史の勉強を進めて、復習をしていく必要があるのです。



戦略02通史の勉強法の方針
さて、通史の勉強法の必要性が分かったところで、具体的なやり方を説明していきましょう。まずは理解しておいてほしい通史の方針を解説します。
2-1. 通史はどの順番でやればいいの?
よく通史の学習である質問が「どの順番でやればいいの?」というものです
結論からいうと、「最初から順番にやるのがいい。ただ教科書ではやってはいけない。」です。

歴史は過去から未来に流れていくもの。前の時代ごとに起こったことが後の時代に影響しているわけですから、時代に関しては古代といった、古い時代から順番にやっていった方が頭に入りやすいです。いくら近現代史が頻出範囲だとしても、近現代史を理解するにはその前の時代を理解することが不可欠です。

この点に関しては、教科書だと、基本的には、古代→中世→近世→近代..というように時代ごとに教科書は書かれているため、教科書は優れているかもしれません。
ただ、この教科書の並び順に関して、
という悩みをよく聞きます。

それはなぜかというと、教科書では「ある時代のヨーロッパ史終わったら、同じ時代のアジア史、それが終わったら、次の時代のヨーロッパ史……」と書かれており、しかも各歴史がかなり分断されて、おおざっぱに解説されてしまっているためなのです。

2-2. 地域別に学習するのはダメなの?
という質問も受けます。
その通りなんですが、「地域別」というところが問題になってきます。
単純に、「ヨーロッパ史」「アジア史」などと分けるのは微妙でしょう。ある地域においては、イスラーム君主が支配されていたこともあれば、キリスト教の王が支配していたこともあります。ですので、受験世界史において、地域別に歴史を分けて古代から現代まで一気に学習することは、内容が複雑すぎて、通史を学習する分には適していないのです。

「イスラーム世界」、「ヨーロッパ世界」と文化的に分けて一気に学習するやり方もあるのですが、その場合も結局ヨコの繋がりがよく分からなくなります(そもそも文化的に区切って解説している参考書はあまりメジャーなものがありません)。
(ただし、「自分の志望校では「~史」がめちゃくちゃ出る」、という場合は、別途対策をすることは有効です。これに関しては、「志望校分析」「論述記事」を確認しましょう。)

というわけで、結局のところ、「同時代の別の地域のことも把握しながら(ヨコのつながりを意識しながら)、時代順に勉強を進める」という通史のやり方がベストです。


戦略03通史の具体的な勉強のしかた
それでは通史の具体的な勉強法を確認していきましょう。まずは勉強の仕方の基本的な情報から。
- 必要なもの
- インプット用の教材、アウトプット用の教材
- いつから始めるか
- 高3春~(もしくは、全体像把握が終わって、世界史に時間をさけるようになった段階)
- どれくらい時間がかかるか
- 教材による
【勉強の手順】
- Step1
- Step2
- Step3.
- Step4
- Step5
必要な教材をそろえる&学習計画を立てる。
インプット用の教材を1周やる。
インプット用の教材をもう1周やる。
アウトプット用の教材をやる。(Step3と同時並行)
定着していないところを中心に、インプット用のテキスト、教科書をやる。
詳しくみていきましょう。
Step1. 必要なものをそろえる&学習計画を立てる
まずは、必要な教材をそろえます。インプット用の教材とは、「通史を知るため、理解するための教材」です。
具体的には、
- ① 通史用テキスト(映像教材も含む)
- ② 用語集
- ③ 資料集
- ④ 教科書
の4つがインプット用教材にあたります。
一方で、アウトプット用の教材とは、「通史を覚えるため、使えるようになるための教材」です。
具体的には、書き込み式ノートまたは、それと同等の教材になります。
まずは、インプット用の教材を紹介しましょう。
インプット用教材
① 通史用テキスト(映像教材も含む)
この教材が通史を学習する上で、中心になる教材です。使用目的は、「世界史のことがら」を理解していくこと。この教材の魅力は、教科書(+α)の内容を分かりやすいかたちで解説していること。教科書ではわかりにくかった内容が丁寧に解説されています。
おすすめは次の2教材です。
●スタディサプリ 高3トップ&ハイレベル世界史〈通史編〉
スタディサプリの世界史の講座です。50講座(1講座約1時間)で通史を一通り学習することができます。スタンダード編(全25講)は特に重要な通史を解説しているもので、トップ&ハイレベルと重複する部分があります。自信がある人は、飛ばしてしまっても問題ありません。
なんといっても、自分のペースで通史の授業を受けられる点が魅力です。

●荒巻の新世界史の見取り図(上・中・下)(東進ブックス)
荒巻の新世界史の見取り図(上・中・下)(東進ブックス)|Amazon
教科書とほぼ同じ順番で通史が解説されている参考書です。わかりやすい解説と豊富な図表が特徴です。教科書では省かれているような説明も書いてあるので、読んでいて「なんで?」と疑問に思うことがほぼありません。

② 用語集
①の通史用テキストを読んでいて、用語の内容が分からないときに使いましょう。
おすすめのものや、詳しい使い方は、世界史用語集|世界史が得意になる!世界史用語集の使い方を確認しましょう。
③ 資料集
資料集は詳しいデータや地図を見たいときなどに使います。(逐一確認する必要はないです。)
資料集の使い方に関しては、世界史 資料集|世界史が得意になるおすすめの資料集と使い方を紹介!で詳しく解説しています。
④ 教科書
さんざん教科書は分かりにくいと説明してきましたが、それでもやはり教科書は使います。なぜなら、大学入試は教科書をもとに作られているからです。そのため、問題の出し方、説明文は教科書にのっとったものなのです。①通史用テキストがいくら優れていても、最後は教科書を使って通史を完成させます。詳しい使い方は、世界史教科書の使い方についての記事を読みましょう。
アウトプット用教材
次はアウトプット用の教材です。この教材は通史用テキストを中心に知った知識を頭に定着させていくために使います。
●詳説世界史ノート(山川出版)
ノート形式で通史がまとめられていて、重要事項を穴埋めで答えていく、いわゆる書き込み式ノートです。教科書に従って書かれているので、受験に相性がいいです。さらに、書き込んでいくことで、アウトプットにもなるし、復習用の教材にもできてしまう優れものです。
書き込み式ノートの埋め方、使い方については「世界史 書き込み式ノートカリキュラム」を確認しましょう。
ちなみに、学校の授業で聞いたこともこのアウトプット用の教材にメモっていく形でOKです。世界史だと自分でイチからノートを作る人もいますが、それだと時間がかかって効率が悪いです。授業で重要だな、と思った説明や板書は適宜書き込んでいきましょう。
●スタディサプリのテキスト
スタディサプリを受講している人はこちらを使いましょう。自分のインプット用教材に合う、参考書を使うことが大切です。
以上の教材が準備できたらいよいよ、勉強の開始です。
Step2. インプット用の教材を1周やる
まずは、通史用テキストを1周やりましょう。1周目はいかに早く終わらせるかが重要なので、あまり用語はここで覚えようとしなくて大丈夫です。
5W(誰が、いつ、どこで、なぜ、何をした)のうち、特に「なぜ」をしっかりおさえましょう。「なぜ」を意識して読めば、自然とタテやヨコのつながりなどは理解できるはずです。



マルオ君のように、理解に自信が持てないというときは、信頼できる先生に聞いてみるのもアリです。とにかく用語を暗記する上で歴史の理解は必須なので、疑問の残らないようにしましょう。
Step2については1,2か月ほどで仕上げてしまいましょう。
Step3. インプット用の教材をもう1周やる
今回は、「用語を覚える」ことにフォーカスしましょう。5Wの「誰が」「いつ」「どこで」「何をした」が基本的に覚える内容です。

Step4. アウトプット用の教材をやる(Step3と同時並行)
いくら解説が分かりやすい参考書でも、実際に用語を定着させるには用語を覚える練習を別にしないといけません。

そこで、書き込み式ノートなどを使って用語を定着させましょう。具体的には、「通史用テキストを1章分やる」→「アウトプット用の教材の該当範囲をやる」といったように1章分やったら、アウトプットするという流れで行いましょう。
もし、埋めることができない用語があれば、インプット用の教材で調べて、埋めましょう。
Step5. 定着していないところを中心にもう一度インプット用の教材をやる
これが最後です。ここまでくれば60~70%は知識は定着できているはずです。(残りの40~60%は「一問一答」や「単語演習」で定着させることができますので、この時点で完璧に覚えていなくても大丈夫です。)
※具体的な一問一答の使い方、ペースは「一問一答カリキュラム」を、早慶レベルまで用語レベルを引き上げる用語練習の勉強の仕方は、「単語演習カリキュラム」を読んでみてください。
まずは、教科書を一度読み通してみてください。
以前はよくわからなかった教科書の内容が、スラスラ頭に入ってくるようになっているはずです。なぜなら、ここまでで通史を理解し、知識も定着させられているからです。
逆に、スラスラ入ってこない部分は復習が必要ということになります。もう一度、その部分の通史用テキストをやり直してください。
これで、通史の勉強は一通り完成です。
今後は問題を解いていて、適宜わからないことがあれば、通史用テキストや教科書を見て復習する、という流れになります。



まとめ