多くの大学・学部で出題されますが、なかなか満点が取れない和文英訳。難しい問題では書き出しから詰まってしまい、何も書けない、なんてことも起こりがちです。ですが多くの人が苦手意識を持っている和文英訳を得意分野にできれば、他の受験生に大きな差をつけることができます。
多くの人が和文英訳に苦手意識を持っているのは勉強法が間違っているからです。この記事を読み正しい勉強法を学び、和文英訳で他の受験生に圧倒的な差をつけましょう。
- 文法用語を理解していない状態で英訳問題を解いている
- 単語も短文も暗記したことがないまま演習をしている
- 分からない単語を逐一辞書で調べながら解いている
このどれか1つにでも当てはまる場合は、この記事で正しい勉強法を学んで、勉強のやり方を見直してみてくださいね!
※和文英訳を含む英作文の勉強全般で気を付けたほうが良いことは、こちらのページにまとめてあります。
英作文(和文英訳)の勉強って何をすればいいの?
和文英訳で実力をつけるために必要なトレーニングは以下の3つの要素に分解することができます。
- step1.
- 英作文の勉強に入る前に文法・単語をしっかり固める
- step2.
- 英借文のために例文・短文を暗記する
- step.3
- 実践演習を積む
まずは最低限の文法と単語の知識を身につけるところから。
作文の問題集では文法用語がかなり出てくるので、文法を理解していないと問題集の解説をスラスラ理解することすらできません。
毎回文法書を開いて文法書をチェックしながら進めると、時間がかかってなかなか前に進まないので、モチベーションも上がりにくいでしょう。
基本的な単語もインプットしておかないと、英訳1文ごとに知らない単語がいくつも出てきて、これも勉強のペースを落とす原因になってしまいますよね。
文法や単語を理解したら、次は例文や短文を暗記する作業です。
和英には頻出の問題がいくつかありますが、これらは暗記で対応できるようになりたい所です。
「こう来たらこう答える」とできるものが増えれば増えるほど、試験中、英作文の問題以外に使える時間も増えるので結果的に読解の得点も上がりやすくなる利点もありますね!
最低でも150~300短文くらいの英文を暗記して、反射的に書ける英文を増やしておきましょう。
余力がある場合は、500~700文くらいの英文を暗記するのがおすすめです。
ここまで終わったら最後は実践的な演習です。
問題集や過去問を使って、長い日本語を英文に直す練習をしていきましょう。
以下、ステップごとに具体的な勉強法やおすすめの参考書を解説していきますね!
英作文の勉強に入る前に文法・単語をしっかり固める
和文英訳では文法・単語の知識が不可欠なので、最初の勉強は「文法・単語の勉強」になります。
しかし、「和文英訳で問われる文法・単語は、文法問題で問われる文法・長文読解で問われる単語より簡単なことが多い」ので、読解のために最低限必要な勉強をこなしていれば、それだけでも十分な学習はできていると考えてOKです。
文法の学習手順とおすすめの参考書
文法の学習手順は以下の通りです。
- step1
- 映像授業などで基本事項を理解する
- step2
- 確認問題や例題として解説された問題を自力で解く
- step3
- 問題集で該当範囲の演習に取り組む(定着)
step1やstep2は『スタディサプリ』と言われる映像授業の教材がおすすめです。
『スタディサプリ』であれば高校英語の文法はもちろん、中学レベルの文法が怪しい人でもレベルに応じてコースを使い分けできるので、どんな人でも使いこなすことができるでしょう。
インプットする際は、ノートを綺麗に取ることよりも授業を理解することに集中してくださいね!
確認問題もついているので、そこまで終わらせて問題演習に取り組んでいきましょう!
学校の授業で「文法は理解できている」という場合は、最初からstep3の問題演習に取り組んでも大丈夫です。
問題集としては、『入門英文法問題精講』などを使ってみるといいでしょう。
『入門英文法問題精講』は高校レベルの英文法を網羅できる比較的易しい問題集です。
問題を解いて解説も丁寧に読めば、受験に必要な最低限の知識は身につけることができるでしょう。
どちらも詳しい使い方はこちらの記事で解説しているので、参考にしてください!
単語の学習手順とおすすめの参考書
英単語も読解のために使っている単語帳の学習が進んでいれば、それで基礎知識としては十分です。
すでに単語帳を利用しているのであれば、何周もくり返して日本語を見て英語が出てくるようにしてください。
もし単語帳で学習していないのであれば『ターゲット1900』などを利用するといいでしょう。
最初の1~2周は「スペル」「発音」「主要な意味(赤字)」「品詞」を覚えることに集中して、これらがある程度頭に入ったら「赤字以外の意味」「語法」「関連語(類義語、対義語、派生語など)」「例文」を覚えたり、「日本語から英語に直す」練習をしたりして語彙力を鍛えていきたい所です。
詳しい使い方は以下の記事で解説しているので、参考にしてください!
英借文のために例文・短文を暗記する
次は1文程度の英文をたくさん暗記するステップです。
「例文暗記(暗唱)」や「短文暗記(暗唱)」などと言われたりします。
和文英訳の問題の中でも「1文程度の日本語を英語に直す」易しめの問題は、暗記している英文の単語を少し変えるだけで答えることができます。
覚えている英文から借りて来て、日本語を英語に直すので「英借文」という言葉を使ったりするわけですね。
これができるようになると、和文英訳で高得点を取れるようになるのはもちろんのこと、素早く解答を作れるようになるため、読解に試験時間を多く使えるようになり、英語全体の総合得点も伸ばすことができます。
そのために必要な短文暗記の具体的な勉強手順は次の通りです。
- step1
- 覚えるべき文章の文法・構造・単語・発音アクセント・スペルを理解する
- step2
- 5回以上(音源に合わせて)音読して覚える
- step3
- 日本語を見て英文を思い出せるかテストする
- step4
- 間違えたものだけピックアップしてstep2からやり直す
まずは覚えるべき文章の「文法」「構造」「単語(品詞含む)」「発音アクセント」「スペル」を理解しましょう。
基本的な理解をせずに暗記だけすると、応用が利かなくなるので理解した上で覚えるのが重要です。
文法をしっかり勉強できていれば、文法的に難しいものはほとんどないはずなので、文法や英文の構造を理解するのは難しくありません。
暗記をするときには必ずスペルと発音アクセントをセットで覚えることを意識して、音読をくり返していきましょう。
覚えたと思ったら、日本語を見て英文を思い出すテストをして、間違えたものは覚え直して再テストです。
これをくり返せば数百くらいの短文であれば、すぐに暗記できますよ!
参考書としては、『(必修編)英作文のトレーニング』に付属している別冊「暗記例文集」や『ユメサク』などを使うといいでしょう。
『(必修編)英作文のトレーニング』に付属している別冊「暗記例文集」には100文の短文が収録されています。
本体にそれぞれの短文の解説が詳しく書いてあるので、しっかり理解した上で暗記に取り組むことができるでしょう。
『ユメサク』には300の文章が収録されています。
こちらは解説はそれほど多くないので、暗記用教材として使うにはやや上級者向けになります。英語が得意な人はこちらを使って暗記をしてみるのがおすすめです。
以下の記事で『ユメサク』の使い方を解説しています!
この他にも、ふだん使っている単語帳(『ターゲット1900』など)や文法問題集(『Vintage』など)の文章を暗記していくのは効果的です。
ふだん勉強している教材をそのまま暗記教材として活用できるので、「理解する」作業を飛ばして暗記用教材として使えるのが大きな利点ですね!
和文英訳の問題集で実践演習を積む
最後は実践演習になりますが、実践演習に移る前に志望校の過去問を1度確認しておきましょう。
入試で出題される和文英訳のほとんどは次の2つのパターンに分かれます。
- 1~2文程度の短い日本語を英訳する
- 3文以上の長い日本語を英訳する
それぞれ見ていきましょう。
1~2文程度の短い日本語を英訳する問題が出題される場合
このうち1~2文程度の短い日本語を英訳する場合は、暗記してきた知識を元に、すぐにでも過去問演習に入ることが可能です。
時間に余裕があれば参考書を使って問題演習をしてから過去問演習に入っても構いませんが、時間がない場合は過去問演習に入って本番と同様の問題で練習をしていきましょう。
参考書を使う場合は『英作文ハイパートレーニング和文英訳編』などを使うといいですね。
以下のような手順で勉強するといいですね。
- step1
- 時間を計りながら自力で和英に取り組む
- step2
- 辞書があれば直せそうな部分は辞書を使って直す(ペンの色を変える)
- step3
- 解説を隅々まで読んで理解する
- step4
- 解説を閉じて模範解答を再現する
- step3
- 覚えていなかった単語を辞書で調べて覚える
実践演習はのんびり進めてはいけません。試験本番を想定して日本語1文あたり5分程度で英訳していきましょう。
まずは辞書は使わず自力で訳してみるように。
後でも詳しく解説しますが、自分の知らない単語が出てきても知っている表現内で言い換える力を付ける必要があるからですね。
時間内に書き切ったら、辞書を使って修正してみましょう。ペンの色を変えて(青ペンなど)修正してみた上で解説を読んだ方が解説が得るものが多かったり、知らない語彙を覚えるチャンスが増えたりします。
こちらもあまり時間を使いすぎず、1問あたり5分~10分程度で抑えてください。
次に解説を隅々まで読んでしっかり内容を理解して、理解したら解説を閉じて模範解答を再現してみてましょう。
ちゃんと理解できていれば、解説を閉じても模範解答を自力で再現できるはずです。模範解答が再現できなければ、「分かったつもり」になっている可能性が高いので要注意ですね。
最後に解説に出てきた単語や熟語で自分の覚えていなかったものは辞書で調べて覚えるようにしましょう。
過去問は赤本などを活用するといいでしょう。ただし、過去問を利用する際には英作文だけをピックアップしてトレーニングするのではなく、読解問題なども含めた英語全体を試験時間内にしっかり解き切る練習をするようにしましょう。
試験時間という限られた時間の中で焦っていても正しく和英をできる力をつけるのは大事なことです。
過去問の和文英訳部分の復習はここで説明した手順で進めればOKです!
3文以上の長い日本語を英訳する場合
次に過去問で3分以上の日本語を英訳する長い和文英訳が出題されている場合について。
3文以上の長い日本語の文章を英訳する場合は、最初から過去問に取り組んでも難しくて手が出ない場合もあるはずです。
一旦、問題集で練習してから過去問演習に進むのがおすすめです。
例えば『(実践編)英作文のトレーニング』などを使うといいでしょう。
演習の手順は以下の通りです。
- step1
- 時間を計りながら自力で和英に取り組む
- step2
- 辞書があれば直せそうな部分は辞書を使って直す(ペンの色を変える)
- step3
- 解説を隅々まで読んで理解する
- step4
- 解説を閉じて模範解答を再現する
- step3
- 覚えていなかった単語を辞書で調べて覚える
試験本番を想定して日本語1文あたり5分程度を目標に英訳していきましょう。どれだけ長くなっても大問1つにつき20分を超えないように。
のんびり考えながら進めると簡単にそれくらいの時間はかかってしまいます。
まずは辞書は使わず自力で訳してみるようにしましょう。
後でも詳しく解説しますが、特に長い文章の和英は、自分の知らない単語が出てくる可能性がほぼ100%で、そういった問題でも知っている表現内で言い換える力を付ける必要があるからですね。
時間内に書き切ったら、辞書を使って修正してみましょう。ペンの色を変えて(青ペンなど)修正してみた上で解説を読んだ方が解説が得るものが多かったり、知らない語彙を覚えるチャンスが増えたりします。
こちらもあまり時間を使いすぎず、1問あたり10分程度で抑えてください。
次に解説を隅々まで読んでしっかり内容を理解して、理解したら解説を閉じて模範解答を再現してみてましょう。
模範解答が複数ついている場合は、全ての模範解答を理解して、全ての模範解答が再現できる状態になれるのがベストです。
模範解答が再現できなければ、「分かったつもり」になっている可能性が高いので要注意ですね。
最後に解説に出てきた単語や熟語で自分の覚えていなかったものは辞書で調べて覚えるようにしましょう。
難しい日本語を英文に訳すためには?和文英訳で高得点を取るためのコツ
最後に難しい和文英訳問題でも高得点を取るためのコツを解説していきましょう!
難しい問題を正確に解けるようになるための流れは次の通りです。
- 正しい文法・単語を使って正しい文章を書けるようになる
- 構造が複雑な文章を簡単な文章に言い換える力をつける
- 難しい単語を簡単に言い換える力をつける
正しい文法・単語を使って正しい文章を書けるようになる
難しい問題を解けるようになる前に、まずは易しい和英問題を正確に速く書けるようになることが重要です。
文法や単語は「英語→日本語」で覚えているだけでは、「日本語→英語」と変換することができません。
まずは最低限の暗記をサボらず行うことが大前提ということを改めて強調しておきます。
構造が複雑な文章を簡単な文章に言い換える力をつける
和文英訳では構造が複雑な日本語を英語で簡単に表現する力が求められます。例として以下の日本語を英文に直してみましょう。
例えばこの文章をこの日本語の構造にしたがって、英訳しようとすると“Today, the reason that many young people are busy ~”というような書き出しになり、後半の「花見をする若者がめっきり減った。」の部分が書きづらくなってしまいます。これは「理由」を素直に“the reason”としてしまったことで起きてしまったものです。
ですがこの文章を「近頃は、若者は忙しいため、花見をする若者は減っている。」と読み替えられれば、“Today, because many young people are busy, ~”という文章になり後半部分がぐっと書きやすくなります(なぜかというと前半に“because”という接続詞を使ったからです)。
両者の違いは「理由」という部分を“The reason”と訳すか“because”と訳すか、だけです。ですがこのように文章全体を簡単な表現に置き換えて英訳する力が求められるのです。
実践演習をする中で、あるいは過去問演習をする中で確実にこういった「置き換え」「読み換え」に出会うことがあるので、確実に吸収していきたいですね。
丁寧に解説を読んで模範解答を暗記することが重要です。
難しい単語を簡単に言い換える力をつける
文章の構造と同様に、単語に関しても難しいものを簡単に言い換える力が求められます。先ほどの例をまた見てみましょう。
ここに出てくる「花見」という単語は、どこかの単語帳に書かれていてそれを覚えていないと書けないのでしょうか? それは違います。ここでは「花見」をうまく言い換える力が求められているのです。
そこで「近頃は若者は忙しいため、桜の花を見に行く人は減った。」というように文章を読みかえてあげます。そうすれば「花見」という単語も「桜の花を見に行く」という単語に置き換えられます。そうすることで
この文章は確かに見かけ上、元の日本語の文とはかなり形が異なっているように見えますが、よくよく見ると言っている内容は全く同じであることが分かります。
つまり自分の知らない語句が出てきたときには、「知っている語彙を使って言い換える力」を身につけることが重要ということですね!
ただし「言い換えられれば良いから語彙力は必要ない」というわけではありません。
「花見」をこれまでにどこかで英語で表現しているのを見たことがあって、一目見て“a cherry blossom viewing party”と解答できる方が速く解答を作れるのは間違いありませんし、速く正確に書ければ、読解など入試問題の他のパートに使う時間が増えます。
速く正確に書くためには「語彙力はあればあるだけ良い」というのは間違いありません。
- 英語で見たことのない日本語を見たことのある英語表現に言い換える力
- 純粋な語彙力
はどちらかだけで良いわけではなく、両方の力を確実に伸ばしていくことが重要です。
まとめ
和文英訳の勉強の流れは次の通りでした。
- step1.
- 文法・単語の勉強をする
- step2.
- 例文・短文を暗記する
- step.3
- 実践演習を積む
文法・単語を基本として、短い文章を徹底的にインプットすることで、短めの和文英訳であれば、スラスラ書けるようになります。
日本語3文以上の長い和文英訳問題は、以下のようなコツも意識しつつ実践演習することで実力を伸ばすことが可能です。
- 正しい文法・単語を使って正しい文章を書けるようになる
- 構造が複雑な文章を簡単な文章に言い換える力をつける
- 難しい単語を簡単に言い換える力をつける
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