数学の終盤で待ちかまえている強大な敵、そうそれが数列。「何をやっているのかわからない!」「入試本番までに対策ができなかった…」そんな声が多いのもこの分野です。一見複雑で難しそうな数列ですが、実はコツさえつかめば、スラッと理解できてしまうのです!

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文字ばかりの数列が苦手です…
イミフな場所がイミフっていうか…aとかnとか、文字ばっかりで何をやっているのか分かんないんだよね。
なるほど、確かに数列は文字が多くて、抵抗感があるかもな。でも一度理解してしまえば簡単だ!なぜなら数列は、求めようとしていることはとても単純だからだ!
※この記事では、数学Bにおける数列について解説します。無限級数など数学3の範囲については解説していないので、ご了承ください。
戦略01 数列のどこでつまづくの?
1-1.数列ってなに?
やれやれ、それじゃダメダメだな。まずは数列全体で大切な視点を解説しよう。
数列とは…数が並んでいること!
1,7,22,40みたいに、幾つかの数が並んでいるものを数列と呼ぶんだ。
その通り、数列のミソは、数字と数字の間に何かの規則があるということなんだ!
そう、となり合う数どうしの差が常に同じ(等差数列)、割り算した時の値が同じ(等比数列)、隣同士の差の値がまた別の数列になっている(階差数列)などの規則があるぞ!
$a_1,a_2$といったもの(項というぞ!)は計算すれば、何かしらの数字が入る。つまりさきさきが文字だって言っているものは、数字だと思って考えるんだ!
そういう感じだ。そして右側にくっついている小さな数が、数列の中で何番目に出てくる数字なのかを表している。1番目が$a_1$、2番目が$a_2$、みたいに。
1-2 nは万能選手!
数列で一番問われるのが「n番目(第n項)を求めよ!」だと思う。
例えば君が、「$a_1$から$a_{1000}$までどんな値をとるか、全部答えて!」と言われたらできるか?
その通り、いやだよな。でもこれはnを使えば、一つの式で答えられるんだ!
nというのは1でも300でも1000でも、どんな数にでも変身できますよ!という記号だ!どの数にでも変身できるから、$a_1$ も$a_{300}$ も$a_{1000}$も、同じ式で表せるということ。それが$a_n$だ!
「どんな数も」というのは、「一般的に」と言いかえることができて、a_nは一般項と名付けられていることも覚えておこう!
戦略02 具体的な解説で、コツをつかもう!
2-1等差数列って何?
等差数列とは、となり合う数字どうしの差が常に同じになるような、数字の並び方のことです。
たとえば差が3だったら、1,4,7,10…みたいになるぞ!
これを数学っぽく表現すると、
$a_{n+1}-a_n=d$
となります。
nとn+1はとなりどうしで、その差が一定ってことね!
等差数列がどんなものかわかったら、次は一般項の求め方だ!
一般項を求めるために必要な情報は2つ、初項と公差です。
等差数列は同じ数を何回も足していく(引いていく)という規則があるような数列ですから、出発点と足していく数がわかればいいのです!そして一般項は…
$a_n=a_1+(n-1)d$
となります。
2-2等比数列
等比数列とは、となり合う数字どうしを割ると、その商(割り算の答え)が同じになるような数字の並び方のことです。
同じ数を何回もかけるといえば、例えば$3×3×3×3$を私たちは$3^4$
と表現しますよね。これを考えれば、一般項は累乗の形「◯の◯乗」という形になることが予想できますね!
等差数列と似ているが、初項と公比($a_1$と$r$)だ!
一般項は、
$a_n=a_1・r^{n-1}$
となります。
等差数列と等比数列は、数列の勉強にとって一番の基礎と言っても過言ではない!きちんと理解ができるようになるまで、教科書を読んだり問題集を解いたりしよう!以下の記事を参考にしよう!
2-3.シグマ(数列の和)
うち、このΣってのマヂで無理なんだけど〜!ちょー拒絶反応がでる!
確かに難しそうに感じるが、一度理解してしまえば次第に使いこなせるようになるぞ!公式の暗記だけでは問題を解くことにつながらないから、しっかりと理解できるようになろう!
等差数列の和
$\sum_{i=1}^n i=n \frac{f+l}{2}$ (f:初項、l:末項)
だろうな。そこで上の”数学語”を日本語に直すとこうなる。
$a_1 からa_n まで全て足す=\frac{(数値の個数)×(初項a_1+末項a_n)}{2}$
では説明するぞ。まず例を出すんだが、君は「1から100までの数字を全て足しなさい」という問題があったら、どのように解く?
それだと時間がかかる。計算の工夫として、右端と左端を順に足していくというやり方があるんだ!
たしかに、同じ数が出てくるから、計算がしやすいね!
実はこの考え方が、上で見た公式に使われているんだ!ほら、(初項+末項)って、数列の左端と右端を足しているだろ?
さらに2で割っているのも同じだよな!等差数列の和の公式は「1から100まで足す」計算と同じことをしていると覚えておこう!最後にもう一度公式をのせておくぞ!
$\displaystyle\sum_{ i = 1 }^{ n } a_i=n\frac {f+l}{2}$ (f:初項、l:末項)
$a_1$ から$a_n$ まで全て足す=$\frac{(数値の個数)×(初項a_1+末項a_n)}{2}$
等比数列の和
等比数列の公式はジッと見ていても何を言っているのかわからない。ここでは公式をどのように導いているのかと、導く上でのコツを紹介するぞ!
はじめに、Σとは何をしているのか思い出しましょう。Σとは、「$a_1からa_n$までを全て足す」ということでしたね。それを式に表すと
$S_n=\displaystyle\sum_{ i = 1 }^{ n } a_i=a_1+a_2+a_3+⋯+a_n$
となります。
次にもう一つ重要なポイント!それは「上の式全体に公比rをかけると、aの右下にある数字全てに1がプラスされる」ということ。つまり、
$rS_n=r\displaystyle\sum_{ i = 1 }^{ n }a_i=a_2+a_3+a_4+⋯+a_n+a_{n+1}$
ということです。
あとは二つの式を並べて、連立方程式の時のように引くと、公式
$S_n=\displaystyle\sum_{ i = 1 }^{ n }a_i={a_1 (1-r^n )}/(1-r)$
がでてきます。
公式の導きだし方を覚えておくと、もし公式を忘れてしまった場合に、計算によって思い出すことができるぞ!今まで見てきたような基本的な公式については、自力で導き出せるようにしよう!
戦略03 どのように学習していけばいい?
この記事を読んで公式の意味は少し分かった気がする!でも公式って、いつ使えばいいかわかんないんだよね〜!
公式を暗記じゃなくて理解できたことはいいことだ!数列の勉強には主に4ステップあるが、そのステップ1ができたということだ!
これが数列の勉強の4ステップだ!この順番を守って勉強を進めれば、入試本番のレベルまで学力を持っていけるぞ!
- step1
- 公式を理解する (教科書理解)
- step2
- 公式を使って、数列の計算がきちんとできるようになる(定石理解)
- step3
- 問題集を使って、問われ方と考え方を学ぶ(問題演習)
- step4
- 過去問を使って、志望校にあった対策をする(過去問演習)
step1公式を理解する
この段階は戦略02の解説に加え、持っている教科書を使っても復習ができると思う!これら二つを使って、公式がどんな意味を持っているのか確認しよう!教科書の使い方はこちらの記事をチェックだ!
step2 公式を使って、数列の計算がきちんとできるようになる
そうだな。この段階をマスターするコツは1つ。網羅系の参考書を使って、様々な計算の仕方を覚えるということだ!

『青チャート』
これらの参考書には、受験に必要な計算の種類やその解き方が全てのっている。何周か繰り返して解くことで、数列の計算ができるようになるぞ!
数学の計算は英語でいうと英単語みたいなもの。一度で覚えることはできないんだ。ただ、どのようにやれば一番効率的に学習できるかはアドバイスができるぞ!詳しくは下の記事で確認してくれ!
step3 問題集を使って、問われ方と考え方を学ぶ
高校3年生からは、この段階に入っていく。入試でどのように問われるのかを学んでいくんだ。詳しい使い方は下の記事で見ることができる。
一つ注意だ。Step1、Step2がまだできていない人がこの段階をやっても、レベルアップにはつながらない。必ず順番通りに勉強を進めていくことを約束してくれ!
step4 過去問を使って、志望校にあった対策をする
そうだ。過去問あるような問題が、本番の試験でも出るからな。有名な赤本などを使って、自分の志望校にあった対策をしよう!過去問演習の仕方は、以下の記事を参考にしてくれ!
『勉強法は分かったけど、志望校に合格するためにやるべき参考書は?』
『勉強法はわかった!じゃあ、志望校に向けてどう勉強していけばいいの?』
そう思った人は、こちらの志望校別対策をチェック!
まとめ
- 公式は暗記だけではダメ!理解をすることで、数列の考え方が身につく!
- 数列は 公式理解⇨計算練習⇨問題演習⇨過去問演習 の4ステップを守って勉強しよう!