古文の勉強も読解まできたら大詰め。しかし一番難しいのが読解です。「単語を覚えても古文が読めない…」「読解力つけるためにはどうしたらいいの?」など受験生の悩みが尽きません。
今回はそんな悩みを解消する読解の勉強を紹介します。この記事を読めば「たった1ヶ月で古文が読めるようになる」勉強法がわかります。


古文読解の勉強については以下の動画でも解説しています!
古文は外国語?!古文を読めない人がするべき勉強方法とは?
この記事を読んでいるみなさんは古文を「日本語」だと思っていませんか?
もちろん古文は昔書かれていた日本語です。
ですが同じ日本語だと思っても、古文は現代語と語法も使われている単語も全然違います。
もはや「外国語」と思ってもいいくらいです。少なくとも受験においては「外国語」だと思って勉強しなければいけないくらい、現代語と大きな違いがあります。

では、そんな外国語みたいな古文を読めるようになるには、どうすればいいか考えてみましょう。
古文を正確に読むための2つのポイント
古文の読解においては、英語と同様まずは
文の意味を正確に読み取る「精読力」を身につけるようにしましょう。
「正確」に読めるようにするにはどんな勉強をすればいいでしょうか?
結論から言うとこの二つです。
①「単語」「文法」といった基礎事項を完璧にすること
②何度も繰り返し読んで「慣れること」

集中して勉強すれば、①に2週間、②に2週間の合計1ヵ月でも古文の読解はかなり出来るようになります。
最短のルートで正しく勉強していくために、一つずつ解説していきましょう。
正確な読解のポイント1:古典の「単語」と「文法」を完璧にしよう
「単語」「文法」の暗記は読解に入る前に必ずやりましょう。基礎知識の暗記は英語でも大事ですよね。英単語とか、英文法とか。
はじめに言った通り、古文はもはや外国語です。
古文単語、古文の文法ルールに従って読み進めていかないといけないので、単語や文法をきちんと理解できていないと正確に読解することができません。
「なんとなく読めるからいいじゃん」と思っている人は気をつけてください 。
古文は文法をあまり気にせずさらっと読めてしまいます。使われている文字は現代と同じ日本語ですからね。
そしてさらっと読んでしまっていざ問題を解こうと思っても手が止まってしまい、全然意味を把握できていなかった……なんてことはよくあります。
全然意味を把握できないことがないように「単語」「文法」をしっかり勉強しましょう。
そして覚えた単語と文法をフル活用して読むんだ、という意識を持ちましょう。
「古典単語勉強法」「古典文法勉強法」の詳しい勉強法についてはそれぞれ以下の記事で確認してみてください。
「古典単語」の勉強法はこちら!
「古典文法」の勉強法はこちら!
正確な読解のポイント2:何度も繰り返し読んで古典読解に慣れよう
2つ目にやらなきゃいけないことは古典の文章に「慣れる」ということ。
先ほど古文単語や文法を勉強して、それらを使う意識を持つように言いました。
しかし文章を読んでいても習った知識をうまく使えない、文章の意味を把握できない、という人も少なくありません。
こんな状況になってしまう原因はすごくシンプル。
それは、問題の演習量・読解量が足りていないから。
いくら基礎事項を覚えたところで、実際に文章を読む練習をたくさんしていないと本番で読解はできません。
まして古文では「宮中の様子」「戦の様子」など特殊な背景があったり、「男女で和歌を詠み合う」というような現代にはない習慣があったりします。様々な文章に読み慣れて、ある程度の「あるある」のストーリーを知らないと、文字を追うだけで意味がわからない、ということになりがちです。

古典を「正確」に読めるようになる古文読解の勉強手順
ここまでの説明だけでは、「具体的に何をやったらいいかわからない」と思う人が多いはず。
ここからは、「正確」に読めるようになるための勉強手順を具体的に紹介します。
一ヶ月で文章をより正確に読めるようになり、スピードまで上がることを実感できます。
- 【用意するもの】 古典の読解用の問題集
- 【いつ頃からやるべきか】 単語、文法を一通り 暗記し終わったら
- 【どのくらいやるのか】毎回10回音読
- 【具体的な勉強法】
- Step1
- 問題集を選ぶ。
- Step2
- 実際に文章を読み、問題を解く。(時間に余裕があれば現代語訳をする)
- Step3
- 答え合わせを読み、解説を確認。
- Step4
- 現代語訳を見て自分の訳と照らし合わせる。
- Step5
- 最後に音読する。

Step.1 問題集を選ぶ
ためしに今回は、「マドンナ入試解法」を使ってみましょう。
Step.2 実際に文章を読み、問題を解く
問題集を選んだら、早速解きましょう。普通に解けばいいのですが、この時に一点だけ注意事項があります。それは
「問題をコピーすること」です。
問題をコピーする理由は、復習(読み直し、音読など)の時に書き込みがあるものとないものの二つを用意するためです。
解くときにはコピーしたものに書き込みつつ解いていってください。
受験までに、時間的に余裕がある場合は、現代語訳をノートやルーズリーフに書き起こしておくのも有効です。
頭の中だけで処理するよりも自分の間違えた箇所をハッキリ理解できます。
Step.3 答えを確認し、解説を読む
解き終わったら、答えを確認して解説を丁寧に読んでいきましょう。
この時にやって欲しいのが、
設問が解けなかった理由を考えて、設問に関係する文法事項や単語を復習すること。
単純に文法や単語がわからなかったから解けなかったのか、それとも全体の流れがわからなかったのか、など原因を考えて復習しましょう。
また、問題には記述問題も含まれていることがありますが、長文を読むのに慣れるのが目的なので、誰かに添削してもらう必要はありません。
単語や助動詞の意味を間違えずに書けていれば、多少文章がおかしくても〇にしてください。
もちろん、志望校の過去問は別です。学校の先生などに添削してもらってくださいね。
そして単純に知識を覚えてなかったのなら復習して覚え直しましょう 。疑問点がなくなるまでしっかり復習するのが重要です。


①単語を知らなかった場合
「単語の意味が思い浮かばなかった」「こんなの知らない!」と思った場合はまず、単語帳を見てみましょう。
その時に
◆解いている時にわからない単語が載っていた場合。
すかさずその単語にチェックを入れましょう。
これによって次その単語を勉強した時に「あ、この前間違えた単語だ!」と強く印象つけることができます。単語帳に載っている単語は受験で覚えるべき単語が載っているので、完璧に覚えましょう。
◆解いている時にわからなかった単語が単語帳に載っていなかった場合。
この場合は「へー、こんな単語あるんだ」程度に思っていれば大丈夫です。単語帳に載っていないということはそこまで重要な単語ではありません。単語帳に載っている単語を覚えていれば、入試で大差がつくことはないので、無理して覚える必要はありません。

②文法を知らなかった場合
今まで勉強してきたテキストをもう一度見直しましょう。そして今までと同じように文法の勉強をしてもう一度覚えなおしましょう。
文法の勉強の仕方も教えて欲しいという人は「古典文法の記事」を参考にしてください。
「古典文法」の勉強法はこちら!
Step.4 現代語訳を見て自分の訳と照らし合わせる
次に、自分なりに理解したストーリーと実際のストーリーが同じかどうか、現代語訳を読んで確かめましょう。
古典の読解に慣れる上で一番重要です。
同時に、適切に主語を把握できているか、単語や助動詞の意味を正しく把握できているかもチェックしましょう 。正しいストーリーと自分自身で解釈したストーリーとのギャップを確かめてください。
特に古文は主語が省略される傾向が強いので、主語の読み間違いは決定的なミスにつながることがあります。
もちろん最初はできていなくて当たり前です。
Step.4でも、自分はなぜ間違えて読んでしまったのかを考えましょう。できなかった原因を考えることで、step.5の音読に活きてきます。

Step.5 最後に音読
最後は音読です。音読を行うことで、わからなかった単語の覚えなおしもできて 、文法の確認もできます。慣れることにおいては音読が一番手っ取り早いです。
音読で大事なポイントは二つ。
①間違えてしまった原因を意識して音読する。
②同じ文章を繰り返し読む。
それぞれのポイントの解説をしていきましょう。
①間違えてしまった原因を意識して音読する。
Step.4で間違えてしまった原因を考えてもらいました。音読で、正しいストーリーと自分の間違った解釈の差を意識して修正しましょう。
②同じ文章を繰り返し読む。
単語や文法を定着させる上で同じ文章を繰り返し読むことは大事です。実際の単語、文法の使われ方に慣れるために同じ文章で音読しましょう。

最後に音読のオススメの回数を紹介します。
そして、毎回古典の問題を読み終えた後、10回は音読しましょう。
まず最初の5回は、実際に書き込みをした問題文を使って音読します。
音読をする前に解説を読んで間違っていたポイントを書き込んでもよいです。
品詞分解など、解いた形跡のある問題で、どうやって品詞分解したらいいのか、主語、敬語の把握など、書き込みを見て正確に読めるようになりましょう。
5回終わったら、今度は何も書き込みのない問題文を使って音読しましょう。
ここでの目的は「品詞分解など何も書かれていない文章を読めるようになること」です。
実際の入試問題には当たり前ですが、品詞分解や訳などが書かれていない真っ白な文章が出題されます。このまっさらな文章を読み解かなければいけないので、その訓練をしましょう。
何も書いていない文章に対しても、品詞分解が瞬時にできるか、主語、敬語が適切に把握できるかを確認しながら音読しましょう。
これも最低5回は音読しましょう。



できる人はやっている。古文読解で役立つ4つのテクニック
この章では、単語、文法はある程度勉強したし、そこそこ古典読解の練習をしたけれど、いまひとつ読解ができない人向けに、読解をサポートするテクニックをお伝えしていきます。
これをうまく使いこなしてすらすら読解できるようになりましょう。
ここで紹介するのは以下の4つです。
- 文の主語を把握する
- 敬語の知識を使う
- 注釈やリード文にもしっかり目を向ける
- 古典常識を使って読解を楽にしよう
一つ一つ解説していきましょう。
古文読解のテクニック①:文の主語を把握する
まず一番多い悩みの一つが、主語がわからないことだと思います。主語がわからないから、誰が言った言葉なのかわからない、だから文章がどんどん読めなくなってしまう。
そんな主語の判別には「助詞」が使えます。
例えば「て」の前後では、現代文と同じように基本的には主語は変わらないことがほとんどです。(例:私は勉強し「て」、ご飯を食べ「て」、寝た)
逆に「を・に・が・ど・ば」であれば、その前後で主語が変わることが多くなります。(例:私が〜といへば、(Aさんは)笑へど、(Bさん)は笑はず)
このように助詞によって、その前後で主語が変わりやすいものと変わりにくいものがあるので、ここで紹介した2種類の助詞を覚えておくと、主語の判別で絶対にとはいえませんが役立つことが多いです。
また文章の中でどれが主語なのかわかりやすくするために、印をつけるのもオススメです。
主語を四角などで囲むと登場人物がどこで出てきたのか、しっかりわかるようになると思います。
また書き込むことで、折り返し読み直しても主語が一目でわかります。


主語の省略のルール
主語省略のルールは大きく二つあります。
①何度も繰り返される。
②敬語など、文法知識を使って分別できるから書いていない。
もちろん他にもありますが、入試ではこの二つが理由だと把握していれば、問題ありません。
①何度も繰り返される。
これは現代人でも同じ感覚になることがあると思います。文章を書いている時に何度も「自分は〜〜だ」みたいに主語を書くことはないですよね。古文でも同じことが起きています。
なので、主語に印を一度つけておくと、「今はずっと同じ主語だ」というのが一目でわかります。
下の例を見てみましょう。印をつけておくことで、主語がどこにあるのか、一目でわかります。
②敬語など、文法知識を使って分別できるから書かれていない。
マルオ君のように主語を把握できなくて悩んでしまうことの原因はほとんどが②のパターンです 。こちらについては次の「2.敬語の知識を使う」 で詳しく対処法を紹介しているのでそちらを参照してください。
主語以外にも、自分でルールを作って印をつけると読みやすくなります。
印をつけたほうがいいポイントを紹介すると
- 主語
- 話し言葉
- 敬語(尊敬語、謙譲語、丁寧語はそれぞれ別々で)
です。自分なりの形のルールなどを作ってやってみると文章を読む効率が格段に上がります。
古文読解のテクニック②:敬語の知識を使う
次に紹介するテクニックは「敬語の知識を使う」ことです。
これを使うとどんないいことがあるのかというと、
主語の発見が格段に楽になること
です。
敬語を勉強した人ならおわかりの人が多いと思いますが、簡単に敬語の知識をおさらいしましょう。特に重要なのが敬語の「誰から誰へ」敬意を表すのかという知識です。
*誰から
地の文:作者から
「」:「」を言った人から
*誰へ
尊敬語:動作主=主語(ガ・ハの上にある人物)
謙譲語:動作対象者=目的語(ヲ・ニ・ト・ヨリの上にある人物)
丁寧語:その話を聞いている人=読者
この知識を知っているだけで登場人物たちがどう関わっているのかがすぐにわかります。

敬語を使われる人物は発言者より立場が上の人です。また、天皇(上皇)に対しては二重で敬語が使われます。
この使われ方は天皇(上皇)に対してだけなので、二重で敬語が使われたら、一発で誰に対しての敬語かわかります。
また、敬語が使われることによって主語が省略されたりします。昔の人が、主語が省略されても読むことができたのは、敬語の知識を使って誰に向かって話していたのかなど、登場人物間の関係を理解できたからです。
敬語の知識を使って人物関係をしっかりつかめるようにしましょう。
「敬語」の詳しい勉強の仕方はこちらを参照してください
「古典敬語」の勉強法はこちら!
古文読解のテクニック③:注釈やリード文に目を向ける。
注釈やリード文に気をつけて読解を始めていますか?
注釈やリード文に目を向けると、いいことがあります。それは「本文の設定がわかる」ということです。
更級日記の冒頭のリード文に注目しましょう。
これから続く文は作者が昔起こった出来事を後年回想したものです。
つまり、この文章は今の話ではなく、昔起こったこと。そして作者自身の話です。
作品によっては作者自身が話の中に登場しないこともあります。
誰が書いたのか、登場人物によって話が全然違ってきますし、主語の省略もあります。
自分自身のことを書くにあたってはわざわざ「私は」と入れないことが多いのは現代にも通じるところがあるので、なんとなく実感が湧くのではないでしょうか?
ヒントが隠されているかもしれないことが多いので、リード文と注釈に目を必ず向けるようにしましょう。

古文読解のテクニック④:古典常識を使って読解を楽にしよう
最後のテクニックはこちら。そもそも古典常識を勉強した方がいいの?と思うかもしれませんが、
もちろん必要です。
難関大学になればなるほど必要になってきます。
ですが、
「読解の勉強の中で身につけてしまえばわざわざ必要ない」です。
これも事実です。
どのように身につけるかは「古典 文学史」の方を見て勉強してください。
「古典文学史」の勉強法はこちら!
ここでは文学史をはじめとした「古典常識」がどうして読解に役に立つか解説していきます。
例えば、古典常識でわかりやすいもののなかに、「旧暦」があります。
同じ「春」でも、今と昔では違うものを言っています。
旧暦における「春」は「睦月、如月、弥生」の三ヶ月を表しています。これは現代における「1月、2月、3月」です。

マルオくんが言う通り、今の春 は3月〜5月くらいまでを指しますが、古典だと、違います。
これが分からないと季節感がずれてしまい、正確に場面をつかむことができません。「古典常識を知っているかどうか」で読解力に大きな差が出てきてしまうこともあります。
古典常識も読解に欠かせないものだと思って勉強しましょう。
次に紹介するオススメ問題集でも古典常識は紹介されているので、隙間時間などで確認しておきましょう。
古文読解の勉強にオススメの問題集
最後に、古典が読めない人にもオススメの問題集を2冊紹介しましょう。
古文読解のオススメ問題集①:古文完全攻略 マドンナ入試解法
まるで授業を受けているかのような丁寧な解説が掲載されています。その解説量は圧倒的で古典の読解が苦手な人にオススメです。実際に問題を解きながら古典を勉強していきたい人にはぴったりです。
マドンナ入試読解法」の使い方はこちらの2記事を参考にして下さい!
古文読解のオススメ問題集②:古典上達 読解と演習56
問題数も豊富でがっつり古典の演習をしたい人にオススメです。問題集も中身が入門・基礎・演習と分類されていて、自分にあったレベルからスタートできます。文学史解説も豊富です。古典の基礎が身についていて、演習量を増やしたい人にオススメです。
「古文上達」の使い方はこちら!
これ以外にもやりたいという人に向けて、問題集選びのポイントをまとめておきます。
【問題集選びのポイント】
①現代語訳が必ずついている
②出典がわかる。出典の解説が書いてある
③実際の入試で使われた問題を使用している
①現代語訳が必ずついている。
古典の原文を読んだだけで完璧に分かる人は受験生ではほぼいません。ですので勉強するときは、原文と現代語訳を照らし合わせてストーリーをしっかり理解することが大事です。
また、このパターンで使われている文法はこの活用形でこういう意味になるんだとか、この単語はこの場面だとこんな意味になるんだとか、その都度しっかり認識することでどんどん古文に慣れることができます。
②出典がわかる。出典の解説がある。
読解問題を解くコツの中で解説しますが、出典がわかることは重要です。いつ書かれたのかによって時代背景は全然違います。その時代によって、誰を尊敬しているのかとか、この物語ではどんな登場人物が出てくるのかなどは、文章を理解する上で欠かせない知識です。

③実際の入試で使われた問題を使用している
古典の入試問題では問題になる箇所がある程度偏っています。そして題材となる話も場面も限られています。ということは、よく見る問題というのが存在します。
実際の受験の時には、今まで入試問題で使われたことある問題が再び出てくることがよくあります。なので、過去の様々な大学の入試問題が収録されている問題集を選びましょう。
その他の「古文」のおすすめ問題集はこちら!
まとめ

- 古文読解はスピードよりも正確に読むことが大切
- 古典を正確に読解するために
- ・「単語」「文法」といった基礎事項を完璧にすること
・何度も繰り返し読んで「慣れること」 - 古典を楽に読むテクニック
- ・文の主語を把握する
・敬語の知識を使う
・注釈やリード文にもしっかり目を向ける
・古典常識を使って読解を楽にしよう 。
「古文」のおすすめ問題集はこちら!
https://daigakujukensenryaku.com/kobun-sankosho-recommend/
「古文単語」のおすすめ参考書はこちら!