大学受験で英語と並んで重視される数学。国公立であれば文系・理系どちらの場合でも必要になることがほとんどですし、理系の場合は配点も高くなるため、確実に点を取れるようになりたい科目です。
その一方で、苦手意識が強い人も多いのが数学です。数学は基礎から正確に理解しつつ、かつ一定量の演習を積み重ねていかないと身につかないため、正しい勉強法で定期的に勉強していかないと、どんどん置いていかれてしまいます。
そうならないために、今回の記事では、数学が苦手な人でも点数をUPできる!そんな数学勉強法をお伝えします。
- この記事では一部、2025年度入試より採用の新学習指導要領に沿った情報を提供しています。2024年度入試受験者はその点に気をつけて読み進めてください。
数学の勉強法に関しては以下の動画でも詳しく解説しています!
さきさきのように、数学の勉強で悩んでいる人は多いはず!あなたもこんな不安、ありませんか?
- 数学の授業で何を言っているのか全くわからない!
- 計算も数字も嫌い!
- ワークは解いているのに学校のテストで点が取れない!
- 定期テストでは解けるけど、模試だと解けない!
1つでもあてはまる人は、ぜひこれから紹介する勉強法をすすめていきましょう!あなたの今のレベルや志望校にあわせて紹介するので、自分にあった勉強法を見つけられます。
数学ってどうやったら成績があがるの?勉強法より大事なこと
いきなり数学の勉強をスタートする前に、まずは数学がどんな科目なのか、どうやったら点数が上がるのかの仕組みを知っておきましょう。
数学は「条件を使って、解法を組み合わせて解く」科目
みなさんは数学という科目についてどのようなイメージを持っているでしょうか?
数学は「難しい問題の解き方をひらめかないといけない」「複雑な計算も一瞬で解けないといけない」というイメージを持っている人ももしかしたらいるかもしれませんが、実際のほとんどの入試数学はそうではありません。
まず第一に押さえてほしいのが、数学は「問題文の条件を使って、解法を組み合わせて解く」科目だということです。
その場のひらめきでも複雑な計算でもなく、問題文に書かれている様々な条件を正確に理解して、その条件をすべて使って「この条件ならこんな解き方が使えたな…」というパターンを思い出せるかがポイントになります。
そのため、数学で大事なのはひらめきではなく、この条件に合わせた解き方のパターンをどれだけ知っているかということです。
数学が得意で天才に見える人でも、ひらめきでパッと解けているように見える人でも、実際はたくさんの問題を解いたことがあって、いろいろなパターンを知っているからすぐに解き方が思いつくということがほとんどなんですね。
数学の勉強では「3つの力」が必要!
この「問題文の条件を使って、解法を組み合わせて解く」ができるようになるために、数学の勉強では3つの力を身につけていく必要があります。
その3つはとてもシンプルで、
- 問題文を正確に分析する力
- 解法のパターンを組み合わせる力
- 正確に計算をして値を導き出す力
です。
それぞれの参考書について簡単に見ていきましょう。
1.問題文を正確に分析する力
1つ目は、問題文を正確に分析する力です。問題文に書かれている条件を正確に読み取り、整理することがまず何より重要です。
数学の問題では、微妙な言葉の違いだけで条件が大きく変わることもあります。たとえば、次の2つの問題の「条件の違い」と解法で注意するポイントをイメージできるでしょうか。
問題1: $ x $ の方程式 $ (m+1){x}^2 + 2(m-1)x + 2m – 5 = 0 $ が実数解を持つとき、定数 $ m $ の値の範囲を求めよ。
問題2: $ x $ の2次方程式 $ (m+1){x}^2 + 2(m-1)x + 2m – 5 = 0 $ が実数解を持つとき、定数 $ m $ の値の範囲を求めよ。
この2つの問題の違いは、 $ x $ の方程式について、次数が指定されているかどうかだけですね。問題1では次数が決まっていないのに対して、問題2では $ x $ の2次方程式という条件がついています。つまり、問題2では問題文の時点で「 $ x^2 $ の係数 $ (m+1) $ は0ではない」という条件がすでに与えられている ということになります。解き方は大きく変わらなくとも、これによって記述すべき内容が大きく変わることがあります。
このように、問題文の細かいところまで正確に読み取ることがまず何よりも重要になるのが数学という科目です。
2.解法のパターンを組み合わせる力
条件を導き出せたら、条件に合わせた解法を思い出して、組み合わせて解く力が必要になります。
これまで習った問題や問題集などで解いた問題から、同じ条件の問題の解き方を思い出せればスムーズに進むので、これまでどれだけ多くのパターンの問題に触れられたかがカギになります。
さらに、実際の入試では条件も複雑になるので、こうした解法をいくつか組み合わせないと解けない点にも注意が必要です。実際の入試形式の問題を解いていく中で、組み合わせて解く練習もしておく必要があります。
3.正確に計算をして値を導き出す力
数学にはおおまかに、計算して正しい値を求める「求値問題」と、論理を説明する「証明問題」がありますが、求値問題の場合は正確に計算できる必要もあります。とくに共通テストなどのマーク問題は計算を間違うと点数がもらえませんし、理系の微積分などは計算も複雑になるため、計算に苦手意識がある人は意識して練習しておきたいところです。
これらの3つの力を伸ばしていくための勉強法を、ここからお伝えしていきましょう。
数学勉強法の基本は4つのステップ!
数学の勉強法は4つのステップに分かれています。
数学の勉強はこの順番で取り組むことに大きな意味があります。この順番を守らないと「解いても解いてもわからない」「わかったつもりだったのに、難しい問題になったらわからなくなった」なんてことになってしまいます。逆にこの順番さえしっかり守れていれば、数学の勉強はバッチリと言っても過言ではありません。
以下、ひとつひとつのステップについて解説していきます。
「教科書理解」で数学の基本をマスター!
数学の勉強において大前提になるのが、言うまでもなく教科書レベルの知識を理解していくことです。
学校の授業はもちろんのこと、わかりづらければ「スタディサプリ」などの映像授業やその他参考書なども使って、必ず理解からスタートしていきます。
いきなり問題演習からスタートすると、自分流の間違った計算方法や理論で覚えてしまうことがあり、難易度が上がったときに応用できなくなってしまったり、記述問題で大幅に減点されてしまったりするので、必ず教科書レベルの理解からスタートしましょう。
先程挙げた数学の「3つの力」をつける上で大前提になる部分なので、時間がかかってでもきちんと取り組みましょう。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
「定石理解」で数学の出題パターンを網羅しよう
「定石問題」とは、数学の問題を解く上でこういう条件ならこういう解き方をする、というよくある解法のパターンを扱う問題のことです。3つの力のうち2つ目の「解法のパターン」をたくさん仕入れていく作業ですね。
数学の授業を受けただけでは、実際に問題を解けるようにはなりません。教科書や授業で出題された問題に似た問題や、条件が少しずつ異なる様々なパターンの問題を繰り返し解くことではじめて、テストや入試で問題を解けるようになります。
身につけるための方法は、こちらを参考にしてみてください。
入試レベルには「問題演習」で出題パターンを組み合わせる練習
定石問題の演習が進み、いろいろな解法パターンが覚えられたら、身につけた定石をもとに、より実戦に近い問題を解いていきます。3つの力の2つ目、解法パターンを「組み合わせて解く」練習です。
定石問題がいわゆる入試で使える「武器」だとすれば、ここからの問題演習はその「武器」の使い方を身につけていく練習になります。
具体的には、定石問題が組み合わさった実際の入試問題などを、入試の良問をまとめた『重要問題集』や『良問プラチカ』などで演習していきます。
詳しくはこちらも参考にしてください。
最後の仕上げは過去問演習
数学の力が身についたら、その力を余すところなく得点にできるように訓練を積んでいきましょう。志望校によって、出やすい問題や時間配分、マーク式か記述式かなどは大きく変わります。受験する大学の過去問や共通テストを使って、本番を想定した演習をしていきましょう。
過去問演習で気をつけるのは次のポイントです。
- 時間配分
- マーク形式の演習に慣れる
- 計算ミスをしない解き方や見直しを身につける
- 記述のやり方や部分点を取る方法を身につける
詳しくはこちらも参考にしてください。
数学勉強法の超具体的4ステップとおすすめ参考書
数学勉強法の4ステップがわかったところで、それぞれのステップの具体的な勉強法を、実際に使いたい参考書を交えてお伝えしていきます。
数学の場合、最低限それぞれのステップで1冊ずつ参考書を使えば入試レベルまで仕上げられるので、勉強法自体は非常にシンプルです。
ステップ01:数学教科書理解の具体的勉強法&参考書
数学の教科書理解は、学校の授業をベースに進めるのが実は一番楽です。授業で習ったところを教科書や学校配布の『4STEP』などの問題集で演習して、定期テストごとに解けるようにしていくだけでも、ペースを守りながら数学の勉強を効率よく進められます。
ただし「学校の授業だとわかりづらい」「置いていかれてしまっていて今からだと追いつけない」という人も多いかもしれません。また、授業の進度が遅く高3の後半まで授業が全範囲終わらない、という場合もあるでしょう。その場合は「スタディサプリ」などの映像授業を活用して理解していくのがおすすめです。
映像授業を活用することで、読むだけだと理解が難しい内容もスムーズに理解できますし、時間がかかりがちな教科書理解のペースも作ることができます。余裕がある人は学校の授業を受ける前の予習教材として活用して、このあとに教科書の問題を解いてから学校の授業に臨むと数学の勉強を大きくリードできます。
具体的には次の手順で取り組んでください。
- 時期
- 高1〜高3GWごろ
- かかる時間
- 1年半〜2年
- Step1
- テキストを用意して講義を聞く
- Step2
- 講義中に例題を解く
- Step3
- 間違った問題を復習して、確認テストに取り組む
- Step4
- 間違った問題を復習して、分からない範囲は印をつけておく
映像授業を見ても分からなかったところは、長く考えすぎたり放置したりせず誰かに聞くのがおすすめです。時間をかけても分からないことが多いですし、はじめは分からなくて当然です。一通り授業を受けたあとであれば、分からない部分がピンポイントではっきりするため質問もしやすくなります。
詳しくはこちらも参考にしてください。
ステップ02:数学定石理解の具体的勉強法&参考書
教科書理解ができた範囲から、『青チャート』などの網羅系問題集と呼ばれる参考書を使って定石理解のための演習をしていきます。
たしかに、問題を解くだけなら教科書でも良さそうですし、学校教材の『4STEP』などにもたくさんの問題が載っています。
ただ、教科書や学校教材と網羅系問題集とでは、役割が全く違うため、使い分けが必要になります。
学校教材などはどちらかというと「教科書の内容などの基本的な問題を、数字を変えて何度も解いて身につける」ためのもので、問題の数は多くともパターンは多くありません。一方の網羅系問題集は、名前の通りいろいろな条件の問題をなるべくたくさん載せているため、あれだけ分厚く、その分たくさんのパターンを身につけることができます。
- 学校教材
- 『4STEP』『サクシード』など。教科書レベル〜発展レベルの問題がたくさん載っているが、解いて基本を身につけることが目的なので、問題のパターンは多くない
- 網羅系問題集
- 『青チャート』『FocusGold』など。幅広いレベル、かつさまざまなパターンの問題を網羅しているため、定石を身につけるにはぴったり
そのため、分厚く大変そうな参考書であっても、ぜひ取り組んでもらいたい1冊になっています。
具体的な勉強法はこのような手順です。
- 時期
- 高1〜高3夏休み
- かかる時間
- 2年
- Step1.
- 例題に取り組む
- Step2.
- 例題の解説を読む
- Step3.
- 間違えたら解説を隠して再度例題に取り組む
例題に加えて練習問題も合わせて取り組む場合も、同様に「間違えたらその場で解き直す」ことを意識してください。
解説を見てすぐに解き直しをすると簡単に解けそうに思えますが、実際やってみると正確に解く手順を理解していないと意外と解けないことがわかります。解説を読んで「理解したつもり」になるのを防ぐために、慣れるまではその場ですぐ解き直しをしましょう。
詳しくはこちらも参考にしてください。
ステップ03:数学問題演習の具体的勉強法&参考書
定石を身につけることができたら、定石を組み合わせて実際の入試問題を解けるようになるために『上級問題精講』や『良問プラチカ』などを活用します。ここでは代表的なものとして『良問プラチカ』を挙げておきます。
志望校と受験までの残り期間に応じて、参考書は使い分けることをおすすめします。
- 『上級問題精講』:東大・京大・一橋・東工大や早慶・医学部などの最難関大志望
- 『良問プラチカ(文系)』:文系国公立
- 『重要問題集(理系)』:理系国公立
分野ごとに実際の入試問題から問題を集めているため、よく出題される形式のものはもちろん、難易度の高い大学で頻出のパターンなども理解できます。ほとんどの参考書には出典大学も書かれているため、志望大学に応じて「このレベルの問題まで取り組む」というふうに絞るのも効果的です。
- 時期
- 高3夏休み〜2学期
- かかる時間
- 1冊2ヶ月〜3ヶ月
- Step1.
- 問題に取り組む
- Step2.
- 解説を読む
- Step3.
- 間違えたら解説を隠して再度取り組む
余裕があれば先程の『青チャート』などに戻って、似た問題を確認しておきたいですね。
詳しくはこちらも参考にしてください。
ステップ04:数学過去問演習の具体的勉強法&参考書
ここまできたら、志望校の赤本などを使ってどんどん演習していきましょう。大学によっては『東大の理系数学27カ年』のような、その大学の過去問だけをよりたくさん集めた問題集もあります。
- 時期
- 高3・2学期〜入試直前
- Step1.
- 解答用紙を用意し、時間を測って問題に取り組む
- Step2.
- 解説を読む
- Step3.
- 間違えたら解説を隠して再度取り組む
このときも、見直しの際に『青チャート』などに戻って、似た問題を確認しましょう。また、時間配分や記述についても意識しておきたいため、できれば本番と同じ問題用紙・解答用紙を使って時間を測って取り組みます。余白の使い方なども本番を想定して演習することがポイントです。添削も積極的にお願いしましょう。
数学って全部勉強すべき?入試ごとに必要な単元とそれぞれの勉強法を紹介!
ここからはより具体的に、数学の勉強分野について簡単に見ていきましょう。
文系か理系か、また共通テストレベルで十分なのかなどで勉強すべき範囲も変わるので、勉強をスタートする前に簡単に確認してください。
基本は全範囲勉強すべき
たしかに、入試によっては出題されない範囲もありますが、数学の勉強は全て繋がっているため、基本的には全範囲勉強してほしいところです。
絶対勉強してほしい範囲は次の通り。
- 文系
- 数学1A2B+ベクトル(数学C)が共通テストでも個別試験でも出題される
- 理系
- 数学1A2B3Cすべてが範囲で、共通テストで1A2BC、個別試験で数3を中心に数A・B・Cを混ぜて出題される
文系の場合は数学1A2Bに加えて数学Cのベクトルも必要になる大学がほとんどで、共通テストでも選択問題として解かなければいけません。
理系の場合も共通テストは同じですが、個別試験では半分以上が数3・数Cからの出題で、数1や数2はほとんど出題されません。よほど時間がないときに数3を優先して演習することはありますが、ほとんどの場合は共通テストの1A2Bも落とせないため、結局は全範囲きちんと勉強しておくつもりでいたほうがよいです。
数学1・Aの勉強のポイント
数学1Aは次の範囲が出題されます。共通テストでは「数学と人間の活動」内の「整数」以外は出題されます。
- 1:数と式
- 1:図形と計量
- 1:二次関数
- 1:データの分析
- A:図形の性質
- A:場合の数と確率
- A:数学と人間の活動(整数)
主要な分野については出題される入試や勉強の特徴についても簡単に見ておきますが、詳しくはそれぞれの記事を参考にしてください。
二次関数
高校数学で一番最初につまずくことが多いがこの「二次関数」で、特に最大・最小を求める問題はすぐに理解するのが難しい分野です。共通テスト以下の入試でしかほとんど出題されない分野ですが、考え方はこれ以降の分野、特に数2や数3の関数・微積分全てで使う内容なので、苦手にはしたくないところです。
集合と命題
知らない記号が多く登場する「集合と命題」も、共通テスト以外ではあまり問われません。しかし、この分野も基本的な論理の考え方を習う分野なので、身についていないと数学はもちろん「情報」など他の科目、また場合によっては国語や普段の生活においても困ることがあります。
図形と計量
いわゆる「sin/cos/tan」について扱う分野ですが、シンプルな正弦定理などの計算は共通テスト以外ではあまり出題されません。ただ、当然知っていないと解けない問題は多いため、むしろ当然解けるものとして考えておきましょう。どちらかというと数学2の「三角関数」でより丁寧に扱うことになります。
場合の数・確率
「場合の数・確率」の分野は、数学1・Aの中でも最もよく入試に登場する分野です。文系・理系を問わず必ずと言っていいほど個別試験でも問われるうえ、比較的解きやすい問題が出題されることも多いため、必ずできるようにしておきたい分野です。
個別試験で出題される場合は、確率だけでなく数学Bの「漸化式」や数学3の「極限」とセットで出題されることも多いので注意しましょう。
整数
整数問題は新課程入試以降出題頻度が下がっていて、共通テストでも出題されない方針になっています(変更の可能性もあります)。ただ、個別試験では引き続き出題されることが想定されるため、個別試験で数学を使う場合は必ず勉強しておきましょう。
整数はパターンを知っていないと解けない問題が多いため、演習量がものをいいます。
図形の性質
「図形の性質」は共通テストで出題される以外はそこまで頻出ではありません。教科書レベルの性質を正確に覚えておいて、あとは過去問でパターンを身につけておきましょう。
数学2・Bの勉強のポイント
数学2・Bでは次の範囲が出題されます。
- 2:いろいろな式
- 2:図形と方程式
- 2:指数関数・対数関数
- 2:三角関数
- 2:微分・積分の考え
- B:数列
- B:統計的な推測
- (B:数学と社会生活)
新課程になってベクトルなどが数Cに移ったことで若干量が減っているように見えますが、その分共通テストなどで「統計的な推測」が必要になる部分もあるため、注意が必要です。
図形と方程式
軌跡と領域、円の性質などを座標平面上で扱う「図形と方程式」は、苦手意識のある人もいるかもしれませんが、共通テストだけでなく一定の難易度以上の文系国公立では頻出なので必ず押さえたい分野です。この分野で習う軌跡や領域だけでなく、「方程式の解の存在領域」などと合わせて出題されることが多く、丁寧に定石理解と入試演習に取り組みたい分野です。
指数関数・対数関数・三角関数
「関数」と名前がつくこの3つは、いずれも「二次関数」のときのように最大値・最小値や方程式の解について考える問題が多く出題されます。個別試験ではほとんど出題されず共通テストが中心ですが、小問集合で出題されたり数3分野と絡めて出題されたりと、むしろ大前提になっている知識です。
微分・積分
数学2範囲の微分・積分は、共通テストや文系の個別試験で必ず出題されます。計算さえできればOKという問題も多いので、確実に得点源にしたいところです。難易度の高い大学だと「図形と方程式」と合わせて出題されることもあります。
理系の場合はさらに発展した内容を数学3で扱うため、いずれにしても完璧にしておかなければいけません。
数列
数列の問題は共通テスト・個別試験いずれでも頻出で、理系の場合も数3の極限・微積分や数Aの確率などと絡めて出題しやすいため必ず解けるようにしておきたい分野です。数列の計算や数学的帰納法はもちろんですが、頻出なのは漸化式。全てのパターンを押さえておいてスムーズに解けるようにしましょう。
統計的な推測
これまでの指導要領ではあくまで参考程度であった確率と統計について触れる分野です。正規分布を用いた区間推定や、仮説検定について扱うことになります。
共通テストでは「数列・統計的な推測・ベクトル・平面上の曲線と複素数平面」から3つを選ぶことになるため、文系の場合はこれまでの勉強に加えてこの「統計的な推測」または数C(過去の数3)の「複素数平面」などを勉強する必要があります。
個別試験では基本的に出題されません。
数学Cの勉強のポイント
文系でも一部範囲は勉強する必要がある数学Cには次の範囲が含まれます。
- ベクトル
- 平面上の曲線と複素数平面
- (数学的な表現の工夫)
このうち文系で必要になるのは基本的にベクトルのみですが、共通テストの選択科目の戦略から「平面上の曲線と複素数平面」を選ぶこともあるかもしれませんし、学校でここまでは習うということもありえます。
ベクトル
ベクトルは「平面ベクトル」「空間ベクトル」に大きく分かれることがありますが、考え方はどちらも共通していて、共通テストや個別試験ではどちらも出題される可能性があります。図形ではあるものの、あくまで計算分野という意識を持って取り組むことが重要です。
数学Cではありますが、文系の個別試験でもほとんどの場合「数学C(ベクトルのみ)」と指定されているため、ここまでは文系でも勉強しておきましょう。理系の場合もベクトルは頻出です。
平面上の曲線と複素数平面
さまざまな関数や複素数平面について扱う分野で、もともと「数学3」に分類されていたものになります。共通テストで出題されるようになるため、理系の場合はこちらを選択することも可能ですし、文系でも勉強する機会があるかもしれません。
いずれも理系の個別試験では頻出で、とくに複素数平面は得点源にしたい分野なので、手を抜かずに演習をしておきましょう。
数学3の勉強のポイント
数学3は共通テストで出題されない分野ですが、理系の個別試験では数3が半分前後を占めているため最重要分野に位置づけられます。いずれもこれまでの学習を総合した発展的内容で、ここでつまずくと大学進学後も苦戦する可能性があるので頑張りましょう。
- 極限
- 微分法
- 積分法
極限
記号 $ \lim $ を使って表される極限について扱う分野です。極限単体で出題されると言うよりは、数3分野全ての基本になる内容で、数列や確率と組み合わせて使うことが多く頻出です。
微分・積分
数3の微分・積分は、数2の内容からさらに発展してさまざまな関数について扱います。理系入試で出題されないことはありえないほどの分野なので、真っ先に取り組んで入試レベルまで完璧にしたい分野です。
数学勉強法のよくある悩みを解決
最後に、数学の勉強でよくある悩みについて答えていきましょう。
数学勉強法のお悩み1:数学の勉強はいつやればいい?
- 数学の勉強はいつから始めればいいですか?
- 学校の授業が入試の基礎になる科目なので、学校のテストに合わせて完璧にしていくのが一番スムーズです。高3の夏休み前には全範囲習って定石問題まで演習している状態で、そこから入試演習を繰り返しましょう。
英語や国語などと異なり、数学は学校の授業内容がそのまま入試でも基本になる科目です。そのため、テスト勉強をうまく活用しながら勉強していくのが合格の一番の近道になります。
- 学校の授業時
- その日のうちに問題を解いて授業内容を完璧にする
- テスト前
- 学校教材だけでなく『青チャート』などの該当範囲も解く
- 余裕が出てきたら
- 夏休みなど長期休みで復習しつつ、余裕があれば予習を進めておく
習った範囲をその日のうちに『4STEP』などの学校教材で完璧にして、テスト前はその2周め以降と発展的な問題集の演習に時間を使うようにすれば、分野ごとに定着しやすくなります。
個別試験で数学を使う場合は、全範囲を夏休み前には習っている状態、できれば『青チャート』などの基本的な問題まではすべて解ける状態にしておきたいです。旧帝大以上を目指す場合はこれを2ヶ月から半年ほど前倒ししたいので、学校の勉強が軌道に乗っていれば予習も積極的に取り組みましょう。
3年生になると理科や社会などの科目にも時間を取られるので、2年生の間には数学の勉強を軌道に乗せておきたいですね。
数学勉強法のお悩み2:計算ミスが多い
- 数学の計算ミスはどうしたら減る?
- 丁寧に数字や途中式を書くだけでも解決できることがあります。急いで解こうとして途中式を雑に書いたり飛ばして書いたりすると、かえって時間がかかるだけでなく計算ミスも増えるので、「急いで解くときほど丁寧に途中式を書く」ことを心がけましょう。
数学で必要な「3つの力」を思い出しましょう。
- 問題文を正確に分析する力
- 解法のパターンを組み合わせる力
- 正確に計算をして値を導き出す力
共通テストなどマーク式の問題では、この3つ目の「正確な計算」が非常に重要になります。
ただ、ここで毎回点を落としてしまう、という人も多いのではないでしょうか。
数学の計算ミスには主に4つの原因が考えられます。
- 途中式が少なすぎる
- 複雑な計算に慣れていない
- 集中していない
- 公式が曖昧なままになっている、理解仕切れていない
もしこれらに少しでも当てはまる場合は、次の記事でその改善方法を掲載していますので、確認してください。
数学勉強法のお悩み3:数学の記述ってどう書けばいいの?
- 数学の記述の書き方がわかりません。
- 数学だと思わず、「日本語で説明する」意識が重要です。グラフや図も活用していいので、考えたことをもれなく説明できているか毎回気をつけましょう。慣れるまでは模範解答を参考にするのもおすすめです。
個別試験で数学を使う人の中には「記述がうまく書けなくて減点されてしまう」という人もいるのではないでしょうか。
記述は決まったルールなどがあると思いがちですが、数学のルールに沿って、思考の過程をきちんと説明できればよいので、しっかり日本語で説明することを心がけましょう。グラフや図も採点対象になるので、部分点も積極的に狙いながら練習してください。
どのくらい点がもらえるかについては実際に添削してもらうのがおすすめです。慣れるまでは添削してもらった答案や模範解答の文言も参考にして表現を盗んでいきましょう。
記述のポイントや部分点の取り方は、こちらの記事で詳しく説明しています。
数学勉強法のお悩み4:公式って覚えたほうがいいの?
- 数学の公式って覚えるべきですか?
- 頻出の公式は覚えてしまいましょう。その場で導出できるものもたくさんありますが、ほとんどの場合「導出する時間がもったいない」ということになります。
数学の問題は、基本的な公式を覚えていないと解くことができません。公式を覚える→例題を解くの順で、ひとつひとつ公式を身につけていきましょう。
基本的には、たくさん演習を重ねていれば「覚えよう!」と思っていなくても自然と覚えるものです。公式がぱっと浮かばない、という範囲は演習不足だと思ってください。
もちろん、あまり出題されないようなマイナーな公式や、別の公式を変形させただけのものなどは覚えていない、という人もいます。ただ、だからといって全て覚えなくていいというわけではありません。よく出る公式ほど覚えておかないと時間のロスになってしまうことに注意してください。
ある公式を覚えている人は30秒で解けるけど、覚えていない人は公式を出すのに1分かかって、そこから計算に30秒かかるので1分も差がついてしまいます。
共通テストなど時間が足りない入試も多いので、頻出の公式はやはり自然と出てくる状態まで繰り返し演習して覚えておくのが基本です。
数学勉強法のお悩み5:ぱっと解法を思いつかないから、数学に向いてないのかも…
数学の問題文には、さまざまな条件が書かれていてよくわからないですよね。文章が長いだけではなく、いろんな数字が書かれているので大変……。そんなとき、きちんと情報を整理できるかどうかがポイントです。
「聞かれていること」と「条件」とは、いったいなんでしょう?例えば、この問題。
xについての2次方程式$3x^2 − 2( a + 1 )x + a^2 = 0$が、$0 \lt x \lt 1$の範囲に異なる2つの実数解をもつとき、定数 $a$ のとりうる値の範囲を求めよ。
(チャート式基礎からの数学Ⅰ・A P180 例題120より引用)
この問題で言うと、聞かれていること「定数 $a$ のとりうる値の範囲」条件「 $x$ についての2次方程式~が」「 $0 \lt x \lt 1$ の範囲に」「2つの異なる実数解を持つ」のように整理できます。
数学で必要な力のうち、「問題文の条件を正確に捉える」力は、このようにして身につけていきましょう。
数学の勉強法まとめ
最後に数学の勉強法についてまとめておきましょう。
- 教科書理解→定石理解→問題演習→過去問演習
- 数学の基本の進め方はこれ!この通りに進めていけば、必ず身につく!
- 「条件」「解法パターン」「計算」の3つの力
- 数学の問題を解くために必要な力は3つ!どれが欠けても点は取れないから注意しよう
- 学校の授業を活用するのが一番!
- 学校の授業やテストが入試の基礎になる!テストごとに学校教材だけでなく『青チャート』も完璧にしよう
数学は分野も多く大変ですが、それぞれの分野の勉強順を間違えず、地道に問題演習を重ねていけば少しずつできるようになります。地道に繰り返すためにも、なるべく早い時期から勉強をスタートできるように意識してみてください。
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- 「どの順番で」参考書に取り組めばいいかひと目でわかる!
- 「なぜこの参考書がおすすめなのか?」「かわりに使える参考書」もすべて紹介
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*一部旧課程の内容が含まれています。