世界史の最難関ポイントといえば、やっぱり論述問題。「単語を覚えるのでさえ精いっぱいだったのに、論述なんて無理だよ!!」という人も多いのではないのでしょうか。とはいえ、論述問題が出るほとんどの大学は、配点も高く、ここで点数をかせげるかで大きな差がついてしまうのも事実。この記事では、そんな論述問題でおさえてほしい鉄則をお伝えします。

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世界史の論述、何を書けばいいんですか?

世界史の論述、何を書けばいいんですか?










戦略01世界史論述、どうやって演習すればいいの?


1-1. 世界史論述演習の鉄則!3つの原則とは?







世界史の論述で受験生が一番悩まされるのが、「何を書けばいいのかわからない!」となること。
これを解決するためにやるべき、「世界史論述の鉄則」が、これからお伝えする3原則。
これを守って考えていけば、「何を書けばいいかわからない……」「文章構成がめちゃくちゃになる……」というお悩みからもおさらば!
世界史論述の鉄則はこの3つ!

両国(アメリカと中華人民共和国)の国交正常化にいたる経緯と背景を100字以内で説明しなさい。

① 問われている時代を絞り込む
まず初めにやるべきことは、解答に反映させなければならない時代の期間を絞り込むこと。
今回の問題で実践してみましょう。
・国の名前から時代を絞り込む

・問題文に注目する



② 書くべきキーワードを並べる
次に、絞った年代の中で、書くべきことを洗い出します。
このとき、必ず問題文で問われていることだけを洗い出すことがポイントです。


今回の問題でいうなら、キーワードは、
スターリン批判 中ソ対立 ベトナム戦争 国連代表権交代 中華民国 ニクソン訪中 国交正常化


③ 図で示す!
この問題でいうと、このような感じ。

あとは、これに従って文章を書くだけだ!文章構成もこの図に従って作ればいいから、悩まないぞ!
解答例:スターリン批判以降ソ連と対立していた中華人民共和国と、ベトナム戦争長期化で社会主義国との関係改善を目指したアメリカの利害が一致し、大統領ニクソンの訪中、国連の代表権交代などを通し国交正常化に向かった。(100字)

1-2. どうやって勉強するの?答え合わせは?






さて、論述の演習を実際にやっていくことで、論述に必要な2つの能力を身につけることができます。
- 1. 通史を整理し、聞かれたことに答える力
- 2. 文章を書く力
どちらの能力を伸ばしたいかによって、効果的な論述演習の方法が違うんです!

マルオみたいに、論述演習を今から始める!という人は、必ず1をメインで演習しましょう。
なぜなら、1のように「通史を整理し、聞かれたことに答える」ことのほうが格段に難しい、かつ点数に一番大きく響くから。
まずは徹底的に1の「通史を整理し、聞かれたことに答える」ことを演習しましょう。



1. 通史を整理し、聞かれたことに答える力
まずは、論述のキモとなる「通史整理」と「解答の大枠づくり」です。
とはいえ、実は、すでに話した「鉄則」さえ守っていけば、この項目は達成できるんです!
ということは、ここでやるべきなのは、「鉄則」を守って解答のメモを作ることができるようになるための演習。

この鉄則を1つ1つなぞっていきながら、【10月までは1日1問、週2日】、【11月からは1日1問を毎日】、演習に取り組んでいきます。


問題演習をするときのコツは2つ!
・鉄則に従ってメモを作る
・解答を覚えるくらいまで熟読する
それぞれについて、補足をしていきましょう。
・鉄則に従ってメモを作る
問題をみたら、まず鉄則を思い出し、状況を当てはめていきます。
この問題はどの時代が問われているのか?
書くべき出来事は何か?登場する国は?
時代の流れで示すことができる?それとも国と国を比べていく?
これらを考えながら、最終的に単語と図を使ったメモに仕上げていきます。
・解答を覚えるくらいまで熟読する
論述の演習をする場合、「誰に答え合わせをしてもらえばいいの?」と困るのは、よくあること。
これを解消するために、「1度メモを作った段階で答えを見る」というワザを使いましょう。

メモが終わったタイミングで解答を見ることで、時間のロスをなくすことができます。
実は、メモ書きをする時間とそれを文章に直す時間は、あまり変わらないんです。
でも、重要度は圧倒的に「メモ書き>文章に直す」。
そう考えると、メモ書きを作ることに時間を割くのがベスト。特に、自分で採点をする場合、文章にしたところで解答と見比べて「全く違う!」ということしか起こりえないです。文章を採点することよりも、解説書きを参考にしながらメモ書きを採点するほうが、圧倒的に自己採点がやりやすいです。

具体的には、このようなメモ書きを書いたとして……
解説に書いてある文章を見ながら、このメモ書きと大きく間違っているところがないか確認しましょう。
採点チェックリスト
- 時代はあっているか?
- 抜けている単語はないか?
- 書く流れが解説と同じか?
そして、メモ書きの採点が終わったら、その【解説】を熟読し、解答のパターンを覚えておきます。

・1つの国の歴史を書く
例:「イギリスはXXXX年、○○王のもとで~~を行った。そのあと、……を経て、XXXX年ごろには××になった。」
・いくつかの国の体制を比べる
例:ローマは○○な文化で、~~~という特徴があったが、ギリシアは△△な文化で、――――という特徴を持っていた。

ここで注意すべきなのは、【模範解答】は読まないことです。


【模範解答】を見ないようにしながら、解説だけ読んで解答の作り方を把握しましょう。
基本的に、論述のパターンや問われるテーマはいくつかに限られることが多いので、解説を覚えるくらい読んでしまえば、よく聞かれるテーマやメモの書き方がすぐに出てくるようになります。

2. 文章を書く力
さて、ここまでくれば、メモ書きを文章にしていきます。指定された文字数の中にうまくメモ書きの要素を埋め込むことができるようになるまで、練習をしていきましょう。
メモ書きを文章にしていくときは、日本語の文法や漢字の間違いにも気をつけましょう。一文が長くなりすぎないなどの意識も必要です。

番外編:直前期の過去問について
直前期には、過去問を使った対策をしていくことになります。東京大学は古代が出されにくい(2017年入試で初めて出たといわれるくらい、今まで出ていませんでした)など、大学ごとにもテーマや論述のタイプに偏りがあるので、志望校の過去問を何度も解いて、メモ書きの書き方、これまで出題されたテーマを把握するようにしましょう。
過去問を演習する場合は、赤本などの解答は丁寧でないものも多いので、学校の先生などに見てもらって、自分では気づけない間違いを把握しましょう!
戦略02世界史論述おすすめ参考書・問題集










論述問題の演習をするためには、
- 1. 論述で問われる知識のインプット
- 2. メモ書きへのアウトプットや、文章に直す力を鍛える演習
の2つが不可欠です。メモ書きを作るための知識をつけるインプットと、それをメモ書きや文章に直して点数に直結させていくアウトプットのそれぞれで、使う教材が違います。また、目指す大学によって形式や身につけるべき知識にも差があるので、ここではそのことにも触れながら紹介します。

2-1. インプット

もちろん、教科書でも十分です。むしろ、教科書には時代の流れや重要事項が「過不足なく」「論述向きの文章で」書かれているので、論述のインプットにはおすすめです。
→教科書の活用法についてはこちら!
そのため、教科書とおなじ構成の「時代順にまとめられている」参考書は、基本的に教科書を見やすく書き直したものだと考えてください。教科書に比べ重要度の記述やイラストなどが多いです。
教科書では頭に入ってこない!という人は、そうした教科書と同じ役割の参考書を買うのも手です。
とはいえあくまで書いてあることやまとめ方は同じなので、教科書で十分!という人は改めて買う必要はありません。

タテから見る世界史
東進ハイスクールや学研プライムゼミで人気の斎藤整先生の本。論述でよく聞かれる「地域史」「各国史」に特化して、地域ごとに歴史をまとめなおした1冊。ここまでわかりやすく、地域ごとの歴史をまとめている参考書はほかにないので、国公立でよく地域で出される!とか、ばらばらになってどの国がどこかわからない……という悩みを抱えている人には必須の1冊です。

ヨコから見る世界史
同じく斎藤先生のベストセラー。「ヨコの世界史」=時代ごとに世界を見たまとめ方なので、一見教科書などと同じように見えます。とはいえ、論述でこれまたよく問われる「時代背景」「1つの時代の各国のつながり」が教科書よりもよく見えるのがこの参考書。優先度は低いですが、こちらもおすすめです。

2-2. アウトプット
みるみる論述力がつく世界史(山川出版社)
解説がしっかりしているうえ、「どの要素で点数がもらえるか」がはっきり書かれているので、とても使いやすい!下書きを書くところから手順に沿って書かれているので、メモ書きをした後の復習や、出題パターンの理解がスムーズにできます。「よくある間違い答案」がのっているのも味噌。

世界史論述のトレーニング(Z会)
字数別に10-20問ずつ厳選。解答も採点基準が明確に描かれていて、とてもていねい。後半に実践問題がついているほか、原稿用紙がセットになっているのもおすすめ。



戦略03世界史論述に関する質問コーナー
Q1. 始めるのは、単語とか通史が完璧になってから?

Q2. 字数が余ってしまいます!

Q3. 論述捨てるってアリ?

もちろん、本番にどうしても時間がなかったり、あまりに難しいものが出たりしたときに捨てることはあり得ます。それでも、知っている知識を駆使して「何かしら埋める」ことを心がけるようにしましょう。
まとめ
今日押さえておいてほしいことは、はじめに話した鉄則!
- 問われている時代を絞り込む!
- 書くべき出来事を並べる!
- 図で示す!

論述問題は世界史学習の最難関といっても過言ではありません。このページで学んだ論述演習のスキルを学習に活かすことができれば、論述で「何を書けばいいの?」と困ることはもうなくなりますよ。
カリキュラムのページも参照して、論述演習を完璧にしましょう。