古文が苦手な受験生は非常に多いです。古文が苦手な人に共通しているのが、間違った仕方で古文を勉強してしまっていること。実は古文という科目は、「正しい」方法で勉強すれば「誰でも」「簡単に」「高得点」が取れる科目なんです。
この記事では正しい古文の勉強法を解説します。
なお、以下の動画でも古文に関する効果的な勉強法を解説しています!
古文の勉強の流れをはじめにチェック
古文の勉強のステップは大きく分けると3つあります。
古文は言語なので、英語の勉強法と同じように考えるとわかりやすいです。まずは単語・文法を完璧にし、その後で読解の問題演習を進めていく中で、古文に慣れていきます。最後に過去問演習で入試レベルの読解力を身につければ完成です。
自分のレベルに合わせて、3つのステップのうちあてはまるところから見ていきましょう。
- 古文単語帳の内容をを8割暗記できていない。共通テスト模試の文法問題で間違えてしまう。
→ステップ①:単語・文法の勉強から始めましょう。 - 単語・文法はある程度覚えたけど、共通テスト模試は8割に届かない。
→ステップ②:問題演習から始めましょう。 - 共通テスト模試は8割解ける。
→ステップ③:過去問演習から始めましょう。
古文の勉強ステップ①|古文単語・古文文法の知識をインプット
古文の勉強はまず知識のインプットから始めます。
一見、「日本語」で書かれているので、単語の暗記をわざわざしなくても読めそうですよね?
しかし今使われている単語でも意味の違うものや、そもそも使われていない単語も多いです。また、今と異なった意味の単語は入試ではよく狙われるポイントなので、これをおろそかにしてしまうと、正確に読めない、古文がいっこうに理解出来ないなんてことになりかねません。
単語だけでなく文法も今の日本語とは異なる部分は多いので注意しましょう。
日本語とはいえ、1000年以上前の言葉なので、外国語を勉強しているつもりで取り組むことをおすすめします。
知識がない状態では、いくら読解演習を繰り返しても成績は向上しません。まずは基礎固めとして単語、文法をインプットしましょう。
古文単語を覚える
古文は英語と違って覚えるべき単語の量はとても少ないです。一冊の単語帳を短い期間で何度も繰り返せば、1ヶ月程度で入試に必要な単語は全て覚えることができます。
『古文単語315』など、300語程度の学校配布の単語帳を完璧にすれば、ほとんどの入試で対応可能です。
使いにくい・覚えにくいという場合や、共通テストでしか古文を使わないという場合は『マドンナ古文単語230』などもよいでしょう。
ただ、古文の単語は「覚えにくい」と感じる人も多いでしょう。覚えにくい理由としては、「日本語の意味を日本語で覚える」ことになるため、日本語の意味と混ざりやすかったりひらがなばかりで意味が連想しにくかったりするなどが挙げられます。
しかし、単語のニュアンスや語源をきちんと理解しておくことである程度解消することができます。
そのため、はじめからいきなりテストをして丸覚えしていくよりも、最初はきちんと単語の語源やニュアンス、例文などまで読み込んでから覚えていくほうが使いやすいです。
- Step1
- 1ページずつ見出しの単語を見て、現代語訳を覚える。このとき、各単語の解説や例文も読む。
- Step2
- 1ページが完璧になったと思ったら、赤シートを使って、単語を見て現代語訳を思い出せるかテストする。
- Step3
- 間違えたものの現代語訳をもう一度覚える。
- Step4
- 完璧になったと思ったらもう一度テストする。
- Step5
- step3~4を完璧になるまで繰り返す
- Step6
- 1ページ完璧になったらStep.1~5を1日分終わるまで繰り返す。
古文単語はぜんぶで300語ほどしか単語帳には掲載されていないので、1日30単語程度を15〜30分使って覚えていくだけでも、1ヶ月もすれば3周以上取り組むことができます。
単語の覚え方は、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
ほかの単語帳についてはこちらから!
古典文法は「用言」と「助動詞」をまず覚える
単語を覚えながら文法も並行して勉強することになりますが、古典文法ではまず「用言」と「助動詞」について勉強していきます。
「用言」と聞いてすぐにどういうものか思い浮かぶでしょうか。
「用言」とは、活用する自立語のことで、「動詞」「形容詞」「形容動詞」を指します。学校の授業などで一番最初に動詞の活用形を習った人は多いのではないでしょうか。
古文の場合はまず最初にこの活用形を覚えます。
なぜ「用言」から覚えるのかというと、この「用言」の活用形がわかっていないと、古文の意味を正確に取ることができなくなるからです。
古文は日本語なので、語尾で意味が決まるようになっています。
「走ります」
「走らない」
「走ろう」
「走りたい」
たとえばこのように、意味が語尾の助動詞によって大きく変わって来ます。
このとき、助動詞の前についている動詞の形も変わっていますよね。「走ら」「走り」「走る」「走ろ」といったふうに、後ろにどんな助動詞が来るかで形が変わるのが日本語の用言です。
そして、古文の助動詞では「同じひらがなでも違う意味になる」ものがあります。
例えば、
男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて、するなり。
これは有名な『土佐日記』という作品の冒頭ですが、太字にした2つの「なり」はおなじ「す」という動詞についていても違う意味になっています。
「なり」の前の部分が「す」になっているか「する」になっているかで意味を見極めなければいけません。
古文は文末の助動詞で意味が決まることが多いため、用言の活用がわかっていないと正確に意味が取れないという事が起こります。正確に意味を理解するために、動詞などの用言や助動詞の活用を一番最初に覚えるのです。
その上で助動詞がどの活用形につながるかという「接続」、そしてそれぞれの助動詞の「意味」まで覚えることができれば、ほとんどの古文の文章の意味を理解することができるようになります。
助動詞は「接続」「意味」「活用」を覚える!
古文の助動詞などは、何度も声に出して覚えていくのがおすすめです。
勉強法はこちらの記事もチェックしましょう。
古文文法の仕上げは「助詞」「敬語」
助動詞まで覚えることができれば一通りの勉強はできていますが、実際に文章を正確に読んで話の流れを理解していくには、現代語と異なる「助詞」も覚えていく必要があります。
「助詞」は活用しないので助動詞よりは楽ですが、文法書などを見るとたくさん載っていて覚えるのが大変そうです。
すべて覚える必要はなく、現代語と違う意味になっている助詞を優先して覚えるようにしましょう。
合わせて、古文は主語を省略することが多く、話の流れがわかりづらくなりがちです。
主語を補うヒントとして敬語も覚えていきましょう。
それぞれ以下の記事で詳しく解説しています。
古文の勉強ステップ②|古文の問題集を解いて読解力アップ
単語と文法を覚えることができたら、今度は問題集を解いて読解力を身につけていきましょう。
例えば英語であれば、単語や文法を覚えただけで読解演習をしなかったらいつまで経っても読めるようになりませんよね?
古文も英語と同じように、単語と文法をインプットしたらどんどん実際の文章を読むことで、問題が解けるようになります。
いきなり文章を読み始めるのが不安な場合は、「品詞分解」の練習をしてから読解に取り組みましょう。
文法から読解の橋渡し「品詞分解」
品詞分解は、文字通り「古文の文章を品詞ごとに分解していく」練習のこと。
古文はほとんどがひらがなの文章なので、どこで区切れるかわかっていないと正確に読むことはできません。
品詞分解したものまで解説についている、日栄社の『古文 高校中級用 42 (発展30日完成シリーズ) 』を活用すると、文法の復習から取り組めるのでおすすめです。
文法を復習しながら読解演習にたくさん取り組む
品詞分解ができたら、さっそく読解練習を繰り返します。参考書としては『古文上達基礎編 読解と演習45』や『マドンナ入試解法』が、文法や読解のやり方の解説まで詳しく掲載されているのでおすすめです。
いずれも次のような使い方で取り組んでいきますが、大事なのは「解説を読み込む」ことです。
- Step1
- 問題を解く
- Step2
- 採点して、正解していた問題も含めてすべて解説を読む
- Step3
- 出典をチェックする
- Step4
- わからなかった単語や文法を調べて覚える
- Step5
- 意味を意識しながら5回音読する
古文は1000年近く前が舞台ですから、当然今の世界観とは違う中で話が進みます。ただ読んでいるだけでは何をやっているかわからないことでも、解説に当時の時代背景と合わせて書かれていることがあります。
こういったいわゆる「古文常識」は、時間を取って勉強する暇が無いことも多いため、解説を読むときに合わせて覚えていきましょう。
出典になっている古典の時代やジャンルも合わせて確認しておくと、似たような話が出てきたときにヒントになります。
具体的な勉強法は以下の記事をチェック!
古文の勉強ステップ③|入試レベルの読解演習+過去問演習で古文の総仕上げ
読解演習を終えて古文が読めるようになったら、最後に入試レベルの読解演習と過去問演習を行いましょう。
このステップでは、まず最初にセンター試験や共通テストの古文を解くのがオススメです。センター試験や共通テストの古文の問題は入試で絶対に必要になる基礎的な知識を確認できる良問ばかりですので、まずは共通テスト古文で8割を取ることを目指しましょう。
センター試験時代の過去問であれば30年分以上あるので、過去問が無くなる心配もありません。
国公立志望の人であれば、そのまま共通テストの対策にもなるので一石二鳥ですし、私大志望の人でもマーク形式の演習になりますね。
共通テスト古文の対策についてはこの2つの記事をチェック!
私大志望の場合は私大レベルの入試問題集、国公立志望の場合は記述対策の問題集に取り組みます。国公立入試よりもMARCHレベル以上の私大入試のほうが文章自体は難しいことが多いので注意しましょう。
MARCHレベル以上の私大対策には『有名私大古文演習』がおすすめです。
国公立対策なら『得点奪取古文』を使いましょう。
使い方は②の読解演習のときと同じで、解説を読み込むことを忘れないようにしてください。これらを仕上げたら過去問に取り組みましょう。
古文はいつから始める?勉強スケジュール
古文の勉強はざっくり次のようなペースで進めましょう。
- 〜高2・3月:単語・文法を覚える
- 高3・4月〜6月:『古文上達』などの読解演習
- 高3・7月〜10月:センター試験・共通テスト過去問を活用しながら、志望校に合わせた問題集
- 高3・11月〜:過去問演習
古文は他の科目に比べて覚えること自体は少ないため、高3からの勉強でも間に合わせることは可能です。しかし、高3になると理科や社会など他の科目に割く時間を増やす必要があるため、できれば2年生の間に単語や文法は固めておくようにしましょう。
特に理系の場合、高3になって古文の勉強をする暇はほとんどありません。
古文の勉強法Q&A|古文常識は必要?1日何時間勉強する?
最後に、今回紹介しきれなかった古文についてのよくある疑問に答えていきましょう。
古文は1日どのくらい勉強すればいいですか?
- 古文の勉強は1日どのくらいやるべき?
もちろん他の科目次第の出来や配点によって変わります。ですが高校3年生なら、夏休みまでは1日1時間程度で単語・文法をそれぞれ30分ずつ。夏休みなど時間があるときに読解問題集を1時間以上かけて取り組むとちょうどよいはずです。
古文は他の科目よりも配点が低いことがほとんどなので、「古文の勉強にかける時間が一番多い」とならないようにしましょう。ただし、春休みなどにまとめて単語・文法・品詞分解を入れるために2時間ずつ取り組むといった使い方はOKです。
古文の定期テスト対策
- 古文のテスト対策は何をすればいい?
定期テストの勉強は受験勉強と性質が異なります。入試勉強と違い知っている文章・習った文章しか出題されないため、本文を覚えるくらいのつもりで取り組んでおくと楽に点数を取ることができます。
文章の理解度は大前提ですが、授業内で解説されたことに沿って答えないと点数は来ません。板書をきちんと取れていない場合は友人を頼るなどしてください。
テスト範囲の単語や授業内で出てきた文法などはテストの2週間前くらいから毎日覚えるようにして、それ以外の文章の中身のチェックは1週間前に行いましょう。この時点でわからないことは学校の先生や友達に改めて確認して、テストの前日・前々日に暗唱できるくらいまで本文を読み込みましょう。
板書さえあればある程度直前の対策でも点数を取れるので、焦らず対策してください。
文学史や古文常識は勉強しなくていいですか?
- 古文常識や文学史も入試では大事と聞くけど、勉強すべき?
文学史や古文常識の勉強が必要かどうか判断するために、まずは過去問を見ましょう。過去問をチェックした中で文学史が出てこないのであれば、問題集を使って勉強する必要はありません。
古文常識はいわゆる「昔の人は和歌のやり取りをして求婚していた」「男性が女性のもとに通っていた」「貴族の女性は顔を見せなかった」など、現代の常識と異なる当時の生活様式などのこと。直接出題されることはあまりありませんが、文章の内容を理解する上では大きなヒントになります。
時間に余裕があれば『マドンナ古文常識』などの問題集をスキマ時間で見てもOKです。
ただしほとんどの人は時間が取れないため、学校の授業や演習問題の解説などで触れるたびにその都度覚えていきましょう。
古文の勉強法|まとめ
今回は古文の勉強法を「すべて」お伝えしました。それぞれの分野の勉強法はリンクを参考に取り組んでみてくださいね!
大事な勉強のステップは以下のとおりでした。
- 単語・文法の知識をインプット
- 問題集を解いて読解力アップ
- 過去問演習で古文の総仕上げ
古文は外国語のイメージで、単語・文法になるべく早く取り組んでおくことが成功のカギです。
高2の間にはスタートできるようにして、高3を他の科目の勉強に使えるようにしておくとよりよいですね。
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